ボクが覚えている記憶という名のデータ。 それは全部本当で……。 きっと彼女はこんな日が来るのを待っていたのだろう。
ボクは彼女から作られた……。 7年前のあの忌々しい事件。 ボクはその事件を解決に導いたプレイヤーキャラ<カイト>をモチーフにされ、作られたのだ。 「ウウ・・・・ァァア」 初めて気づくとそこは真っ白な空間。 彼女……アウラはこの世界の唯一とも言える神だった。 ボクは生まれて間もなく、まだ完全には形を整えられていない。 彼女は少し悲しく、ボクに微笑んでいた。 そして、こう呟くのが見えた。 「ごめんね」 初めはこの言葉の意味がわからなかった。 なぜ、ボクが生み出されたのか? なぜ、彼女はあんな悲しい顔をしたのか? この時のボクには何もわからなかった。 ボクは…….ボクは彼女からあの<カイト>と同じようにカイトと名づけられた。
彼女との日々は長く続いた この真っ白な空間で、ボクは彼女から様々な事を教えられた。 7年前の事件、八相、碑文、謎の黒い点 そして…….自分自身の役割、アウラはもうじきどこかにいなくなる事も……。 「・・・・・・・・」 アウラは自分が消える前に、ボクにこう言い残した。
『この世界を守って……』
そう、それが彼女の望みだった。 そして、薄明へ消えていった。 ボクには感情と呼べるモノはないはずだ。 だけど、心の中で何かがすっぽり抜けたような…… そもそもボクには心というモノ自体ないはずなのに……
アウラはこの世界を愛している。 だけど、その彼女は今はいない。 なら…… 彼女からもらったいつかの使命を今果たそう。 同じように彼女が今まで守ってきた世界を僕が守っていこう。
そう、アウラがいつ帰ってきても大丈夫なように……
ボクはその真っ白な空間から飛び立つ。 そして、彼女が愛した世界へ降り立った。
[No.186] 2007/02/27(Tue) 06:56:24 |