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「よお、今日も寝坊しないで来れたな。」 大学の登校中、カイトはかつて『オルカ』のプレイヤーのヤスヒコに出くわした。 ちなみにヤスヒコとは同じ大学。 「うん。っていうかヤスヒコ目の下にクマができてるよ。また夜遅くまでゲームしてたでしょ。」 「最近The Worldで怪奇現象みたいなのが起きててな、気になってんだ。」 「怪奇現象?どんなの?」 「神出鬼没の蒼炎をまとったPCがいるそうだ。名はトライエッジ。 エッジって言うからに双剣士だな。そういえばお前も前『蒼炎のカイト』って呼ばれてたよな。 まさかお前じゃあ・・・」 「いやいやいや、そんな訳ないよ!だって僕もうThe Worldやってないし。」 カイトはもちろんThe Worldをしていたが、危険な状況に友人を巻き込みたくないと思い、 ヤスヒコには嘘をついた。 「それでな、そいつにPKされたPCは未帰還者になっちまう噂だ。んなわけないよな?」 未帰還者。かつてオルカ、ブラックローズの弟カズ、そして楚良、 ジーク達など ゲーム中に意識不明になってしまった者達だ。 「俺も前スケィスに倒されて意識不明になったからやべえと思ってたんだけど、 この『蒼海のオルカ』、この状況をだまって見てらんねえ!」 「ヤスヒコの今のPCオルカじゃないでしょ。」 「何言ってんだ。オルカは永久に不滅だ。俺はまた名を轟かせてバルムンクやお前と一緒に モンスター制覇するつもりだからな。」 「バルムンクかぁ・・・今どうしてるだろう?」 「まだThe Worldでもやってるんじゃないか?元気ならそれでいいさ。」 「つー訳だから、お前も早くThe World遊べよな。」 「うん、気が向いたらね。」 **** 送信者 志乃 カイトへ 話があります。△隠されし 禁断の 飛瀑へ来てください。 パソコンを開くと一通のメールが届いていた。志乃からだ。 カイトはまだ志乃にギルドの誘いを断っていない。 「話・・なんだろう?ギルドのことかな・・・」 カイトはすぐThe Worldにログインした。 **** −△隠されし 禁断の 飛瀑・ロストグラウンド その奥には見覚えのある人影があった。志乃だ。 周りは滝だけだが、結構距離があり、シルエットしか見えない。 「・・・志乃さん?」 「! カイト、来てくれたんだ。」 その声はまさしく志乃。いつもの優しい声・・・いや、ちょっと違う。 カイトは志乃に言いづらい言葉をかけた。 「志乃さん・・・ごめんなさい。僕・・・」 「カイト、ごめんなさい。」 −? 突然の志乃の言葉がカイトには理解できなかった。 「黄昏の旅団は、先ほどをもって解散しました。」 「え!?ど、どうしてですか?」 志乃は黙ってカイトの方を向く。 「志乃さん・・・その姿は・・・?」 見ると志乃の服、帽子は白から黒に変貌していた。 「決意表明、かな。ギルドを解散するための。」 「どうしてギルドを解散したんですか?」 「キー・オブ・ザ・トワイライトはThe Worldに存在しなかった・・・ それで・・・、突然オーヴァンが・・・」 「・・・姿を消した?」 志乃はコクリと頷く。 「きっかけは?」 「わからない。それに・・・リアルでも連絡がとれないんだ。」 「ハセヲの前では我慢してたけど、こんな状況、私・・・」 志乃はそう言いかけ横を向く。その目から涙がこぼれ落ちそうだった。 「志乃さん・・・」 PCの涙は、プレイヤーの涙。 明らかにいつもの志乃とは違っていた。カイトとハセヲの前では感情を 押し殺していたのだろう。 「そのオーヴァンっていう人は志乃さんにとって大切な人なんですね。」 カイトは自信気に 「大丈夫ですっ!そのオーヴァンっていう人はきっと帰ってきますよ!僕のカンは当たりますから。 だから・・・」 「だから・・・1人で抱え込まないでください。そのハセヲっていう人も・・・ 僕も・・・いますから。志乃さんは・・・ひとりじゃないですよ。」 「カイト・・・」 志乃は涙を拭い、カイトの肩を腕で包んだ。 「し、ししししし、志乃さん!!?」 「ありがとう、カイト・・・。あなた達がいる。」 『大丈夫、ひとりじゃない。』 志乃はそう言ってカイトに笑って見せた。一方カイトは気が気ではない。顔が一気に真っ赤に。 そのときだった。 −ポーン・・・ その音とともに抽象画めいた姿が目の前に現れた。 −イニス!? 「?、カイト?」 はっとカイトは正気を取り戻す。さっきと変わらぬ風景がある。 「い、いえ、なんでもないです。」 そう言いながら意識を整理した。 「信じていれば、オーヴァンだって戻ってきますよ。」 「うん。私、ずっと待ってる。オーヴァンが帰ってくるの・・・。」 ちょっと残念だった。好きな人に気に入られたいのが人の性(さが)。 志乃の心は完全にオーヴァンに向いている。 でも、志乃が元気であればカイトはそれでよかった。 「今日はありがとう。また一緒に冒険にいこうね。」 「はい!それじゃまた!」 そう言って2人はこのThe Worldを後にした。 **** 「データ増量!グリーマ・レーヴ大聖堂に異変が!」 欅はネットスラムでキーボードのようなものを使いながら焦っていた。 「どうかしたの、欅!?」 「大聖堂にバグに感染しているPCを発見した!その近くに一般PCが!」 △隠されし 禁断の 聖域を知るものは数少ない。カイトは直感した。 「志乃さん?志乃さんが危ない!!」 「ちょっと!あそこに行っちゃ駄目・・・」 欅が言い終わる前に、カイトは転送してしまった。 **** 「いた!志乃さん!」 カイトは大聖堂の扉にいる志乃を発見。 志乃は大聖堂の中に入った。 そこにはかかんでいる瀕死の銃戦士が。 「オーヴァン!」 その銃剣士はあのオーヴァンだった。 志乃はオーヴァンの元へ行く。 「オーヴァンって言ってた?よかった、見つかったんだ!」 表情がほころび、カイトも大聖堂に入る。 そこには・・・ 「志乃・・・。」 「! あれは!?」 銃剣士の左手が黒い腫瘍のようなもので包まれていた光景を目にした。 「オーヴァン・・・」 「志乃さん!!」 「!、カイト!危ない、逃げて!!」 志乃は後ろにいるカイトに気づき、慌ててカイトの前へ駆け出した。 まるでカイトをかばうかのように・・・ ズバアァァッッ カイトは目を疑った。 刻まれる三つの傷痕。 志乃がカイトに覆い被さるように倒れてゆく。 カイトの耳に、今にも消えそうな声が聞こえてきた。 −カイト・・・最後のお願い・・・ふたりを・・・ 「え・・・?」 カイトのまわりに円形の光が何度も下っている。 PCが半透明になり自動的にゲートアウトされていく。 その場に倒れそうな志乃を残して。 「志乃さん・・・!」 −第六話 トライエッジ あとがき ヤスヒコ登場。 題名を見て蒼炎が出るんじゃないかって思ってた方、すいません。本物の方です。 ハ長調ラ音の時に見えたものは無印の第二相イニス。 志乃は元々アトリより前のイニスの適格者ですので。 なぜ見えたのか、見えた意味は後ほど・・・ この後大聖堂にハセヲが来ます。(Roots参照) また新旧主人公すれ違(略) あ、あとカイトと全く関係ないG.U.キャラを出してほしいとかリクエストがあったら 感想スレなどに送って下さい。(有名なキャラで) 予定では揺光、碧を出そうと思っています。 [No.456] 2007/03/25(Sun) 18:46:37 |