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No.741へ返信

all .hack//スケープゴート - 狐憑き - 2007/05/18(Fri) 12:44:02 [No.739]
第四幕 - 狐憑き - 2007/07/29(Sun) 21:32:21 [No.865]
回想編 2 - 狐憑き - 2007/06/19(Tue) 16:42:57 [No.783]
第三幕 - 狐憑き - 2007/06/19(Tue) 14:56:02 [No.782]
第二幕 - 狐憑き - 2007/05/19(Sat) 15:33:47 [No.744]
第一幕 - 狐憑き - 2007/05/18(Fri) 13:18:44 [No.741]
回想編 1 - 狐憑き - 2007/05/18(Fri) 12:53:26 [No.740]


第一幕 (No.739 への返信) - 狐憑き

 ◇
哀れなキミが叫んでる
出口の見えない闇だのと
光の届かぬ闇だのと
なんて滑稽なんだろう
目を閉じたまま叫んでる

ひたすら小さな人間が
汗するピエロを見て哂う
他人を蔑み得られた悦で
勘違いの中酔っている


高見を決め込む傍観者気取りの者達よ

今に見てるがいい、次は君たちの番だ


夢中に踊れる熱も知らずに
全てを外から欲するものよ
理解と誤解を履き違え
全てを得たと驕れるものよ

己が罪科に背を向けて
お前はお前で踊るがいい
お前は誰にも邪魔されないさ
誰もお前に気付かない


やがて、本当の闇が訪れ―――





 ●
とあるPCが、草原エリアに座り込んで一息ついていた。

こんなに殺風景な場所に、よくもまあちょうどいい椅子があったものだ。
ごつごつしていて灰色。
不自然で不恰好なその椅子は、よく見ずとも、さっき葬ったPC達の亡骸の山だった。


椅子の材料になっているのは全員PKK。こいつらの標的は俺だった。


今の俺はPKではない。結構前から自粛している。
それでもかかってくるということは、今までの悪評を聞きつけてきた、とでもいうところだろう。

PKK自体は別に嫌いではない。遊びのうちだと俺も思う。
だが純粋に“PKK”としてではなく、“正義の味方”気取りのロールでかかってくるやつらは、正直かなりウザかった。

戦闘前にも言ったはずだ。今の俺はPKではない、と。
だが、そしたらやつらはなんて言ったと思う? なんの遠慮もなしに、初対面のオレに対して。


『やめさえすればすべて許されるとでも? そんなもので、いままでPKされた人達が浮かばれるとでも思うのか!! 貴様の様な傲慢な輩のせいで、The Worldを平穏に暮らすほかのプレイヤー達が脅かされているのを知らぬわけではないだろう! それを黙ってみているだなんて……オレにはできん!! もう一度この世界に秩序と安寧を取り戻すため、今まで貴様が犯した罪……その身でとくと思い知れ!!』―――


まるで最初から用意していたかのような、台本どおりの御立派な台詞。始めからこちらの言い分など聞くつもりもなかったのだろう。魂胆が見えみえだ。


“秩序と安寧のため”、だと?

………ハッ。笑うしかねえよな。
別に罪滅ぼしって訳でもねぇが、オレはもうPK止めたって言ってんだろ。
それを承知でかかってくるってことは、つまりはそういうことだ。


ようはこいつら、自分の正義を見せ付けたいだけさ。
自分のものさしで気に入らない相手を一方的に悪だと決めつけ、負かしてやりたいだけなんだよ。

そもそも、やられた本人が雪辱でかかってくるっていうんなら、俺だって文句は言わないさ。
そのときは正々堂々受けてたつ。それが俺のプレイスタイルだ。
だが俺や、こともあろうかやつらの言う“被害者”とさえ面識のない第3者が、他人の古傷を大義名分に俺を裁くとはどういうことだ?
赤の他人を言い訳にして、更生中の俺を徹底的に叩きのめす。
本当にPKされたやつらを侮辱してるのは、オレから言わせりゃあいつらのほうさ。



しばらく思いにふけたのち、うんざりしながら腰を上げる。

くだらない。本当に―――

ここにいるのにも嫌気がさして、銃剣士「ウィンチェスター」は、草原エリアを後にした。


[No.741] 2007/05/18(Fri) 13:18:44

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