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all .hack//R.D 第一話 - RM-78ガソダム - 2008/02/17(Sun) 06:39:49 [No.1045]
Re: .hack//R.D 第二十七話 - RM-78ガソダム - 2010/02/08(Mon) 23:40:30 [No.1322]
Re: .hack//R.D 第二十六話 - RM-78ガソダム - 2009/12/24(Thu) 18:10:05 [No.1315]
Re: .hack//R.D 第二十五話 - RM-78ガソダム - 2009/12/24(Thu) 16:28:30 [No.1314]
Re: .hack//R.D 第二十四話 - RM-78ガソダム - 2009/12/12(Sat) 02:33:02 [No.1313]
Re: .hack//R.D 第二十三話 - RM-78ガソダム - 2009/12/03(Thu) 02:19:36 [No.1312]
Re: .hack//R.D 第二十二話 - RM-78ガソダム - 2009/11/15(Sun) 02:35:08 [No.1311]
Re: .hack//R.D 第二十一話 - RM-78ガソダム - 2009/10/30(Fri) 20:45:29 [No.1306]
Re: .hack//R.D 第二十話 - RM-78ガソダム - 2009/10/19(Mon) 22:22:41 [No.1305]
Re: .hack//R.D 第十九話 - RM-78ガソダム - 2009/10/08(Thu) 13:53:38 [No.1304]
Re: .hack//R.D 第十八話 - RM-78ガソダム - 2009/09/28(Mon) 02:46:19 [No.1301]
Re: .hack//R.D 第十七話 - RM-78ガソダム - 2009/09/22(Tue) 15:36:52 [No.1300]
Re: .hack//R.D 第十六話 - RM-78ガソダム - 2009/09/20(Sun) 01:52:24 [No.1299]
Re: .hack//R.D 第一五話 - RM-78ガソダム - 2009/09/16(Wed) 23:24:09 [No.1298]
Re: .hack//R.D 第十四話 - RM-78ガソダム - 2009/09/04(Fri) 19:29:37 [No.1296]
Re: .hack//R.D 第十三話 - RM-78ガソダム - 2008/04/14(Mon) 16:45:42 [No.1212]
Re: .hack//R.D 第十二話 - RM-78ガソダム - 2008/04/03(Thu) 16:45:03 [No.1197]
Re: .hack//R.D 第十一話 - RM-78ガソダム - 2008/03/24(Mon) 19:46:31 [No.1176]
Re: .hack//R.D 第十話 - RM-78ガソダム - 2008/03/18(Tue) 21:06:03 [No.1161]
Re: .hack//R.D 第九話 - RM-78ガソダム - 2008/03/05(Wed) 13:08:27 [No.1119]
Re: .hack//R.D 第八話 - RM-78ガソダム - 2008/03/03(Mon) 22:30:55 [No.1116]
Re: .hack//R.D 第七話 - RM-78ガソダム - 2008/02/27(Wed) 20:52:39 [No.1104]
Re: .hack//R.D 第六話 - RM-78ガソダム - 2008/02/23(Sat) 20:12:17 [No.1057]
Re: .hack//R.D 第五話 - RM-78ガソダム - 2008/02/20(Wed) 21:07:06 [No.1051]
Re: .hack//R.D 第四話 - RM-78ガソダム - 2008/02/19(Tue) 20:55:25 [No.1050]
Re: .hack//R.D 第三話 - RM-78ガソダム - 2008/02/19(Tue) 04:13:46 [No.1049]
Re: .hack//R.D 第二話 - RM-78ガソダム - 2008/02/17(Sun) 22:39:50 [No.1047]


Re: .hack//R.D 第二十七話 (No.1045 への返信) - RM-78ガソダム

両の頬を伝う涙を拭うも、一気に悲しみと疲労がドッと押し寄せて来
たのか体が重い。その心情が自らの操るPCにも反映されているよう
に見えてより悲しくなる。

何を考えるでもなく、ふらふらと力無くルゥド・サン・トゥーナへと
戻り、ログアウト作業に入った。

「あ、いい所にイスカどん発見!お〜い、イスカどん〜」

「え?イスカ君?どこにいるの?」

「ほらっアレグロちゃん、あそこあそこ、イスカど〜ん!聞こえてる
かん?」

「イスカく〜ん・・・」







ログアウトし、疲れきった体を自室のベットへ委ねる。ひやりと冷た
いシーツの上でうつぶせのまま少し考える。

(・・・そうだな、たしかめることはできるよな)

飛ぶようにベットから降り、デスクの上にある携帯端末でタケトに電
話をかけてみた。

送信コールが1回、2回・・・と増えていく。かかってくれ、頼むから
つながってくれと落ちつき無く、しかし強く願う。

コールの数が20回にさしかかった時、

「はい、神崎です」

通信はつながった、しかし、オレはその声に絶句。タケトの声とはあ
まりにかけ離れた女性の声だったからだ。

「もしもし?」

絶句しているオレに対して、電話ごしにその女性が発するこちらを確
認する声が続き、それによって少量の時間呆けていたオレの意識を電
話へと戻した。

「あ〜すみません、この端末って神崎タケト君のですよ・・・ね?」

「はい、そうですけど、タケトに何か御用でしょうか?」

とても丁寧に、だが弱々しい声が、間違い電話をしたのではないこと
を知らせてくれる。

「少しタケト君と話がしたくて・・・申し遅れました、クラスメイトの
鏡青空といいます」

名を名乗り、タケトに話がしたいと告げると、今度は女性の声が止ま
った。

「・・・そう・・・君がタケトが良く話してた青空君なのね・・・」

再び会話に戻った女性の声量は弱く小さく、そして重苦しい感じが漂
う。

「そうです、どうしてもタケト君と話がしたいんです。代わってもら
えませんか?」

「タケトはしばらく話ができそうもないの・・・ごめんなさいね」

話ができない?女性のそんな一言になんとなく思い描いていた悪い方
の予感が当たっているのではないかと悪寒が走り、肩がすくみ上がる。

何かあったんですか?・・・たったこれだけのことが恐れからか口に出せ
ない。重苦しい時間が数秒流れ、話を切り出せずにいるオレの耳に女
性の声が入ってきた。

「君には話しておかなければ・・・いえ、見てもらわなければいけないの
かもしれないわ・・・今から出て来れるかしら?」

見る?どういうことだろうか、そう思いながらも返答

「はい、大丈夫です、どこに向かえばいいですか?」

「君の通っている学校の近くの阿川総合病院って分かるかしら?そこ
のロビーで待っています」

「はい、なるべく急いで行きます」

オレの返事を聞くなり通話が切れる。病院・・・もはや悪い予感は当たっ
ていると思っていいのだろう。そんな自分の思考がまた涙をあふれそ
うにさせた。

寒空の街を自転車で走り抜ける。早く行きたいと気持ちだけ焦るけど
涙をこらえるのに必死で足に力が入らない。

「動け・・・よ、オレの足・・・ちき・・・しょぉ・・・」

思うようにコントロールできない自分の体、そして感情に腹を立てな
がらも気を抜くとポロリと涙がこぼれ視界を遮る。左腕で拭い、でき
る限りの力で病院を目指す。

病院に着くなり、乗り捨てるように自転車を降り、ロビーへ駆け込む

それなりに遅い時間からなのか、ロビーには人が少なめで左右に目を
凝らすと、どこかタケトの面影のある小柄な女性が目に入って来たの
で、声を掛ける。

「あの・・・」

女性の方もオレのことがすぐに分かったらしく、オレの顔を見るなり

「君が青空君ね・・・ついて来て」

そう言いゆっくりと歩き始めた。歩きながらも女性はオレに会話を投
げかけてくる。

「顔を見て分かった、タケトのこと本当に心配してくれているのね」

「何が・・・タケトに何があったんですか、教えてください」

オレは病院という場所柄、感情を最大限抑えて、小声で問い掛けた。

女性はくるりと振り返り、

「いい?これは現実・・・私・・・だって受け止めたく・・・ない・・・けど現実
なの・・・あなたの目で見て、そして・・・タケトを励ましてあげて」

女性は歯をくいしばり涙をこらえながら、強い目でオレに意味深な言
葉を言う。

それを見て聞いて、オレは相当な覚悟で病室へ行かなければならない
んだろうと自分に言い聞かせ、覚悟を固めた。

そして、開けたくない扉の前に着いてしまう。覚悟は固めた、大丈夫
、大丈夫、何があってもオレは大丈夫だ、冷静になろうとしても逆に
鼓動は高鳴る。

これは仕方のないことだ、第三者のように自分を見つめられるだけで
も、少しは感情をコントロールできているのだろう。

今まで握ってきた、どんなドアノブよりも重いドアノブをオレは握り
そして扉を開いた。

「なんだ・・・よ・・・これ・・・」

重苦しく固まっていた体の力がスッと抜け、オレの体はストンと崩れ
落ちた。

幾重にも折り重なるチューブが生気の感じられないタケトへと伸びて
いた。医療機器に囲まれ、その機会音だけが静かになり続け、それが
余計にこの状況をリアルに感じさせる。

オレの覚悟を上回る現実はとても残酷で、辛い、悲しい、怖い、そん
なことを感じさせてくれさえもしなかった。

ただただ呆けるだけ・・・。

しばらくして、そっと暖かい手がオレの左肩に添えられ

「M2Dを着けたまま倒れてたの・・・お医者様は、状況を考えるとドー
ル症候群だろうって・・・うぅぅ・・・」

オレのことを待っていてくれたからだろうか、女性は今までこらえて
いた涙をこぼしながらベットに横たわるタケトを見つめていた。

我に返ったオレは、涙し立ちつくす女性を病室にある丸椅子に腰掛け
させ、

「タケトのこと教えてもらいありがとうございました・・・オレ、帰り
ます・・・」

ぼそっと力無い声で一言お礼だけを言い、オレは足を引きずるように
病室を後にした。

掛ける声が見つからないし、生気の無いタケトに触れるのも怖かった
・・・。

なんでこんなことになったんだよ・・・、ドール症候群?意味分かんねぇ
、頭の中でブツブツ独り言を続けながら肩を落とし歩く。まだ夢の中
にいるようにボ〜っとしていた。

ふと冷たい物が頬をかすめる、冷え切った右手で頬をなぞると、それ
はじわりと溶け消えた。

「雪・・・」

そう思いふと空を見上げると、それはゆっくりと降り注いでくる。

「灰色の・・・雪・・・」

その異様な光景がオレにもう一つの現実を運んできた。

タケトの居ない退屈で渇いた日常にまた戻ってしまうのだと。

突きつけられる現実を忘れたい一心でオレは考えるな、何も考えるな
、忘れろ、思い出すなと、考えないようにすることを考えながら灰色
の雪の中を走った。

走って走って、簡単なはずの家までの道を何度も間違え、そして、イ
ラつきながら家へ駆け込み、自室の布団に潜った。

追いかけてくるような灰色の世界を暗闇で遮断するように・・・。





(あとがき)
鏡青空傷心編終了です。

ついにタケトが未帰還者になってしまいました。

次に彼に会えるのはいつになるのでしょうか・・・ってのはもう決めて
いますけど、まだ言えません。

そして青空は親友を失い、そしてまた灰色の世界に戻ってしまいまし
た。少しかわいそうな気もしますが・・・しょうがない、しょうがない
んですよ・・・これも物語を進めるためでございます。

と・・・いうわけでしんみりと締めたいと思います。

それではまた・・・。




































































































































(番外編:2年3組たけとくん)

「・・・ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・アイツが・・・アイツが追ってくる、
これを持って逃げ切らなくては・・・」

「ゴラァ〜逃がすかぁ〜!たけとき〜っく!」

           ドガシャァァァァ!

「げふぁぁ〜、お願いだ、助けてくれ、これだけは・・・このなれそめ
の秘文だけはぁぁぁ」

「それをよこすのだ、たけとだけが楽しむのだぁ〜」

「うぅ・・・命にはかえられネェ、しょうがない、はい!どうぞ」

(持っているクッキー缶を差し出す)

「うわははは〜、やった〜、最初から素直にだしとけばいいんでしゅ
よ、ではさらばですわようわははは〜」

「・・・」

「・・・やっと去ったか・・・まんまと騙されおったわ、たけとくんめ・・・
なれそめの秘文は・・・なれそめの秘文は・・・」










「物語の中さ・・・」

「ごるぁぁぁぁ〜、これ、ただのクッキーじゃないかぁぁぁぁ、騙し
たなぁぁ、たけとへヴぃ〜ぷれす!」

            グシャァ!

「うぅぅ・・・たけとくんにだけは見せたくない・・・が、果たして何人が
扉を開けられるかな・・・」


[No.1322] 2010/02/08(Mon) 23:40:30

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