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No.359へ返信

all .hack//meet by chance - 親衛隊 - 2007/03/02(Fri) 19:36:14 [No.272]
第一幕 「開始」 - 親衛隊 - 2007/03/02(Fri) 19:41:15 [No.273]
第二幕 「転がる賽」 - 親衛隊 - 2007/03/16(Fri) 19:42:31 [No.359]
第三幕 「変異の光」 - 親衛隊 - 2007/03/19(Mon) 22:40:06 [No.415]


第二幕 「転がる賽」 (No.273 への返信) - 親衛隊

神様の気まぐれは、運命という。
悪魔の気まぐれは、不幸という。

ではこれは、はたしてどちらなのだろうか?

〜第二幕 「転がる賽」〜

呪紋使いの少年エルクと、ネコの姿をした不思議なPC、ミア。
二人はエリアでのんびりとエノコロ草を集めて遊んでいた。
ついこの間まで、命を懸けた戦いがあったなど信じられない穏やかな時間。
この時間を取り戻すまでに、沢山の戦いがあった。その中で一度失われてしまったミアを、やっと取り戻した。
エルクは幸せだった。一番はもちろんミアだけど、他にも友達が出来た事も嬉しさを一層引き立てる。
「ミア、見てみて!こっちにも沢山あったよ!」
エルクは満面の笑みで腕一杯にエノコロ草を抱えて、ミアのほうを振り向いた。
「・・・・・」
「ミア?」
ミアは、空を見上げて黙り込んでいた。
「どうしたの、ミア?調子悪いの?」
エルクは慌ててミアに駆け寄る。
「え・・・あぁ、大丈夫だよエルク。何かメールが来てたみたいだからちょっと確認してた」
「え?メール?」
今はエリアに居るので、エルクの様な一般PCにはメールをチェックする事はできない。「普通ではない」ミアだからこそ出来る芸当だ。
「エルクにも来てるみたいだよ。送信者は・・・カイト。珍しい腕輪を持ってるあの子だよね?」
「カイトからメール?どんな内容なの?」
ちょっと待ってね、とミアは言うと空をじっと見つめた。まるでそこにディスプレイがあるといわんばかりの動作である。
そして、やがて顔をエルクに戻す。
「景色が綺麗だって評判のエリアがあるから行かないかってさ。でも送信時間から考えると、もう一人で行っちゃってるかも」
「そっか、お誘いメールなのに悪い事しちゃったかなぁ」
エルクは少し落胆した。自分が初めて自らの意思で庇った少年であるカイトは、ミアを失った原因でもあり、ミアを取り戻す事が出来た原因でもある。
優しく、勇気のある友達だ。その友達の誘いに気づかなかったのは、ちょっと悪かったなと思う。
「エルク、エノコロ草も集まったし、そろそろタウンに戻ろうか?」
「う、うん・・・」
「・・・ボク、今日はこれで落ちようと思ってるんだ」
エルクの顔をジッと見ていたミアが、突然そんなことを言い出した。
「え?落ちるの?」
エルクは驚いた。ミアから落ちるというのは珍しい。というか初めてではないか。
「うん、だからエルク、カイトを追いかけなよ。急いでいけばダンジョンで落ち合えると思うよ?」
ミアはとても、とても優しく微笑んだ。
「行ってきなよ。友達なんでしょ?」

「ブラックローズ、悪いな。つき合わせて」
「ごめんね〜(><)」
NOVAとチムニに別に全然、と返して、ブラックローズは微笑んでいた。
ゲーム内での壮絶なまでの戦いは終わった。
それは他の一般PCにはまったく知られていない戦いだったが、間違いなく彼らが無事で居られるのはあの戦いがあったから。
今までのブラックローズは「助けるために」「戦うために」ゲームをしてきた。
だが今、こうして彼らと笑って「遊ぶために」ゲームをプレイすることができる。それがブラックローズには嬉しかった。
今日誘われてブラックローズが訪れたのは別段代わったことの無い普通のダンジョンだ。
レベルは高すぎず低すぎず。ただしブラックローズから見れば、かなり攻略が簡単そうなレベルではあったが。
「ここの最深部にある武器が欲しいんだよねーw」
チムニは相変わらずどこまでも明るく、その辺をぱたぱたと走り回っている。
「ちょっと待ってよチムニ!おいてくつもりー?」
ブラックローズが走り出そうとして、・・・足を止めた。
「・・・?何?」
NOVAがこっちを見ていた。
「いや、なんかブラックローズ、・・・変わったなって思ってさ」
「私が?」
思い出す。NOVAとチムニに出会った頃、ブラックローズはカズを助けるためにゲームをプレイしていた。
その様子には鬼気迫るものすらあっただろう。NOVAはゲームを純粋に楽しんでいるようには見えないブラックローズの事を不思議に思っていた。
そして、何か自分の察しないところで何か「とてつもなく大きな事」に巻き込まれていることも、薄々感じ取っていた。
「・・・終わったから、さ。全部。もう気張らなくてもいいの」
ブラックローズは大きく伸びをしながら、それだけ言った。
巻き込みたくないと思って、あの時は殆ど何も言うことはなかった。
そしてこれからも、何も言うことはないのだ。
「・・・そか。よかったな」
NOVAもそれを悟って、笑ってくれた。
「ちょっと二人ともー!早く早くー」
チムニがせかす声が聞こえて、NOVAとブラックローズは顔を見合わせた。
自然と、笑みがこぼれる。
「んじゃ、ちゃっちゃと行くか」
「そうだね」
二人は、手を振るチムニの元へと駆け出した。


あとがき〜
更新が亀の如く、本気でそんな感じですがやっと書けました。
・・・ていうかGUメンバー居ないし(笑)
ゲームでは完全サブキャラのNOVAに小説版のオリキャラだったチムニなんかを出してます。はい、大好きです。ごめんなさい。

次回はアトリを。そしてハセヲを・・・!
頑張ります。


[No.359] 2007/03/16(Fri) 19:42:31

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