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ギルドを建設して早一週間。ギルドメンバーの数も増え、@HOMEにもだいぶ活気が出てきていた。そこそこ依頼も増えてはいたが、今日はいたって平穏。つまり暇なんだ。 @HOMEにいても、することなかったからエリアをうろつくことにした。 すると、見知らぬPCがこちらに向かって手を振っていた。……後ろを振り向いたが、相手らしき人物はいない。もしかしなくても、オレに用か。 「依頼ですか?」 「今、ヒマ?」 「……いきなりかよ。馴れ馴れしいな」 「だって、くぬぎの知り合いなんじゃないの?」 くぬぎ…―――ああ。記念すべき最初の客か。 「知り合いと言うより、大事なお客様ですけど」 「ほほぅ……?」 「何?」 「ううん、何でもない。ウチ『オーク』っていうの。くぬぎのママ友よ」 ゲームでも―――ゲームだからこそ、リアルの年齢を気にするのが女性ってやつだろ。若く見せたいのは当然のはず。 だが、この人は女性型PCにしちゃ珍しく、わりとオバサン色が強い印象を受ける。割烹着風の エディットとか。 にしても、くぬぎの“ママ友”…ね。 「くぬぎって、リアルでも小学生なんじゃねぇの?」 「違うわよ。PCはあれだけど、立派な母親よ?」 「……オーク。本人の居ないところで、リアルのことをペラペラ話すのはやめて」 「む。この子にくぬぎの良さを伝えてあげようとしただけなのにぃ〜」 オレ達に挟まれる形で、くぬぎ本人がひょっこりと顔を出した。 「だいたい、4人も子供がいる母親がネトゲなんかする?」 「あら。それはこっちの台詞よ! 若作りにも程があるわ。そんなガキンちょの格好なんかして。実の息子に恋愛感情でも芽生えた!?」 「馬鹿なことを言わないでッ!!」 「まぁまぁ落ち着けって二人とも。……でも、オークは言い過ぎだぜ。ココで他人のリアルを言うのはタブーだろ?」 『………』 突然の出来事でオレも驚いたが、とりあえず落ち着いたようだ。 オークもブツブツ言いながら行っちまったし。 「ごめんなさい。アナタに迷惑をかけるつもりじゃなかったのよ」 オークが膨れっ面で去った後、くぬぎは今までに見たことないような表情でオレに謝った。 「じゃあ、その迷惑ついでに訊いてもいいか?」 「私のリアル……ね?」 「ああ。客の情報は欲しいからなw」 「いいわ。どうせ貴方とは“企業と客”の関係だし。ログは非表示にすればいいし」 すると、今までのくぬぎとは違う“母親”としての人物がそこに現れた。 「私、もともと虚弱体質というのもあるけれど、出産以来ずっと入院してるのよ。それで、私の“大切な子”―――息子が『The World』を始めるんだって言っててね。というより、毎日報告してくるのよ。学校であったこととか、これから友達と遊ぶんだー、とか」 「で。少しでも一緒に居たいから―――約束した、と」 くぬぎは何も言わず、ただ頷いた。 「………どーしよーもねぇくらいの、親バカだな」 「ええ。ホント、馬鹿よね……」 くぬぎがここまで高レベルの理由。『The World』に居る理由。 それは大事な息子との、約束のため。 自分がこの子を守りたい、少しでも一緒に居たいという欲。母性本能か。 「ついでのついで。頼み事しても、いいか?」 「また随分と唐突ね。何?」 オレが言葉を発すると、くぬぎはいつもの調子に戻って頼みを聞いてくれた。 「コレをさ、預かってもらいたい。……売っても構わない」 「………PKから足を洗うということかしら」 「ま、そういうことだな。今までのことはスッパリ切り捨てて、新生陽翳として頑張るさ」 オレがくぬぎに託したモノ。それは―――オレがPKであった象徴でもある拳当、【護拳・隈鳥】 「新生、ね。せいぜい頑張りなさいよ」 「おう。これからも依頼をお待ちしておりますよ、くぬちゃん?」 「変」 「えぇ!? 即答っすか!!?」 「ところで。この拳当のロッカー代、頂ける?」 「………」 初めて見た、くぬぎの笑顔。やっぱ無邪気な女の子、なのかな? ―あとがき― 皆様こんにちは! あとがきを書くのは久々です。 今回はくぬぎ中心でお送りいたしました。いかがでしたでしょうか〜? ついにこのお話も半分……6話目でございます。 早いですなぁ〜。夏も休みも終わってしまいますぅ(ToT) ではでは!! わん仔でした!! [No.901] 2007/08/25(Sat) 14:07:48 |