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   .hack//meet by chance - 親衛隊 - 2007/03/02(Fri) 19:36:14 [No.272]
第一幕 「開始」 - 親衛隊 - 2007/03/02(Fri) 19:41:15 [No.273]
第二幕 「転がる賽」 - 親衛隊 - 2007/03/16(Fri) 19:42:31 [No.359]
第三幕 「変異の光」 - 親衛隊 - 2007/03/19(Mon) 22:40:06 [No.415]



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.hack//meet by chance (親記事) - 親衛隊

初めまして!今までは閲覧オンリーでしたが、今回からは遂にお邪魔させていただこうと思いますw
タイトルのmeet by chanceって、「邂逅」の意味です。
タイトル通り、前作主人公であるカイトとハセヲがThe worldの中で出会って・・・というお話を書きたいと思ってます。
更新が遅いのが私の特徴になると思いますが、一生懸命頑張ります!


[No.272] 2007/03/02(Fri) 19:36:14
第一幕 「開始」 (No.272への返信 / 1階層) - 親衛隊

過去と未来が交錯することは起こりえない。
とある過去の英雄と、とある未来の英雄が居る。
それは気まぐれな運命の流れなのか。
ありえないことばかりの世界だったからこそ、ありえてしまったのか。

〜第一幕 「開始」〜

カイトは、マク・アヌのカオスゲートの横で暇をもてあましていた。
ほんの二、三分前までは親友のオルカと、ダンジョン探索に行くはずだったのだ。
「ヤスヒコ・・・宿題くらいちゃんと終わらせておけばいいのに」
無意識のうちに・・・ため息混じりに呟いていた。
そう、オルカのプレイヤーであるヤスヒコは、ゲームをしようとPCを起動させた所を親に捕まったらしい。
「明日学校なのに宿題終わってねーだろって捕まっちまった。誘っといて悪いけどログインできそうもないわ、スマンっ!」
そう電話が来たのはついさっきだ。残念ではあったが、仕方ない。気にするなと伝えて電話を切り、さてどうしようかと考えていた。
今日行こうと思っていたエリアは、そんなにレベルが高いわけではないが小高い丘が多く、海が綺麗に見えると評判の場所である。
他の人を誘ってプレイしようかと思って仲間達にメールを送ってみたが、ブラックローズは「NOVAとチムニに誘われてるから・・・悪いわね」と返信があった。どうやらバルムンクはログインしていないようだ。ミアとエルクは既に二人で出かけてしまったようで返事なし。他のメンバーも何故か今日だけは似たり寄ったりの状態である。
ログアウトしようか・・・と考えて、カイトはふと思う。
「たまには一人も、悪くないかな」
そういえばここ最近、オルカや仲間達と遊んでいてソロプレイをした覚えがない。
思い立ったが吉日と、カイトは一人カオスゲートへと足を向けた。
エリアワード入力欄がでる。カイトは掲示板で聞いたエリア名を、入力した。
「Δサーバー 時越えし 夢現の 出会い・・・と。」
転送ボタンを押す。自分のキャラクターが光に包まれていった。


ハセヲは何故か、モンスター囲まれていた。
「・・・えっと・・・何なんだこれは?」
右を見ても、左を見ても、間違いなくモンスターに囲まれていた。
別にモンスターに囲まれているのが問題なのではない。自分のレベルにはそれなりに自信があるし、逃煙玉も導きの翼もあるのでもしもの時は逃げる事だって簡単だ。
だが、問題はそんな事ではない。
「・・・何だよ、こいつら・・・?」
問題なのは、そのモンスターだった。
「The world R:2」では見たことのない型の獣。
グルルルルと唸り声を上げながらハセヲを敵意に満ちた目で見つめるそれは、全く知らないモンスターだった。
少なくともこのゲームを始めてから今までハセヲは一度も拝んだ事はない。
自分のThe world歴はそれなりにある。殆どの種類のモンスターを倒した自信もある。その自分が、一度も見たことのないモンスターが目の前に居た。
そして何より、一番奇妙なのはその獣の見にまとう緑の六角形(ヘックス)である。いかにもデータ然としたそれは、どう考えてもThe worldの世界観にそぐわないイリーガルなものだった。
「どうなってんだよ・・・」
それでなくてもこのエリアは何かおかしい。久々に一緒に冒険しようということになり、アトリとエンデュランスの二人とエリアの最深部で待ち合わせをすることにした。最深部で落ち合おうというのはただの気まぐれだったし、エリアワードも適当に選んだ。
だがそのエリアに実際に転送して、ハセヲはかなりの間頭の中が真っ白になった。
エリアのグラフィックは極端、というほどではないがかなり劣化している。普段見慣れたはずの空や草原が、どこかいつもより安っぽい。
エリアマップも何かおかしく、獣神殿かと思しきアイコンは「ダンジョン」と表示されている。それにぽつぽつと散らばる謎の点のアイコン。
その場所まで行ってみると、なにやら怪しげな円陣がくるくると光りながら回っている。ターゲットして表示された名前は「魔法陣」。
もちろん見たことがない。近づいてみるといきなり円陣の光が弾け、モンスターや宝箱が現れた。もう全く意味が分からない。
「あいつら・・・ここの最深部で待ち合わせしたけど、大丈夫かな」
どうもバグエリアに転送してしまったようだ。もし二人が先に来ているなら、何があろうとデータがおかしかろうと最深部へ向かうはずだ。
合流して、さっさとここを去った方がいい。直感だった。
それにしても・・・何故、こんな場所に転送してしまったのだろう?ちゃんと転送画面で手続きを踏んで転送したというのに。
CC社・・・もとい、八咫やパイにあとでバグ通達をした方がよさそうだ。ハセヲは、自分が適当に選んだエリアワードを、小さく呟いた。
「Δサーバー、・・・時越えし 夢現の 出会い・・・」


あとがき〜
遂に初参加!なのに最初に出るのがハセヲじゃなくてカイトになってしまいました・・・はい、私カイトスキーです。
これからも、ちまちまとちまちまと書き溜めて頑張って精進します!読んでくださり、ありがとうございました(土下座ッ!


[No.273] 2007/03/02(Fri) 19:41:15
第二幕 「転がる賽」 (No.273への返信 / 2階層) - 親衛隊

神様の気まぐれは、運命という。
悪魔の気まぐれは、不幸という。

ではこれは、はたしてどちらなのだろうか?

〜第二幕 「転がる賽」〜

呪紋使いの少年エルクと、ネコの姿をした不思議なPC、ミア。
二人はエリアでのんびりとエノコロ草を集めて遊んでいた。
ついこの間まで、命を懸けた戦いがあったなど信じられない穏やかな時間。
この時間を取り戻すまでに、沢山の戦いがあった。その中で一度失われてしまったミアを、やっと取り戻した。
エルクは幸せだった。一番はもちろんミアだけど、他にも友達が出来た事も嬉しさを一層引き立てる。
「ミア、見てみて!こっちにも沢山あったよ!」
エルクは満面の笑みで腕一杯にエノコロ草を抱えて、ミアのほうを振り向いた。
「・・・・・」
「ミア?」
ミアは、空を見上げて黙り込んでいた。
「どうしたの、ミア?調子悪いの?」
エルクは慌ててミアに駆け寄る。
「え・・・あぁ、大丈夫だよエルク。何かメールが来てたみたいだからちょっと確認してた」
「え?メール?」
今はエリアに居るので、エルクの様な一般PCにはメールをチェックする事はできない。「普通ではない」ミアだからこそ出来る芸当だ。
「エルクにも来てるみたいだよ。送信者は・・・カイト。珍しい腕輪を持ってるあの子だよね?」
「カイトからメール?どんな内容なの?」
ちょっと待ってね、とミアは言うと空をじっと見つめた。まるでそこにディスプレイがあるといわんばかりの動作である。
そして、やがて顔をエルクに戻す。
「景色が綺麗だって評判のエリアがあるから行かないかってさ。でも送信時間から考えると、もう一人で行っちゃってるかも」
「そっか、お誘いメールなのに悪い事しちゃったかなぁ」
エルクは少し落胆した。自分が初めて自らの意思で庇った少年であるカイトは、ミアを失った原因でもあり、ミアを取り戻す事が出来た原因でもある。
優しく、勇気のある友達だ。その友達の誘いに気づかなかったのは、ちょっと悪かったなと思う。
「エルク、エノコロ草も集まったし、そろそろタウンに戻ろうか?」
「う、うん・・・」
「・・・ボク、今日はこれで落ちようと思ってるんだ」
エルクの顔をジッと見ていたミアが、突然そんなことを言い出した。
「え?落ちるの?」
エルクは驚いた。ミアから落ちるというのは珍しい。というか初めてではないか。
「うん、だからエルク、カイトを追いかけなよ。急いでいけばダンジョンで落ち合えると思うよ?」
ミアはとても、とても優しく微笑んだ。
「行ってきなよ。友達なんでしょ?」

「ブラックローズ、悪いな。つき合わせて」
「ごめんね〜(><)」
NOVAとチムニに別に全然、と返して、ブラックローズは微笑んでいた。
ゲーム内での壮絶なまでの戦いは終わった。
それは他の一般PCにはまったく知られていない戦いだったが、間違いなく彼らが無事で居られるのはあの戦いがあったから。
今までのブラックローズは「助けるために」「戦うために」ゲームをしてきた。
だが今、こうして彼らと笑って「遊ぶために」ゲームをプレイすることができる。それがブラックローズには嬉しかった。
今日誘われてブラックローズが訪れたのは別段代わったことの無い普通のダンジョンだ。
レベルは高すぎず低すぎず。ただしブラックローズから見れば、かなり攻略が簡単そうなレベルではあったが。
「ここの最深部にある武器が欲しいんだよねーw」
チムニは相変わらずどこまでも明るく、その辺をぱたぱたと走り回っている。
「ちょっと待ってよチムニ!おいてくつもりー?」
ブラックローズが走り出そうとして、・・・足を止めた。
「・・・?何?」
NOVAがこっちを見ていた。
「いや、なんかブラックローズ、・・・変わったなって思ってさ」
「私が?」
思い出す。NOVAとチムニに出会った頃、ブラックローズはカズを助けるためにゲームをプレイしていた。
その様子には鬼気迫るものすらあっただろう。NOVAはゲームを純粋に楽しんでいるようには見えないブラックローズの事を不思議に思っていた。
そして、何か自分の察しないところで何か「とてつもなく大きな事」に巻き込まれていることも、薄々感じ取っていた。
「・・・終わったから、さ。全部。もう気張らなくてもいいの」
ブラックローズは大きく伸びをしながら、それだけ言った。
巻き込みたくないと思って、あの時は殆ど何も言うことはなかった。
そしてこれからも、何も言うことはないのだ。
「・・・そか。よかったな」
NOVAもそれを悟って、笑ってくれた。
「ちょっと二人ともー!早く早くー」
チムニがせかす声が聞こえて、NOVAとブラックローズは顔を見合わせた。
自然と、笑みがこぼれる。
「んじゃ、ちゃっちゃと行くか」
「そうだね」
二人は、手を振るチムニの元へと駆け出した。


あとがき〜
更新が亀の如く、本気でそんな感じですがやっと書けました。
・・・ていうかGUメンバー居ないし(笑)
ゲームでは完全サブキャラのNOVAに小説版のオリキャラだったチムニなんかを出してます。はい、大好きです。ごめんなさい。

次回はアトリを。そしてハセヲを・・・!
頑張ります。


[No.359] 2007/03/16(Fri) 19:42:31
第三幕 「変異の光」 (No.359への返信 / 3階層) - 親衛隊

過去と未来が交錯する。
未来と過去が交差する。

「今」は一体、どこにある。

〜第三幕 「変異の光」〜

ハセヲが謎のモンスターに囲まれている、丁度同時刻。
「ハセヲさーん、エンデュランスさーん!」
アトリはダンジョンの中を、二人の姿を求めて歩いていた。
待ち合わせのエリアワードは確か適当に決めたものだったはずだが、この有様は何なのだろう。
画質が少し劣化したダンジョン内を、それでもアトリが進んだのは純粋に待ち合わせのためであった。
自分が想う相手の誘い。それも、かなり久々の。
行かないわけにはいかなかった。
一人邪魔は入っているものの、それが揺光や志乃では無いという喜び。・・・もっとも、エンデュランスが一番「邪魔」としては強そうだけれど。
アトリは嬉しかったのだ。だからこの日、一番乗りをしようと喜び勇んで出かけてきた。
エリアのレベルを見る限り、呪癒士の自分でも最深部までたどり着けそうだったのはきっとハセヲの無意識の気遣いだ。
だが、転送先は今まで見たことの無い物のオンパレード。
草原エリアは小島同士をつないで作られたタイプのものしか無い筈なのに、このエリアの草原はループしているらしくどこまでも続く。
「魔法陣」なる謎のアイコンや建物として作られたダンジョンへの入り口。
R2の仕様にはこんなもの無かったはずなのに・・・。
アトリは魔法陣から現れるモンスターと次々に戦いながら、必死に最深部を目指した。
「バグ・・・なのかな、このダンジョン・・・」
それとも、まだ未公開になっている企画用のCC社開発エリアに迷い込んでしまったのだろうか。
そこまで考えて、さすがにそれはなさそうだとアトリは思った。
CC社が開発中エリアにプロテクトをかけ忘れるなどあるはずが無い。
大体まだあの戦いが終わって日は浅い。まだ八咫やパイが雑務処理の為に残っている「The world」で、そんな初歩的なミスが起きるものか。
「ハセヲさーん、エンデュランスさーん!」
呼びながらアトリは歩き続けていた。
まだ二人とも来ていないかもしれないが、それでも最深部で待っていればきっと来る。
エンデュランスはハセヲとの約束ならそれこそ地獄までもやってくるだろうし。
ハセヲは・・・自分が誘ったのだからと少し呆れながら来るのが簡単に想像できた。
居ないかもしれないと分かっているのに声を上げるのはただ単に自分に勇気付けるためだった。
バグエリアに一人は、結構怖いのだ。規格外のバグで未帰還者がでるという事態がつい最近まで発生していた今は特に。
「何か・・・怖いなぁ・・・」
早く知っている人に会いたい。
アトリは快速のタリスマンを使用し、妖精のオーブを使用してマップを表示させた。
急いた気持ちはそのまま足に現れる。
アトリはパタパタと恐怖を振り切るように走り出した。

***

それからしばらくの時が流れた。
「何でこのダンジョン、こんなに広いんだろう・・・」
アトリはダンジョンの第3下層にようやく踏み込んだところだった。
アイテムでマップを表示させ、最短ルートを選んできているのにかかわらず時間がかかったのは、そのエリアの広さのためだ。
何だかんだ言っても広すぎるダンジョンではそれなりに時間はかかるのだ。
心細さと疲れでアトリは走るのをやめ、ぽてぽてと歩いているのだった。
「何で一人で先に待ってようなんて思っちゃったのかなぁ」
アトリは真剣に後悔していた。
よく考えれば、ハセヲやエンデュランスをここのダンジョン入り口で待てばよかったのだ。
二人だってこのエリアのおかしさはすぐに分かるはずだから、こんなところまで潜らなくても会えたのに。
ここまで降りてきてしまったのなら、最深部に居なければはぐれてしまうだろう。
最悪だ。
アトリは歩きながらそんなことをブツブツと考え続けていた。
だから、その時まで気がつかなかった。
ポォォォォォン・・・・・・
涼しげな、何かの金属をたたいて響かせたかのような高い音が耳に入る。
「え?」
アトリはそこで初めて顔を上げた。
そして、自分が今居る場所の異常に気がついた。
先ほどまでとはまったく変わらない、ダンジョンの壁や床。
その上に今、不思議な紋章のようなものが浮かび上がって光っている。
「や・・・何・・・?」
明滅を繰り返す光に綺麗、なんて事を考えている場合ではない!
アトリは後ずさった。
デジャ・ヴというやつか。
頭にフラッシュバックする映像――モーリー・バロウで見た三爪痕の傷跡。
あの時、あの時もあの音が聞こえて・・・
アトリはあの傷跡に転送され、――AIDAに碑文を奪われることとなった。
その後のことは―あまり思い出したくない。
アトリが気づいたからか、光の明滅が一気に加速する。
「いや・・・何、何なの!?」

そして、いきなり光が強くなり――

「「きゃぁぁああああああ!!」」

二つの悲鳴が、同時にダンジョンに響き渡った。


あとがき〜
ちくしょうアトリしか出て無いじゃないか!
・・・というツッコミは無い方向で行きましょう(笑)
某作者様への憧れや影響が出てますね・・・冒頭の短文に(笑
まだ「短文」レベルで決して「抒情詩」にはなりませんがorz
あれぐらい書けたらいいのにな・・・(遠い目

次回はエン様登場予定。・・・予定。
頑張ります。


[No.415] 2007/03/19(Mon) 22:40:06
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