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No.276に関するツリー

   .hack//Eqzeter - 華音 - 2007/03/02(Fri) 22:47:52 [No.276]
.hack//Eqzeter cp.1 - 華音 - 2007/03/02(Fri) 23:16:55 [No.277]
.hack//Eqzeter cp.2 - 華音 - 2007/03/02(Fri) 23:31:08 [No.278]
.hack//Eqzeter cp.3 - 華音 - 2007/03/02(Fri) 23:57:19 [No.280]
.hack//Eqzeter cp.4 - 華音 - 2007/03/03(Sat) 00:15:58 [No.281]
Re: .hack//Eqzeter cp.5 - 華音 - 2007/03/04(Sun) 00:55:05 [No.304]



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.hack//Eqzeter (親記事) - 華音

皆さん始めまして、華音と申します。
G.U.小説掲示板が設けられたということで自分の作品を投稿してみたいと思います。
更新が遅いかもしれませんが、感想など頂ければ幸いです。


[No.276] 2007/03/02(Fri) 22:47:52
.hack//Eqzeter cp.1 (No.276への返信 / 1階層) - 華音

俺たち『碑文使い』の反存在であるクビアが消失し、早一ヶ月が経った。
オーヴァンの『再誕』によってAIDAも消滅し、この『The World』には平和が戻った。
俺も、あのドタバタした日々から、一般プレイヤーとして―――ただの練装士「ハセヲ」として、この世界を楽しんでいた。
でも―――この時は、気づいていなかったんだ。
この平和が、ただの束の間のモノだったことに。





        .hack//Eqzeter cp.1





「さて。 今日は志乃と一緒にクエストやるんだっけな」
学校から帰った俺は、すぐさま『The World』にログインした。
Σサーバー、プレグ・エポナ。
ここのカオスゲートで、俺は人を待っている。
………志乃。
やっとの想いで助け出した彼女と俺は、若干の気まずさはあったもののすぐに以前のような関係に戻っていた。
そして今日は、彼女とクエストに行く約束をしていたのだ。
少し楽しみにしながら、彼女を待つ。
すると。

「ごめん、ハセヲ。 待った?」
志乃が、カオスゲートから転送されてきた。
柔らかな、優しい声。

「…志乃。 俺も、今来たとこ」
「そっか。 じゃ、クエスト行こうか?」

志乃と二人で、歩き出す。
AIDAが消滅し、そしてクビアを倒さなければ手に入らなかった「日常」だ。
楽しまなければ損というものだろう。

「ああ。 行こう、志乃」

やっと、帰ってきたんだ。
この世界の、俺の、「日常」が。


[No.277] 2007/03/02(Fri) 23:16:55
.hack//Eqzeter cp.2 (No.277への返信 / 2階層) - 華音

ウソ、だろ……?





        .hack//Eqzeter cp.2





「ハセヲ、あれ……!!」
「……っ!!」

クエストを受けた俺と志乃は、Σサーバーのとあるエリアに来ていた。
獣神像のアイテムを取ってくると言う単純なクエストだった………のだが、全ての謎の欠片を集めていざ獣神殿に入ってみると、

「AIDA……!?」

一月前に既に消滅した存在。
点在する"丸穴"。
何か異様な雰囲気を漂わせる斑点が、そこに、在った。
しかし、以前のAIDAとは何かが違う。

「なぜAIDAが……あの時、『再誕』によってAIDAは消滅した筈だ!
 それに、このAIDA……"白い"!?」

そう、"白"かった。
以前のAIDAとは対照的に、真っ白な白点。
そして、その数も異常だ。
この白点は―――この獣神殿を多い尽くすほどの、夥しい量。

「くそ………やるしかないのか! 下がってろ、志乃!」

今は、何故AIDAが復活したとか、何故白くなっているのかとか、とやかく考えている暇は無い。
早く『憑神』によって駆除しなければ、俺はもとより志乃が危険だ。
あの時から一ヶ月、必要の無くなったあの"力"を、発動させる―――!!

「いいぜ……来い、来いよ! 俺は……!!」
   (―駄目です、ハセヲさん!!―)

―――!?
脳に直接送られて来たように、頭に響き渡る声。
この声は―――

   (―とにかく、そこは危険です。 此方で強制転送コマンドを実行します―)

言うが否や、俺と志乃は、すぐに転送された。
―――白い点。
この時に、束の間の、『世界』の平和は、失われた。


[No.278] 2007/03/02(Fri) 23:31:08
.hack//Eqzeter cp.3 (No.278への返信 / 3階層) - 華音

確実に、蝕みつつあった。
『彼』の精神を、『世界』を、そして、『女神』を。





        .hack//Eqzeter cp.3





―――同時刻。
Σサーバーの別のエリアでは、元紅魔宮宮皇である揺光と、ハセヲと同じ『碑文使い』であるクーンが、二人きりで冒険をしていた。
彼らは一ヶ月前の一件でメンバーアドレスを交換していたものの、二人きりでエリアを廻るほど親しかったわけでは無かった。
それが何故こんなことになっているのかと言うと―――事の発端は、揺光がクーンに一通のメールを送ったことに遡る。

〔あたしと一緒に、二人きりで冒険して欲しいんだ。 ちょっと、話したいこともあるからさ〕

クーンはこのメールを貰って内心嬉しかった。
というのも、クーンはメンバーアドレスを貰う前、揺光が宮皇だった時から、密かに彼女のことを狙っていたのだった。
それだけに、用件があまりはっきり見えないが、このようなお誘いのメールを貰って嬉しくないわけが無い。
クーンは速攻でOKの返事を送り、そして、今に至るのである。

「……なぁ、揺光ちゃん。 それで、用事って何なのかな?」
「ちゃん付けはいいって。 他人行儀だし、アドレス交換してる仲なんだからさ」

獣神像の宝箱を取った後、クーンは彼女に用件を尋ねた。
何だかかなりいい雰囲気……こりゃ、いきなり告白くるのか!?
などとクーンが考えていると。


「……あのさ。ハセヲのことなんだけど」
「ぶはっ!!」


―――盛大にコケる結果となった。
(「やっぱり俺って、三枚目キャラで終わるのかなぁ……」)
と嘆きながら、クーンは揺光の話を聞いた。





彼女の話とは、どうすればハセヲに異性として見てもらえるのか、と言った事だった。
彼女によれば、ハセヲとは何度も一緒に冒険しているものの、あまり女性としては意識されていないらしい。
そういった想いに悩まされていた矢先、ハセヲが志乃と楽しそうにタウンを歩いていたのを見たそうだ。
その時のハセヲの顔は、自分には一度も見せてくれなかった、眩しいくらいの笑顔だったと言う―――。


つまるところ、彼女はクーンに、どうやったらハセヲのハートをゲット出来るのか、と言う事を教えてもらいに来たらしい。
クーンに頼ったのも、彼が色々と女性関係に詳しそうだったからであろう。
実際、クーンは女性にその手の質問をされることも多い。
それにしても。

(「ハセヲ……!! お前って奴は、こんないい女をよくも〜!!」)

嫉妬と共に、少し悔しいクーンであった。


[No.280] 2007/03/02(Fri) 23:57:19
.hack//Eqzeter cp.4 (No.280への返信 / 4階層) - 華音

脈打つ"波"は、確実に強くなっている。
丸ごと、世界であって・世界でないもの・全てを、飲み込むほどに。





        .hack//Eqzeter cp.4





「……クーン。 どしたの?」
「おわっ!!」

俺が一人で悔しがっていると、揺光が下から俺の顔を覗き込んできていた。
顔を真っ赤にして、俺は揺光から離れる。
と言うか、その顔は反則だぞ揺光……


「あのね、実際のところ、ハセヲがあたしの事どう思っているかとか、よく分からないんだ。
 ただ、何だかあたしは、ハセヲにとって『普通の友達』のままでいるんじゃないかって思う。
 ハセヲはあたしに対してとっても優しく接してくれるし、最近、あたしにも微笑んでくれるようになった。
 でも、その微笑みは『友達』に対する微笑みで、『一番大切な人』への笑みでは無いんだ、って思うんだ。
 あの時―――志乃さんと共に笑い合っていたハセヲの顔が、大切な人に向ける眼差しなんだって、そう、あたしは感じた」

「………」

揺光……ハセヲに対する想いは、本気なのか……。
確かに男の俺から見ても、ハセヲはいい奴だ。
初めて会った時は無愛想で身勝手な奴だと思ったが、様々な事件を経て、成長し、男女問わず頼りにされる男になった。
揺光が惚れるのも無理は無い。
そして俺は、揺光にアドバイスを贈ろうとした。
あくまで助言、それからどうなるかは、あくまで当人たち次第だけど。
でも―――声を出す寸前。
頭に、直接、音声が流れた。

(―クーンさん、揺光さん、ここは危険です! 強制転送プログラム、実行……!―)

「「へ?」」

突然のことで、俺と揺光は間の抜けた声を出す。
そして―――次の瞬間には、身体は淡い蒼の光で覆われて……そして、どこかへと転送された。


[No.281] 2007/03/03(Sat) 00:15:58
Re: .hack//Eqzeter cp.5 (No.281への返信 / 5階層) - 華音

すべてを知る者でさえ、察知出来なかった。
この世界に忍び寄る、終焉の気配に。





        .hack//Eqzeter cp.5





「すみません、ハセヲさん、志乃さん、クーンさん、揺光さん。
 やむを得ず、強制転送プログラムを実行させてもらいました」

気がつくと、そこは―――『世界』であって『世界』で無い場所、"ネットスラム"のブリッジだった。
知識の蛇のシステムを移設しただけあって、空中には様々なモニターが映し出されている。
その前にはこのネットスラムの主―――俺たちを強制的にここに転送した張本人、欅が居た。

「―――やっぱり欅、お前だったか。
 それで、あの"白い点"は一体何だったんだ?」

そして、俺は欅にあの『白い点』のことを尋ねた。
おそらく欅も、あの白い点の出現に気がついて俺と志乃を強制転送させたんだろう。
しかし、あの点―――AIDAと似ているが、根本的に、何かが違うような気がした。


「白い点? ハセヲ、何かあったのか?」


クーンがいつになく真面目な顔で聞いてくる。
と言うか、クーンも揺光も欅に転送されてきたんだから、あの白い点を見たのかと思っていたが。
そしてその問いに、俺ではなく欅が答える。

「クーンさんと揺光さんはハセヲさんの言う"白い点"を直接見ては居ませんが、あなたたちの居たエリアにその"白い点"らしき存在が確認されたんです。
 勝手かもしれませんが、こちらで強制転送を実行しました」

欅はさらに続ける。

「そして、その"白い点"についてですが……
 現状の所、何も分かっていないに等しいです。
 ですが、あれはデータ的にはAIDAに限りなく近いもの―――あれに侵食されたPCは、もしかすると未帰還者になる可能性もあります」

「何だと!?」


―――馬鹿な。
あれに侵食されると、未帰還者になる可能性があるだと?
これじゃ、AIDAの再来じゃねぇか。
だがあの時、『再誕』で完全にAIDAは消え去ったはずだ。
影も形も残っちゃいねぇ。
もしかすると、AIDAと同じような現象が別の原因によって発生したのか…?
と、俺があれこれ考えていると、『知識の蛇』にひとつの大きなモニターが表示された。
その途端、



『ああああああああああ!!!!!』



ブリッジに、けたたましい叫び声が響いた。
モニターには、とある草原フィールドが移っている。
そして、そこには一人のPC。
うつぶせに倒れているそのPCを見下す、"白い点"を身体中に纏っているPC―――


「―――!?」


―――身体中に纏っている……
まるで、AIDAが感染したような―――
―――感染者!?

そして、白い点を身に纏った男によってPKされたPCは、ゆっくりと消滅していった。
さらにその男は、ゆっくりとこちらを振り返る。
まるでモニターされているのが見えているかのように、こちらをじっと見つめる。
そして口を、開いた。


「見ているんだろう、『モルガナの子供達』。
 今見た通り、俺はキルした相手のPCを消滅させリアルの人間を未帰還者にすることが出来る。
 お前らの言う、この『白い点』によって、それが可能となっているのさ。
 だが勘違いするな。
 この白い点は、AIDAのような"欠陥品"では無い。
 それもこれも、すべては俺と貴様等が会った瞬間に分かるだろうがな。
 しかし、俺はいきなり貴様ら『モルガナの子供達』を狙ったりはしない。
 貴様らの知り合いから初めて、じっくりと、貴様らの精神から根こそぎ刈り取ってやるよ……!!
 ハハハハハハハハハ!!!」


そして、プツン、と。
モニターの映像が、消えた。

「―――っ、」

その場に居た誰一人、言葉が出なかった。
未帰還者が一人、出た。
そして、男の言葉が本物なら、今回の相手はAIDAを超える未知の敵。
そんなものが出現したことに、その場に居た誰一人、声を発することは出来なかった。


[No.304] 2007/03/04(Sun) 00:55:05
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