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No.360へ返信

all .hack//A.D. Vol.1 黄昏 - 菊千文字 - 2007/02/26(Mon) 19:20:57 [No.167]
最終話 漆黒の破壊者 - 菊千文字 - 2007/08/06(Mon) 22:03:30 [No.872]
第十四話 守護神開眼 - 菊千文字 - 2007/08/03(Fri) 20:32:13 [No.869]
第十三話 終末の日 - 菊千文字 - 2007/07/07(Sat) 17:59:00 [No.810]
第十二話 『彼女』 - 菊千文字 - 2007/06/20(Wed) 23:34:49 [No.789]
第十一話 魅惑の恋人 - 菊千文字 - 2007/06/09(Sat) 18:19:34 [No.770]
第十話 レイヴン - 菊千文字 - 2007/05/19(Sat) 22:19:01 [No.745]
第九話 Project G・U - 菊千文字 - 2007/05/02(Wed) 23:04:27 [No.709]
第八話 蒼炎の守護神 - 菊千文字 - 2007/04/29(Sun) 21:00:32 [No.673]
第七話 三爪痕 - 菊千文字 - 2007/04/07(Sat) 21:01:53 [No.569]
第六話 トライエッジ - 菊千文字 - 2007/03/25(Sun) 18:46:37 [No.456]
第五話 究極の選択 - 菊千文字 - 2007/03/17(Sat) 22:48:02 [No.387]
第四話 黄昏の鍵 - 菊千文字 - 2007/03/16(Fri) 21:06:27 [No.360]
第三話 惑乱の蜃気楼 - 菊千文字 - 2007/03/11(Sun) 22:07:01 [No.333]
第二話 ハッカー - 菊千文字 - 2007/03/10(Sat) 18:27:07 [No.329]
第一話 黄昏の守護者 - 菊千文字 - 2007/03/04(Sun) 21:22:20 [No.309]
[削除] - - 2007/02/26(Mon) 19:59:40 [No.170]
.hack//A.D. Vol.1 設定 - 菊千文字 - 2007/03/10(Sat) 21:15:09 [No.330]


第四話 黄昏の鍵 (No.167 への返信) - 菊千文字

翌日、カイトは欅の元にいた。

「で、内容なんだけど君には腕輪の力で以前のウイルスバグのようなものを
駆除してもらうから。」
「またウイルスバグが?どうして?」
「いや、正確に言うと別なんだけど・・・」

欅は深刻な表情で話した。
「ただ被害が多くなる前に消しておかないと。このThe Worldに君の仲間もいるしね。」

−そうだ、みんながいるんだ。みんなに会うために僕は・・・
「でも、もし仲間と会っても関わらないほうがいい。」
欅のその言葉に、カイトは驚きが隠せなかった。
「調べてみたんだけどその『薄明の腕輪』には『腕輪の恩恵』が施されてない。
もし倒されたりなんかしたら・・・」

「一瞬で・・未帰還者?」
欅はうつむいた。カイトから発せられた言葉があまりにも暗かった。
腕輪の恩恵とは未帰還者になるのを回避する能力だ。カイトたちが無事だったのもそのおかげだった。

−僕だって、みんなを危険に巻き込んでまで会いたくない。でも・・・

「僕もちょっと君に押しつけすぎたみたいだ。無理にとは言わない。
協力するつもりならこのゲームに慣れてきて。」
そういうと欅は後を去った。

−パーティに誘えなくても、一緒にプレイできなくても、一目会えればいい。
 ただそれだけでいいんだ・・・



****



カイトは志乃と待ち合わせした、『グリーマ・レーヴ大聖堂』にむかった。
そこにはすでに志乃の姿があった。

「すいません。お待たせしちゃって。」
「ううん、私も今来たところだから。それに誘ったほうが先に来てないと悪いでしょ?」
志乃はおだやかな表情で言った。
「どう?R:2のシステムは。もう慣れた?」
「いえ、全然・・。まだ戦闘もしてません。」
「それならちょうどよかった。ねえ、一緒にクエストしない?」
「え・・・、いいんですか?」
カイトは耳を疑った。
「うん、システムとかR:2の要素とか教えてあげる、ってのはちょっとアレかな。」

−なんでだろう。なんで僕にそこまで・・・

「あ、ありがとうございます。」
「そんなに堅くならなくてもいいよ。じゃタウンにいってパーティ組もう。」
カイトは欅の言葉を思い出したが、バグ退治に行くわけでもないので大丈夫だろうと思った。


****


−△大いなる 早成の 仏足石


「じゃあ、R:2の要素を教えるね。」
志乃はカイトにいろんなことを話した。
レンゲキ、スキルトリガー、ギルド、アリーナ、クリムゾンVS・・・そして

「あとはPK。R:2ではプレイヤーを攻撃できる仕組みになっちゃったから
PCを狩るPCがでてきちゃったの。」

R:1でも一時期あった。あの『楚良』がそうだった。

「志乃さんは、PKをどう思います?」
「PKをするPCは初心者ばかりねらうの。つまり弱いものいじめ。そんな行為、許せない。」

志乃は顔をひそめた。
「ハセヲもそんなPCにPKされて・・・」
「?」
「あ、ごめんなさい。なんでもないの。ささ、早速戦闘しましょ。私がサポートするから。」


****


あれから一週間が経った。志乃は暇を見つけてはカイトを一緒にクエストに誘っている。

カイトは志乃に前から思っていたことを質問した。
「あの、どうして志乃さんは・・・僕を誘ってくれたんですか?」
ん〜、と志乃は考えた。
「友達でもほしかったのかな。それにカイトを見てるとなんだかほっとけなくって。」

−ほっとけない、か。

カイトはなつめを思い出す。彼女はほおっておいたら泣き出しそうな感じのPCだった。

「それにR:1の『黄昏事件』って知ってる?それを解決したメンバーのリーダーが
あなたと同じ名前の人だから・・ごめんなさい、こんな理由で。」
カイトはその人物と同一人物、.hackersのリーダーだった。
だがカイトは知らないふりをして
「志乃さんって、優しい方ですね。」
と言い返した。

そんな中、怪しげなPCがこちらに襲いかかってきた。
そのPCは斬刀士で鋭い刀をカイトに振り下ろしてきた。
「うわあああぁぁぁ!!」
カイトに剣が振り下ろされるかと思ったそのとき
「リウクルズ!!」
と呪文が言われた瞬間、カイトを襲おうとしたPCの体力が一気に瀕死状態になった。

「貴方、この子を初心者だと知ってて襲ったでしょう!?恥ずかしくないの!?」
志乃が怒った表情は初めて見た。
「ちっ、覚えてろ!」
と吐き捨て斬刀士は遠くへいった。

「カイト、大丈夫?」
と志乃はカイトの様子を伺った。
「無事ね、本当によかった・・・」
PKの猛威、レベルの低いカイトにとっては恐ろしいほどであった。
「あ、ありがとうございます。志乃さん。」

起きあがろうとしたカイトに志乃は手を差し伸べた。
「あんなPCがいるところだけど、私は逃げたりしない。だってここには私の仲間とカイトがいるんだもの。
だからカイトもこのゲーム、やめちゃだめだよ。」

−え・・・?

そして志乃はこう続けた。

「ようこそ、The Worldへ。」


****


また何日か経った。欅からまだ連絡がこないカイトは、志乃と一緒にクエストを進んでいた。

「カイト、今日もよろしくね」
志乃はカイトの手を握りフィールドをかけていく。

「ち、ちょっと待って下さい〜!」
何か陽気だった。志乃らしくはないが、それもいい。

カイトにとって大切な人になりつつあった。




 −第四話 黄昏の鍵






あとがき
 志乃に無理矢理「ようこそ、The Worldへ。」って言わせました。
 題名の意味が分かりにくかったですね、G.U.『誓い』イベントエンデュランス
 参照の意味です。
 カイトにとって志乃がどういう存在なのかを表しています。


[No.360] 2007/03/16(Fri) 21:06:27

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