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No.782へ返信

all .hack//スケープゴート - 狐憑き - 2007/05/18(Fri) 12:44:02 [No.739]
第四幕 - 狐憑き - 2007/07/29(Sun) 21:32:21 [No.865]
回想編 2 - 狐憑き - 2007/06/19(Tue) 16:42:57 [No.783]
第三幕 - 狐憑き - 2007/06/19(Tue) 14:56:02 [No.782]
第二幕 - 狐憑き - 2007/05/19(Sat) 15:33:47 [No.744]
第一幕 - 狐憑き - 2007/05/18(Fri) 13:18:44 [No.741]
回想編 1 - 狐憑き - 2007/05/18(Fri) 12:53:26 [No.740]


第三幕 (No.739 への返信) - 狐憑き

「最後が俺たちのギルドマスターなんだけど…おっかしいなぁ? そろそろ来るとは思うんだけど」

噂をすればなんとやら。
陵の言葉がちょうど終わるか終わらないかのうちに、ドアが壊れそうな勢いでバンッ! と開いた。
ドアをあけた人物はそのままづかづかと部屋に入り込み、リオといがみ合っている真っ最中のウィンチェスターめがけて、いきなり、美しいほどのラリアットをきめ込んだ。

喧嘩に夢中だったウィンチェスターはそれに気付くこともできず、そのまま細い腕から繰り出される、金属バットのような衝撃の餌食になった。なにが起きたか理解もできないまま、そのまま2メートルは吹っ飛んでいく。

「ごふっっ!!?」

しばらく床で体を削った後、ウィンチェスターの体は前のめりになって倒れた。恐る恐る顔を上げると、ラリアットの張本人が目の前で仁王立ちをしていた。
ウィンチェスターの顔が青ざめる。

「あっ姉貴!? いきなり何すんだよ!!」
「何って? 久しぶりのかわいい弟に、ちょ〜っとあいさつしただけじゃない。なにか問題なわけ?」
「こんなあいさつの仕方があるかあぁーッ!!」

女性だった。
髪はセミロング。こげ茶でまっすぐ、癖がなくつややかな髪だった。
服の袖は肩までまくりあげていて、へそだしにぶかぶかのズボン。ガテン系という言葉が似合うかもしれない。
そして顔には満面の笑み。
お姉さん顔で、豪快な笑顔の良く似合う、気の強そうな整った顔だった。

その女性に向かって、ウィンチェスターがほえる。

「大体、集合は1時半だって言っただろ? なんでこんなに遅れてきたんだよ!」
「お前なぁ、あたしが休みの日は昼まで寝る主義だってのは知ってるだろうが。早起きだなんて高度なテクニック、あたしにできるとでも思ったのか?」

今日は日曜日でみんな早くこれるから、集会は昼過ぎちょっとに集合しようという約束だったのだ。
だが昼までだって?
じゃあ、3時を指してるこの時計は間違ってるとでもいうのか。

「いつまで待っても来ないから、一回解散して時間つぶしにエリアまで行ったんだぞ? それなのに帰ってきてもまだいなかったから、しょうがなく先に集会始めてたんだよ。分かるか? 2時間以上待たせてたんだぞ、2時間以上!!」
「おお、それは悪かった。すまんなお前たち」

彼女は素直に、ウィンチェスター以外のメンバーに頭を下げた。

「この……!!」

絶句するウィンチェスターは気にも留めずに、彼女はいつもより若干、メンバーの数が増えてることに気が付いた。

「およ? 1、2、3、…」
「あぁ、メンバーが増えたのよ。この子達が今日から入った新人さん」
「あー! そっか、そうだったな!」

前へ出て説明したブリュンヒルデに、彼女は大げさに納得した。かなりオーバーアクションな人だ。
女性は紫陽花とリオのほうまで小走りして二人の手をとると、いかにも嬉しそうに挨拶をした。

「ようこそ、ギルド“飛砂の民”へ!! あたしがここのギルドマスターのコーディーリアだ。ま、みんなからはコーディーって呼ばれてるけどな。よろしく、2人とも!」

2人を前に彼女が笑う。
豪快だが下品さを感じないその笑みは、紫陽花にはまるで太陽に見えるかのようだった。


[No.782] 2007/06/19(Tue) 14:56:02

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