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夜も満ちたころ、静寂なデッキに一人佇む、黒く高い影がありました。 細身ながらも風格のあるたたずまいと、アフガンハウンドのような凛とした顔立ち。元碧聖宮の覇者、天狼です。 自分のわき腹よりも低く構えた手すりに寄り添い、天狼は一人、心地よい潮風を浴びていました。毛並みは潮に荒れるどころか、気持ちよさそうになびいています。 対照的に、その表情にはどこか憂いを含んでいました。 天狼「嫌な波だな…」 眼下には月明かりを受け、よりいっそう昏く光る波がうねりを上げています。一見いつもと何の変哲もないのですが、じっと見つめていれば、こちらが引きずり込まれてしまいそうな、何かとても不吉な感覚を覚えます。 天狼「思い過ごしならいいが……」 そう言って、他所の毛並みの例にも漏れない長いまつげを静かに伏せます。聞こえるのは風と波の音だけ。再びデッキに閑寂が訪れます。天蝋はその静けさに一人、耳を澄ましました。 ………なんとかかっこよく表現しようとしてるつもりなのですが、杖で殴られて面白いくらいに腫れた顔面を、シップでベタベタに覆った姿は、どうにもフォローできそうにありません。 潮風にしみたほっぺたをなみだ目でさする姿には、なんだか間抜けでかわいいものがありました。 所変わってこちらは船室。 あれから何時間か過ぎ、寝巻きに着替える段階になってようやく桃尻のことに気付いたハセヲさんは、元に戻せと血相変えて欅様へと詰め寄りました。 しかし、どんなに怒鳴ってもわめいても、華麗に無視し続ける欅様に対して、桃ハセヲさんは泣く泣く土下座をするなどして、やっとのことで直してもらうことに成功したのです。そのときの欅様の面白くなさそうな表情と言ったら、まさにアプカルルでチムを振り回してた顔そのものでした。 で、今は一人自分の部屋に戻っている桃ハセヲさん。 双銃の手入れは欠かせません。いざと言うときにジャム(弾詰まり)が起きたらシャレでは収まらないでしょう。島に着いたときのためにも、今はせっせと薬莢を磨いているところでした。 シラ「たぶん、明日の昼過ぎぐらいには島が見えてくると思うよ。しっかり準備しておいたほうがいいと思うな」 ハセ「昼過ぎか…。それまで何もなきゃいいけどな」 いつの間にか勝手に部屋に入ってくるシラバスにももう慣れっこです。この船内にはプライベートの文字は存在しません。 たった3日間の船旅なのに、こんなに密度の多い3日間はそうはありません。 モサの強襲、女達の暴走、大怪我して療養、女達の略奪合戦…… 考えて見ればかなり女なn(ry …災難な旅でした。せめて最後の一日くらいは楽しく行きたいものです。 だけど桃ハセヲさんの鋭い勘と経験は、とうに答えを告げていました。 「この船に静穏などありえない」、と……。 そして実際に、海の奥深くからこの船に迫る影が一つ。 しかし彼らがその存在に気付くのは、次の朝日を拝んでからのことになるでしょう。 つつつ続く。 [No.772] 2007/06/16(Sat) 14:36:54 |