[ リストに戻る ]
No.698に関するツリー

   .hack//Friend - 司楚 - 2007/05/02(Wed) 10:53:29 [No.698]
第18話 あちらの動き - 司楚 - 2007/10/22(Mon) 10:54:25 [No.963]
第17話 WP回収 - 司楚 - 2007/09/22(Sat) 19:15:43 [No.930]
第16話 意味不明 - 司楚 - 2007/08/29(Wed) 10:59:58 [No.906]
第15話 特訓 - 司楚 - 2007/08/12(Sun) 19:00:01 [No.888]
第14話 出場メンバー - 司楚 - 2007/08/09(Thu) 19:53:11 [No.879]
第13話 アリーナ - 司楚 - 2007/07/31(Tue) 18:47:33 [No.868]
第12話 顔合わせ - 司楚 - 2007/07/11(Wed) 18:37:55 [No.830]
第11話 調査開始 - 司楚 - 2007/06/25(Mon) 18:20:06 [No.798]
第10話 恩返し - 司楚 - 2007/06/22(Fri) 17:37:15 [No.794]
第9話 便利屋 - 司楚 - 2007/05/27(Sun) 20:55:30 [No.764]
第8話 PK? - 司楚 - 2007/05/22(Tue) 17:49:16 [No.760]
第7話 放浪AI - 司楚 - 2007/05/20(Sun) 10:17:27 [No.747]
第6話 彼らもログイン - 司楚 - 2007/05/08(Tue) 18:01:30 [No.730]
第5話 変なPC - 司楚 - 2007/05/04(Fri) 20:29:12 [No.722]
第4話 リアル - 司楚 - 2007/05/04(Fri) 12:16:05 [No.721]
第3話 黄昏の碑文 - 司楚 - 2007/05/03(Thu) 21:07:35 [No.720]
第2話 初PT - 司楚 - 2007/05/02(Wed) 14:33:33 [No.700]
第1話 The World - 司楚 - 2007/05/02(Wed) 12:04:45 [No.699]



並べ替え: [ ツリー順に表示 | 投稿順に表示 ]
.hack//Friend (親記事) - 司楚

司楚でございます。
また小説を書かせて頂きます。
また書くんかい!という突っ込みは無しの方向でお願いします。

諸注意

本作は前に書いていた.hack//G.U. 終ワラナイ黄昏のさらに後の話で、シュウが主役の話です。

誤字・脱字があるかもしれません。

作者は限りなく文章力がございません。

ハセヲ達はあまり出ません。(あくまで「予定」であり、作者の都合や気分によっては出てくるかもしれません(ぇ)

上記の事がご配慮頂ける方はご観覧下さい。


[No.698] 2007/05/02(Wed) 10:53:29
第1話 The World (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

ハセヲ達がAIDAとクビアを倒した後。

ここは何の変哲も無い病院の個室である。
入り口の辺りにプレートが掛かっている。

『117号室
 江崎 修也 様』
ベッドに寝ているのはプレートに書かれている人物、江崎(えざき)修也(しゅうや)である。
年は13歳。10歳まで親に虐待を受けていたが、近所の人がたまたま現場を目撃し、通報したため両親は逮捕され、彼は親戚の三谷家に引き取られていた。
彼はネットゲーム「The World」をプレイ中に意識を失い、こうして病院にいるのである。
修也「ぅ・・・ぅん・・・」
修也は1、2週間ぶりに目を覚ました。
近くにいた医師が慌てだし、部屋から出て行った。
しかし、修也本人は何故こうなっていたのか全く覚えていないのである。
ついでに言うなら、修也はハセヲのようにThe Worldに関する部分の記憶が完全に無くなっていた。
修也「・・・・・・?」
それから少しして、病室に看護師に加え、4人ほど人が入って来た。2人は30代くらいの男女で、もう2人は7歳くらいの男の子と女の子である。
その4人に修也は見覚えがあった。自分がお世話になっている三谷家の人である。
その4人に連れられて、修也は病院を後にした。
帰る途中に何を話したか修也は覚えていない。どうということの無い会話だった様だが。
家に帰り、自分の部屋に入った修也は机の上に置いてあるM2Dを見つけた。
修也(・・・?何だろ、これ。これの事だけ思い出せない・・・)
修也はパソコンを起動してみた。
何の変哲も無いデスクトップで一つのアイコンに目が止まる。

『The World』

修也は無意識に起動していた。
PCエディット画面に進む。
机に置いてあった説明書を見ながらPCを作成していく。
職業は双剣士。
名前入力の画面に移る。
修也「僕の名前の上の部分でいっか・・・」
PC名の入力を済ませた。
PC名は・・・『シュウ』。
彼には知るよしも無かったが、作ったPCはかつて使っていたPCと全く同じ姿、名前である。
「修也」は「シュウ」になり、The Worldにログインした。

シュウ「すごいな〜。」
入ってみて驚いた。
グラフィックが凄く綺麗である。
辺りをキョロキョロ見回していると1人のPCが近づいてきた。
腰より下の部分がスカートの様になっている濃い緑の服の中に白い長袖シャツを着た様な服そうで、黒っぽいズボンをはいている。
靴は冒険にでも行くような探検靴。
銀色に近い色の髪で七三分けになっている。
そして目つきはちょっと鋭い。
欅の鎌の様に腰の辺りに横向きに剣が付いている。
結構手が込んでるなぁ、と思った時、そのPCは突然、ぶっきらぼうに話しかけてきた。
「お前、初心者だろ?」


[No.699] 2007/05/02(Wed) 12:04:45
第2話 初PT (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

いきなり声をかけられてシュウは戸惑った。
それもそうである。彼は両親の虐待の影響で三谷一家や限られたほんの一握りの友達としかまともに話した事がないからである。
そんな事は知らんと言わんばかりにその少年PCは話を続ける。
「動きがぎこちないし、キョロキョロしてるから誰が見てもすぐ分かるぞ。」
その少年PCからしてみればごく普通に話しているつもりだろうが、未知の世界でしかもロクに話した事の無いシュウを怖がらせるには十分すぎる力を持っていた。
シュウはとにかくこの場を離れたかったので、何とか目の前の少年PCをやり過ごそうと思った。
シュウ「ぼ・・・俺は初心者じゃ・・・」
その先を言おうと思った時、急にその少年PCの後ろから声がした。
「何してるんだ、お前は!」
今度は少年PCの方がビクッとした。
後ろにいたのは女のPC。20歳くらいの身長で、腰の辺りまで白い髪が伸ばしてあった。
海賊のような格好でドクロのマークの入ったタオルを頭に巻き、帽子のようにしている。
「何って、こいつ初心者みたいだし・・・」
少年PCが喋ってるのを遮り、女PCは喋る。
「それならそれなりの喋り方があるだろう。お前のはハタから見ると突っかかってるようにしか見えない。」
男勝りな声と口調で少年PCを言い伏せた後、女PCはシュウの方に向き直った。
「私の連れが失礼した。ところで君は初心者なのか?もしそうなら私達が色々と教えてやるが。」
シュウは少し考え込んだ。
不信感が拭いきれた訳ではない。でも本当に教えてくれるなら断るのは悪い。
色々悩んでシュウが出した答えは。
シュウ「・・・・・・・・・お願いします。」
その答えに女PCはフッと笑った。
「決まりだな。そうだ、メンバーアドレスを渡さなくてはな。」
まず少年PCの方がメンバーアドレスを渡してきた。
シュウ「なんて読むんだ・・・?」
操蛇「そうだ、だ。」
「PCエディットしている時に飲んでいた飲み物を当て字にしたらしい。」
女PCが微笑みながら言い、自分のメンバーアドレスも渡してきた。メリアという名前のようだ。
シュウ「ありがと・・・」
説明書を見ながら自分も2人にメンバーアドレスを渡す。
パーティー欄から2人の名前を選び、パーティーを編成した。
メリア「エリアワードは・・・そうだな、
    Δ 生まれ行く 一対の 片割れ にしよう。」

―Δ 生まれ行く 一対の 片割れ―

操蛇「ちゃっちゃと行くか。」
メリア「待て、操蛇。彼に操作法を教えるんだろう。」
いきなり行こうとする操蛇をメリアがたしなめる。
操蛇「わ、分かってますよ。とりあえずモンスター探さないと。」
メリア「お前がわざわざ行かなくてもすぐに見つかる。」
メリアの言うとおり、少し行った所にモンスターはいた。
メリア「よし、シュウ。見つかってない状態で近づいて不意打ちをするんだ。」
シュウは言われたとおりに不意打ちを決めた。
ゴブリンが突撃を喰らい、吹っ飛んだ。
途端に周りにバトルフェンスが展開し、操蛇とメリアも武器を出した。武器からして2人共斬刀士のようだ。
メリア「スキルを撃ってみろ。」
少し戦ってからメリアが言った。
シュウは言われたとおりにスキルを放った。
シュウ「疾風双刃!」
シュウのスキルでゴブリンが1匹倒れた。
他のゴブリンは操蛇とメリアが1匹ずつ既に倒していたのでバトルが終了し、経験値とGPが入った。
操蛇「GPっていうのはお金だ。敵を倒したり、いらないアイテムを売ったりする事で手に入る。」

とまあこんな感じでシュウは2人からの指導を受け、シュウ達は獣神殿まで辿り着いた。
宝箱を開けると中身は今よりちょっとレベルの高い防具だった。
メリア「これがこのゲームでの基本的な遊び方だが、他の楽しみ方をしている奴もいる。どう遊ぶかは人次第だ。」
操蛇「外にプラットホームってあっただろ?あれを使ってタウンに戻るんだ。」
シュウ「あ、ありがと・・・。」
メリア「礼はいらん。こちらから持ちかけた話だしな。」
そしてシュウたちが外に出ると、そこには10人くらいのPCがいた。
シュウ「?」
特に気にとめず、プラットホームに行こうと思ったが、そのPC達が立ちはだかった。
メリア「こいつら・・・PKか。シュウ、下がっていろ。」
メリアはシュウに促した。シュウはとりあえず後ろに下がる。
PK1「いっひっひ・・・3人も初心者が来たな。」
PK2「おいそこの3人、レアアイテムよこしたら見逃してやるぜ。って始めたばっかじゃ持ってねえか・・・w」
PK3「じゃあ、殺しちまうか!」
PK3は大剣を出し、操蛇に向けて振り下ろした。
操蛇「フン!」
操蛇は刀剣でそれをあっさり弾いた。
次の瞬間、PK3は操蛇の刀剣に斬られ、死亡表示になった。
PK2「な、何だ!?」
そう言った時にはメリアの抜刀で近くのPKが切り倒されていた。
PK1「な、何もんだ、おめえら・・・」
PK1は動揺を隠し切れない。当然である。初心者と思って襲ったPCにほとんどの仲間がやられたのだから。
メリア「PCをターゲットすれば名前くらい出るだろう。」
そう言われ、PK1は操蛇とメリアをターゲットする。
PK1「操蛇と・・・メリア・・・!」
PK2「操蛇とメリアって、あのPKKコンビのか!?なんでそんな奴らがΔサーバーにいるんだ!?」
PK1「くそ、覚えてやがれ!」
PK1とPK2は近くのプラットホームで逃げていった。
シュウ「????」
シュウにはもはや何がなんだか分からなかった。
メリア「訳は後で話す。とりあえずここを出よう。」
3人はプラットホームでエリアを出た。


[No.700] 2007/05/02(Wed) 14:33:33
第3話 黄昏の碑文 (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

シュウ達はマク・アヌに戻ってきた。
メリア「ここで話すのも難だ。「あそこ」で話そう。」
そう言ってメリアはエリアワードを入力していく。
エリアワードは、Δ 隠されし 禁断の 絶対城壁。

Δ 隠されし 禁断の 絶対城壁
 モーリー・バロウ城砦

シュウ「なんだ、ここ・・・?」
転送されてきた場所は先が見えないほどの高さの城壁が立っている崖であった。
モンスターもおらず、何か特別なイベントが起きる訳でもない。
メリア「ここは喪失の地・・・ロストグラウンド。」
シュウ「ロストグラウンド・・・?」
操蛇「R:1の時代からずっと存在している特殊なエリアだ。」
操蛇はそう言うと腰についてる剣を抜き、近くに浮いてる光の玉の様なものを追い払うように剣を振りだした。
シュウ「R:1て、昔のThe Worldの事か?」
メリア「そうだが・・・その言い方だと詳しくは知らないようだな。」
息をつくと、メリアは喋りだした。
メリア「このThe Worldは「黄昏の碑文」という叙事詩を元に作られている。」
シュウ「ジョジシ?」
メリア「簡単に言えば、小説のようなものだ。それを元にこの世界は構成されている。そして、この世界にはThe World自身が生み出した黄昏の碑文に関係する存在がある。」
シュウ「The World自身が生み出すって・・・。これネットゲームじゃん。そーいうイベントなのか?」
メリア「・・・皆、最初はそういうものだ。私や操蛇だって、最初はそう言って笑った。これを見つけるまではな。」
メリアはそう言い、あるアイテムを使った。すると画面が暗くなり、ログに文字が表示される。

死の影を持ちし者スケィス。
その力を振るい、立ちはだかる者を掃討す。
幻影を操る者イニス。
その力を振るい、敵を惑わす。
増殖たる者メイガス。
その力を振るい、傷つく仲間を癒す。
未来を告げる者フィドヘル。
その力を振るい、行くべき道を示す。
策をめぐらす者ゴレ。
その力を振るい、敵を追い詰める。
誘惑する者マハ。
その力を振るい、甘き罠にて敵を欺く。
復讐する者タルヴォス。
その力を振るい、過酷なる試練を課す。
再誕たる者コルベニク。
その力を振るい、自らと引き換えに世界を再誕す。
そして強い光の影、
隠されて在りし者クビア。
勇者は全てを打ち倒し、英雄は全てを喰らうことで黄昏を薄明へと変えた。

画面が再び元に戻った。
メリア「このアイテムを、ある白い部屋で見つけた。その部屋は椅子と机が置いてあるだけの変なエリアだった。」
操蛇「それを手に入れてから気になって調べたんだが、関係は分からないが、第2次、第3次ネットワーククライシスが起きる度にThe Worldである噂が飛び交った。」
シュウ「ある噂って?」
メリア「意識不明者・・・イリーガルなモンスター・・・そして、それらに立ち向かう者達・・・。」
シュウ「ふーん・・・ファンタジーみたいだなぁ。」
あまり興味無さそうな反応をするシュウだが、内心はとても気になっていた。
シュウはついさっきまで意識を失っていた。その理由も分からず。
そしてThe Worldに関する記憶は現在無い。
何よりさっきのアイテムを使った時の「クビア」という部分に何ともいえない懐かしさを感じた。
メリア「私達はそのことを調査している。そんな私達の事を笑い、ちょっかいを出してくるPKが後を絶たなくてな。」
操蛇「邪魔だからちょっかい出してくる度に倒してたら、いつの間にかPKKコンビなんて言われるようになったんだ。」
シュウ「ふーん・・・」
メリア「君はこの話に今は興味は無さそうだな。・・・おっと、調査しているほかの仲間からの連絡だ。私達はこれで失礼する。」
操蛇とメリアはプラットホームを使ってタウンに戻った。
シュウも遅れて戻った。
違うタウンにすぐ転送したのか、戻ったときには操蛇とメリアの姿は無かった。
シュウ「どうしよっかなぁ・・・」
少しブラブラしようかと思った時、リアルで部屋の外から男の子の声がした。
「しゅーにーちゃ−ん、ちょっと来てー。」
その声を聞いて、シュウはセーブをし、今日は落ちる事にした。


[No.720] 2007/05/03(Thu) 21:07:35
第4話 リアル (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

「シュウ」はログアウトし、「修也」に戻った。
修也が部屋のドアを開けると、男の子と女の子が立っていた。
名前は、男の子の方が三谷 孝太。
女の子の方が三谷 莢。
双子で7歳。二人とも数日後に8歳の誕生日を迎える。
修也とはいとこの関係だが、年上の修也の事を「しゅーにーちゃん」と呼んでおり、実の兄のように思っている。
修也「どうしたの?」
考太「ご飯なのにクルがいないの。一緒に探して。」
クルとは、三谷家で飼っているカラス(!)である。
修也が8歳の頃に元の家の裏手で見つけたひなを親に内緒でこっそり飼っていて、三谷家に移った時に正式にペットとなったのである。
カラスだがおとなしく、育てて貰った修也にとても懐いている。
なので、エサをやる時などはだいたい修也が探す役である。
もっとも、修也が呼べば向こうから来るのでそれほど手間はかからないのだが。
修也「分かったよ。」
修也は部屋から出て、ピーッと口笛を吹いた。
するとどこからかバサバサと羽音を立てて、カラスが飛んで来た。
カラスは修也の肩に乗り、頭を摺り寄せている。
考太「しゅーにーちゃんいいなあ。クルと仲良くて。」
莢「コー、早くクルにエサあげよ〜よ。」
莢は考太の事を「コー」と呼んでいる様だ。
考太「そーだね。クル、ご飯だよ〜。」
考太はそう言うとパンきれを出した。
考太がパンきれを投げると、クルはバッと修也の肩から飛び立ち、パンきれを空中でキャッチする。
莢「すごいすご〜い!」
二人がはしゃいでいるのを尻目に修也はまたThe Worldを起動しようとした。
そこにエサをあげ終えた考太達が近づいてきた。
考太「しゅーにーちゃん、それなあに?」
修也「これ?ゲームだよ。」
莢「莢知ってる。ざ・わーるどっていうゲームでしょ。」
莢は結構ニュースなどを見ているため、この手の事はそこそこ詳しかった。
修也「へえ、知ってるんだ。」
考太「そういえば、しゅーにーちゃんはそれやってて倒れ・・・」
莢「コー!!」
考太が話そうとしたのを莢が止めた。
修也がThe Worldをやって意識不明になった事は家族間で内密にしているのである。
修也「どかした?」
修也には聞こえなかったようだ。
莢(コー、それいっちゃだめってお父さんもお母さんもいってたじゃん!)
考太(そうだった、ごめんね、莢。)
莢「それはそうとしゅーにーちゃん、それ面白い?」
修也「面白いけど?面白くなきゃやらないよ。」
莢「そっか。んじゃ、今度の誕生日に莢も買ってもらおっと!」
考太「じゃあぼくも!」
またはしゃぐ二人を無視し、修也はログインした。

同じ頃The Worldでは。

Θ 隠されし 禁断の 古戦場
コシュタ・バウア戦場跡

三爪痕の傷跡の辺りに3人のPCがいる。
2人は操蛇とメリア。
もう一人は少年で天然パーマに近い髪型で白く、身長は14歳位で服装は学生服の下に着る襟付きの長袖Yシャツ、歩きにくそうなくらい長いズボンで、両方とも少し濁った白のような色である。
口火を切ったのはメリアである。
メリア「君の方から連絡がくるとはな。何か分かったのか?」
少年PCの方を向いて言った。
今度は少年PCの方が話し出した。
少年「ええ。7年前の事件、私なりに調べてみました。すると、どうやら貴方達の持つアイテムに記されているスケィス、イニス、メイガス、フィドヘル、ゴレ、マハ、タルヴォス、コルベニク、クビアの名前を持つモンスターがいたそうです。それらの他にウイルスバグという倒せないモンスターがいたそうで、いま言った中のどれかに倒された者は意識不明になったようです。」
操蛇「凄いな・・・。どうやって調べたんだ、そんなの。」
少年「私は仮にも周りから「情報屋」や「便利屋」と言われているんですよ。それなりに顔が広いんです。」
少年は苦笑いしながら言った。
メリア「顔が広い、か。確かにな。その情報はまた『王』とやらから得たのか?」
少年「はい。彼は気に入った相手には非常に協力的ですから。」
そう言い、少年はテキストデータを2人に渡した。
メリア「これが・・・。」
少年「ええ、7年前にこの世界にあった碑文の断片のスケィス達、この書記では「波の先駆け」と記されているもののテキストのコピーです。」
メリア「さすがだな、便利屋。君が協力してくれて助かるよ。」
少年「私は貴方達が探すものに興味があります。助力は惜しみませんから、何か分かったら連絡してください。」
そう言って少年PCはエリアを出た。
少し後に操蛇とメリアもエリアを出た。


[No.721] 2007/05/04(Fri) 12:16:05
第5話 変なPC (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

修也は再びThe Worldにログインしていた。
シュウ「どうしよっかなぁ・・・。」
とりあえずレベル上げをしたいのだが、パーティー欄をチェックすると操蛇もメリアも忙しいようで、PTに加わってくれそうに無かった。
レベル1でソロはさすがにまずいので、タウンでもぶらつこうかと思ったが、ドーム内で1人のPCに目が止まった。
そのPCはシュウと同タイプのPCだが、ボディのあちこちが破損しているような感じで、節々に包帯のようなものが巻きつき、バラバラにならないように繋ぎ止めているような感じであった。
シュウはそのPCに何か不思議なものを感じ、声をかけてみた。
シュウ「あ、あのさ・・・。」
どう声をかければいいのか思案している内にいつの間にか声をかけていた。
「・・・・・・・・・」
そのPCは虚ろな目でシュウの事を見てきた。
シュウ「あ、えーと・・・その・・・一緒にエリア行かない?」
余りにも単刀直入な一言である。
シュウは内心断られると覚悟していた。
「・・・いいけど。」
そのPCは意外とあっさり聞き入れてくれた。
メンバーアドレスの交換をした。
そのPCの名前は「セグメント」。
すぐにPTを組んだ。
シュウ「エリアどうする?」
そういうとセグメントはエリアワードを入れていった。
セグメント「・・・・・・ここがいい。」
エリアワードはΔ 生まれ行く 禁断の 破片。
エリアレベルは3。大して高く無いのでいってみる事にした。

―Δ 生まれ行く 禁断の 破片―

そこは夜のエリアで虫の鳴くような声がBGMの静かなエリアであった。
シュウ「それじゃ、行こうぜ。」
シュウが歩いていく後ろをセグメントは付いていく。
モンスターを見つけたシュウはメリアに教えて貰ったように不意打ちをした。
バトルフェンスが展開され、セグメントも武器を出す。
セグメントの職業もシュウと同じ双剣士だった。
バトル開始とともにいきなりセグメントがスキルを放った。
セグメント「・・・天下無双飯綱舞い。」
その一撃で不意打ちで遠くに飛んでいったモンスター以外は1ヒット4桁のダメージで即死してしまった。
シュウは唖然としていた。
シュウが唖然としている内に最後のモンスターもセグメントの双剣の一振りで即死した。
シュウ「すっげぇ・・・・・・。」
シュウは気になってステータスを見た。
するとどうだろう。セグメントのレベルは170。装備している双剣は痛式・影光という聞いた事も無い双剣である。
セグメント「速く行こう・・・。」
ポカーンとしているシュウをセグメントが促す。
シュウ「え、あ、ああ。」
とりあえず先に進む事にした。
セグメントの脅威的なレベルのお陰で全く苦労せずに証の欠片を回収し、獣神殿に行った。宝箱の中身は装飾品だった。
シュウ「よし、帰ろうぜ。」
そう言ったがセグメントは動かない。
セグメント「・・・あっち。」
セグメントは壁を指差した。
シュウ「は?」
そう言ったものの、気になったので指差した方に行ってみた。
シュウ「え・・・!?」
壁に触れたPCはすり抜けていた。
気になり、壁の方に思い切りスティックを倒してみた。
すると壁をすり抜け、どこかに転送された。

少しするとシュウとセグメントは白い空間に立っていた。
机と椅子があり、ベッドが置いてある。
丁度修也の部屋と同じ感じである。
目の前に宝箱がある。
といっても普通の宝箱ではなく、ほこりっぽくて錆びた色をしている。
シュウは開けてみた。
ギギィーッという嫌な音と共に宝箱が開いた。
画面が暗くなり、ログに文字が表示された。

影は汝と一対。
断片的な影は汝にとって友となり、完全な影は汝にとって大切な存在になる。
汝は影を護り、影は汝を護る。
一方でも欠ければ先に待つは破滅。
汝、影と共に光を探す。
影が消えぬ光を求めて。

『影の断片を手に入れた。
 碑文の断片を手に入れた。』
シュウ「影の断片・・・?」
セグメント「・・・ここが見せたかった。ここは僕の気に入ってる場所。僕の隠れ家なんだ・・・。」
シュウ「隠れ家?」
セグメント「ここなら、誰にも否定されない。誰にも傷つけられなくて済む・・・。」
シュウ「そう・・・なんだ。でも俺は君を傷つける気は無い。だから、さ・・・。また一緒に冒険しない?」
セグメント「え・・・・・・?」
シュウ「友達いないんだろ?じゃあ俺とさ、友達にならない?」
セグメント「友達・・・僕と・・・本当に?」
シュウ「ああ!また一緒に、遊ぼうぜ!」
その時のセグメントの顔はとても輝いていた・・・様な気がした。
セグメント「・・・うん!僕たち、友達!」
シュウは昔を思い出していた。
三谷家に初めて来た時、ずっと塞ぎこんでいた自分を。
考太や莢が話しかけてくれなければ自分は何をしていたんだろうとふと考えたりもする。
シュウ「じゃあ、今日は帰る。また明日な!」
セグメント「うん。またね。」
シュウはタウンに戻り、セーブしてログアウトした。


[No.722] 2007/05/04(Fri) 20:29:12
第6話 彼らもログイン (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

セグメントに会って数日。
学校から帰ったら毎日のようにセグメントと冒険し、シュウのレベルは20を超えていた。

ここは修也が通っている中学校である。
6時限目が終わり、もうすぐ下校である。
「江崎、一緒に帰らないか?」
声の主は河島 広輝。修也が三谷家の人以外で心を開いている数少ない人間の一人である。
修也「うん、いいけど。」
「二人とも〜、私も誘ってよね〜」
こっちの声の主は木戸 景子。河島と同じく修也が心を開いている数少ない人間である。
彼らは家の方向が一緒なのもあっていつも一緒に帰っている。
帰り道、3人は他愛も無い会話を交わしていた。
木戸「考太君と莢ちゃんは元気なの?」
修也「うん、いつもと変わらず。」
河島「今度の休みにでも江崎の家いこっか。」
修也「別にいいけど。」
こんな、3人以外はどーでもいい会話を交わしている時、河島が修也にある質問をした。
河島「江崎、お前The Worldやってる?」
修也「いや、別に。」
ちなみに修也は特に深い理由は無いものの、2人にはThe Worldをやっている事を隠している。
河島「江崎もやってみなよ。面白いぞ。」
木戸「河島君、江崎君はあまり人と関わりたがらないこと、もう忘れちゃったの?」
河島「そうだったっけ?」
2人がペチャクチャ話しているのを聞きながら、修也は思った。
修也(The Worldでなら、少しは人と関われてるのかな・・・?)
そうこうしている内に、修也の家の前に着いた。
修也「じゃ。」
河島「じゃなー」
木戸「また明日ね。」

修也は家に帰ってとりあえず部屋着に着替えた。
着替え終わるとほぼ同時に考太達の呼ぶ声がした。
修也「なに?」
考太「しゅーにーちゃん、The Worldのやり方おしえてよ〜。」
その言葉で修也は2、3日前に考太と莢が誕生日を迎えて、The Worldのプレイ道具一式を買ってもらっていたのを思い出した。
修也「ああ、分かったよ。」
それから修也は2人のユーザー登録を済ませ、PCエディットの仕方を簡単に教えた。
考太も莢も説明書とにらめっこしながらPCをエディットしていった。
そして30分後。
考太と莢もThe Worldにログインした。
考太のPCは撃剣士で名前はリアラ。
莢のPCは魔導士で名前はメイである。

マク・アヌに入った2人をシュウが待っていた。
シュウ「こっちでは初めまして、だね。リアラ、メイ。」
シュウは2人のPCをターゲットし、名前を確認した。
リアラ「しゅーにーちゃん?」
メイ「PC名はシュウ、かぁ。じゃあしゅーにーちゃんのまんまでいい?」
シュウ「うん、別にいいよ。」
シュウはこの2人の前ではとりあえず素の自分でプレイする事にした。
シュウ「とりあえず、PT組んでエリア行こっか?」
リアラ「うん!」
メイ「えと、メンバーアドレス、と。」
シュウは2人とメンバーアドレスを交換し、PTを組んだ。
適当なレベル1のエリアを作り、そこに転送した。

シュウ「ここがエリアだよ。この場所は洞窟だけど、ワード次第で色々なエリアが作れるんだ。」
それから、とりあえずシュウは自分が操蛇とメリアから教わったのと同じように、リアラとメイに戦闘システムなどを教えていった。
リアラ「こらんしゅう!」
メイ「バクドーン!」
最後のモンスターを倒した時には、リアラとメイのレベルは1ずつ上がっていた。
獣神像のアイテムを手に入れて、エリアから出た。

リアラ「楽しかったぁ!」
メイ「このゲーム面白いね!」
喜ぶ2人を見て、シュウはまんざらでも無い気分になっていた。
修也が時計を見ると、9時を回っていた。
シュウ「今日はもうやめよっか。しっかりセーブしなよ。じゃ、おやすみ。」
リアラ&メイ「おやすみ、しゅーにーちゃん!」
シュウ、リアラ、メイはセーブを済ませ、ログアウトした。



※リアラの技名が平仮名ですが、仕様です。


[No.730] 2007/05/08(Tue) 18:01:30
第7話 放浪AI (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

修也は今日は朝からログインしている。
今日は休日ではないが、修也の通っている学校の方の都合で今日は休みになっている。
平日の朝でもそれなりにPCがいることから、よほどの暇人が結構いるのだろう。
シュウはPT欄を開いた。
リアラとメイは小学校があるため当然オフライン。
操蛇とメリアはThe Worldにいるようだが、忙しいらしい。
シュウ「やっぱ、あいつかな。」
シュウはPT欄からセグメントの名前を選び、ショートメールを送った。
セグメントはいつもThe Worldにいる。
少なくともシュウがログインしている時間帯はいつもいる。
シュウがメールを送って数分後、セグメントがやって来た。
セグメント「や。・・・ふわぁ〜・・・」
転送されてきたセグメントは軽く手を上げて挨拶した。
それとほぼ同時に大きなあくびをした。
シュウ「さっき起きたばっかなのか?」
シュウがそう聞くと、セグメントはまた一つあくびをした。
セグメント「うん。というより、メール貰って起きたんだよ。」
頭をかきながらセグメントは言った。
シュウは「寝落ちしてたのか?」と聞こうと思ったがやめておいた。
まあもっとも、寝落ちしたところでレベル170のPCを襲う奴なんてそうそういないのだろうが。
セグメント「いこっか。」
シュウ「ああ。」
シュウとセグメントはPTを組み、適当にワードを作りエリアに行った。
2人が言った後、近くにいたPCが何やら連絡していた。
「はい。発見しました。3部隊を向かわせてください。」

シュウ「こいつら、こんな弱かったっけ?」
シュウはモンスターをあっさり倒してしまったため言った。
セグメント「シュウが強くなったんだよ。」
シュウ「そーか。」
エリアレベルは17。シュウのレベルは21なのであっさり倒せるのは当然といえば当然である。
モンスターを軽くあしらい、先に進んでいくと、10人位のPCがいた。
シュウ(前にも似たような事があったような・・・)
嫌な予感がしていた。
「お前達、ちょっと待て。」
予感的中。そいつらの内の1人が声をかけてきた。
「そっちのPC。お前はチートPCだな。」
そいつはセグメントの方を向いていった。
セグメント「・・・?」
セグメントは言っている意味が分からない、といった顔をしていた。
「とぼけるな。お前のPCは正規の物ではない。」
セグメント「あんた誰・・・?僕に何の用・・・?」
セグメントはその虚ろな目で相手のPCを見つめた。
レイ「俺はレイ。CC社のデパッグチームの3部隊長だ。」

※この話ではCC社のデパッグチームは10部隊編成で、番号が若い方が身分が上です。

セグメント「あのさ、僕はチートなんかしてないし、なんか悪い事した覚えだってないよ。」
しかし、レイは言った。
レイ「チートしてない?お前さては、放浪AIだな!?」
また訳の分からない言葉が出てきた。セグメントはもう話す気すら起こらなくなった。
セグメント「あんた嫌い。どっかいって。」
そう吐き捨てるように言い、プラットホームの方に向けて歩いていった。
レイ「逃がさん。」
レイは後ろ向きのセグメントを刀剣で背中から斬りつけた。
セグメント「痛いよ!」
セグメントが大きな声をあげ、即座に後ろを振り向いて双剣の溜め攻撃を当て、レイを吹っ飛ばした。
レイ「レベルは高いな。だが放浪AIを逃がすわけにはいかん。」
そう言ってレイは武器を変えた。
レイ「デパック用の武器。これで斬ればお前は終わる。」
新しい刀剣は何やら光を帯びている。
レイはセグメントに斬りかかった。
シュウ「やめろぉ!」
近くにいたシュウが双剣でレイを斬りつけた。
レイ「ええい、邪魔をするな!」
レイがシュウを斬りつけようとしたとき。
セグメント「・・・やめろよ。」
セグメントが今まで聞いた事も無い冷たい声を発した。
次の瞬間、レイの体をセグメントの双剣が貫いていた。
レイ「なっ・・・!?」
一撃でレイのHPは無くなり、死亡表示になって消えた。
セグメントは他のデパッカーの方を睨み、襲い掛かった。
数秒後、セグメントとシュウ以外のPCは全滅していた。
シュウはさらに数分間たった後、恐る恐る聞いてみた。
シュウ「な、なあ・・・。お前って・・・リアルはあるのか?」
セグメントは少したって口を開いた。
セグメント「僕にとってのリアルはここだよ・・・。」
そう言ってセグメントは近くの岩に座り込んだ。
シュウ「そうか・・・。」
セグメント「黙っててごめん・・・言う機会が無くって・・・。」
消え入るような声でセグメントは話している。
シュウ「な〜に言ってんだよ!俺はお前が放浪AIでもかまわね〜っての!」
シュウはセグメントの背中をバンと叩いて言った。
シュウ「俺達友達だろ?友達にAIも人も関係ねえって。」
セグメント「ありがとう・・・シュウ。」
シュウとセグメントはプラットホームでエリアから出た。
その様子を遠くから見ているPCが2人いた。
片方は白毛のびょうきを人型にして、紫のコートを着たようなPC。
もう片方は風船にピエロのメイクをして、手袋と長靴をつけただけのPC。
二人ともチートPCである。
「キキキ・・・面白そうなことになってきたなあ、オイ。」
猫のようなPCの方が風船ピエロに話しかけた。
「ひょひょひょ。久しぶりに退屈しないですみそうですねんw」
ピエロのようなPCがふざけた声と口調で言った。
二人ともプラットホームを使わずに転送していった。


[No.747] 2007/05/20(Sun) 10:17:27
第8話 PK? (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

あくる日。今日はリアラとメイが2人でインしている。
シュウはまだ学校に行っている。
リアラ「どおしよっか?」
メイ「とりあえずエリアいこっ。」
2人のレベルは現在3。
それほどレベルの高いエリアには行けないのでエリアレベル2のエリアに向かった。
リアラ「こらんしゅう!」
メイ「バクドーン!」
2人はスキルを乱発し、モンスターを倒していく。
でもレベルが低い時にスキルを乱発していると・・・・・・・・・

リアラ「わあああああああああ!!!」
メイ「きゃああああああああ!!!」
後々逃げまくる羽目になる。

30分後。
リアラ「ぜぇぜぇ・・・・・・」
メイ「はぁはぁ・・・・・・」
2人はプラットホームを見失った挙句、疲れるほど絶叫しながらガンガン奥に突っ走ってしまっていた。
リアラ「ここどこ〜?」
メイ「知らないよ〜。」
2人はほぼ最奥地まで来ていた。
と、そこにあったのは。
メイ「あれってバトルフィールドじゃない?」
リアラ「ほんとだ。」
2人の前にはバトルフィールドが展開されていた。
中の様子を見ると、斬刀士のPCが黒っぽい青色の少年PCを襲っていた。
少年の方は武器すら出していない。
リアラ「助けないと!」
メイ「待って!」
駆け込もうとするリアラをメイが止めた。
メイ「私達のレベルじゃ返って迷惑になるよ!それに・・・」
リアラ「それに?」
メイ「なんか様子が変だよ。」
バトルフィールドの中を覗いてみた。
斬刀士の方はシンという名なのは分かったが、少年PCの方は遠くて分からない。
しかし何よりも中の様子が変である。
シンが刀剣をブン回しているのに対し、少年はひたすら回避している。
それもとても楽しそうに。
シン「ちい、いい加減にしやがれ!!もう30分もそれじゃねえか!!!」
シンの方は相当イラついているようだ。
少年「30分も逃げてんだ。僕凄いな〜♪」
少年は見た目通りな声を上げて喜んでいた。
シン「てんめえええええ!!!!」
シンはまた刀剣を振り回す。
しかし少年の方は普通じゃない回避方法を連発していた。
走ってかわすのはもちろん、ピョンピョン飛び跳ねたり、挙句の果てには前転や側転で転げまわってかわしたりもした。
少年「そんじゃ、そろそろこっちも。」
少年は飛び込み前転で刀剣をかわし、横を転がっていった。
そしてすぐに立ち上がり、武器を出した。
その武器は最近のバージョンアップで新しく入った双銃である。
少年「たたたたた!!」
少年は双銃を乱射した。
しかしレベルの差か、1発5ダメージしか与えられなかった。
少年「あれ?効かないなあ・・・」
しかも双銃を撃つための隙ができてしまった。
シン「死にさらせぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
刀剣を構えたシンが一直線に突っ込んできた。
「やれやれ、まったく・・・。」
突然少年とシンの間に割って入った赤っぽい服のPCが手にしていた刀剣でシンを叩き切った。
与えたダメージは4000オーバー。
シンは一撃で死亡表示になり消えていった。
少年「ありがと〜、シリウス。」
少年は甘えたような声でシリウスと呼んだ赤い服のPCに近づいていった。
シリウス「まったく、お前という奴は・・・。いくらエリアレベルよりは全然高いといってもPKくらいはいるもんだと言っただろう。」
シリウスは呆れた声で少年PCに言った。
そこでリアラとメイを見つけた。
シリウス「お前らはさっきの奴の仲間か?」
静かに言い、刀剣を出した。
リアラ「え!!??」
メイ「ご、誤解です!!」
2人は全力で否定した。
少年「2人は違うよ。だってついさっき来たばっかだったし、ただ見てただけだし。」
その言葉にリアラとメイは驚いた。
確かに2人はPKと少年を見ていた。しかし今の言い方からして、少年の方も2人に気づいていたということになる。
シリウス「本当か?アクセルライン。」
シリウスは少年PCの名前を言った。
アクセルライン「だからさ、その言い方長いからやめてよ。アクセルかラインのどっちかでいいからさ〜。」
シリウス「名前自分でつけといて何言っているんだ、全く。」
軽く言い争った後、アクセルライン(以後アクセル)はリアラたちに近づいた。
アクセル「えと、初めまして。僕はアクセルライン。アクセルかラインでいいから。んでこっちがシリウス。超強いんだ。」
アクセルは簡単な自己紹介をしたあとメンバーアドレスを渡してきた。
リアラとメイもメンバーアドレスを渡した。
アクセル「もうちょっと行ったら獣神像だよ。そこまで一緒に行くかい?」
リアラとメイは承諾した。2人ではまた迷いかねないからである。
4人で向かう途中、アクセルは双銃をお手玉のようにして遊んでいた。
ちょっと行くと獣神像があった。
リアラが開けると、中身は少し強い大剣だった。
リアラ「ぼくもらっていい?」
全員承諾した。
取ってすぐにエリアから出た。
アクセル「暇があったら呼んでね。じゃ、よろしくね〜!」
アクセルとシリウスはドームから出て行った。
リアラ「楽しい人だったね。」
メイ「うん。」
PT欄を開いてアクセルのステータスを見てみた。
名前はアクセルライン。
職業は双銃士。
レベルは27である。
リアラ「ぼくたちよりも強いね。」
メイ「うん。」
2人はとりあえずセーブして落ちていった。


[No.760] 2007/05/22(Tue) 17:49:16
第9話 便利屋 (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

リアラとメイがアクセルラインとシリウスに会ってからさらに次の日。
修也は学校から帰宅してすぐThe Worldを起動した。
今日はなんとなくBBSを見てからインすることにした。
ざっとスレッドを見ていくと1つのスレッドに目が止まった。
タイトルは『双剣探してます』。
スレを立てた主は、なんとリアラ。
修也はとりあえずスレを全部表示した。

双剣探してます リアラ
LV20くらいの双剣を探しています。
情報を知っている人は教えて下さい。

Re:双剣探してます SRW
私は詳しく知りませんが、「ニア」という便利屋PCを探してみてはどうでしょうか?
一度会った事があるのですが、そのPCはThe Worldに関するあらゆる情報に詳しいです。
そのPCの特徴は、
・天然パーマに近い白髪。
・パジャマのような服装。
・銃戦士。
です。
場所はすいません、判りません。

便利屋なら・・・ し〜ふ
さっき、
Δ すすりなく 無償の 取引 で見かけました。
ちなみに便利屋さんは「取引」というワードが好きなようですw

スレはここで終わっている。
修也は多少急いでログインした。

ここで修也が帰ってくる少し前に時間を戻す。
考太と莢はし〜ふからのレスを見てすぐにログインした。
リアラ「はやくいこ!」
メイ「ちょっとまって!」
急ぐリアラをメイが止める。
メイ「エリアのレベルが結構高いみたい。2人じゃ簡単にやられちゃうよ。」
リアラ「でもしゅーにーちゃんには内緒だし、第一まだ学校だよ。この辺にいる人に頼む?」
メイ「ううん、もっと簡単な方法があるよ。」
そう言い、メイはPT欄を開き、アクセルラインの名前を選んだ。
数分後、アクセルラインが現れた。
アクセル「やあ。今日は何するんだい?」
メイ「ちょっと行きたいエリアがあるの。一緒に行ける?」
アクセル「OK。丁度ヒマだったんだ。行こう!」
アクセルラインのステータスが下に並ぶ。
リアラ「アクセルくんが一緒なら大丈夫だね。」
3人はエリアに転送した。

―Δ すすりなく 無償の 取引―

エリアレベルは19。
リアラは7、メイは6。
そしてアクセルラインは27である。
アクセル「僕が壁になるから2人はアイテムでの回復と、サポートお願い。」
リアラ「うん。」
メイ「わかった。」
戦闘はアクセルラインが前衛に立ち双銃を乱射、リアラは回復アイテムでアクセルラインの回復、メイは攻撃呪紋でサポート、という具合である。
思ったよりも速く、3階層についた。
入ってすぐバトルフィールドが展開されていた。
メイ「私達のレベルじゃ、助けにならないし・・・」
なんて事を言っていると、いきなり自分達もバトルフィールドに入れられた。
メイ「!?」
リアラ「てへへ・・・ごめん。触れちゃった。」
アクセル「・・・・・・・・・」
アクセルラインは両手でやれやれ、というポーズをした。
中にいたPCはPKに後一歩でやられそうになっていた。
PCの名前はフア。
PKの名前はシアン。
シアン「なんだなんだ!?すんごい増えたな!!」
フア「だ、誰か判らないけど助けて〜!」
メイ「・・・やるだけ、やろっか。」
メイは横目でリアラを睨みながら言った。
アクセル「そ、そうだね。」
アクセルラインも横目でリアラを見ながら言った。
リアラ「あ、えーと・・・とりあえず、やろっか。」
リアラも困りながらそう言った。
しかし、シアンのレベルはなんと45。
3人にも回復しながら逃げまくる位しか手段が無かった。
アクセル「逃煙球持ってない!?」
リアラ「あったら使ってるよお!」
メイ「アイテムも残り少ないよお!」
フア「ひい〜!」
シアン「・・・・・・なんなんだ、こいつら。」
シアンは持っている重槍を振り回しながら言った。
アイテムも尽き、HPももう余裕が無くなっていた。
そこにあるPCが来た。
「雷光閃弾!」
いきなり降ってきた銃弾をシアンが喰らった。
それもかなりのダメージである。
シアン「またかよ!?もう勘弁してくれ!!」
シアンは逃煙球を使ってどこかに行った。
リアラ「た、助かったぁ・・・」
メイ「やられるかと思ったよぉ・・・」
アクセル「あ〜、痛かったなぁ。」
フア「危なかった・・・・・・」
その場にぐったりする4人のそばに雷光閃弾を撃った銃戦士が近づいてきた。
銃戦士「大丈夫でしたか?」
銃戦士はかしこまったような態度で喋る。
リアラ「あれ?」
その銃戦士は天然パーマの様な白髪で、パジャマの様な白い服装である。BBSに書いてあった便利屋の特徴と一致する。
銃戦士「どうかしましたか?」
リアラ「あなたが、ニアさん・・・ですか?」


[No.764] 2007/05/27(Sun) 20:55:30
第10話 恩返し (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

ニア「はい、そうですけど?」
銃戦士は別に隠す気も無くそう言った。
ニア「フアさんですね。約束の品、持って来ました。どうぞ。」
そう言うとニアはプレゼントの画面を開き、フアに武器と防具を渡した。
フア「ほ、本当にタダでいいんですか?」
ニア「ええ。」
フアはペコペコ頭を下げながら転送していった。
リアラ「どういう約束してたんですか?」
ニア「武器と防具が欲しいって言っていたんで、探してあげたんです。」
メイ「さっきタダって言ってたけど、本当にそうなんですか?」
ニア「ええ。彼は私のリアルでの友人ですから。特別です。」
メイ「あの・・・実は・・・・・・。」
リアラ「ちょっと探し物があるんですけど、手を貸してくれませんか?」
リアラは用件をさらっと言った。
メイ(ちょっと、リアラ!こういうことはしっかり理由を言ってから・・・)
ニア「探し物は?」
ニアは2秒ほど考えてから言った。
リアラ「レベル20前後の双剣です。」
ニア「20前後の双剣・・・。ちょっと待ってください。」
ニアはアイテム欄を確認している。
ニア「はい、どうぞ。」
唐突に探し物だった双剣をプレゼントしてきた。
リアラ「え!?!?」
ニア「たまたまここに来る途中に手に入れました。そちらが探していたのもこれだったとは面白い偶然です。記念に差し上げます。」
メイ「あ、ありがとうございます。」
その時、ふと考太が時計に目をやると、もう修也が帰ってくる時間であった。
リアラ「さ・・・じゃなくてメイ、もうすぐしゅーにーちゃんが帰ってくるよ!」
メイ「えっ!ほんとだ!早く戻らないと!早くプラットホームまで行こう!」
ニア「待ってください。それならこれを。」
ニアは2人に導きの羽を渡した。
メイ「ありがとうございます!リアラ、いそご!」
2人は導きの羽を使い、プラットホームに戻り、タウンに戻って行った。
ニア「唐突で驚きましたよ、あなたが彼らの探し物を持っていて、しかも私にプレゼントをして彼らに渡させるなんて。」
ニアの隣にいるのはいつの間にかPTから抜けていたアクセルラインである。
アクセル「あの2人があれを探してたなんて知ったのはたったさっきだったんだけどね。それで持ってたから、あんたに渡したんだよ。」
ニア「どうして直接渡さなかったんですか?」
アクセル「なんか照れくさかったんだよね、渡すの。」
そう言って、アクセルラインはその場から離れようとした。
ニア「じゃあ、なんで渡そうと思ったんですか?」
その言葉に、アクセルラインは少し考えた後にこう言った。
アクセル「久しぶりで楽しかったんだよね、人と一緒に冒険するの。だからそのお礼だよ。」
そう言い残し、アクセルラインは普通とはあきらかに違う転送のされ方をしていった。


2人が戻ってくるのとほぼ同時にシュウがインしてきた。
シュウ「2人ともどうしたの?僕に黙って自分たちより相当レベルの高いエリアに行って?」
リアラ「えっとね、これ取ってきたの!」
そう言ってリアラはニアから貰った双剣をシュウに渡した。
シュウは相当驚いたようである。
シュウ「えっ、これって・・・。」
メイ「しゅーにーちゃんのレベルに合う双剣、探してたの。」
リアラ「ぼくたち、しゅーにーちゃんに頼ってばっかだから、恩返ししたくて。」
シュウ「2人とも・・・ありがとう。」
それから夜遅くまで3人で冒険し、気がつくと3人ともけっこうレベルが上がっていた。






―???―


何もない荒野のようなフィールド。
それは明らかに他のエリアとは違っていた。
その場所にアクセルラインが転送されてきた。
アクセル「あれ・・・・・・?どこかな、ここ・・・?シリウスたちの所に行こうと思ったのに・・・・・・」
もう一度転送しようとしたが、出来なくなっていた。
アクセル「うそ・・・!?な、何で・・・!?」
その時、突然目の前に白い石の巨大な人形のようなものが現れた。
手には十字架のような物を持っている。
アクセルラインは無意識に双銃を構えた。
アクセル「僕をここに転送したのはあんたか?どうしてそんな事したんだ?」
石人形は答えない。
アクセル「まあいいや。あんたを倒してここから出るだけだよ!」
その台詞と共に双銃を乱射しだした。
しかしその全てがまともに当たっているのに、ダメージは0。普通ならよほど距離を開けない限り、どれだけレベルに差があってもダメージがあるはずなのに、それが無い。
アクセル「おかしい・・・どうなってるんだ・・・!?」
石人形が近づいてきて、十字架でアクセルラインを吹っ飛ばした。
あっという間にアクセルラインのHPが瀕死になった。
アクセル「がっ・・・くっ・・・」
立ち上がったアクセルラインの後ろに十字架がやってきた。
十字架に磔にされて、石人形の腕の高さまで吊り上げられた。
石人形が腕を突き出した。その腕の周りに幾何学模様の腕輪が現れた。
その腕輪から光の槍が飛び、磔にされていたアクセルラインを貫いた。
アクセル「うああああああああああああああ!!!!!!」
アクセルラインは粒子状になってどこかに消えてしまった。


[No.794] 2007/06/22(Fri) 17:37:15
第11話 調査開始 (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

リアラとメイが双剣を手に入れたその日から1週間後。

ここはある養護センター。
親が死んだり、色々な事情があって行き場が無くなった子どもを引き取って育てている施設である。
最近この施設でもThe Worldが流行っており、預けられた子どものほとんどがやっている。

ガーッ。

外につながる扉が開いて人が2人入ってきた。
1人は少女で車イスに座っている。足を怪我しているようだ。
もう1人は少年で車イスを押している。片手で車イスを押し、その脇にポテチの袋を挟んでおり、もう片方の手でポテチを取って食べるという器用なことをしている。
その2人は受付に行った。
少女「沖野くんいますか?」
少女が受付の係員に聞いた。
係員「沖野くんですか?ちょっと待ってください。」
係員は慣れた様子で奥に入っていった。彼女たちは何度か来ているのだろう。
少女「いるかな?沖野くん。」
少年「・・・・・・・・・・・・」
少年は少女の問いを聞いてはいるようだが、何も言わなかった。

係員は奥にある部屋の内の1つに入った。扉には「7歳組」というプレートが掛かっている。
中には何人か子どもがいて、そのほとんどがThe Worldをやっている。係員はその中の1人に声をかけた。
係員「沖野くん、また山中さんと黒木くんが来たわよ。」
沖野と呼ばれたその少年はすぐにM2Dを外して、パソコンの電源を落とし、係員と一緒に部屋から出て行った。

少女「あ、来たよ!」
少女が言った方には係員に連れられている沖野がいる。
沖野「やっほ〜、山中さん、黒木くん〜」
沖野は2人に寄っていった。
山中「じゃあ係員さん、また後で。」
係員「はい、気をつけてね。」
少女は係員にそう言うと少年と沖野を連れて外に出て行った。

3人は近くの喫茶店にいた。
沖野「でさ、何か判ったの?」
山中「うん、BBSとか見てて最近特に気になった書き込みがあったから。」
山中が促すと、黒木がカバンから紙を取り出した。
それはBBSの書き込みのコピーである。
その内容は、最近The World内でPCの行方不明者が出ているというものだった。
山中「ね。実は最近、あの黒い点々・・・えっと」
黒木「・・・・・・・・・AIDA」
黒木が運ばれてきたパフェを食べながらボソッと言った。
山中「そう、それ。あれが時々見かけられているようなの。」
沖野「知ってるよ。一時見かけなくなったのに、またちらちら噂が聞こえるようになってきた程度だけど。それと最近知り合った人と連絡が取れないんだよ。」
山中「へ〜。本当に情報仕入れるの速いんだね。それと最近、CC社のデパッカーが頻繁に動いてるけど、どうやら放浪AIが結構出てきてるかららしいわ。」
沖野「へぇ〜、やっぱCC社内部の情報が手に入る人がいるのはいいな〜。色々聞けて・・・。」
山中「いくらデパッカーとして雇われたといっても、契約社員じゃ手に入る情報量も微妙だけどね。」
それから30分ほど話した後、養護センターに戻ってきた。
山中「じゃ、後でね。」
沖野「うん。じゃあね、スライ、影忍。」
山中「またね・・・ニア。」
沖野は養護センターに、山中・黒木はそれぞれの家に帰っていった。

そのころあっちでは。
リアラ「わ〜!」
メイ「リウクルズ!」
リアラに襲い掛かったモンスターにメイがリウクルズを放ち、モンスターを倒した。
シュウ「あんまり無理しちゃだめだよ、リアラ。」
彼ら3人はまた自分たちより少し高いレベルのエリアにいっていた。
現在のレベルはシュウが24、リアラが18、メイが17。
エリアレベルは22。ゲームそのものに慣れてきたせいか、中々順調に進んでいる。
ふと先を見ると、違うPTがいた。
そのPTの内2人は3人が見たことあるPCである。
1人はシュウと似たPC。
1人は赤い服を着たPC。
もう1人は紫の服と髪で、大鎌を使っている。
そのPTもシュウたちを見つけると近づいてきた。
シュウ「セグメント!」
メイ「シリウスさん!」
セグメント「シュウ・・・!」
シリウス「リアラとメイ・・・だったか?」
シュウ「どうしてここに?」
セグメント「アクセルがいなくなったって、シリウスが。」
リアラ「アクセルくんが!?」
シリウス「ああ。あいつ、いつもなら自分から@ホームにやってくるのに今日は来なかった。ショートメールを送っても応答無し。あいつの身になにかあったのかも知れない。」
メイ「単純にインしてないんじゃないんですか?」
シリウス「いや、そんなはずはない、あいつは・・・」
「アクセルも放浪AIだからな。」
紫のPCが言った。
シリウス「・・・知ってたのか、炎陣。」
炎陣「ああ。あいつが自分から言ってきた。自分とシリウス、それとお前らのギルドマスターもそうだと言っていた。」
シリウス「・・・あいつ、信用した相手には本当にお喋りだな。」
炎陣「話を戻そう、アクセルを見なかったか?」
シュウ「いや、特に・・・。」
リアラ「ぼくとメイは1週間くらい前に会ったけど、それっきり。」
炎陣「・・・・そうか。じゃあ何か判ったら、連絡してくれ。メンバーアドレスは渡しておく。」
炎陣とシリウスがシュウたちにメンバーアドレスを渡してきた。
シュウ「あ、ああ。」
セグメント「よろしく、シュウ、リアラ、メイ。」
シリウス「あいつはレベル20台のエリアによくいるんだ。頼んだぞ。」
そういい残し、シリウスたちは転送していった。
シュウ「アクセル・・・だっけ?」
リアラ「うん。ほんとの名前はアクセルラインであだ名がアクセルなの。」
シュウ「20台のエリアだったよね。とりあえず何か所か回ってみる?」
リアラ「うん!」
メイ「はやくいこ!」
シュウたちもエリアから出た。


[No.798] 2007/06/25(Mon) 18:20:06
第12話 顔合わせ (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

彼ら6人がアクセルラインを探している頃。

あるエリアにあの石人形がいた。
近くに白い服そうに紫の髪がおろしてあるPCがいた。
そのPCが何か石人形にささやくと、石人形の中から大量の数列が飛び出し、エリア中に広がり、数列が回っている。
PCが口を開いた。
「さすがはデータドレイン。ほぼ傷つけずに残っている。」
そのPCは数列の中から赤い光の玉を取り出した。
「モルガナ八相の碑文、その欠片。まずは1つ目、死の恐怖の碑文の欠片。まさか彼の中に入っていたとは。まあいい。もう1つの目的を果たさなくては・・・。」
そのPCが指を鳴らすと数列の辺りに黒い泡のような物がボコボコと湧き出した。
「さて、これで動くかどうか・・・。」
数列がまとまっていく中、PCと石人形は姿を消した。
数十分後、数列があった辺りには1人のPCが倒れていた。
そのPCはアクセルラインであるが、ボディのあちこちが黒く変色しており、黒い泡が周りに沸いていた。
アクセル「痛い・・・よ・・・苦しい・・・・・・よ・・・」
蚊の鳴くような声を上げるアクセルラインをあざ笑うように黒い泡は激しく暴れ、PCボディを侵食していく。
次の瞬間、アクセルラインはエリア中に響きそうな大きな悲鳴を上げていた。
しかし、そのエリアに他のPCはおらず、来る者もいない。声が出なくなるくらいの間悲鳴を上げた後、アクセルラインは気を失ったように動かなくなった。



そんでもってそのころあやつらはというと、マク・アヌのドームの外に居た。
シュウ「やっぱ当てずっぽうでエリアを探すのは無理があるよ。」
リアラ「う〜ん・・・何かいい方法ないかなぁ〜」
メイ「せめてメールでも来ればいいのに。」
その言葉とほぼ同時にポーンとショートメールの音がした。
送信者はシリウス。内容は「自分たちのギルドに来て欲しい」とのことである。
メールを受けてすぐシュウたちは傭兵地区にいった。ギルドのある建物の前にシリウスがいた。
シリウス「・・・来たか。」
一言そう言うと、3人にギルドキー(ゲスト用)を渡してきた。
シュウ「普通に入ればいいのか?」
シリウス「ああ。ついて来い。」
4人は中に入っていった。
中にはセグメント、炎陣がいた。
シリウス「レグルス、来たぞ。」
レグルスと呼ばれた青いPCは振り返った。
レグルス「シュウ、リアラ、メイ、だったな。俺は一応、ここのギルドのマスター、レグルスだ。宜しく。」
シュウ「宜しく。」
リアラ「お願いしま〜す。」
メイ「宜しくお願いします。」
レグルス「とりあえず、今呼んだのは顔合わせということだからな、一応皆紹介しておこう。この紫の奴は炎陣。鎌闘士で中級ギルド「赤炎」の元マスターだ。」
炎陣「うむ、宜しく。」
レグルス「こいつはシリウス。錬装士で刀剣、大剣、あと最近新しく導入された長槍を使える。正規メンバーの中では一番レベルが高い。」
シリウス「俺のレベルは153だ。炎陣は122、レグルスは137、セグメントは170だ。この中じゃセグメントが一番強いな。」
レグルス「で、俺はレグルス。重砲士(ランチャー)だ。今後宜しく。」
その後シュウたちも軽く自己紹介した後、お互いの情報を交換した(もっとも、どちらもたいした情報は持っていなかったのだが・・・)。

数分後、シュウ達は外に出てきた。
シュウ「うーん、またエリア回る?」
リアラ「疲れたよ〜。」
メイ「エリアを地道に回るしかないのかな・・・。」
その時、目の前に2人のPCが現れた。
1人は白毛のびょうきを人型にして紫のコートと帽子をつけたようなPC。
もう1人は風船にピエロのメイクをして、手袋と長靴をつけたような変なPC。
明らかなるチートPCである。
猫PC「キキキ、あんたらの話、聞かせてもらったぜい。」
ピエロPC「ヒョヒョヒョ、聞いてたといっても、ギルド内での会話から全てですがねえん。」
シュウ「な、何だあんたら!?」
ピエロPC「おっと、失礼。ワタクシはJKA。魔導士です。ヒョヒョ。」
猫PC「キキ、俺ぁ拳当士のジャンクっつうもんだ。お前さんらの見たとおり、俺らはチートPCさ。」
メイ「チートなんかしてたらデパッカーの人にPC消されちゃうよ!」
ジャンク「そーそー。そのデパッカー共としょっちゅう遊んでんだけどなあ、スリルが足りなくて退屈してんだよ。」
JKA「と、言う訳で、ワタクシたちにお友達探し手伝わせてもらえませんかねえ?」
シュウ「・・・・・・・・・」
シュウたちはポカーンとしていた。
チートだけでもまずいのに、デパッカーに追い回されていているのを遊んでいると言えるとは並の神経では無い。
ジャンク「おいおい、そんな目で見んなよ。いい話だろ?お前らは情報が手に入る、俺たちは暇つぶしになる、いいこと尽くめよ。」
JKA「ま、嫌と言ってもワタクシたちは勝手にやりますけどねん。これど−ぞ。」
そう言うとジャンクとJKAはメンバーアドレスを強引に渡してきた。
JKA「何か判ったら教えますので。まあ信じる信じないは自由ですよん。」
言うだけ言って2人は転送していった。
シュウ「・・・な、何だったんだ・・・?」
リアラ「ふわ〜ぁ・・・・・・もう9時だよ・・・。」
メイ「今日はそろそろやめる?」
シュウ「そ、そうだね。」
3人はとりあえずセーブしてログアウトしていった。


[No.830] 2007/07/11(Wed) 18:37:55
第13話 アリーナ (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

翌日。
修也のメールボックスにメールが1つ来ていた。

送信者 JKA
題名 情報ですよん〜
ヒョヒョヒョ、ごきげんうるわしゅう。
ワタクシ達の調べによりますと、貴方方のお友達にと思われるPCがアリーナに出てるそうですよん。
ランクは紅魔宮(こうまきゅう、って読むんですよんw)。一番低いランクでございますw
今日試合があるようなので、お仲間の方とご一緒にご観戦下さい〜(笑)
また情報が入り次第お送りいたしま〜す。
それでは検討を祈りマウスw

修也「・・・・・・・・・何か腹立つけど、今はあいつらが唯一の情報源だし、いってみよっと。」
修也は考太、莢と一緒にログインした。

リアラ「他のみんなには伝えたの?」
シュウ「うん、一応メールは送っといた。僕たちは僕たちで行こう。」

―闘争都市 ルミナ・クロス―

ルミナ・クロスに着くと、レグルス・シリウス・炎陣・セグメントがいた。
シリウス「情報が信用できるか判らんが・・・今はとりあえず、アリーナに行こう。」
シュウ「ああ。」

観客席の端っこの辺りに7人は固まっていた。
実況「さあ、始まります!紅魔宮のタイトルマッチ!・・・え〜、本来なら挑戦者の方から入場するのですが・・・・・・挑戦者の方がまだ来ていないため、先に宮皇の入場です!」
そう言われて、宮皇側のPCが転送されてきた。
シン LV46
公明 LV44
シアン LV45
名前とレベルが表示された。
リアラ「あ、あの時の!」
メイ「本当だ!」
シュウ「知ってるの?」
リアラ「うん、シンって奴は前にアクセルくんに絡んでたんだよ。」
メイ「シアンって奴には前にPKされそうになったんだよ。」
と言ってもシンはともかく、シアンに関しては自分達から首を突っ込んだのだが。
シリウス「あいつらの中にいないと言う事は、アクセルは挑戦者側か・・・。」

実況「えー、たった今、挑戦者側のメンバーがそろったようです!では挑戦者、入場です!」
そう言われて転送されてきたのは7人が見たことある小柄な少年PCと、彼を模したような姿の2体のPCである。
そして名前とレベルが表示された。
アクセルライン LV46
イ%:・#ャド¥ LV46
&二ス・シ*+ー LV46
シリウス「アクセル・・・!?」
シュウ「あの2人の言ってた事は、正しかったのか・・・!」
メイ「で、でもなんか変だよ。何だか、PCの色がおかしいし・・・」
今までのアクセルラインは濃い青がメインの色のPCであった。
しかし、今出てきたアクセルラインは左腕と両足が黒く変色しており、赤い筋のような物が通っている。
炎陣「あいつ、何だか様子が変だな・・・・・・」
7人から離れた席にあの2人もいた。
ジャンク「キキキ・・・こいつぁ面白い見世物になるかもな。」
JKA「コーラ持ってきましたよ、ヒョヒョw」

実況「それでは、試合開始です!」
シン「いくぞ野郎共!」
アクセル「はぁ〜、また僕ここにいるの〜?もういいよ、アリーナなんかさ〜」
何やら愚痴を垂れているアクセルラインにシンが突っ込んできた。
シン「前に会ったときは貴様の仲間にやられたが、今度はそうはいかねえぞ!」
そう言いながらシンは刀剣で斬りかかった。
アクセル「え、ちょ、ちょっと待ってよ、君僕の事知ってるの?」
シン「あん!?ふざけてんのか!?」
アクセル「知ってるなら教えてよ、僕の事!」
シン「はぁ・・・!?」
アクセル「僕、自分が今まで何してたのか、ほとんど覚えてないんだ!僕が何してたのか、知ってるなら教えてよ!」
アクセルラインは真剣にそう言っていた、が。
シン「知らばっくれやがって、ぶっ倒す!」
シンは刀剣を振りまわしだした。
アクセル「僕は何なの・・・?何があったの・・・!?」
刀剣をお得意の動きでかわしながらアクセルラインは問いかけるがもはやシンには聞こえてない。しばらくかわし続けた時、突然アクセルラインが膝をついた。
シン「何だ・・・?」
アクセル「あ・・・あ・・・また来る・・・僕の事を勝手に玩具にするあいつが・・・!!」
シン「何言ってやがる!喰らえ!」
シンは刀剣を振り下ろした。しかし、何かに弾かれた。
アクセル「やめろ・・・僕の中から・・・出て行ってくれ・・・!」
やがてアクセルラインのPCボディから黒い斑点のような物が湧き出した。
シン「なんだああ!!??」

ジャンク「やっぱりな・・・しばらくは退屈しないで済むぞ、ピエロ野郎。」
JKA「忙しくなりますねん。ネコちゃん。」
そう言う2人の声はシュウ達に会った時とは明らかに違う真面目な声だった。

アクセルライン「あA亜あ嗚ア・・・」
シン「バケモンか、こいつぁ・・・!?」
公明「バケモン・・・確かにその通りだ・・・。」
シアン「うん、確かに・・・。」
次の瞬間、アクセルラインが構えた双銃から大量の銃弾が飛び、シン・公明・シアンの3人はHPが一瞬で0になった。


[No.868] 2007/07/31(Tue) 18:47:33
第14話 出場メンバー (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

シリウス「どうなっていたんだ、あいつ・・・。」
7人はアリーナの外にいた。
結局試合はアクセルラインのチームの圧勝。
試合が終わった瞬間、アクセルラインとメンバーの2人はどこかに転送されてしまったため、問いただす事も出来なかったのである。
シュウ「相変わらず、アクセルは連絡が取れなくなってるし、何も判らずじまいかぁ・・・。」
7人はアクセルラインの存在こそ確認出来たが、それ以上の進展が無かったためにどうするべきなのか手詰まりになってしまった。
メイ「あのさ・・・・・・1つ思いついたんだけど・・・・・・」
少し重い空気の中、遠慮がちにメイが口を開いた。
メイ「私達もアリーナに出てみない?そうすれば何か判るかも・・・・・・」
シュウ「なるほど、確かにただうろつくよりは良いかも・・・」
ただ問題は出るメンバーである。
7人の内4人は50なんざとっくに通り越している。
じゃあ3人で出りゃいーじゃんと言いたいところだが、もう1つ問題がある。
それは・・・・・・リアラは例えゲームの中であっても注目を浴びたりするのが究極的に苦手なのである。そりゃあもうガスパー並みに。
メイ「リアラは・・・・・・無理なんだよね。」
シュウ「リアラがダメ・・・だから、もう1人誰か必要だなぁ。」
リアラ「ごめん、しゅーにーちゃん・・・・・・」
シュウ「いいよ。余り気にしないで。」
その会話を聞いていた4人は何とも言えない雰囲気になっていた。
しかし3人はその意味がよく判っていなかった。
シュウ「どうかしたか?」
セグメント「シュウ、その2人相手だと話し方大分違うね。」
シュウ「ああ、一応家ではこういう話し方だからさ、この2人とはいつもの口調で話してるんだ。」
別段隠すわけでもなく、シュウはその事を話した。
シリウス「ほう。3人は兄弟なのか?」
シュウ「ん・・・まあそんなもんだな。」
炎陣「話を戻そう、もう1人をどうやって確保するか、だが。やはりここはBBSで呼びかけしてみるか?」
シュウ「そうだな。それ以外いい方法も浮かばないし。」
レグルス「じゃあ、書き込みは任せた。俺たちは捜索を続けてみる。」
シュウ「ああ。」
シュウは書き込みのためにログアウトした。

修也「ふう・・・さてと。」
修也は早速BBSに書き込みを開始した。
タイトルは「メンバー募集」。
内容もちょっとした挨拶と用件だけ、というシンプルなものである。
書くだけ書いて修也は再びインした。
だがその日は結局収穫は無かった。あれから手分けしてエリアやタウンを回ったが、見つかるはずも無かった。

書き込みしてから3日後。
修也に1通メールが届いていた。

送信者 ジャンク
題名 書き込みのことだが
キキキ、アリーナに出る気か?てことはJKAのメールは見たんだなw
書き込みでメンバー集めるたぁいい手段だな。そうそう、そこの書き込みによ、返事来てたぜ。
今回の情報は以上だ!すまんねえ、仕事が忙しくてw

修也が書き込みをチェックすると、返事が一件あった。
内容はあるエリアで待っているとのことである。
エリアワードはΔ 隠されし 禁断の 聖域。
修也は莢と一緒にエリアに向かった(ちなみに考太は現在シリウスたちと一緒に調査中)。

Δ 隠されし 禁断の 聖域
グリーマ・レーヴ大聖堂

そこは教会のような建物があるだけのエリアだった。
シュウとメイは中に入っていった。
中に入るとPCが1人いた。
少年か青年か微妙な身長。
全体的にオレンジに近いカラー。
ふんわりしている帽子。
背中に筒のような物を背負っている。
顔にはくの字のようなフェイスペイントがされている。
その顔はどこかまだ幼さが残っている顔である。
そのPCはシュウとメイを見つけると、近づいてきた。
「シュウさんとメイさん、ですか?」
そのPCは敬語で2人に尋ねた。
シュウ「え、あ、はい。」
そのPCの口調につられて、シュウもつい敬語になった。
「別に敬語じゃなくてもいいですよ。普段どおりの喋り方でいいですよ。」
そのPCは少し笑って言った。
どうもシュウは敬語に慣れてないのかそのPCに見透かされてしまったようだ。
シュウ「え、えと・・・書き込みしてくれた人ですか?」
「はい。紅魔宮トーナメントですよね?僕のレベルは23ですけど大丈夫ですか?」
メイ「私よりも少し高いね。」
「同じ位なんですね。ほっとしました。僕だけレベル置いていかれてたらと心配してました。」
シュウ「とりあえずメンバーアドレス交換してエリア行こっか?」
「判りました、どうぞ。」
シュウとメイはそのPCとメンバーアドレスを交換し、エリアから一旦出てPTを組み、一緒にエリアに行った。
彼の名前はカイト、双剣士である。


[No.879] 2007/08/09(Thu) 19:53:11
第15話 特訓 (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

シュウ「一双燕返し!」
メイ「バクドーン!」
カイト「疾風双刃!」
3人は現在トーナメントまでの間、友好を深める事も兼ねて一緒にレベル上げをしている。
現在レベルがシュウは24、メイが20、そしてカイトが23である。
エリアレベルは28、あまり時間も無いので多少レベルの高いエリアに行っている。
シュウ「ふう・・・。」
カイト「流石に厳しいね・・・。」
メイ「リプス!リプス!」
メイが2人にリプスをかける。
カイト「ありがとう。」
シュウ「回復アイテムも無くなってきたし、一旦戻ろう。」

 悠久の都市 マク・アヌ

シュウ「えーと、とりあえずアイテムでメイは一通りのスペルが使えるから、もう少しレベルを上げれば回復も少し安定するかな。」
カイト「僕達も回復系スペルが使えれば結構安定するんじゃないかな?」
シュウ「あ、そっか。じゃあショートメール・・・と。」
どうやらメイがアイテムの調達に行っており、シュウとカイトは待っている、という感じのようだ。
シュウはカイトに敬語じゃなくていいと言われていたが、どうもロールしている時の調子で話すのは気が引けるらしく、普段の喋り方になっている。
ふと、2人の前に1人のPCが現れた。
シュウよりも小柄で、半袖に短パンというその辺にいそうな子供の姿である。そのPCはシュウ達の事をジロジロ見ている。
シュウ「な、なんだよ。」
シュウはそのPCに話しかけてみた。
「ふーん、君の連れはいないんだ。」
そのPCはいきなりそう言った。
シュウ「?」
シュウはいきなり何を言い出したのかと思った。
「君と同じ姿をしたPCだよ。ほら、あのボロボロなボディの。」
シュウ「な・・・!?」
カイト「?」
カイトは何も知らないために首を傾げた。
「覚えてる?彼に突っかかったデパッカー。」
シュウ「お前、あいつの仲間か!?」
シュウの声が一気に敵意の混じった声になった。
「んー、まあそんなもん、かな?大丈夫、僕には彼の事は関係ないし、危害を加える気も無いよ。」
とは言っても、1度大変な目に遭わされかけた相手の仲間と判っては、シュウの警戒心は解けない。
「んー、まあいっか。僕の名前はスライ。まあ覚えてくれても忘れてくれてもどっちでもいいから。」
なんて言っているともう1人、黒ずくめのPCが近づいてきた。
「スライ、連絡が来た。僕達もあの場所に向かうぞ。」
そう言うと黒ずくめのPCはカオスゲートの方に歩いていった。
スライ「あ、ちょっと!・・・それじゃ!待ってよ、影忍〜!」
結局何の目的だったのかも判らず、スライと名乗ったPCはどこかに行ってしまった。
シュウ「・・・・・・なんだったんだろ。」
カイト「うん・・・とりあえず、今はトーナメントの方を考えた方がいいんじゃないかな?」
シュウ「う、うん。」

メイ「えと、回復アイテムとリプスが使えるようになるアイテム・・・と。これでいいかな。」
メイはアイテムを確認してすぐドームに向かった。
メイ「しゅーにーちゃーん、いわれたもの買って来たよ〜」
シュウ「あ、うん。」
メイはシュウとカイトに回復アイテムを分け、アイテムを使って2人も回復スペルが使えるようにした。
シュウ「そういえばトーナメントに出るためには普通の試合に勝ってランク上げなきゃいけないんだっけ?」
カイト「うん。確かベスト16・・・だったかな。」
メイ「試合に出るためにルミナ・クロスに行く?」
シュウ「そうだね。レベル上げても出場資格なきゃ意味ないし。」
3人はルミナ・クロスに向かった。



スライ「ホントここはいつ来ても変だね〜」
影忍「関係ない。行くぞ。」
2人がいる場所は廃墟のような場所。顔がテレビのようなPCがいっぱいいる。
2人は奥に進んでいった。


[No.888] 2007/08/12(Sun) 19:00:01
第16話 意味不明 (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

シュウ達3人はルミナ・クロスに来ていた。
いくらレベルを上げていても、アリーナランク16位以内にランクインしていなければトーナメントに選抜はされないからである。
シュウ「さて・・・バトル、バトルっと。」
受付のNPCに話しかけると、サバイヴバトルかリミットバトルを選ぶ画面になった。
シュウ「う〜んと・・・5連戦と1戦のどっちかなのか。」
カイト「まずは様子見のために1戦の方にしない?」
シュウ「うん。リミットバトル、と。」
次は現在アリーナにいるPTの中から相手を選ぶようだ。
シュウ達は比較的自分達と同じ位のレベルの相手を選んだ。

全ての選択画面を終えるとシュウ達はアリーナ内にいた。
シュウ「さてと。アリーナバトルってどんな感じなのかな。」
戦闘がスタートした。
シュウはいきなりスキルを放とうとした。
シュウ「針剣b・・・」
『反撃!』
シュウ「へ?」
突っ込んでいったシュウは見事に反撃を喰らった。
HPがかなり削れた。
シュウ「な、何今の!?」
カイト「スキルを放っている時にスキルを返されると先に放った方が一方的に負けるんだよ。説明書のアリーナの欄に書いてあったと思うけど・・・」
シュウ(あ・・・その部分飛ばしてた・・・)
カイト「ひょっとして・・・・・・説明書深く読まないタイプなの?」
ズバリ痛い所を突かれた。シュウはリアルで冷や汗をかいている。
シュウ「う・・・・・・うん・・・・・・」
メイ「しゅーにーちゃん、小説とかの字ばっかりの物嫌いだもんね。」
とまあ、戦闘中だというのに何故にこんな会話を交わしていられるのかというと・・・・・・
会話中に武獣覚醒をされてしまっていて、ボッコボコにされている真っ最中だからである。
シュウのHPが0になり、リーダー敗北によりシュウ達は負けた。

シュウ「早かったな〜、やられるの。」
メイ「とりあえず説明書読んでね、しゅーにーちゃん。」
シュウ「そだね。」
アリーナの外でこんな会話をしていると、近くのPC達の会話が聞こえてきた。
「Δ 隠されし 禁断の 絶対城壁 だったか?変なPCがいるっていう場所。」
「ああ、PCボディが真っ黒なPCらしいぞ。ちょっと行ってみるか?」
「やめとく。さわらぬ神にたたりなし、だ。」
まあ彼らにとってはただの話の種かもしれないが、シュウ達にとっては重大な事であった。
シュウ「・・・行く?」
メイ「もちろん。」
カイト「???」
シュウ達は急いでマク・アヌに戻りエリアに向かった。PTの都合上、カイトも。

―Δ 隠されし 禁断の 絶対城壁―

シュウは一度操蛇とメリアに連れられて、ここに来た事がある(2話、3話)。
といっても、それを思い出す暇は無かった。
シュウ「うわっ!?」
エリアに入った瞬間、大剣が振り下ろされてきたからである。
シュウ達はとっさに回避し、武器を出した。
相手は大柄な獣人PCで、大剣を持っていることから撃剣士だろう。
そして、アクセルラインのようにPCボディが黒くなっており、赤い筋が通っている。
シュウ「こいつ、アクセルと同じ感じになってない?」
メイ「うん、似てる状態だよ・・・」
話してる内に獣人PCが大剣を振り上げた。
「ガあああaaaAァア亞阿あああ!!」
叫び声と共に大剣を振り下ろした。
シュウ「ひゃっ!」
メイ「きゃあ!」
カイト「うわっ!」
普通のPCよりもかなり速い速度で振り下ろされたため、3人共かすった。
シュウは双剣を構えて切りかかったが、ほぼダメージは無かった。
シュウ「な、何なんだ・・・」
シュウが少しだけ行動を止めたのを獣人PCは見逃さず、シュウに向けて大剣を振り下ろした。
ガードも回避も間に合わない。
シュウ「く・・・・・・」
その時、どこからか、大量の銃弾が飛んできて、獣人PCを打ち抜いた。
「オおぉ嗚ォoおOォぉ・・・・・・」
獣人PCは倒れ、死亡表示になったかと思うと、弾けるようにきえてしまった。
シュウ「え・・・・・・?」
メイ「今のって・・・」
「やっほ〜。メイ、久しぶり〜。」
お気楽な声が聞こえた方を見ると、アクセルラインがいた。
無論PCボディは黒いままである。
メイ「アクセル君・・・大丈夫なの?」
アクセル「大丈夫って?僕はいつもの通りだけど・・・。・・・ところで僕はだれ?」
メイ「え・・・!?」
メイがさらに何か言う前にアクセルラインは転送されていった。
シュウ「どうなってんだろ・・・・・・?」
メイ「うん・・・・・・」
少しだけそこにとどまった後、3人はタウンに戻った。


[No.906] 2007/08/29(Wed) 10:59:58
第17話 WP回収 (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

アクセルラインと出会ってから数日後。
シュウ、メイ、カイトの一行はアリーナでWP稼ぎに没頭中である。
次第にアリーナのシステムにも慣れ、中々のスピードでWPをかき集めていった。
シュウ「よし、次の試合に勝てば16位以内に入れるぞ。」
カイト「戦闘システムにも慣れてきたから、きっと次も勝てるね。」
メイ「次のチームの名前は「バウンティハンター」。リーダーは・・・・・・「スパイダー」って人だね。」
カイト「スパイダー・・・蜘蛛か。網を張って、獲物を逃がさないってことなのかな。」
シュウ「別にどうだっていいよ。これに勝てば、トーナメントに出られるんだし、頑張ろう!」
シュウ達はアリーナ内の武台に転送された。相手チームはもう来ていたようだ。
「やっと来たか。俺がスパイダーだ。ま、よろしく頼む。」
相手チームの内の1人が喋る。スパイダーは前を開けた学ランのような服とカウボーイが被ってそうな帽子をつけている。軽装な所から双剣や刀剣が似合いそうなPCである。
2人目はおそらく銃戦士。
足首の所まである長いコートが特徴的である。
名前はハント。ハンティングから取った、といった所か。
そして3人目は・・・・・・・・・いない。
シュウ「あれ・・・そっち2人か?」
当然するであろう質問をシュウはした。
スパイダー「ああ。俺の相方と俺の2人だ。」
カイト「2人って事は、かなり腕に自信があるのか・・・。」
ハント「自分の腕に自信を持てないようなら賞金稼ぎとしてやってはいけない。」
メイ「賞金稼ぎ?」
カイト「PKを狩る系統のイベントをたくさんやってるPKKのことだね。」
ハント「まあ、大まかにはそんな物だ。」
スパイダー「さて、お喋りはこの辺にして、始めるぞ!」
シュウ「おう!」
お互いに武器を出し、戦闘を開始した。
今回は相手が2人なので、シュウはスパイダーを、カイトはハントを、そしてメイはサポートである(まあ別段いつもと変わっているわけでもないのだが)。
シュウ「はっ!たっ!」
シュウは双剣でスパイダーを斬ろうとする。
しかしスパイダーは紙一重でかわす。
一方カイトも双剣で斬ろうとするが、ハントの銃撃で近づけない。
メイ「ガンボルグ!」
メイがスペルで攻撃するとハントはガードした。
その隙にカイトが近づいて双剣を振る。
ハントはガードしっぱなしのため、中々ダメージがいかない。
カイトがチャージ攻撃でガードを崩そうとした時、いきなりハントはスキルを放ってきた。
チャージ中のカイトは反撃が出来ない。
ハント「刺突散弾!」
ハントの放ったスキルはカイトにもろに当たった。
カイト「うわっ!」
その一撃で吹っ飛ばされ距離が開いたため、またカイトは銃撃を浴びせられた。しかも今度はメイも巻き込まれ、隙を作る事も出来ない。
シュウ「くっそ・・・!」
シュウも1度もまともな打撃を与えられていない。
スパイダー「どうした?こんなもんじゃないだろ。」
スパイダーの方は攻撃どころか武器すら持ってない。
シュウ「こ・・のぉ!」
シュウは回避した瞬間を狙って双剣で斬りつけた。
ようやくヒットした。・・・・・・が与えたダメージはたった3。
まあ当然である。シュウのレベルが25なのに対し、スパイダーのレベルは34。レベル差が9もある。
スパイダー「おっ、ヒットさせたか!」
関心したようにスパイダーは言った。
シュウ「?」
スパイダー「アリーナ戦で攻撃をくらったのは久々だ。お前中々見所があるな!」
シュウ「だから・・・何だ!」
シュウはもう一発当てた。
が、今度は止められた。
スパイダーが武器を出し、ガードしたからである。
その武器は楚良の使っていた双剣のような武器である。
スパイダー「これが俺の使う武器、烈手剣・双零。俺の職業は手剣士(ハンドソード)だ。」
言い終わるとほぼ同時にスパイダーはシュウに連続攻撃を仕掛けた。
シュウはガードが間に合わず、斬撃を全て喰らった。
あっという間に青と紫のリングが現れた。
『連撃!』
スパイダー「武舞円陣!」
スパイダーが放ったスキルは双剣で言う針剣舞のような技で、吹っ飛ばされて近くにいたカイトとメイも巻き込んでダメージを与えた。
そのスキルによりシュウ、カイト、メイは同時にHPが0になった。
スパイダー「悪いが俺たちの勝ちだ。」
スパイダーのチームの勝ちが決まり、全員がアリーナの外に転送された。

シュウ「・・・・・・あーあ、負けちゃった。」
カイト「あの2人はレベルもプレイヤースキルも僕達より圧倒的に上だったんだ。」
メイ「でも落ち込んでもいられないよ。どっちみちベスト16位入りはそこまで遠くないんだし。」
シュウ「うん、そうだね。」
カイト「彼らもトーナメントに出るのかな・・・だとしたら、負けられないね。」
シュウ「よし、アリーナ登録しよう。もうあとちょっとで16位になれるんだ、頑張らないと!」


あるアパートの一室。
そこでは20歳くらいの男性がThe Worldをプレイしていた。
彼の机にはパソコンとコントローラー、そしてトランプが置いてあった。
パソコンの映像では彼の使っているPCがスキルを決め、勝利した瞬間であった。
彼はコントローラーを置き、トランプをシャッフルして、その上から1枚をめくった。
出たのはスペードのA。
「いいカードだ。あいつらは大物になるな。」
呟くように言うと彼はたった今届いたメールを確認するためにログアウトした。
彼のPC名は「スパイダー」、手剣士である。


[No.930] 2007/09/22(Sat) 19:15:43
第18話 あちらの動き (No.698への返信 / 1階層) - 司楚

シュウ「ふう、これでベスト16になれた。」
シュウ達はスパイダー達に負けた後、すぐにまたアリーナに出てWPを稼いでいたようだ。
カイト「トーナメント開催は明日だから、何とかセーフだね。」
メイ「ふわぁ〜。眠い・・・」
ちなみに時刻は夜の10時。
普段ならメイはもちろん、シュウも寝ている時間帯である。
時々うたた寝をしてしまってその間に負けてしまったりしていたため、大分遅くなったのである。
カイト「じゃあ、僕がトーナメント登録はしておくよ。2人は相当眠そうだし(笑)」
シュウ「あ、そう?ありがと。じゃあそろそろ・・・」
メイ「・・・・・・zzz」
シュウ「・・・・・・メイ〜」
メイは壁に寄りかかって寝ているようなポーズになっていた。
寝てしまう直前にこんな動作が出来るとはどれだけ器用なのだろうか、まったく。
そしてその様子を苦笑しながら見ているカイト。
シュウ「・・・あ、え〜と・・・じゃあ、後お願い。」
PC「シュウ」は動きを止めた。
少しするとメイの方から声が聞こえた。
「後セーブするだけだよ、だから起きなよ」
「う〜ん、しゅーにーちゃんやっといてよ〜・・・zzzz〜」
「・・・・・・だめだこりゃ。」
カイトはそのやりとりを半笑いで聞いていた。
しばらくするとまたシュウが動いた。
シュウ「じゃあ、また明日。」
カイト「あ、うん、それじゃあね、『しゅーにーちゃん』。」
シュウが固まった。
シュウ「・・・・・・聞こえてた?」
カイト「うん。」
少し固まっていたが、すぐにシュウはセーブをし、ログアウトした。
その少し後にメイも動き出し、セーブを済ませてログアウトした。
カイト「あ、そうだ。登録終えたらレポートまとめないと。」
そんな事を言いながら、カイトはトーナメント登録を済ませると、セーブをし、ログアウトしていった。

マク・アヌにある男のPCがいた。
顔が常にスマイル、ロボットのような格好、とどめに下半身がSF物にでもありそうなエアバイクになっている。
言うまでもなくチートPCである。
「遅いですね、あの人・・・」
腕時計を見るような動作をしながらそのPCは言った。
突然後ろに別のPCが転送されてきた。
そのPCはジャンクである。
ジャンク「キキキ、獄中でのネトゲは楽しいかい、ジュノ?w」
すました顔での爆弾発言である。
しかし、ジュノと呼ばれたPCは別に驚いた様子も無くこう返した。
ジュノ「こちらも刑務所内なのにこんなことが出来るのは正直驚きましたよ。まあ、ビジネスは得意ですけど。」
ジャンク「ネット犯罪の捜査協力する代わりにノートパソコン1台くれ、だったか?よくもまあそんな事警察が認めたなあ。そんなにネット犯罪に困ってんのか、警察はw 大体お前もネット犯罪者だろ。獄中から再犯しねえか、とか考えねえのか?w」
ジュノ「まあ別にもう私は足を洗いますよ。暇つぶしで法に触れるのもアレですしね。」
ジャンガ「そうかい、そりゃこっちも助かる。毎週面会行くのも疲れんでな。」
さっきからの会話、一般PCに聞かれたら大変なのだが、この2人はPT会話にすらしていない。
もっとも一般PCの来れないところに2人はいるのだが。
その場所はマク・アヌの川の底である。
ジャンク「じゃあ本題だ。最近俺と風船ピエロが見つけたあるPC共の事だが、いい暇つぶしになると思ってな、お前も仲間に加わんねえか?」
ジャンクが言っているのはシュウ達のことである。
ジュノ「ほう、前に来た時に言っていた彼らですか?」
ジャンク「おうよ、あいつら普通じゃねえニオイがプンプンするからな、ひょっとしたらかなり面白いモンを拝めるかもしれねえぜ?」
ジュノ「退屈しのぎの一環ですね。分かりましたよ、お兄さん。私もそろそろデパッカーと遊ぶのに飽きていた所ですし。」
ジャンク「キッキッキ、そうかい、そうかい、やっぱお前も飽きてたかwじゃあ次そっちの都合が合う時にギルドの方尋ねてくれや。ピエロ野郎にも伝えとくからなw」
そう言ってジャンクは転送を開始した。
ジャンク「それとよ、こっちじゃPC名で呼び合えっつっただろ。」
いつもと少し違う声で転送直前にそう言った。
ジュノ「・・・・・・そういえばそうでしたっけね、ジャンク様。」
ジュノも転送されていった。



えーと、大分更新遅れてすいません。
テスト等があったために書く機会が中々無かったもので。
更新スピードを元に戻すために努力します(汗


[No.963] 2007/10/22(Mon) 10:54:25
以下のフォームから投稿済みの記事の編集・削除が行えます


- HOME - お知らせ(3/8) - 新着記事 - 記事検索 - 携帯用URL - フィード - ヘルプ - 環境設定 -

Rocket Board Type-T (Free) Rocket BBS