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No.415へ返信

all .hack//meet by chance - 親衛隊 - 2007/03/02(Fri) 19:36:14 [No.272]
第一幕 「開始」 - 親衛隊 - 2007/03/02(Fri) 19:41:15 [No.273]
第二幕 「転がる賽」 - 親衛隊 - 2007/03/16(Fri) 19:42:31 [No.359]
第三幕 「変異の光」 - 親衛隊 - 2007/03/19(Mon) 22:40:06 [No.415]


第三幕 「変異の光」 (No.359 への返信) - 親衛隊

過去と未来が交錯する。
未来と過去が交差する。

「今」は一体、どこにある。

〜第三幕 「変異の光」〜

ハセヲが謎のモンスターに囲まれている、丁度同時刻。
「ハセヲさーん、エンデュランスさーん!」
アトリはダンジョンの中を、二人の姿を求めて歩いていた。
待ち合わせのエリアワードは確か適当に決めたものだったはずだが、この有様は何なのだろう。
画質が少し劣化したダンジョン内を、それでもアトリが進んだのは純粋に待ち合わせのためであった。
自分が想う相手の誘い。それも、かなり久々の。
行かないわけにはいかなかった。
一人邪魔は入っているものの、それが揺光や志乃では無いという喜び。・・・もっとも、エンデュランスが一番「邪魔」としては強そうだけれど。
アトリは嬉しかったのだ。だからこの日、一番乗りをしようと喜び勇んで出かけてきた。
エリアのレベルを見る限り、呪癒士の自分でも最深部までたどり着けそうだったのはきっとハセヲの無意識の気遣いだ。
だが、転送先は今まで見たことの無い物のオンパレード。
草原エリアは小島同士をつないで作られたタイプのものしか無い筈なのに、このエリアの草原はループしているらしくどこまでも続く。
「魔法陣」なる謎のアイコンや建物として作られたダンジョンへの入り口。
R2の仕様にはこんなもの無かったはずなのに・・・。
アトリは魔法陣から現れるモンスターと次々に戦いながら、必死に最深部を目指した。
「バグ・・・なのかな、このダンジョン・・・」
それとも、まだ未公開になっている企画用のCC社開発エリアに迷い込んでしまったのだろうか。
そこまで考えて、さすがにそれはなさそうだとアトリは思った。
CC社が開発中エリアにプロテクトをかけ忘れるなどあるはずが無い。
大体まだあの戦いが終わって日は浅い。まだ八咫やパイが雑務処理の為に残っている「The world」で、そんな初歩的なミスが起きるものか。
「ハセヲさーん、エンデュランスさーん!」
呼びながらアトリは歩き続けていた。
まだ二人とも来ていないかもしれないが、それでも最深部で待っていればきっと来る。
エンデュランスはハセヲとの約束ならそれこそ地獄までもやってくるだろうし。
ハセヲは・・・自分が誘ったのだからと少し呆れながら来るのが簡単に想像できた。
居ないかもしれないと分かっているのに声を上げるのはただ単に自分に勇気付けるためだった。
バグエリアに一人は、結構怖いのだ。規格外のバグで未帰還者がでるという事態がつい最近まで発生していた今は特に。
「何か・・・怖いなぁ・・・」
早く知っている人に会いたい。
アトリは快速のタリスマンを使用し、妖精のオーブを使用してマップを表示させた。
急いた気持ちはそのまま足に現れる。
アトリはパタパタと恐怖を振り切るように走り出した。

***

それからしばらくの時が流れた。
「何でこのダンジョン、こんなに広いんだろう・・・」
アトリはダンジョンの第3下層にようやく踏み込んだところだった。
アイテムでマップを表示させ、最短ルートを選んできているのにかかわらず時間がかかったのは、そのエリアの広さのためだ。
何だかんだ言っても広すぎるダンジョンではそれなりに時間はかかるのだ。
心細さと疲れでアトリは走るのをやめ、ぽてぽてと歩いているのだった。
「何で一人で先に待ってようなんて思っちゃったのかなぁ」
アトリは真剣に後悔していた。
よく考えれば、ハセヲやエンデュランスをここのダンジョン入り口で待てばよかったのだ。
二人だってこのエリアのおかしさはすぐに分かるはずだから、こんなところまで潜らなくても会えたのに。
ここまで降りてきてしまったのなら、最深部に居なければはぐれてしまうだろう。
最悪だ。
アトリは歩きながらそんなことをブツブツと考え続けていた。
だから、その時まで気がつかなかった。
ポォォォォォン・・・・・・
涼しげな、何かの金属をたたいて響かせたかのような高い音が耳に入る。
「え?」
アトリはそこで初めて顔を上げた。
そして、自分が今居る場所の異常に気がついた。
先ほどまでとはまったく変わらない、ダンジョンの壁や床。
その上に今、不思議な紋章のようなものが浮かび上がって光っている。
「や・・・何・・・?」
明滅を繰り返す光に綺麗、なんて事を考えている場合ではない!
アトリは後ずさった。
デジャ・ヴというやつか。
頭にフラッシュバックする映像――モーリー・バロウで見た三爪痕の傷跡。
あの時、あの時もあの音が聞こえて・・・
アトリはあの傷跡に転送され、――AIDAに碑文を奪われることとなった。
その後のことは―あまり思い出したくない。
アトリが気づいたからか、光の明滅が一気に加速する。
「いや・・・何、何なの!?」

そして、いきなり光が強くなり――

「「きゃぁぁああああああ!!」」

二つの悲鳴が、同時にダンジョンに響き渡った。


あとがき〜
ちくしょうアトリしか出て無いじゃないか!
・・・というツッコミは無い方向で行きましょう(笑)
某作者様への憧れや影響が出てますね・・・冒頭の短文に(笑
まだ「短文」レベルで決して「抒情詩」にはなりませんがorz
あれぐらい書けたらいいのにな・・・(遠い目

次回はエン様登場予定。・・・予定。
頑張ります。


[No.415] 2007/03/19(Mon) 22:40:06

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