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all .hack//G.U. オープニングムービー - 朱雀 - 2007/02/20(Tue) 20:47:42 [No.41]
第一部 - 朱雀 - 2007/02/20(Tue) 21:13:08 [No.42]


第一部 (No.41 への返信) - 朱雀

とりあえずボルドーキルするシーンだけ。あんまり長いと読んでて疲れるだろうしな。
評価次第で下もアップするかも。



 オンラインゲームThe World R:2。そこは人々がリアルから逃れられる楽園。そうなるはずだった。しかし「現実」はそう甘くはない。そこはプレイヤーをキルするプレイヤー、プレイヤーキラー(PK)が横行する無法地帯となっていた。

 ここは刄Tーバー、夕刻の荒野のフィールド。天気は曇っており、夕焼けは隠れ、残るのは薄暗く殺伐とした不気味な風景。
その中に響く笑い声。悪魔のようなそれはフィールドをより不気味に仕立て上げていた。
笑い声の主は赤い髪に褐色の肌をした女性PC。紫を基調とした非常に露出の多い服を身に纏っている。
彼女を中心に20人ほどのPCが2人のPCを甚振っている。即ちPKだ。
やがてその2人が息絶えたとき、彼女の隣りにいた男性PCが口を開いた。
「やりましたね。ボルドーの姉貴!」
ボルドーと呼ばれた女性PCは満面の笑みを浮かべながら、
「あぁ、わざわざレベルの低いエリアまで来た甲斐があるってもんだぜ。苦痛に歪んだ顔、悲鳴、命乞いする姿。どれを取っても、やっぱりPKはやめられねぇぜぇ、へっへっへ・・・。」
彼女のこの言葉がきっかけになったのか、周りにいたPCたちも一斉にげらげらと笑い始める。

そんな彼女らを高い岩の上から見下ろす一人のPCの姿があった。銀髪で、漆黒の鎧のようなものを身に付けている。だが腹や胸は黒ずんでおり、胸に赤い紋章のようなものが描かれているだけで装甲のようなものはない。肩や背中、足には刺刺しい何かが付いている。
死神、そう呼ぶのが相応しい外見だった。
その黒いPCは下で馬鹿のように大笑いするPC否PK達を見てニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
次の瞬間、黒いPCは岩から飛び降りた、着地したときには両手に一対の双剣が握られていた。金色をしたそれは刃先を高速に振動させている。
PK達はあまりの突然の出来事に唖然として動けずにいた。だが黒いPCはそんなことはお構いなしと言わんばかりに周りのPK達を薙ぎ払っていく。
双剣をまるで自分の体の一部のように華麗に、踊っているかのように扱う。だが一撃一撃に込められた力は凄まじい。
PK全員が突然の恐怖に怯える中、喉から振り絞ったような声で一人が叫ぶ、
「し、『死の恐怖』・・・!PKKのハセヲだぁ!!」
PKK。即ちプレイヤキラーキラー。PKをPKすることを至上とするプレイヤーたちである。ハセヲと呼ばれた黒いPKKはPK100人斬りをやってのけたことから『死の恐怖』という通り名で呼ばれている。
叫びがが合図だったかのように全員がハセヲに刃を向けた。だがそれは、どこかヤケクソで、勝てぬことを悟っているかのように見えた。
波状攻撃を受け始めるハセヲだったが、がむしゃらに攻める相手とは裏腹に華麗な動きで翻弄しつつの攻撃。PKたちの攻撃は空を斬るばかりだった。
数人のPKは学習したのか、ハセヲを取り囲んで一斉に攻撃を仕掛けようとした。だが即座にハセヲは双剣を納め、同時に大鎌を取り出した。銀色に輝くそれを構え、
「せいっ!!」
気合一閃、それと共に周りにいたPK達は叫び声を上げる間もなく吹き飛んだ。
そして今の攻撃でほとんどをキルされてしまったPK達、人数を確認してか、ハセヲは次は休む間もなく大剣を取り出した。それは刀身の周りを無数の刃が高速回転する、異形の形をした剣だった。
残りのPK達はもはや戦意を喪失したのかハセヲの構えた大剣に次々と斬り倒されていった。
そんな中ボルドーだけはハセヲに立ち向かう。ボルドーが構えた刀は刀身が曲がりくねり、棘が無数に生えたイバラのような、これもまた異形な形をしていた。
剣と剣がぶつかり合う激しい金属音が何度も鳴り響く。だがボルドーは必死だが、ハセヲはまだ余裕の笑みを浮かべている。
次の瞬間、ハセヲが今まで以上に力を込めた強烈な一撃をボルドーに向けて振り下ろした。
激しい音共にボルドーの刀が弾け飛んだ。得物を失い為す術がなくなったボルドーに対しハセヲは剣を脇に携え、標準を合わせるように手を向けた。
掌に光が凝縮し、それは一筋の光の弾丸に変わった。その弾丸は、狙いを過たず、ボルドーを後方に弾き飛ばした。
「かっ!」と口から空気が漏れる音がする。ボルドーはそのまま仰向けの状態で地に伏した。
ボルドーが反射的に立ち上がろうとしたそのとき、眼にも止まらぬスピードで移動したハセヲは大剣をボルドーの顔に突きつけた。
「・・・こんなに、強かったとはね・・・。」
ボルドーはまるでリアルで運動をして、疲労困憊したときのような声を上げた。
ハセヲは冷徹な目でボルドーを見下しこう言い放った。

「三爪痕を知ってるか?」

冷静だったがその声は異常なまでの威圧感に満ちていた。
「はぁ?」
突然の質問にボルドーは頓狂な声を上げた。
「蒼炎を纏った伝説のPKの名だ。奴にキルされたプレイヤーはゲームに復帰出来ないらしい。」
「はっ、何言ってんだが。そんなBBSの怪談話、信じてんじゃねぇよw」
ハセヲの冷徹な説明を小馬鹿にするようなボルドーの発言。だがそれは眼の前の恐怖に対する、精一杯の虚勢ようにも見えた。
「もう一度聞く、三爪痕を知ってるか?」
ハセヲはそれを全く気に掛けずもう一度同じ質問を繰り返した。
「知るかよ、んなもん。それよりテメェこのケストレルのボルドー様を手に掛けてただで済むと――――――!!」
刹那、ハセヲはボルドーの顔に向けていた大剣を首筋に向け直した。そして無数の刃を高速回転させて、
ボルドーを斬った。
チェーンソーで物を切り裂くような、耳を劈く鈍い機械音が鳴り響く。その攻撃を受けたボルドーは、PCボディが引き千切れんばかりの勢いで体を震わせている。
「ああああぁぁぁぁ」と声にならない悲鳴を上げていたボルドーは、ハセヲが大剣を振り切ると同時にその場に崩れ落ちた。その体はもう動くことはなかった。
「ちっ。使えねぇな・・・。」
ハセヲは軽蔑するような眼差しをボルドーを含むPK達全員に向け、吐き捨てるようにそう呟いた。
そして、その場を後にした。



はい、終わりっと。アップするだけのつもりがちょっと修正してたら時間喰っちゃったぜ(;^ω^)
てかこれだけで十分なげええええええw
あと見難いから文字色が親記事と違うけどご了承を。


[No.42] 2007/02/20(Tue) 21:13:08

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