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No.878へ返信

all .hack//Pledge 〜go out in the sun〜 - わん仔 - 2007/08/09(Thu) 19:29:14 [No.877]
おまけ 椎の(ラギによる)皆の為のしぃつもんコーナー... - わん仔 - 2007/09/24(Mon) 15:53:54 [No.937]
おまけ 椎の(ラギによる)皆の為のしぃつもんコーナー... - わん仔 - 2007/09/23(Sun) 14:06:11 [No.931]
エピローグ  日の当たる場所へ - わん仔 - 2007/09/18(Tue) 21:14:45 [No.926]
#10  きっかけ - わん仔 - 2007/09/11(Tue) 22:06:08 [No.921]
#9  ユウキ - わん仔 - 2007/09/06(Thu) 22:16:41 [No.919]
#8  姉の悩み - わん仔 - 2007/09/04(Tue) 17:16:55 [No.917]
#7  PK卒業宣言!? - わん仔 - 2007/09/01(Sat) 14:17:52 [No.914]
#6  母親 - わん仔 - 2007/08/25(Sat) 14:07:48 [No.901]
#5  初の依頼 - わん仔 - 2007/08/25(Sat) 13:51:41 [No.900]
#4  団欒の木ノ実 - わん仔 - 2007/08/19(Sun) 15:38:53 [No.895]
#3  ギルド発足 - わん仔 - 2007/08/19(Sun) 15:23:27 [No.894]
#2  プレイヤー - わん仔 - 2007/08/11(Sat) 13:59:09 [No.884]
#1  美女と野獣≒狩人と魔獣 - わん仔 - 2007/08/09(Thu) 19:54:08 [No.880]
プロローグ  お届けもの - わん仔 - 2007/08/09(Thu) 19:34:43 [No.878]


プロローグ  お届けもの (No.877 への返信) - わん仔

――Θ蒼穹都市 ドル・ドナ――
ギルドショップが立ち並ぶ広場の奥。そこには中級ギルドの@HOMEにつながるひとつの扉がある。
「くぬぎ、どこ行くんだよ?」
「《あずま屋 オアシス》の@HOME。渡すモノがあるから」
口調といい、その動作といい、面倒くさいというのが窺えるくぬぎ。
椎は「メンドくさいなら、何で行くんだ?」と思いつつ、ゆっくりとトビラを開いた。

トビラを開くと、そこは台風一過の空のような青色をした部屋だった。そして、あちこちで水音がする。
「いらっしゃいませ―――あら、くぬぎ様。今回はどういったご用件でしょうか?」
「陽翳、いる?」
「申し訳ありません。我がマスターは、今……」
「不在ってことね。………あ。そっか、アリーナに出てるんだったっけ」
「はい」
出迎えてくれたのは受付組であるはずのラギ。
ギルドマスターが不在となれば誰かが代理をせねば――ということで、ラギがその代理だったのだ。

「じゃ、コレを渡しておいて」
そう言ってくぬぎがラギに渡したものは、魔導士であるくぬぎ、そして鎌闘士の椎も使えるはずのない、ひと組の拳当だった。

「……かしこまりました。伝言はいかが致しましょう?」
「そうね。ついでにお願い。―――アリーナといえど所詮はPK。使い慣れてて親しみのあるこっちの方が、気持ち的にもラクでしょ? と。」
「承りました。――あ。私的なことでございますから、料金は結構ですよ」
いつものことで依頼料を払おうとしてしまったくぬぎ。ラギの笑顔に見つめられ、恥ずかしくなって顔を赤らめる。
椎はそんなこととはつゆ知らず、顔を水がめに突っ込んでいた。
「くぬぎ! 金魚がいるぜ、この壺ん中!!」

「………ガキ」


――Ω闘争都市 ルミナ・クロス――
『湧き上がるは観客。奮闘するは猛者ども。さぁ、命をかけた壮絶なバトルが、今宵も展開しよう
としております!! ―――――………』
実況の熱い声が会場いっぱいに響く中、トネリコたちはその中心にいた。


―――アリーナ・碧聖宮  準決勝


既に紅魔宮は制覇していた一行。しかし、アリーナの恐ろしさはこれからだった。
「ようやく、ここまで来れましたね……」
「今まで4回ぐらい挑戦したけど、ぜぇ〜んぶ予選敗退だったからねぇw」
「照ちゃん、そこ笑うところか?」

あの、“約束”を果たすために

「相手は初出場か」
「でも僕らの方が、キャリアは上です!」
トネリコの両手に、碧に輝く双剣が握られた。

『それではッ!! 試合開始だぁああぁあ!!!』

実況の声が轟き、戦いの火蓋は切られた。

トネリコたちの対戦相手は魔導士2人と妖扇士1人の、スペル重視のパーティだと、ラギが事前に
教えてくれていた。戦闘パターンもひとつ。
――まず、妖扇士が仲間(相手)のステータスを上げ(下げ)、魔導士2人が互いに時間差を作ってスペルを用いての遠距離攻撃。SPが減ってくると、とにかく逃げ回り、その間にまた妖扇士が……――とのことだった。

「時間差を作ってるとなると、アーツは無闇やたらと使えねぇな。すぐに反撃されっから」
「妖扇士の方も放っておくわけにはいかないよね。意外とやっかいなスペル持ってるし……どうする、トネリコ。パーティリーダーを徹底的に叩く?」
「いえ、マンツーマンで勝負です。物理攻撃力は僕らの方が上ですから」
「つまり?」
「『攻撃は最大の防御』です。とにかくスペルを放つ隙を与えずに、レンゲキを狙って下さい」
『了解!』
入り乱れるスペルの嵐の中、トネリコたちは冷静に作戦を練る。こちらに回復役がいない以上、速効で勝負を決めないといけなかった。
トネリコの指示通りに動く陽翳、そして照々。
すると相手はラギの言ったとおり、SPがなくなった途端、逃げ回り始めた。

『逃がしゃ、しねぇっての!!』


――Θ蒼穹都市 ドル・ドナ――
試合が終わって、トネリコたちは《あずま屋 オアシス》の@HOMEに来ていた。
「お疲れトネリコ」
「うん。……次は決勝、か…」
「長かったねぇ〜ここまでくるのに。……これだけ時間食ってたら、さすがのハセヲも誰かにやられ
ちゃったんじゃない?」
「そんなことないですよ! 約束してくれたんですから!!」
あの、ハセヲ先輩がやられるはずがない。だって、この世界を救ってしまったとんでもない人だもの。
トネリコは信じていた。あの人が、約束を破るはずがない、と。

「マスター。先ほどくぬぎ様がいらして、コレを渡してほしいと……」
奥からラギがやってきて、アイテムを陽翳に差し出した。
「ん。コレ、陽翳が使ってた拳当じゃないの?」
「そうだ、なぁ。前に、くぬぎちゃんに売ってもいいからってことで渡したけど……何で今更?」
「くぬぎ様は『アリーナといえど所詮はPK。こっちの方がラクでしょ』――と仰っておりました」

それは、トネリコがプレイを始める以前まで陽翳が使用していた【護拳・隈鳥(くまどり)】だった。

「あ。思い出した!」
トネリコが突然叫ぶ。
「何? アンタがコレを知ってるはずないでしょ?」
「いえ、そうじゃなくって。以前に、陽翳が照さんたちと出逢ったきっかけを訊こうととしたら『後で』って言われたっきり聞いてないんです」
「なぁ〜んだ。そんなこと? この武器が帰ってきたし、ちょうどいいかもね。じゃあ、アタシが教えてあげ―――」

「だぁああぁあ!! オレが言うからいいってばッ!!!」
そんなに嫌なことでもあったのだろうか……?
陽翳は咳払いをすると、思い出話を始めた。


[No.878] 2007/08/09(Thu) 19:34:43

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