![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
「最後が俺たちのギルドマスターなんだけど…おっかしいなぁ? そろそろ来るとは思うんだけど」 噂をすればなんとやら。 陵の言葉がちょうど終わるか終わらないかのうちに、ドアが壊れそうな勢いでバンッ! と開いた。 ドアをあけた人物はそのままづかづかと部屋に入り込み、リオといがみ合っている真っ最中のウィンチェスターめがけて、いきなり、美しいほどのラリアットをきめ込んだ。 喧嘩に夢中だったウィンチェスターはそれに気付くこともできず、そのまま細い腕から繰り出される、金属バットのような衝撃の餌食になった。なにが起きたか理解もできないまま、そのまま2メートルは吹っ飛んでいく。 「ごふっっ!!?」 しばらく床で体を削った後、ウィンチェスターの体は前のめりになって倒れた。恐る恐る顔を上げると、ラリアットの張本人が目の前で仁王立ちをしていた。 ウィンチェスターの顔が青ざめる。 「あっ姉貴!? いきなり何すんだよ!!」 「何って? 久しぶりのかわいい弟に、ちょ〜っとあいさつしただけじゃない。なにか問題なわけ?」 「こんなあいさつの仕方があるかあぁーッ!!」 女性だった。 髪はセミロング。こげ茶でまっすぐ、癖がなくつややかな髪だった。 服の袖は肩までまくりあげていて、へそだしにぶかぶかのズボン。ガテン系という言葉が似合うかもしれない。 そして顔には満面の笑み。 お姉さん顔で、豪快な笑顔の良く似合う、気の強そうな整った顔だった。 その女性に向かって、ウィンチェスターがほえる。 「大体、集合は1時半だって言っただろ? なんでこんなに遅れてきたんだよ!」 「お前なぁ、あたしが休みの日は昼まで寝る主義だってのは知ってるだろうが。早起きだなんて高度なテクニック、あたしにできるとでも思ったのか?」 今日は日曜日でみんな早くこれるから、集会は昼過ぎちょっとに集合しようという約束だったのだ。 だが昼までだって? じゃあ、3時を指してるこの時計は間違ってるとでもいうのか。 「いつまで待っても来ないから、一回解散して時間つぶしにエリアまで行ったんだぞ? それなのに帰ってきてもまだいなかったから、しょうがなく先に集会始めてたんだよ。分かるか? 2時間以上待たせてたんだぞ、2時間以上!!」 「おお、それは悪かった。すまんなお前たち」 彼女は素直に、ウィンチェスター以外のメンバーに頭を下げた。 「この……!!」 絶句するウィンチェスターは気にも留めずに、彼女はいつもより若干、メンバーの数が増えてることに気が付いた。 「およ? 1、2、3、…」 「あぁ、メンバーが増えたのよ。この子達が今日から入った新人さん」 「あー! そっか、そうだったな!」 前へ出て説明したブリュンヒルデに、彼女は大げさに納得した。かなりオーバーアクションな人だ。 女性は紫陽花とリオのほうまで小走りして二人の手をとると、いかにも嬉しそうに挨拶をした。 「ようこそ、ギルド“飛砂の民”へ!! あたしがここのギルドマスターのコーディーリアだ。ま、みんなからはコーディーって呼ばれてるけどな。よろしく、2人とも!」 2人を前に彼女が笑う。 豪快だが下品さを感じないその笑みは、紫陽花にはまるで太陽に見えるかのようだった。 [No.782] 2007/06/19(Tue) 14:56:02 |