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No.894へ返信

all .hack//Pledge 〜go out in the sun〜 - わん仔 - 2007/08/09(Thu) 19:29:14 [No.877]
おまけ 椎の(ラギによる)皆の為のしぃつもんコーナー... - わん仔 - 2007/09/24(Mon) 15:53:54 [No.937]
おまけ 椎の(ラギによる)皆の為のしぃつもんコーナー... - わん仔 - 2007/09/23(Sun) 14:06:11 [No.931]
エピローグ  日の当たる場所へ - わん仔 - 2007/09/18(Tue) 21:14:45 [No.926]
#10  きっかけ - わん仔 - 2007/09/11(Tue) 22:06:08 [No.921]
#9  ユウキ - わん仔 - 2007/09/06(Thu) 22:16:41 [No.919]
#8  姉の悩み - わん仔 - 2007/09/04(Tue) 17:16:55 [No.917]
#7  PK卒業宣言!? - わん仔 - 2007/09/01(Sat) 14:17:52 [No.914]
#6  母親 - わん仔 - 2007/08/25(Sat) 14:07:48 [No.901]
#5  初の依頼 - わん仔 - 2007/08/25(Sat) 13:51:41 [No.900]
#4  団欒の木ノ実 - わん仔 - 2007/08/19(Sun) 15:38:53 [No.895]
#3  ギルド発足 - わん仔 - 2007/08/19(Sun) 15:23:27 [No.894]
#2  プレイヤー - わん仔 - 2007/08/11(Sat) 13:59:09 [No.884]
#1  美女と野獣≒狩人と魔獣 - わん仔 - 2007/08/09(Thu) 19:54:08 [No.880]
プロローグ  お届けもの - わん仔 - 2007/08/09(Thu) 19:34:43 [No.878]


#3  ギルド発足 (No.877 への返信) - わん仔

マク・アヌの噴水前。オレの目の前には……あの人。

「依頼?」
「ちょっとぉ、まんま単語で言わないでよ。主語を言いなさい照々という主語を」
「お客様、依頼でございましょうか?」
まさか、あんなか弱そうで真面目なお嬢様がネトゲを。それもオレを打ち果たしたのがこの人だと思うと、調子が狂う。
ろくに目も合わせられやしない。そして、ついつい口調がきつくなる。

「病弱だったのは小さいときだけだよ?」
「あ、そ」
「意地悪だね〜。それはさておき、折り入ってお願いがあるんだけど」
「何?」
オレの思考を……―――オレってそんなわかりやすいヤツなんかなぁ……?

すると照々は、ずいっと顔を近づけてきやがった。

「ギルド、建てない?」
「……ギルドの手助け?そんなことはしない」
現実逃避というのか、ワザとらしくとぼけてみた。
「アタシと、ギルドを経営してみないかって言ったの!」
「どうしてオレかなぁ……?」
「だって、陽翳は今までは独りで商売してたんでしょ? それほどの腕を持ってるなら、もっと社会に貢献したほうがいいんじゃない?」

言われてみると、確かにオレはずっと独りだったかもしれない。
友人に勧められてやり始めたけど、実際プレイをしてみると独りで活動する方が多くなっていった。
PKをやり始めたのもそんな時だ。もとは単なる暇潰し。いつしかそれはオレの糧となり、オレの存在意義を語るまでになっていたけど。

「……社会貢献、か。そんなんじゃないけどPKにも飽きてきたし、いいかも。けど、二人だけでか?」
「う……」
そりゃ、一桁の人数でやってるギルドもあるだろうさ。でも二人じゃ同好会もままならないだろ?
まぁ、皆無とは言わないが。

「あの……そのギルド、私も参加してよろしいでしょうか?」
突然、オレの左方から声がした。弱々しい女の声。そこには、ブレザーのような服装をしたPCが立っていた。
「え。ラギ?」
照々が驚きを隠さずに呟いた。どうやら知り合いのようだ。
「知り合いなのか?」
「う、うん。たまたま学校でね」
「はい。私はラギ、安らぎのラギと申します。以前は《月の樹》に所属しておりました」
「《月の樹》ねぇ……」
オレは当然渋る。《月の樹》といえば、PKにとって天敵みたいなもんだからだ。

「あれ。いつ抜けたの?」
照々はそんなことを気にも留めず質問する。お前もPKしてることには変わりないだろ……
まぁ、リアルでも知り合いの仲なら当然か。
「だいぶ前には。欅派だの榊派だの派閥争いにうんざりしてしまいまして、単身、援助活動をしておりました」
「で、ちょうどいいところにオレ達が話をしていたと」
「その通りでございます」
にこやかに笑い掛けるラギ。

それだよ。その胡散臭い笑顔が嫌いなんだ。
《月の樹》ってのは人が良いよさそうな作り笑顔で、信者を増やしていくような連中だ。

そんなオレの思考を察したのか、ラギは黙り込んだ。
「まぁまぁ。ラギはあくまで、元メンバーだよ? 抜けたんだから。陽翳もそんな気にしないで、ね?」
縋るような仕草で近づく照々。言われてみれば、そっか……

「で。ギルド創設するにしても、何やんのさ?」
「え? それって、一緒にやってくれるってこと!?」
「……そのつもり、だけど」
照々は目を輝かせて、思わずオレが仰け反るくらいにさらに近づく。
はい。そこで、ラギが挙手。

「やはり、ここは支援的な活動が良いのではないでしょうか」
「は?」
「陽翳様は今までにも、PK関連で商売をなさっていたのでございましょう? それに、私も《月の樹》で救援活動をしてましたし」
「アタシも賛成〜!」

「………てなわけで。中・上級者支援ギルドに決定!」
初心者は相手をするのが面倒、という満場一致の意見で、レベルも近く、話もしやすい中・上級者のサポートをすることになった。照々もオレもバトルが趣味、というのも大きな要因のひとつだったけど。

――――それが将来、おもいっきり後悔することになるとは思ってもみなかったが。

「ギルド名はいかが致します?」
「太陽に日陰、それに安らぎ……か」
PC名の由来を呟いてみた。やっぱ創業者の名前は残したいからな。
照々は明らかに日が照っているという意味だし、オレもまんまだ。ラギは、さっき自分で言ってたしな。
「海?」
「なんでだよ」
「じゃあ、リゾート」
「そっから離れろ!!」
さっきっから暑苦しいことしか言わない照々。確かに夏もだいぶ近いけどさぁ……。

「オアシス……なんていかがです?」
オレと照々の妙な物議を見ていたラギが、ふと提案した。
「オアシスかぁ。いいんじゃない? ね、マスター?」
「おう」
素っ気なくオレが答えると、照々は驚いたような表情を見せた。
「え? ギルマス、やってくれんの?」
「やってやるさ。てか、最初っからそれ覚悟の上だ」
「じゃ、よろしくお願い致しますね。我がマスター」
ラギも認めてくれたようだ。照々もようやく我に返ったように頷いた。
ホントのこと言うと、いち企業の社長って一回やってみたかったんだよな。

「じゃ、誰もがすぐに立ち寄れるという意味も込めて《あずま屋 オアシス》に決定。活動内容は中・
上級者支援でOKな?」
オレが宣言すると、二人は大喜びした。

「では。私はギルド創設の手続きをしてまいりますね、マスター」
「アタシはメンバー募集してこよっと♪」

二人はそれぞれに散って役目を果たしに行った。
……オレ? オレは何をするのか判らんかったから、ただそこで仁王立ちしていただけだ。


[No.894] 2007/08/19(Sun) 15:23:27

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