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No.789へ返信

all .hack//A.D. Vol.1 黄昏 - 菊千文字 - 2007/02/26(Mon) 19:20:57 [No.167]
最終話 漆黒の破壊者 - 菊千文字 - 2007/08/06(Mon) 22:03:30 [No.872]
第十四話 守護神開眼 - 菊千文字 - 2007/08/03(Fri) 20:32:13 [No.869]
第十三話 終末の日 - 菊千文字 - 2007/07/07(Sat) 17:59:00 [No.810]
第十二話 『彼女』 - 菊千文字 - 2007/06/20(Wed) 23:34:49 [No.789]
第十一話 魅惑の恋人 - 菊千文字 - 2007/06/09(Sat) 18:19:34 [No.770]
第十話 レイヴン - 菊千文字 - 2007/05/19(Sat) 22:19:01 [No.745]
第九話 Project G・U - 菊千文字 - 2007/05/02(Wed) 23:04:27 [No.709]
第八話 蒼炎の守護神 - 菊千文字 - 2007/04/29(Sun) 21:00:32 [No.673]
第七話 三爪痕 - 菊千文字 - 2007/04/07(Sat) 21:01:53 [No.569]
第六話 トライエッジ - 菊千文字 - 2007/03/25(Sun) 18:46:37 [No.456]
第五話 究極の選択 - 菊千文字 - 2007/03/17(Sat) 22:48:02 [No.387]
第四話 黄昏の鍵 - 菊千文字 - 2007/03/16(Fri) 21:06:27 [No.360]
第三話 惑乱の蜃気楼 - 菊千文字 - 2007/03/11(Sun) 22:07:01 [No.333]
第二話 ハッカー - 菊千文字 - 2007/03/10(Sat) 18:27:07 [No.329]
第一話 黄昏の守護者 - 菊千文字 - 2007/03/04(Sun) 21:22:20 [No.309]
[削除] - - 2007/02/26(Mon) 19:59:40 [No.170]
.hack//A.D. Vol.1 設定 - 菊千文字 - 2007/03/10(Sat) 21:15:09 [No.330]


第十二話 『彼女』 (No.167 への返信) - 菊千文字

「は?アンタ何言ってんねん!エルクって誰や!」
「何年ぶりだろう・・・元気にしてた?」
「って聞いてへんし・・・」

「カイト・・・キミはどうしてボクの前からいなくなったりしたの・・・」
エンデュランスは悲しげな顔を浮かべていた。
「そ、それは・・・」
「キミがいなくなって・・・彼女もいなくなって・・・
 ボクは本当に1人だったんだよ。」

「でも、もうボクは1人じゃない。ボクのところに戻ってきたんだ。彼女が。」
「彼女?」
エンデュランスの肩に白い猫が寄り添うようにいた。エンデュランスはその猫を
優しく撫でている。

「ほら、ここにいるでしょ?」
「エルク・・・その猫は・・・」
「姿は変わってても、ミアはミアだよ。ボクには解る。」
「それはミアじゃない!ミアは・・・」

カイトはあの光景を見た、あの『事件』を・・・

「カイト、キミは誤解してる。戻ってきたんだよ。ボクのところに。」
カイトに対し、エンデュランスは困ったような顔をしている。


どちらもミアの存在を否定してほしくない、そう思ったから。


「あ〜もう!アンタなんの話してんねん!?わけわからんわ!
 エン様、こんなんほっといてウチと一緒に・・・」
「カイト、キミがどうしてこの世界でその姿なのか、キミをもっと知りたい。
 ボクはいつでもここにいる。また逢おう。」
「うん・・・またね・・・」
その言葉を聞くとエンデュランスはカイトと向き合いながらログアウトしていった。

「エン様も聞いとらへん〜!ちょっと〜!」
少女が呼び求めたが、もうそこにはエンデュランスはいない。
まさに置いていかれた捨て猫状態。
少女の目はすぐさまカイトに向けられた。

「アンタ!エン様のなんなん?どういう関係や!気安くエン様に話しかけおって!」
「えっ、え〜っと・・・」
カイトは少女の気迫に押し倒れそうになったが、体を持ち直して答えた。
「前のThe Worldのときからの友達・・・かな。あれから七年だから
 僕らは中学生だったような・・・エンデュランスがその時に使ってたPCの
 名前がエルクって言って、姿は今のエンデュランスの少年時代みたいな・・・」

こんなに喋って良いのだろうかと思ったが、何か喋らないとなにか起こりそうなな気がした。

「・・・どうしたの?」
少女が黙り込んでいる。震えているように何かを言おうとしていた。

「エ・・・」
「?」



「エン様の子供のころの姿やてえええ〜〜!!!!!?」



少女はそう叫びながら両手を顔に当て頬を赤く染めていた。

−え?そ、そっち?友達とか、そこじゃなくて?

「エルクって名前だったんや〜!エン様の少年時代・・・
 あ〜もう考えただけで頭爆発しそうやわぁ〜!」

そんな少女をよそに
「あっ、ショートメールだ。」
カイトに届いたメールは八咫からの呼び出し。

「あの〜僕もう行っていいかな・・・?」
「ダメや!アンタにはいろいろ教えてもらうで!どんなんやった?
 好きなアイテムは?なにが趣味?あとは・・・」
少女はカイトに背を向けいろいろ質問を考えている。

「しょーがない、今のうちに・・・」
このままここにいたら質問漬けにされるのが目に見えたカイトは少女が後ろを向いている隙に
ここから立ち去ろうとした。
「とりあえずこれだけでい・・・ってアンタ!待ちぃ!!」
「用事できたから!じゃあねー!」
カイトはマクアヌへ転送していった。

「カイトって名前やな・・・覚えとくで・・・」


****


レイヴン@HOME
ここには八咫とパイ、そしてもう1人の青髪の青年PCがいた。
「皆、集まったようだな。」
「あの、用事って?」
「君はエンデュランスとの接触に成功したようだな。」
「なんでその事を?」
「この知識の蛇ではThe Worldの出来事はお見通しだ。」
知識の蛇にはたくさんのモニターがある。そこから見ているのだろう。

「なんかずっと監視されてるようで嫌だな・・・」
カイトは聞こえないように呟いたが、
「? 何か?」
「い、いえ!何でも・・・」
またパイに聞こえていたようだ。

−このパイっていう人、地獄耳だなぁ・・・

この言葉は聞かれないように、口には出さなかった。

「エンデュランスの正体や肩の猫について解ったようだね。」
「あなたも.hackersだったなら覚えていますよね、ミアを。
 エルクはあの猫をミアだと思っているようですが・・・」
カイトは一息おいて続けた。

「僕はそうは思わないんです。」
「その通りだ。先程調べたところ、あの猫からウイルスの異常が発見された。」
「! じゃあエルクはウイルスに騙されてるってことですよね!?」
ウイルスのバグはあの『黒い腫瘍』のことだろう。早く処理しなければ
エンデュランスの身になにか起こることは予想がついた。

「しかしもし削除したとして、エンデュランスの精神が崩壊し、The Worldを
 やめかねん。そうなれば我々の計画はストップしてしまう。」
−そうか、エルクにはミアが唯一の支えなんだ。

すると青年が
「そんじゃあ今はエンデュランスのことよりカイトに憑神のような力を
 身につけさせるのが優先だろ?」
「・・・そうだな。パイ、クーン、カイトを連れてその手ほどきを頼む。
 精神の調整のために長い猶予をあたえておく。」
「じゃあカイト、1ヶ月後にまたここに。いろいろ準備をしておいて。」
「はい、わかりました。」
カイトはあまり状況が把握できなかったが、パイに頷いた。

「気楽にいこうぜ。実は俺もこのギルドに入ったばっかなんだ。
 慣れないだろうけどあまり堅くならなくてもいいって。」
「ありがとうございます。僕はこれで。」
声をかけてくれたクーンに礼を言い、@HOMEを去った。


****


−腕輪の力・・・かぁ。
月の樹@HOMEで腕輪について考えていた欅。
彼は三爪痕やオーヴァンについていろいろ調べていたが情報は今ひとつ。

「どうなさいました?欅様。」
そう問いかけたのは月の樹三番隊隊長、楓。
「いえ、なんでもないです。」
欅は感づかれないように何とかごまかした。

−まあ『あの2人』が何か掴んでそうだから、気長に待とうかな・・・


****


−志乃さん・・・いつ戻って来るんだろう・・・。

マクアヌの港区で1人物思いにふけていたカイト。

−僕は・・・いつブラックローズ達に逢えるんだろう・・・。

もしかしたらこのまま逢えないかもしれない。そして志乃にも。
「そんなこと考えちゃダメだ!憑神の力も使いこなしてみる!絶対に!」

「『大丈夫、ひとりじゃない。』、か・・・」
そう言うと右腕を空にかざす。
「待ってろ、オーヴァン!!」



残り1ヶ月・・・それがカイトのカウントダウン・・・





 −第十二話 『彼女』






あとがき
 決して欅は猫かぶっている訳じゃありません。(汗
 普段はゲームみたいな無邪気な子供みたいなんですよ。カイト以外には(オイ
 さあVol.1もあと2話!!(順調にいけば)
 Vol.2への伏線も作ったし、レッツ・トライエッジ!(?


[No.789] 2007/06/20(Wed) 23:34:49

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