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――Θ開かれる 新世界の 苗木―― 「ハセヲ先輩!!」 「ああっ!喰らえ、環伐二閃!!!」 ハセヲのアーツで止めをさし、粗方エリアのモンスターは倒した。残るはクエストクリアに必要なアイテムを持ったボスのみ。 「トネリコさん、腕が上がりましたねぇ」 アトリが驚くように言った。 「確かに。最初は特訓にすらならなかったからな……」 「そうでしたね……僕、ハセヲ先輩の動きに見惚れてしまっていてただの見学にしかなりませんでしたから」 恥ずかしそうに双剣を収めるトネリコ。三人は自然と笑みがこぼれる。 「残りはボスだけだろ。早く『ラタトスクの鍵』とやらを取り返そうぜ」 ハセヲに促され、一行はエリアの最深部を目指す。 そう、今はトネリコの初心者卒業試験クエストの真っ最中。 クエストの依頼主は『イリオス』という名のヴァイタルビスタだった。自称考古学者で、この世界の 起源を研究しているという設定。彼が自身の倉庫を整理しているとき、世界樹の樹皮で作られた大切な宝箱の鍵を何者かに盗まれたので、取り返してほしいとのことだった。 「それにしても、世界樹とかって、いったい何なのでしょうか?」 歩きながらアトリが問いかけた。どうやらずっと気になっていたようだ。 「世界樹は北欧神話にでてくる大木のことです。世界の中心にあって、九つの世界に根を張っているんです。で、その木のモデルがトネリコの木だと言われているんですよ」 「ってことは、トネリコの名前の由来は……」 ハセヲが思い出したかのようにトネリコに振り向いた。 「はい。僕、神話とか大好きなんです。このゲームをはじめたきっかけもそこです」 「ラタトスクは―――と、あれがボスですね」 トネリコが説明を続けようとしたその時、目の前には巨人が高い塔のようにそびえていた。 「これで最後ですね。ハセヲ先輩、アトリさん、お願いします!!」 相手の不意をついて一斉攻撃。パーティリーダーのトネリコの指示通りに、ハセヲは大鎌で距離を置いて攻撃し、アトリは回復主体で時々スペルでの攻撃。トネリコはコンボが途切れないように二人を気にしながら攻撃を続ける。しかし防御力が高いのか、なかなかHPのゲージが減らない。と、コンボが50を超えたとき、巨人の周囲に青紫色のリングが現れた。トネリコはそれを待ってましたとばかりに叫ぶ。 ―――レンゲキ!!旋風滅双刃!!!――― 先ほど覚えたばかりのアーツを巨人の腹目掛けて放つ。 「……やったか?」 しかし、巨大な影はまだ高くそびえていた。ダメかと思ったその時、アトリが声をあげた。 「トネリコさん!テンションゲージは溜まりましたよ!!」 「……はい!!」 ―――神威覚醒――森華奏貫――― 覚醒を発動したトネリコが緑炎を放つ双剣を高々を掲げた。直後、幾つもの閃光が巨人に降り注ぎ、そこへトネリコ自身が矢の如く巨人の胸部を貫いた。 『ぐおおおおぉぉぉ』 ズゥゥゥン―――と音を立てて、ようやく巨人は地に伏した。 「……終わったんですよね、ハセヲ先輩………?」 「ああ!合格だ、トネリコ!!」 「おめでとうございます!!」 アトリが、ハセヲがよくやったと褒め称える。トネリコはホッと一息ついた。その手には、クエストを クリアした証『ラタトスクの鍵』がしっかりと握られていた。 ――Θ蒼穹都市 ドル・ドナ―― 「これでクリアですね。ハセヲ先輩、アトリさん、ありがとうございました!!」 タウンへと戻ってきた一行は、クエストの依頼主であるイリオスに鍵を渡して無事にクエストを終えた。その報酬は『世界樹の宝箱』の中にあるという。 「トネリコ、開けてみろよ。俺たちからの中級者入り祝いだ」 ハセヲは宝箱をトネリコに譲った。 カチャ―――音を立てて箱が開いた。その中身とは―――― 「…双剣……僕と同じ名前の、双剣………」 中身は【双剣 連式・戸練胡】だった。新緑のような翡翠色をした美しくも勇ましい剣。 「ハセヲ先輩、これ、ご存じで」 「まぁ、な。アトリや揺光にも手伝ってもらって……」 「あれ?ハセヲさんったら、照れているんですか?」 「べ、別にそんなんじゃ………!!」 ハセヲは照れ隠しにそっぽを向く。 「あ、あの。ハセヲ先輩……これからも、その……冒険とかしてくれますか?」 「もちろんだ。これからも、よろしくなトネリコ」 二人は固く握手を交わした。アトリはその光景をにこやかに見ていた。 仲間――――これまでも。そして、これからも。 ―後書― はい。というわけで、トネリコくんは無事、中級者の仲間入りを果たしました。 えと、クエスト中に神威覚醒を使っているのはお気になさらずに…… [No.732] 2007/05/08(Tue) 23:46:31 |