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all .hack//Pledge - わん仔 - 2007/04/21(Sat) 22:16:02 [No.624]
.hack//Pledge 最終話 - わん仔 - 2007/07/25(Wed) 16:59:11 [No.859]
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.hack//Pledge 第三話 - わん仔 - 2007/04/22(Sun) 17:40:02 [No.630]
.hack//Pledge 第二話 - わん仔 - 2007/04/22(Sun) 00:22:02 [No.626]
.hack//Pledge 第一話 - わん仔 - 2007/04/21(Sat) 22:57:57 [No.625]


.hack//Pledge 第15話 (No.624 への返信) - わん仔

ハセヲに呼ばれてログインした日から、数日が経った。トネリコはあの日以来、一日も『The World』にログインしていなかった。その所為か、メールボックスには毎日のように友人からのメールが届く。
その内容もほとんど同じ。ログインしなくなったことへの心配と、

―――― 一緒にPKしないか?

という誘い。今まで、そんなことはなかった。どちらかといえば、PKに反対していた友人の方が多いくらいだ。しかし、アリーナ竜賢宮改め“PKトーナメント”の開催が決定してからというもの、ハセヲに指
導してもらった経験があるというだけでこういったメールが増えたのだ。

たった一人、陽翳を除いて。

彼だけは、毎日『The World』で起きたことを報告するだけだった。今日も、その報告メールが受信された。

【送信者:陽翳
 件名:無題
    トネリコ、『くぬぎ』っていうPC憶えてるか?
    前にオレのギルドに依頼してきた女の子。
    その子がPKトーナメントに選抜されたらしいんだ……
    ってか、たまにはログインしたらどうだ?
    『The World』に居てもさ、オレも暇で暇でしょうがないんだよ(^^;】

「くぬぎさん―――あの子が?」
以前、照々とギルド体験をしたとき依頼主だった女の子だ。あんな大人しそうな子が何故PKトーナ
メントなんかに?

「そっか……陽翳も、照さんが居なくなって困ってるんだ………ちょうど母さんも出かけてるし、たまにはインしようかな」

今はタウンでもPKが可能になってしまっていると陽翳は教えてくれた。少々不安もありながら、
ログインした。


――Θ蒼穹都市 ドル・ドナ――
数日ぶりに見る、碧の楽園。だが、以前にも増して人が多く、皆が不安げな表情をしている。
ここはPK禁止区域だからだ。そのため、主だって初心者と思えるPCの数が多い。
その向こうから、見慣れた一人が駆け寄ってきた。

「トネリコぉ!!やっと来たんかよ」
「陽翳……ごめん」
この数日でずいぶん卑屈になってしまったトネリコ。それを目の当たりにした陽翳は「はぁ……」と、
深い溜め息をついた。

「んな、謝るなよ。家庭の事情ってヤツだろ?お前の姉ち――照ちゃんもログイン表示のままだしな」
「………?―――陽翳、照さんのプレイヤーが僕の姉さんだってこと、知ってたの?」
「んぁ……と。照ちゃんからは口止めされてっけど、いっか。照ちゃんの方が先に、オレのリアルに
気付いたんだよ。ただ、あんな真面目な人だから、周囲の人にゲーム――ましてネトゲなんかしてるのを知られたくなかったらしいんだ。だから、オレはわざわざロールしてたって訳さ」

いつものふざけた感じではなく、トネリコが知っているリアルの陽翳そのものが居た。

「陽翳は普段からそんなキャラじゃない?……ついでに訊くけど、照さんは今まで何をしてたの?」
「ん〜、オレがギルドを設立するまではハンターとして活動してたみたいだな。というより、実際ギルドを立てようって言ったのも照ちゃんだし。ってか、マジで照ちゃんに何があったんだ?」

半ば好奇心でワクワクしながら陽翳は訊いた。それを感じたトネリコはちょっとムッとして答える。
「メールで、あったこと全部書いたよ?……例の場所のエリアワードだって――」
「行こうとしたさ。でも結局、あの時トネリコが行ったっきりエリアは封鎖されちまったし、今や無敵のハセヲさんにまで止められるしで―――」
「止められた?ハセヲ先輩に?」
「あぁ、なんかウィルスが見つかったとか何とか言って、危ないからってな」

確かに以前ハセヲと話をしたときも、バグがどうとか言っていた。それに、照々をPKしたPCのことを感染者とも―――
「………てことは、やっぱりハセヲ先輩は何か知ってるんだ」

「あの人はAIDAっていうウィルスを探しては駆除してるんだって」

と、何処からともなく突然くぬぎが顔を出した。寝ぼけ眼のような垂れ目をした小さな女の子だ。

「く、くぬちゃん!?何だってここに?確かPKトーナメントに出たはずじゃ………」
「あんな怪しげな大会に誰が参加するっていうの?伊達に社会の裏を見て来たわけじゃないよ」

一瞬にして沈黙が走った。社会の裏……?思い切って陽翳が訊く。

「くぬちゃん、リアルの歳いくつよ?」
「それ、女性に対して訊いちゃいけない質問のひとつ」
『…………』

違う。この子のリアルは絶対、いたいけな小学生じゃない…!!と、確信したトネリコと陽翳で
あった。

「と、ところで椎さんは?いつもご一緒なのに」
無理矢理に話を逸らしたトネリコ。言われてみれば、いつもならくぬぎの周りにくっついているはずの椎が居ない。
「あの子は………」
「まさか………!?」
不安がよぎる。まさか、あの子までもが!?



「―――――プール」



『はぁっ!?』
あまりにも素っ頓狂な声を出した男子2名。くぬぎよりも周りのPCたちが驚いていた。

「友達のガキんちょ達と、近所の市営プール」
『……………』

(この人の言うことは真に受けちゃいけねぇな……)
この時、見事にトネリコと陽翳の心がシンクロしたそうな。

「あの、さっきアイダとか言ってましたけど、それっていったい何ですか?」

先ほどまでとは一転して、真面目に質問するトネリコ。くぬぎ自身は大して気にしていないようだが。
「CC社上層部が追っかけてるウィルスやバグのようなものらしいの。ま、正確にはAIの異常らしい
けどね」
「……詳しいな」
「人脈のおかげw」
光る白い歯。無邪気な笑顔。絶対、この人を敵に回してはいけないと本能的に学習した陽翳。

「でも何故、たかがウィルスごときであんな大企業の上層部が動くんです?そんなの末端にいる
デバッガーの仕事じゃないですか」

トネリコの言うとおり、ちょっとしたウィルスやバグの場合、運営している企業または委託しているデバッガーが駆除をするはずだ。CC社ほどの大きな会社の、まして上層部が動くなど大袈裟すぎる。
そこにハセヲが加わっているとなると尚も不可思議だ。宮皇とはいえ、彼も一般PCには変わりない。

「さぁ?私もそこまでは」
肩をすくめるような動作をした後、スッとくぬぎが手を差し伸べた。
「あの、この手は?」
「情報料。1000……いや、50000GP」
「えぇ!?い、一気に50倍に上がりましたよ!!?」
トネリコの感情があらわになった瞬間だった。
「だって、極秘情報だもん」
「じゃ、トネリコよろしくww」
ポンと肩を叩いてニンマリと微笑む陽翳。トネリコはさらに「訳わかんねぇよ!!」と怒りを表す。

「なんで!?陽翳だってもろ聞いてたじゃんか!!」
「別に、訊きたいとは一言も言ってないし」
「そんなの僕だって同じだよ!!」
「どっちも払わないんだったら、オアシス全売上金の半分くらい戴こうかな。なんたって極秘情報だし」
「そ、それは勘弁してください……」
急にしおらしくなった陽翳。そしてブツブツとトネリコと相談した。
「で?」
『25000GPずつでお払いします………』
結局は割り勘となったらしい。

「さて、と。じゃ、私はこれで」
トネリコたちと団欒(?)のひと時を過ごした後、くぬぎはその場を離れた。

「ったく、なんでオレまで金払うんだ?」
くぬぎの姿が見えなくなったと途端にふくれっ面になる陽翳。
「ていうか、くぬぎさんが勝手に語ってたよね」
「……今度からあの人の依頼料、倍にするか」
「逆に何かやられそうだけど?」
「う……」
どうやら、陽翳はくぬぎが苦手なようだ。いや、もはや天敵?

「ところで、僕はいったい何のために呼ばれたの?」
「あ、そうそう。久しぶりにクエストでもどよ?」
「うん。じゃ、行こう!」

二人はクエスト屋へと向かった。



―あとがき―
なんだかちょっと長くなってしまった15話です;

トネリコのキャラも、ちょっとずつ変わってきちゃってます。
こんなつもりではなかったんですけどねぇ……

では。今回はこれにて失礼させていただきます(^^


[No.809] 2007/07/04(Wed) 20:35:08

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