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―――“Θ焦りゆく 三日月の 雷雲”――― 姉さんのパソコンに浮かぶ言葉。これは紛れもなく、今日の朝に僕が照さんと一緒に行ったエリアのワードだった。 「――ってことは、まさか……?」 僕は必死になって探した。 姉さんが、照さんのプレイヤーだという証拠を。 「やっぱり、そうだったんだ………」 本棚の片隅に置かれた『The World』と題されたファイル。その中に挿んであったパスワードやID、《あずま屋 オアシス》と書かれたギルドメンバーの名簿。 ユーザー名:照々 TELTELL どれも決定的な証拠だった。照さんのプレイヤーは、僕の姉。 頭では判っても、認めたくなかった。 だって、僕の姉さんはもっと強暴で、もっとブサイクで、もっと頼りにならなくて、もっと…… もっと……… もう、頭の中がグシャグシャだ。姉さんが照さんのプレイヤーで、救急車で運ばれて――― そう思った途端、全身の血の気が引いた。 ―――ネットゲームをプレイ中に意識不明になった――――? 友人からも、陽翳からも聞いたことはあった。でも、都市伝説か何かだろうと思ってた。 普通に考えればありえないじゃないか。たかがゲームをしてて意識不明にまでなるなんて。 ――でも最近、ニュースとかでも大きく取り上げられるようになってきているのも本当のこと……… 姉さんの部屋から、その隣の僕の部屋へと駆け込んでパソコンを起動した。 僕は新着メールも気にせず、真っ先に『The World』にログインした。 ――Θ蒼穹都市 ドル・ドナ―― 「このトロリコ!!遅いぞ!!!」 タウンに着いて早々に、陽翳が僕のことを妙な名前で叫んだ。 「あっ陽翳!ごめん、それどころじゃないんだ!!」 「おい!!何があったんだよ!?」 ホントに、何があったんだろう。いったい僕は何がしたいんだろう。自分自身でもそう想った。 照さんが呼んでる――――そんな錯覚かもしれない。真相を確かめたかったのかもしれない。 とにかく僕は、例のエリアへと向かった。 ――Θ焦りゆく 三日月の 雷雲―― エリアは昨日とまったく変わってはいなかった。 描かれただけの雨が延々と降り続いている。 僕だけでこのエリアを進むのは無謀だってこと、解ってる。 それでも僕は照さんと別れた場所、獣神殿へと走った。 「やっと、証がそろった………」 ホッとして、再び獣神殿のある方向へ向いた瞬間 ―――バチッ!! 「うっ……ノイズ?今朝はそんなことなかったのに………」 奥へ進めば進むほどノイズは酷かった。ずっと居ると気持ちが悪くなるくらいに。それでも僕は、 さらに奥へと進む。 「てる、さん…………?」 獣神殿の真ん前でぐったりと横たわるPC―――照さんを、僕の姉を見つけた。 その姿はまるで、コワレタ人形だった。このゲームでは死を示すハイイロで、ゲームにしちゃあまりに生々しく恐ろしい表情のPC。 その背中には、ハッキリと刃で切り裂かれた跡がある。 血の代わりに、データ片が辺り一面に広がっていく。 僕は怖くなって、気持ちが悪くなって、無意識のうちにパソコンの電源を引っこ抜いていた。 そして、ベッドに逃げ込んだ。 あの、描かれただけの機械的な雨のオトが、しばらくの間、耳から離れなかった。 [No.786] 2007/06/20(Wed) 18:42:01 |