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学校の講習会を終えて帰ろうとしたら、なんと運悪く夕立が降り始めていた。 激しい雨音と、雷。蝉も相変わらず五月蠅い。 「うはぁ!俺、傘持ってきてねぇよ!?」 「僕だって同じだよ……こうなったら、走って帰るしかなさそうだね」 「……そだな〜、止みそうもないし。―――じゃ、ドル・ドナで待ってるからな!“トネリコ”!!」 「わかった!後でね“ヒカゲ”!!」 そう。僕はリアルじゃごく平凡な男子学生だけど、ネットゲーム『The World』では“トネリコ”という PCでプレイしている。そして、僕と反対方向に走って行った彼は“陽翳”というPCを操って 一ギルドマスターとして活動している。 どんなに走っても、分厚い雲から槍のように降ってくる雨は思ったよりも痛かった。でも、ちょっと心地がいいくらいの痛さ。 僕の家は閑静な住宅街の一角にあります。今は強い雨の所為で、いつも以上に静かな―――― はず、だった。 確かに人影も少なくて静かだけど、家の前でぼんやりと点滅している赤い光が僕の心を騒ぎ立てたんだ。 僕の家の前に止まっているのは救急車だった。どうやら急患は、僕の家族――僕は何がなんだか解らなくて、雨も気にせず茫然と立ち尽くしていた。すると、担架が家の中から救急車へと運びこまれてきた。その担架に泣きすがっていたのは僕の、母さんだった。 そして、その担架に横たわっていたのは………姉さん。 「…………ねえ、さん?」 頭が真っ白になった。 姉さんが風邪をひいているところすら見たことなかったのに。 今朝だって「頑張って勉強してこい!」って僕を突き出していったのに。 そんな姉さんが救急車なんかに運ばれているのが意味不明で、理解不能だった。 携帯電話のメール受信音がした。きっと、叔母さんか誰かからこのことを連絡してきたんだろう。 サイレンの音が遠ざかる、気がした。 だって、今の僕には、雨音と、鬱陶しい蝉の鳴き声しか聞こえなかったから。その二つの音しか 聴きたくなかったから。 あれから、どれだけその場に突っ立っていたんだろう。気づけば、空はカラッと晴れていた。 『明日はきっと晴れるから』 ふと照さんの言葉を想い出した。でも、ダメみたいです照さん。僕の天気はしばらく、ずっと雨ですよ。 ようやく僕は――僕の頭の回路が正常に落ち着いて、家の中へと入った。 「ただいま………」 ―――家の中はいつもと同じようだった。 だけど、返事がない。家には僕以外誰もいないから、当然といえば当然だけど。 僕は何となく、滅多に……というより、普段は絶対に足を踏み入れることができない、姉さんの部屋をのぞいてみた。 ベッドに本棚、机、その上にあるパソコン。僕とあまり変わらないような感じの部屋。 ベッドにはたくさんのぬいぐるみ、クローゼット・タンスに入りきらなかった洋服。机には、ノートやら ペンやら化粧道具やら。 パソコンの前には、M2Dとコントローラが無造作に放り投げられて……―――M2Dとコントローラ? 「これって、姉さんが何らかのネットゲームをしてるってこと?」 僕は気になって、姉さんのパソコンを起動しようと机に向かったら、何故か電源が入っていた。けど、画面は真っ暗。マウスにもキーボードにも反応しない。仕方なく、僕はパソコンを再起動させた。 ……遅い。暗転を幾度となく繰り返し、数分経ってからようやくデスクトップの画面に――― ―――移らなかった。 代わりに、文字が次々と暗い画面上に浮かび上がった。 ――――“Θ焦りゆく 三日月の 雷雲”―――― ―あとがき― はい!今回は、トネリコのリアル目線です。 え? 第11話で照々とトネリコは最後、どうなったかですって? 大丈夫です、ご安心下さい。後にちゃんとお書きします。 その時は、照々目線で書こうかと。 では、今回はこの辺で失礼させていただきますm(_ _)m [No.771] 2007/06/13(Wed) 23:11:38 |