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all .hack//Pledge - わん仔 - 2007/04/21(Sat) 22:16:02 [No.624]
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.hack//Pledge 第二話 - わん仔 - 2007/04/22(Sun) 00:22:02 [No.626]
.hack//Pledge 第一話 - わん仔 - 2007/04/21(Sat) 22:57:57 [No.625]


.hack//Pledge 第18話 (No.624 への返信) - わん仔

――ネットスラム タルタルガ――
トネリコがやって来たのは、見慣れた橙色に輝く、マク・アヌ……ではなかった。
「な、なに? ここ……」

ただのタウンではない。それは一目瞭然だった。
辺りにいるPCは明らかに改造―――すなわちチートPCで、おかしな言動を繰り返している。
広がる風景も、流れるBGMも、とてもじゃないが『The World』のものとは思えない。
しかし中には、トネリコと同じような普通の仕様をしたPCも何人か居た。やはり皆、考えることは同じなようで、互いに「ここはどこなんだ!?」と口にしていた。

「トネリコ!」
声の方に振り向くと、陽翳が駆け寄ってきた。
「陽翳……これ、どういうことなの!?」
「さぁ、オレだって解らないし……」
「ここはネットスラム」
またしても突然、顔を出したくぬぎ。神出鬼没とはこのことか……

「……ね、ネットスラムって?」
あえてリアクションをとらなかった陽翳。くぬぎは少し不満そうだが、質問にはちゃんと答えてくれた。
「“ネットスラム”―――ハッカーの楽園とも言われている不正規のサーバー。放浪AIや、改造PCが屯している場所」
「だから妙なPCが多いんですね」
「一般のプレイヤーはもちろんのこと、システム側の人間も、ほとんどここの存在を知らない。……
いや、あのCC社のことだから黙認してるのかもね」
そっけなく答えているくぬぎだが、ここまで色んなことを知っていると驚異なものを感じてしまう。
「くぬぎぃ〜! ここ、なんか怖い……」
あとからくっついてきた椎がくぬぎの背中にしがみつく。PCの見た目では年齢もそれほど差がないように見えるが、椎の行動も兼ねると、リアルの二人の年齢差は相当広いようだ。
椎を慰めるくぬぎの表情や声は、母親そのもののようだった。

「けど、オレらは確かに普通にログインしたはずだぞ。こんなことってありえんのか?」
「誰かがいじったことに間違いはない、とは思うけど」
皆で頭を抱え込んでいると、そこにこれまた誰かが声をかけてきた。どこか見覚えがあるような、無いような?

「トネリコ!!」
やっぱり聞き覚えのある声。銀髪のPC。もしかして―――
「あの、もしかしてハセヲ先輩?」
「ああ。ジョブエクステンドして、見た目は変わっちまったけどな」
そうだ、間違いない。見た目は変わってもハセヲには変わりないのだから。

「ハセヲ先輩、これっていった――」
「訊きたいことがあるんだけど」
トネリコの言葉を遮り、ハセヲに問いかけるくぬぎ。どういうわけか、少し怒っているようにも見える。
「?」
「いくら錬装士といえど、ジョブエクステンドできるのは最大でも2回までじゃないの?」
「………」
「答えないってことは、改造でもしたの?」
「……知ってどうすんだ」
「知りたいだけ。別に言いふらすこともないし。何より、その姿の方が似合ってると思って」

そう言ったくぬぎの顔はにこやかで、先ほどまであった怒りの感情のようなものは消えていた。
ハセヲは「後で答える」と言って、トネリコたちに向き直った。

「宮皇。これって、どういうことなんです?」
さすがの陽翳もハセヲには頭が上がらない様子で、口調も礼儀正しいようだった。
「お前たちにも欅からのメールが来ただろ。それが答えだ」
「とにかくクビアゴモラを倒す……?」
「ああ。トネリコの姉ちゃんや、まだ意識を回復してねぇ他の未帰還者たちのためにも、俺たちは戦わなくちゃいけねぇ。あいつらはまだ、この『The World』に居るからな。だから―――」
「協力が必要だと」
「そういうことだ。協力、してくれるか?」
「も、もちろんです!」
「そうか。ありがとな」
ハセヲは「じゃ、気をつけろよ」と言い残して、奥へと消えた。

「………」
ハセヲの強さを、改めて感じさせられた。自分の強さとは比較にならないほどの、“力”の差。
“精神力”の差。
「トネリコ。お前独りでやれとは言ってないんだ―――」
「皆でやれば、何とかなるかもよ?」
「そ、そうだぜ!」
陽翳も、くぬぎも、そして椎も、トネリコと同じ。
それでも、彼らは皆でやれば何とかなると信じていた。そんな仲間を持って、トネリコは幸せだと感じた。しかし―――

「でも、やっぱり怖いんだ。……手が震えるんだよ! 目を伏せたくなるんだよ!! みんなを、姉さんと同じ目にあわせたくないから………!」
トネリコの瞳には、光がなかった。曇って、霞んでいた。…………泣いていた。
そんな彼を見た陽翳は、鼻で嗤って蔑んだ。

「ばっかじゃねぇの!? 『みんなを、姉さんと同じ目にあわせたくない』だ? そんなの、テメェが見たくないだけだろ!? エリアで倒れてる無残なPCを、病院のベッドで横たわるプレイヤーを! 
奇遇なことにリアルでも知ってるやつが多いもんな。例えばオレとかよ!!」

トネリコの胸倉を引っつかみ、獣人独特の牙と鋭い眼光を剥き出しに怒鳴りつける陽翳。トネリコも、周りの皆もあまりにも激しい陽翳の行動に驚きを隠せずにいた。

「人間は独りじゃ弱い。けど、同志――仲間がいれば、強くもなれる」
くぬぎが静かに、それでもよく聞こえる声で言う。
「誰だって、興味半分で此処にいるわけじゃねぇんだよ、トネリコ。……そりゃ、オレだって怖いさ。ただのゲームでなくなってる感じは当然だしさ、下手すりゃ命に関わるかもしれねぇし」
陽翳は、いつもの明るい爽やかな顔でトネリコの肩を叩く。

「それに主人公が、ヒロイン助けなくてどうするよ?」
「しゅ、主人公?」
思いがけない単語に、声が裏返ってしまったトネリコ。咄嗟に、椎がツッコむ。
「どっちかっていうとさ、宮皇であるハセヲさんの方が主人公ぽくね?」
「そうね。実際の問題を解決してくれそうなのも、あの人以外考えなれないし」
くぬぎにも言われ、トネリコはちょっとへこんだ。

「マスター。照々をヒロインというもの、かなり無理があると思うのですが?」
ラギも、いつの間にかトネリコたちの輪の中に入っていた。
「……確かに」
くぬぎが頷く。皆も、トネリコも苦笑する。いつしか周りの雰囲気も明るくなっていた。
それはまるで、暗闇の中、一筋の光が差し込んだかのように。

「ってなわけで。いっちょ、もがいてみようじゃねぇの。な、トネリコ?」
周りに居る皆は笑っていた。まだ、何も解決していないというのに。
トネリコを勇気付けてくれる仲間が、そこにいる。

いいんだ。それだけで。

「うん!!」
「よっしゃ! 決まりだな。照ちゃんのためにも、やってやろうぜ!!」


「アタシのために、何かしてくれるの?」


『え?』
反射的に声の主に顔を向ける。すると、そこには――――



―あとがき―
皆様いかがお過ごしでしょうか? こんにちわ。わん仔です(^^
唐突ですが。

“そろそろ終わりが近いです”

初投稿が4月でしたから、もう3ヶ月経つんですね……
いやぁ、月日は早いものですなぁ(しみじみ)
では、ラストスパートも突っ走って頑張ります!!


[No.846] 2007/07/18(Wed) 14:42:09

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