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No.1249に関するツリー

   .hack//Trust - NOEL - 2008/06/05(Thu) 10:41:41 [No.1249]
U 白と黒−1 - NOEL - 2008/06/06(Fri) 09:31:31 [No.1252]
U 白と黒−2 - NOEL - 2008/06/12(Thu) 10:12:10 [No.1253]
T log in - NOEL - 2008/06/05(Thu) 21:31:47 [No.1251]



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.hack//Trust (親記事) - NOEL

NOELです。今までパロディ話を書いていましたが、普通に物語を書いてみようかと思いました。
題名は『.hack//Trust』です。Trustは、『信用・信頼』という意味です。

登場人物は、私の友人が考えてくれました。偶然に私のペンネームとかぶってるキャラがいますが、私とは無関係です。w

誤字脱字が多々あると思いますが、よろしくお願いします。


[No.1249] 2008/06/05(Thu) 10:41:41
T log in (No.1249への返信 / 1階層) - NOEL

 悠久の古都―マク・アヌ。ドーム内にあるカオスゲート前に1人のPCがいた。
「随分、変わったなぁ・・。」
 辺りをキョロキョロと見、肩を落とした。そのPCは、白を基調とした服を着ていた。種族は人族らしい。背中に小さな白い羽がはえているが、顔・身体は人間だ。
 そのPC、呪療士の『藍瑠』は、The world R:1からのプレイヤーだった。R:2にログインしたのは、R:2が発売して5ヶ月になった今日がはじめてのログインだった。
「・・・・・。」
 R:1からの大幅な変更に残念がっていたが、そろそろと歩を進め、ドームの外へ出た。
 大きな門を開くと、広大なマク・アヌが視界いっぱいに広がった。
「わぁ・・。」
 前作とは違い、かなり広く違ったマク・アヌだったが、その新しいマク・アヌもまた好きになった。小走りにドームから中央区へとつなぐ橋を渡り中央区に着くと、いろんなギルドのショップがあった。あるところは、そのギルド限定のアイテムを売り、またあるところは普通よりも安い値でアイテムを売っていた。欲しいアイテムがあったが、まだログインしたばかりなので所持金があまりないことに気付き、諦めた。
 とりあえずタウンは後にしてフィールドに行こう。そう思い、またドームへと引き返した。行きの小走りとは逆にゆっくりとオレンジ色の空を見ながら歩いた。
 と、余所見をしながら歩いていたそのとき、ドンッと大柄の獣人のガ族PCにぶつかってしまった。
「あ!ご・・御免なさい!!」
 とっさに謝るが、相手は怒りのこもった目を魚のようにギョロリと動かし、鋭い歯を剥き出しにした。
「おい、嬢ちゃんよぉ・・ケストレルで上位ランクの俺様にぶつかりやがったな・・。」
 トゲのある声で言い、藍瑠の目線にあうように腰を屈めた。
「これがフィールドだったら・・どうなってるかわかってるよなぁ?」
 PKでしょうね。藍瑠は心の中で言う。
 それにしても困ったものだ。The world R:2での最強最悪ギルド―ケストレルの・・しかも上位ランクの(自称かもしれないけど)のPCを怒らせてしまった。黙ってログアウトした方が無難かな?
「おい、聞いてんのか?!」
 そうこう考えているうちに藍瑠の顔よりも大きい手が藍瑠の肩をつかんだ。
「!」
 これは、もうログアウトだ!!急いでログアウトのコマンドに決定ボタンを・・・

 ・・・フッと、獣人PCの後ろにいるPCに気付いて決定ボタンを押す指が止まった。


―――続く


[No.1251] 2008/06/05(Thu) 21:31:47
U 白と黒−1 (No.1249への返信 / 1階層) - NOEL

「?」
 藍瑠がそのPCの方に視線を向けたのを見て、獣人PCもまたその方に目をやった。
 そのPCは、ふふっと笑っていた。黒いミニハットを斜めにかぶり、黒の燕尾服を着たそのPCはオッドアイの目を獣人PCに向けた。そのオッドアイは右が青で、左は赤。そのPCは、黒を基調としているので目だけが唯一の明色であった。
「なんだ?テメェは?!」
 藍瑠の肩をつかんだ手が、その黒衣のPCの胸倉をつかんだ。そのPCは無表情に
「獣人は・・自然を尊ぶのではないか?」
 と意味不明な事を言った。
「何が言いたいんだ?貴様・・」
「創世神話を読んでないのかい?
 −争いの起神−の章で『獣人は自然を尊ぶ』と。そんな心優しき獣人がぶつかったぐらいで怒るなど・・」
 子供だね。とでも言うような目で、そのでかい図体のPKを見上げた。
「き・・貴様ァァァッ!!!」
 業を煮やした獣人PCの拳が黒衣のPCに向かってとんできたが、ぴたりと顔のスレスレのところで止まった。
「すぐ手が出る・・その癖、なおしたら?」
 ずぶりと、獣人PCに刺した剣を抜くと、獣人PCは糸の切れた人形のように崩れ落ち、灰色の死体となった。
「え・・?」
 普通ならタウンでPKは出来ない。その規則を知っている藍瑠は、何故このPCは抜刀しPKができたのか疑問に思った。が、このPCの服と先程の行為から彼はチートしてるんだということがすぐにわかった。
「てめぇっ!!卑怯だぞっ!!!」
 死んだにもかかわらず、灰色の死体は喋った。
「?君は死体だろ?おとなしく死体のロールをするべきではないか?」
 そう言って、その黒衣のPCは、すたすたとドームの方へ向かう。それを見て藍瑠は慌ててそのPCに声をかけた。
「待ってください!」
 その声を聞いて黒衣のPCはゆっくりと振り返った。綺麗だが何故か暗色にも見えるオッドアイが藍瑠の藍色の目に向けられた。
「・・・・・?」
 そのPCにターゲットカーソルをあわせて名前を確認すると、『ノエル』とPC名が表示された。
「あの、ノエルさん。先程は助けてくださって有難う御座いました。」
 微笑むモーションをし、お礼を言ったところで、ノエルは何故か首を傾げた。
「どういう・・こと?」
 「え・・?」と、藍瑠は戸惑った。私を助けたんじゃなかったの?

・・・その背後で先程の獣人PCがログアウトした。


―――続く


[No.1252] 2008/06/06(Fri) 09:31:31
U 白と黒−2 (No.1252への返信 / 2階層) - NOEL

「僕は只設定どおりにロールするのかなと思ったことを言っただけ。」
 そう簡潔に言って、ぷいと興味なさそうにドームの方へ歩き出すノエルに再び藍瑠は声をかけた。
「あの!フ・・・フィールドへ行くのですか?」
 今度は振り返らずにぴたりと止まり答えた。
「そうだけど・・。」
「じゃあ、サポートしてください!私、初心者なんです。」
「・・・。」
 The World R:2では初心者狩りが横行しているという。だから、このPCノエルと一緒なら安心してフィールドを歩きまわれるし、だいたい呪療士にソロなんてできるワケがない。今は仲間が必要だ。
―まぁ、先刻この人はPKしたんだけど何故か信用できる。そんな気がした。
「・・あのぅ・・?」
 あまりにも無言の時間が長すぎるので藍瑠は先に口を開いた。ノエルはやはり振り返らずに
「仕方ない。」
 そう言ってドームの方へ再び歩き出した。・・多分「サポートしてやるか」という意味でいいのだろう・そう思い藍瑠はノエルの後を追った。

 カオスゲート前に着いて藍瑠はメンバーアドレスを交換しないとパーティー編成できないということを思い出した。
「じゃ、メンバーアドレスを・・」
 どうぞ。と言い終わる前にノエルは何処かのエリアへと転送してしまった。
「え?!」
 藍瑠は急いで過去ログを見、ノエルが転送したエリアワードを入力した。

Δ はじまる キミの 巣立ち  Lv 1

「・・やっと来た。」
 のんきに石の上に座ってそんなことを言ったノエルに藍瑠はついにキレた。
「先刻から失礼だってことに気付かないんですかっ?!初対面なのに敬語は使わないし、人の話を最後まで聞かないで先にエリアに転送するし・・・って、聞いてるんですかっ?!」
 ノエルの視線にあわせて怒鳴る藍瑠にノエルは目を丸くするだけだ。
「だいたい・・・」
 とそのとき、がさがさと木が揺れた。
「?」
 右にあるその木を見る。何の変哲もない木に何かが隠れているようだ。がさがさと右に左に木がしなる。
「・・・。」
 ノエルは、人工の空を眺めていた。先刻怒ったばかりだし、あの木には何があるのですか?とか聞きづらいなぁ・・。そう思った藍瑠は勇気をだして、その木に近付いた。近付くと、ターゲットカーソルがでた。恐る恐る決定ボタンを押す。
藍瑠が木を蹴飛ばすモーションをした。
ドンッと、木が勢いよく揺れて・・・
「キャアアァァァッッ!!!」
 ぶにゃ ぶにょ ぐにょん と青紫色のグミのような物体が降ってきた。1匹だけではない。数十匹も。
 その藍瑠の悲鳴にノエルは抜刀し、藍瑠の方を向いた。そして、状況を確認して剣をしまった。
「・・チムチム・・か・・。」


「・・え?モンスターじゃないんですか?」
 チムチムの説明をきいて、藍瑠はぽかんとした表情になる。
「まぁ、言われてみれば・・」
 目は白丸。口はw。4本の足でちまちまと走り、頭には青の光球をつけている。こんな可愛いキャラクターがモンスターなワケないか・・。
「おいで。」
 ノエルは動物にするのと同じように手招きでチムチムを呼び寄せた。つやつやのフローリングに指でこすったような「きゅっきゅっ」という泣き声をしながらチムチムはノエルの傍に来た。ノエルはチムチムを撫でると、左手を握り拳にし、右手のひらにあわせ、跪いて祈るモーションをする。
「我等『卑従(ひと)』に蒸気の力を与え給へ・・」
 何かまじないのようなものを唱え、チムチムの頭上でふわふわ浮かんでいる光球をぽすんと取った。
「なんか・・チム玉を取るのって大変ですね。」
「いや。普通は蹴っ飛ばすだけ。・・でも、『卑従』から『卑従よりも卑しき者』になりたくないからね・・。」
 ・・やっぱり、この人はよくわからないなぁ・・。藍瑠は苦笑した。


―――続く


[No.1253] 2008/06/12(Thu) 10:12:10
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