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マク・アヌは、にぎやかだった。 楽しそうに会話をする人達とすれ違うたび、こんなにたくさんの人がプレイしているんだということをいまさらながら実感する。 リオと私は桟橋に座っていた。 夕日に染まった波が風に揺られてきらめくのを見つめる。 今の私はさっきまでとはうって変わり、自分でも驚くほど落ち着いていた。 今なら判る気がする。 あんなにぐるぐるとした気分に囚われていたのは、たぶん、自分しか見えなくなっていたからなのだろう。 私は見放されたわけじゃない。 ただ人と正面から向き合うのがなんとなく嫌で逃げ続けていた。 だから、ぶつかり方を知らずにここまで来てしまったんだ。 そうやってただ逃げるだけの過去は、つらくてすでに過ぎていってしまったことだ。でもそれに続く未来はまだどうしようもなくなった訳じゃない。 根拠もない自信は胸の中で静かに加速していった。 たぶん「希望」ってこういうものをいうんだろうな。 自分で思って、あまりのクサさに思わず吹いてしまった。 「じゃあオレそろそろ落ちるね。と、それからゴメンm(_ _)m なんか余計なこと言ったみたいで」 立ち上がってリオがいう。 さっきのことを気にしているらしく、少し元気がなかった。 私よりずっとしっかりした子だ。自慢の弟ができたような気分になって、思わず頭をなでてやりたくなった。 「ううん、むしろ…今日はありがとね」 「?」 なんで“ありがと”なのかよく分からなかったらしい。戸惑うリオを横目に、私は立ち上がって大きく伸びのモーションをした。 「明日もインするの?」 「え? うん。なんで?」 「あんたさえよければ明日からも一緒に冒険しない? レベル上げとか手伝うよ」 リオは驚く。 「いいの? …でもそっちのレベルじゃここでの冒険なんてつまんなくない?(´・ω・`)」 らしくなく謙遜する。私は少しお姉さんぶって、声に勢いを乗せた。 「遊び方いろいろ、それがThe world!何でも楽しまなくっちゃ、でしょ?」 そう言って夕日を背に微笑んでみせる。リオには今、私がどんな風に見えているのだろうか。 「……そうっすね、うん! じゃあ思いっきりお言葉に甘えちゃうから覚悟しとけよ!!狽(≧ω≦)」 「望むところだよ!じゃあまた明日ね」 「うん!また明日ー!!」 リオが笑いかける。 ログアウトしていくのを見届けた後、私は夕日を振り返る。マク・アヌには相変わらずの夕焼けが広がっていた。 きっと、ここから始まる。どうしようもない明日への期待と憧れは、今はただ膨らんでいくばかりであった。 [No.648] 2007/04/25(Wed) 21:03:02 |