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No.87に関するツリー

   .hack//L.G.U. - 蒼 - 2007/02/23(Fri) 20:18:36 [No.87]
.hack//L.G.U. 10章 誘い - 蒼 - 2007/03/03(Sat) 11:06:17 [No.283]
.hack//L.G.U. 9章 トーナメントメンバー - 蒼 - 2007/03/01(Thu) 22:55:56 [No.253]
.hack//L.G.U. 8章 再誕とAIDA - 蒼 - 2007/02/28(Wed) 23:24:21 [No.229]
.hack//L.G.U. 7章 ”ありがとう” - 蒼 - 2007/02/27(Tue) 17:31:13 [No.195]
.hack//L.G.U. 6章 増える未帰還者 - 蒼 - 2007/02/26(Mon) 22:58:40 [No.181]
.hack//L.G.U. 5章 第4のトーナメント - 蒼 - 2007/02/25(Sun) 20:40:55 [No.148]
.hack//L.G.U. 4章 新たなサーバー - 蒼 - 2007/02/24(Sat) 23:39:20 [No.128]
.hack//L.G.U. 3章 朔の想い - 蒼 - 2007/02/24(Sat) 17:25:04 [No.111]
.hack//L.G.U. 2章 再び・・・ - 蒼 - 2007/02/24(Sat) 12:45:45 [No.98]
Re: .hack//L.G.U. 1章 火種はいまだ消えておらず - 蒼 - 2007/02/23(Fri) 21:19:00 [No.90]



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.hack//L.G.U. (親記事) - 蒼

どうも、現在「クーンのお悩み相談事務所」を書かせてもらっている蒼です。
今回今から書く小説は、「クーン」のほうのようなギャグ口調ではなく、シリアスなものを書いていこうかと思っています。
舞台設定としてはクビアを倒してから1週間後・・・ぐらいです。
Vol3でも語られなかった謎を個人的見解で徒然と書いていくので、ひょっとしたら「そんなわけないじゃん!」とかつっこまれるかもしれませんが、そのときはごめんなさい。

暇なかたは読んでいただければと思います。
あ、もちろん「クーン」のほうも同時進行でかいていくので、よろしければそちらもどうぞ。
では、次レスからスタートです。

追記
タイトルの「L」はlast、つまり最後という意味でG.U.の前に入れさせてもらいました。
直訳的には「最後の成長」という意味です。でわ。


[No.87] 2007/02/23(Fri) 20:18:36
Re: .hack//L.G.U. 1章 火種はいまだ消えておらず (No.87への返信 / 1階層) - 蒼

「1つの終わりは、新しい始まり・・・俺たちの旅は、これからも続く・・・。そうは思わないか?ハセヲ」
その言葉は、1人の銃剣士が、1人の錬装士へと向けた言葉――
錬装士に、最後の力を分け与えた言葉――
銃剣士はこの時、自分の言っている事がここまではやく実現するとは思いもしなかったであろう。
また錬装士も、その言葉の意味するものが、ここまで唐突に現れてくるとは、思いもしなかっただろう。


なぜなら、またこの世界の火種は、消えてなどいなかったのだから――


――タルタルガ・ブリッジ――
1週間前、真の第3次ネットワーククライシスを防いだ”モルガナ因子”の力を持つ8人は、再びここ”タルタルガ・ブリッジ”に集まってきていた。
収集したのはレイヴンギルドマスターの八咫。今回の事件での労をねぎらってという、彼なりの気遣いだった。
現在リアルの時刻は夜8時。約束の時間ジャストできているのは、収集した本人である八咫、その部下でもありそれ以上に彼の理解者であるパイ、過去から逃げず未来を進んだアトリ、二重人格者である朔望、それに世界を救った張本人ともいえるハセヲの、計6人だった。2人いない。
「まったく、時間にルーズというのも困り者だな・・・」
眼鏡を軽く押し上げながら、八咫はあきれ気味にぼやいた。
「ったく、何やってるんだ、クーンとエンデュランス」
「クーンさんはともかく、エンデュランスさんが遅れるのは珍しいですね。いつもハセヲさんがいればすぐに来るんですけれど・・・」
ハセヲとアトリもMMORPG特有の”待ちポーズ”をとりながら会話をする。
2人の言うとおり、クーンは前から集合時には若干遅れ気味だったが、エンデュランスに関しては今まで時間に遅れたことはほとんど無かった。

もしかして何かあったのか?

そんな不安が6人の頭をかすめた時、ブリッジの入り口から1体のPCが姿を現した。
青い長髪を後ろで束ねた、黄色がメインカラーの彼だ。
「悪い悪い、ちょっと寝落ちしてて・・・」
「4分34秒の遅刻ね、クーン」
「あいかわらずきっついな〜w」
秒刻みの完璧な遅刻をパイに宣言されるが、どうやらクーンは特にそこまで悪いとは思っていないらしい。
一度謝ると、彼は颯爽と”さも最初から自分がそこに居たかのような”立ち位置に移動した。
「そういやエンデュランスの奴はどうしたんだ?」
「それがまだきてねぇんだよ」
「アイツが?いっつもお前がいればいの一番にいるみたいだけどなぁ」
「でも、本当にどうしたんでしょうかね?エンデュランスさん・・・」
結果から言えば、この後彼がこの場に訪れることは無かった。なぜなら今から30分ほど前、エンデュランスのプレイヤー”一之瀬 薫”の意識は――


――45分前・Δサーバー たそがれる 乙女たちの 聖域――
エンデュランスはThe Worldではあまり見ないソロプレイで、神殿型ダンジョンであるこの場所を進んでいた。適正レベルは151。彼のレベルもまた151。現在のレベルでのソロプレイはあまり賢いものとはいえなかったが、彼がこの場所へ来ているのには理由があった。

ハセヲ・・・君のために新たな武器を・・・。

最新のアップデートで最大レベル上限が上がったことにより、また武器の数も多少なりとも増えていた。
エンデュランスはこれから会うハセヲのために、獣神像の宝の武器を取ろうとしてこの場に来ていたのだ。

道なりに進むこと30分。彼はついに獣神像までたどりついた。消費アイテムを大量に使うソロプレイでの攻略だったが、彼はどうにかゲームオーバーにならずここまできたのだ。

ハセヲ、やったよ・・・。

彼はゆっくりと獣神像まで歩み寄り、宝箱に手をかけた。その瞬間だった。
「!!」
後ろから、”黒い点”がエンデュランスを襲った。


あとがき
どうでしょうか?楽しんでいただけましたでしょうか?
どんなことでもかまわないので、もし感想、アドバイス、質問等ありましたら総合感想のほうにかいてくださればうれしいです。
でわ。


[No.90] 2007/02/23(Fri) 21:19:00
.hack//L.G.U. 2章 再び・・・ (No.87への返信 / 1階層) - 蒼

翌日、学校から帰ってきたハセヲはもはやそれが当たり前となっているかのような素振りでパソコンを立ち上げた。

結局、昨日エンデュランスの奴来なかったな・・・。

一応昨日7人はエンデュランス抜きで2時間ほど雑談を交わしていたのだが、やはり1人いないとあまり盛り上がらなかった。
いや、来れなかった原因が分かればまだ楽しく話せたのだろうが、メンバーステータスの状況はbusy(いそがしい)となっており、何度ショートメールを送っても返信が来なかったから誰もが皆不安であまり話せなかったのだ。
それは、あまりにも最近起きた”あの現象”に似ていて・・・。

・・・まさか、な。

ハセヲはパソコンが立ち上がるまでの数分間で考えた”最悪”を頭の中で否定した。
なぜなら、もうその存在はあるはずがないのだから・・・。

やがてパソコンが完璧に起動した。ハセヲは画面に目を走らせる。
メールが1通来ていた。

誰からだ?

慣れた手つきでカーソルを移動させ、特に何も考えずにハセヲはメールボックスを開く。
送信者は八咫だった。件名は・・・”緊急事態”。
ハセヲは先ほど振り払った嫌な予感を再び感じられずにいられなかった。
ゆっくりと、ハセヲはメールを開いた。
メールは2行で短く、こう書かれていた。

件名:緊急事態 送信者:八咫
至急”タルタルガ・ブリッジ”へと来たまえ。
すぐにだ。

ハセヲはすぐにメールを閉じ、リアルがまだ制服姿なのも気にせず文字通りすぐにThe Worldへとログインした。


――”タルタルガ・ブリッジ”――
ハセヲが行くと、すでにそこにはエンデュランスを除く”モルガナ因子”の力をもつ6人と、さらに鎌闘士の欅がいた。
彼もまた、1週間前の事件に深く関わった人物だ。
「あ、ハセヲさん♪」
「何があった?」
「あぁ、俺等もまだ何も聞いていない。一体どうしたんだ?」
欅の挨拶も無視してあせりながらハセヲは全員に聞いた。クーンも重ねて聞く。
自分たちの不安が、当たらないことを祈りながら・・。
一瞬沈黙が辺りを包んだが、質問の答えを言う気だろう、ハセヲたちの問いには八咫が答えた。

「・・・昨日7時半ごろ、エンデュランスのプレイヤーが病院に運ばれた」

最悪の予感が当たった、としか言えなかった。
「それって・・・」
手を胸の前で重ねているアトリの発した声は怯えを含んでいる。
パイは少し感情的にうつむきながら、
「えぇそうよ。彼は”未帰還者”になったわ」
「どうしてだ八咫!もうアレは・・・”AIDA”はきえたはずだろう!」
「私だって疑問としかいえない。オーヴァンの”再誕”でAIDAは消えたはずなのだが・・・」
「・・・欅、AIDAは今どこにいるんだ?”知識の蛇”の機能でわかるんだよな?」
「すみません、ハセヲさん・・・。特定できないんです」
欅の言葉は、この場にいる全員を凍りつかせるには十分すぎるものだった。
それはそうだろう。今まで、たとえクビアでさえも、場所を特定できないということなどなかったのだから。


そう、今1つの終わりは、新たな始まりを見出した。もっとも、それは新たな物ではなく、まだ終わっていなかっただけなのかもしれないが・・・。


あとがき
どうでしょうか?少しは面白く感じられるようなものになっているでしょうか?私も不安です・・・。

とりあえず今回はココまでです。今日中にもう1話ぐらいアップしたいなぁ・・・。
では、前回と同じく、もし暇なのであればぜひとも感想を。叱咤激励でもどんなものでも、物書きからすればものすごくうれしいものですので・・・。
でわ。

PS
ぶっちぁさん、感想ありがとうございます。
私の文才なんてまだまだですよ(泣
でもできるかぎりがんばるのでまた読んでやってください。


[No.98] 2007/02/24(Sat) 12:45:45
.hack//L.G.U. 3章 朔の想い (No.87への返信 / 1階層) - 蒼

「特定・・・できないだと?」
「じゃあ一体どうするんだよ、八咫!」
「・・・・・・」
「くそっ!エンデュランスが行ったエリアを教えろ、八咫。俺が行ってAIDAを駆除してきてやる!!」
「落ち着きなさい、クーン!」
怒声が響き渡る中ブリッジを出ようとしたクーンを、パイは右腕をつかんで静止させた。
彼、クーンは碑文使いとして、その仕事に一番情熱的だった。だからこそ、犠牲を出しえない八咫との意見の相違から一度G.Uを抜けた。そして、彼なりの答えを見つけ、”成長”して帰ってきた。
そんな彼が、仲間のこの世界での”死”に、多少の憤りを感じるのは自然なことなのかもしれない。
それはパイも分かっていた。だが、ここでエリアに行かせてはクーンもエンデュランスの二の舞になる可能性は高い。
「・・・くそっ!」
クーンはパイの手を振り切ったが、そのままブリッジを出ようとはしなかった。ひょっとしたら、彼自身が一番分かっているのかもしれない。一人きりの時の自分の無力さを。
「クーンさん、気持ちは分かりますが、実際に現状では手が出せないのが真実です。でも、少し時間を下さい。そうすれば、少しは今回のことについて何かつかめるかもしれません」
「・・・分かった。でも一般プレイヤーはどうするんだ?」
「強制ログアウトさせたい・・・ですが、今でこそ落ち着いていますが、前の事件での”それ”からプレイヤーの皆さんの怒りはかなりのものです。ここで強制的にそれをしてしまえば、リアルのほうで何が起こるかわかりません。ですから――」
「あまりこの状況ではそうしたくないってことか」
ハセヲがそう言うと、欅は罰が悪そうに「すみません」と素直に謝った。
それ以上は誰も追及しなかった。実際、強制ログアウトなどしてしまえばハセヲたちだってこの世界にはこれなくなるのだし、欅の言うとおりすでに”よもやまBBS”ではそのことで大分批判スレが立っているのだ。ここでそうしてしまえば、何が起こるかはわからないというのもけっして言いすぎとは言えないだろう。
「では、とりあえず私と欅とパイで今回のことについてさらに詳しく調べる。何か分かれば君たちにメールで知らせよう」
八咫のその言葉で、今回の集合は解散となった。


「ねぇ朔、よくでてこなかったね?」
「なんでや?」
「だ、だって朔、エンデュランスおにいちゃんのことだいすきみたいだったから」
「・・・エン様はな、望、すごい強いんやで。ものすごく強くて、ものすごくカッコよくてな。・・・だから、信じられんのやわ。そんなエン様が、ウチや・・・ハセヲを残して、未帰還者になるなんて」
「朔・・・」
「でももし、もしな、ホンマにありえへんけどもし、エン様が未帰還者になったんならウチは・・・ウチは――」
朔の言った言葉は、愛するからこそ口から紡ぎ出たもの――。


あとがき
なんかものすごく話を大きくしてしまって本当に完結させられるか不安な蒼です。

とりあえず次回からは碑文使い以外の方もぼちぼち書いていこうかと思っています。

それでは、なにか思ったこと、下手な物書きである作者に「ここおかしぞコラ!」といった感じのものがあったらぜひ総合感想のほうに書いてやってください。
でわ。


[No.111] 2007/02/24(Sat) 17:25:04
.hack//L.G.U. 4章 新たなサーバー (No.87への返信 / 1階層) - 蒼

とりあえずログアウトしてメールチェックでもするか。

ハセヲは八咫の話を聞いた後、すぐさまログアウトした。

ハセヲのパソコンがデスクトップへと移ると、メールステーションに1通のメールが来ていた。
送信者はシラバスである。

件名:今、大丈夫? 送信者:シラバス
これからガスパーとクエストやろうと思うんだけど・・・一緒にやらない?
もしやってくれるなら、クエスト:宝物の探求 に、僕とガスパーを誘って!

クエスト・・・か。まだ八咫から連絡もこないだろうし、レベル上げも兼ねて受けるか。

ハセヲは再びThe Worldにログインした。


―――悠久の古都 マク・アヌ――
「や、ハセヲw」
「誘ってくれてありがとだぞぉ〜!」
「別に。暇だっただけだよ」
ログインした後、ハセヲはシラバスとガスパーをパーティに入れた。
思えば、シラバスたちとはハセヲがカイトのデータドレインをくらってレベル1からの再出発になったときからの仲だった。
あの時は、利用するだけ利用して捨てようと思っていた。それが”死の恐怖”のハセヲのやり方だった。
でも、そんな俺の心中を無視して、彼等はハセヲにさらに近づいてきて・・・気づいたら、もう捨てることが出来なくなっていた。

ただ純粋にこの世界を楽しんでいるこいつ等のためにも・・・今回の事件、必ず解決してやらないとな。それが、少しでもあのときの俺の贖罪になるのなら・・・。

ハセヲは、現在の姿であるXフォームになるときとはまた違う決心を、心で誓った。

俺はもう・・・一人じゃない。仲間がいる。事件が終わってから6日が立ち、改めてハセヲはしみじみそれを痛感した。
「? どうしたの、ハセヲ?」
「い、いや。なんでもない。それより、とっととクエスト受けようぜ」
ハセヲはパーティリーダーということもあり、クエストを受けるためにクエスト屋のNPCに話しかけた。
『いらっしゃいませ。まずどちらのサーバーのクエストをお受けになりますか?』
先日行われた最新のアップデートで変わったのはレベルの上限だけではない。マク・アヌに置けるサーバーが一個増えたのもそれに入っている。その名もγ(ガンマ)サーバー。レベル150〜200までのプレイヤーまでのニーズに答えるべく作られたサーバーだ。
しかし、どうやらルートタウンのほうは間に合わなかったらしく、このサーバーは今マク・アヌに置かれている。それで今、ここマク・アヌは上級者と初心者が入り混じる街となった。
もっとも、コレが良いことなのか悪いことなのかはまだ定かではないが・・・。
「えぇと、γサーバーの――」


――γサーバー・隠されし 先人の 黄金櫃――
依頼人であるNPC、”ルレル”曰く、
『フン・・・あんたらに今回やってもらいたいことはズバリ、その昔存在したといわれる秘宝、”レベル10バイン”を取ってきてもらうことだ。こう見えても俺は昔トレジャーハンターでな。昔は色々やったんだが、最近はどうも体が言うことを聞きやしねぇ。そこでだ!今からあんたたちに秘宝を取ってきてもらいたい。もちろん、秘法なんてもんを取ってきてもらうんだ、報酬ははずもう。フン・・・頼んだぞ』
ということらしい。「それにしても・・・」とハセヲはカオスゲートをくぐって出てきた荒野型のダンジョンを見渡しながら思う。
「レベル10バインはないよな・・・」
「ハハハァ。確かに(笑」
「とりあえず、進むか」
ハセヲたち3人は歩を進めた。


あとがき
ノリで出してしまいました。”レベル10バイン”。.hackファンの方なら分かりますよね?分かる方いれば感想の端っこのほうにでも書いておいてください。

まぁそういうことで、もし感想、アドバイス等ありましたらどしどし総合感想のほうにおくってやってください。
物書きにとってそれは一番うれしいことですので・・・。
でわ。


[No.128] 2007/02/24(Sat) 23:39:20
.hack//L.G.U. 5章 第4のトーナメント (No.87への返信 / 1階層) - 蒼

ハセヲ、シラバス、ガスパーの3人はクエストクリアのため、獣神像を目指した。
ここは荒野型のフィールドなので、証の欠片を3個集める必要がある。
まず3人はマップを開き、宝箱のありかの目安をつけた。このフィールドはこの世界では珍しい大きい真四角のみで作られてあり、ハセヲたちの出てきたカオスゲートはその四角の右下端にあった。
ここから一番近い宝箱はマップ画面右上のほうにあったのでとりあえず一行はそれを目指すことにする。
「ねぇ、ハセヲ」
走り出しながらシラバスが口を開く。
「ん?なんだ?」
「新しいトーナメントが出来るのって知ってる?」
「え・・・そうなのか?」
「そうだぞぉ!名前は”神白宮”(しんはくきゅう)って、いうんだぞぉ!」
「それって――」
しかし、ハセヲが何か言う前に宝箱前の敵とのバトルフェンスが突如として現れてしまった。
必然的にBGMが戦闘用のものへと切り替わり、それがあたりを緊迫感で包み込む。
イレギュラーな存在で、さらに他のプレイヤーに変に感づかれないために、ハセヲは双銃を封印している。
ハセヲは大鎌、”万死を刻む影”を手に取りながら叫んだ。
「ちっ・・・行くぞシラバス!ガスパー!」
「うん!」
「おう!」
バトルが始まる――。


「僕等の勝ちだ!」
「お前・・・いつもそのセリフ使うよな・・・」
ハセヲはシラバスにあきれ気味に呟いた。もっとも、ハセヲもつい同じような決め台詞を何回も使ったりしているのだが・・・。
どうやらThe Worldでは、こういう自分なりの決め台詞を使う人は結構いるらしい。
リアルでは恥ずかしさで出来ないのだろうが、そこもやはり仮想現実の強みかもしれない。
ハセヲは宝箱を開け証の欠片を取りながら、
「で、話戻すぞ。その神白宮っつうのは、一体どんなトーナメントなんだ?」
「今までにもあった普通のトーナメントだぞぉ」
「じゃあチャンピオンは?」
「まだいないんだよ。だから、今回の大会はすごい数のエントリーになりそうなんだってさ。明日から受付開始らしいけど・・・ハセヲは出るの?3階級チャンピオンなんだから無条件で本戦出場だと思うけど・・・」
シラバスがよもやまBBSにて手に入れた情報をそのままハセヲに話すと、ハセヲは黙り込んでしまった。
それもそのはずだ。彼は今まで、”そうしなければならなかったから”トーナメントに出てきたのだ。その結果チャンピオンという称号が後からついて来たに過ぎない。
だが、今回は違う。トーナメントに出る必要性はないし、さらに言えば今はエンデュランスを未帰還者にしたAIDAとおぼしきものがこの世界に運びっているのだ。でないほうが利口だろう。
「・・・考えておく」
立ち止まったまま一言、ハセヲは言った。
「そっか。じゃ、とりあえずクエストがんばろう!」
「そうだな」
ハセヲたち3人は次の宝箱を目指した。


あとがき
新しいサーバーの次は新しいトーナメントを作ってしまいました・・・。ネーミングなど微妙ですが、あまり気にせず。

では例の如く、どしどし感想でもアドバイスでも質問でも批判でも総合感想のほうに書いてくださればうれしいです。
でわ。


[No.148] 2007/02/25(Sun) 20:40:55
.hack//L.G.U. 6章 増える未帰還者 (No.87への返信 / 1階層) - 蒼

――ハセヲがクエストを進行させているとのほぼ同時刻 γサーバー 生かされし 屍たちの 鎮魂歌――
洞窟型ダンジョンを進む人影にそっと後をつけるかのようにそろそろ後をつける”黒い点”・・・。
追いかけているのは、ハセヲとも面識がある3人だった。
「ったく、まさかテメェが本当に髪切るとはなぁ」
「なによぉ、悪い?」
「さらに気持ち悪くなった」
「ンだとゴラァァァ!!」
「あ、やるのか柊!」
「あの、もう少しお静かには・・・」
今でこそ解散したが、”ケストレル”につぐ最大手ギルド、”月の樹”の七枝会の隊長たち、松、柊、それに楓である。
普段この3人のメンバーが集まることなどは滅多に無いのだが、どうやら今回はPCエディットをし直した柊が2人にそのPCを見せるために呼んだらしい。そして、流れから自然と冒険に出ることになったようだが・・・。
「オラいくぞ柊ぃ!」
「望むところだゴラァ!!」
・・・ようだが、どうやらあまり利口な判断ではなかったようだ。すでに場は一触即発の空気である。
ついに2人の刃が交えるかに見えたそのとき、
「いいかげんにしなさい!」
「・・・はい」
楓に怒鳴られ、事態は沈静化した。
「ふぅ。では、先に参りましょうか」
楓の一言でとぼとぼ先を行く一行。

3人が第一階層を終え、第二階層への道を歩く時に、事件はおきた――。


――そのころハセヲたち――
「蒼天大車輪!」
回転しつつ繰り出すハセヲの大鎌アーツが敵のはらわたに見事決まり、敵モンスターは奇妙な断末魔を上げ、消えた。
バトルフェンスが消える。
「おし、コレで最後の欠片だな」
そう言ってハセヲは近くの宝箱を開けた。
中には予想通り証の欠片が入っており、そして3つがそろい審判者の欠片へとその姿を変えた。
「じゃあ獣神像へいこっか。ハセヲ」
「そうだぞぉ。もう少しで、クエストクリアなんだなぁ」
ハセヲは2人の言うとおり、適当な返事をした後に獣神像へと足を向けた。


ハセヲが代表して獣神像の宝箱を開けると、そこにはお目当ての道具がはいっていた。

”レベル10バイン”を手に入れた!

「・・・本当にあったんだな」
ハセヲは半分あきれつつ口走る。「まさか本当にこんなふざけた名前のアイテムがあるとは・・・」という気持ちでいっぱいなのだろう。
そんなハセヲの横で、ガスパーは興奮気味に、
「も、もしかしてぇ、コレ使ったら本当にレベルが10倍に・・・」
「ならないよ、ガスパー」
「ハフ〜ン・・・」
シラバスにつっこまれ、意気消沈するガスパー。まるっこい獣人PCの体がさらに丸く折りたたまれる。
「ま、まぁコレでクエストクリアだ。とっとと帰ろうぜ」
数分後、ハセヲたちはカオスゲートをくぐった。


まさか同時刻に、”未帰還者”が3人増えたことなど夢にも思わず――


あとがき
ということでどんどん増えていってますね。未帰還者・・・。
まぁでも一応ハセヲと面識がある人間が狙われているのにはちゃんと理由があります。それはまたいつか本編で・・・。

では、感想等、くだされば非常にうれしいです。やるき出ます。
でわ。


[No.181] 2007/02/26(Mon) 22:58:40
.hack//L.G.U. 7章 ”ありがとう” (No.87への返信 / 1階層) - 蒼

マク・アヌにつくとハセヲたち3人はすぐさまクエスト屋へと向かった。
もちろんクエストクリアの報酬を受け取るためである。


NPC、ルレルは3人がそろっているのを確認すると、そのほとんどほかのNPCと変わらない仕草でしゃべりだした。
『フン・・・どうやら無事に”レベル10バイン”を手に入れたようだな。礼を言おう。
じゃあコレはもらっておくぜ。報酬はクエスト屋の兄ちゃんからもらうんだな。フン・・・じゃあな』
その言葉を聞き終えると、3人のパソコンの画面はクエスト屋の画面へと突如切り替わる。
『クエストクリアおめでとうございます!コレが今回の報酬です』

知力の祭典を手に入れた!
体力の祭典を手に入れた!

「・・・なんか、えらく普通だな」
「ハハ・・・確かにぃ(笑」
ハセヲの言葉に、シラバスが苦笑いで返す。
クエストの適正レベルと報酬との兼ね合いが微妙すぎるからだ。
ガスパーはそんなハセヲとシラバスの様子を見つつ、遠慮がちに体をゆさゆさと振っている。
ハセヲが気になりガスパーのほうを見ると、ガスパーは恥ずかしそうに、
「ね、ねぇハセヲ。この知力の祭典、もらってもいいかなぁ?」

・・・いくらエンデュランスを倒した奴を相手にするっつても、これは別に俺にはいらねぇよな。

「あぁいいぜ。俺は使わないしな。ほらよ」
ハセヲは刹那、すぐさまガスパーに知力の祭典をプレゼントした。
ガスパーはそれを受け取ると、顔に満面の笑顔を浮かべてそれをさっそく自分に使った。
「あ、ありがとだぞぉ!ハセヲ!」
「別に、たいしたことはしてねぇよ。シラバスも体力の祭典、いるか?」
ハセヲは軽い調子でシラバスに聞いた。
実際は今後のことを考えて自分に使ったほうがいいのだろうが、今のハセヲにはそれ以上に大切なものがあるのだ。
「え?いいのハセヲ?」
「んだよ、いらねぇのか?」
「い、いや、ありがとうハセヲ!」
シラバスは最初こそ遠慮がちだったが、最後にはうれしそうにそれを受け取った。
貰ったアイテムを自分に使いながらシラバスは、ハセヲに向かってしみじみとした顔を見せた。
「・・・やっぱりハセヲ、変わったよ」
「え・・・?」
ハセヲが聞き返すと、シラバスは困ったように頭をかいた。
「なんかうまくいえないんだけど、すっごくハセヲ、僕たちとはじめてあったときから変わった気がするんだ」
「うんうん!なんか、自分にあった歩き方を、みつけたみたいな気がするんだぞぉ!」
ガスパーもシラバスに同意する。


・・・変わった、のか・・・?


ハセヲは言われたことを自分にもう一度聞き返す。


前にもいろんなやつ等に言われたが、俺は本当に変われたのだろうか。”死の恐怖”の時の俺から――


ハセヲの中で一瞬のうちにこの世界での記憶が思い起こされるが、それらを全て振り払い、ハセヲは無心になった。
そして、本当に自分が心から2人に言いたいことを、言った。
「シラバス、ガスパー・・・ありがとう」
その言葉を聞いたあと、2人は少しの間驚いたように顔を見合わせたが、すぐに、
「・・・うん!じゃあね、ハセヲ」
「また遊ぼうな、ハセヲ〜!」
別れを告げると2人は、ゆっくりとログアウトした。
ハセヲはとっさについで出た言葉を吟味する。


・・・本当に変われたのかはまだ分からないが、少なくとも
昔の俺ならきっと、”ありがとう”なんて言葉、言わなかったんだろうな。


ハセヲは思ったことを口に出さず、2人より少し後にログアウトした。


あとがき
なんかすごい展開になってきていますが・・・まぁこのあたりは繋ぎの部分ですので・・・。

感想等、総合掲示板のほうに書いて下さったらうれしいです。
でわ。


[No.195] 2007/02/27(Tue) 17:31:13
.hack//L.G.U. 8章 再誕とAIDA (No.87への返信 / 1階層) - 蒼

ログアウトしたハセヲのPC画面にはメール受信のメッセージがあった。

送信者は・・・パイか。

ハセヲはメールステーションにカーソルをあわせクリックする。
パイからのメールはすぐに開いた。
・・・ハセヲの目に、衝撃の光が走ったのは言うまでも無いだろう。
ハセヲは慌ててメールを消し、すぐさま再びThe Worldにログインした。

まさか・・・あいつらまで・・・!

メールには、こう書かれていた。

件名:報告 送信者:パイ
ハセヲ、あなたにとって残念な報告よ。
・・・七枝会の3人、松、柊、楓が未帰還者になったわ。
やはりエンデュランスのときのようにいきなりね。
八咫様が監視をしていたのだけれど、それもすり抜けられたわ。
・・・とにかく、すぐにタルタルガのブリッジにきて。


――タルタルガ・ブリッジ――
ハセヲが急いでブリッジへと行くと、そこには背を向けた欅と八咫だけがいた。
他の碑文使いたちは誰一人としていない。
「欅、ほかのやつ等はどこだ?」
背を向けたまま欅は口を動かした。
「他の皆さんには席ははずしてもらいました。残りの皆さんはパイさんから報告を受けています」
「・・・なんでだ?」
至極まっとうな事をハセヲは聞く。
それはそうだろう。こんなことは初めてなのだ。
欅は重々しく続ける。
「ハセヲさん。今から言うことは全て、貴方の責任ではないことを最初に言っておきます。
残念ながら正直なところ、まだAIDAの位置などは特定できていません。
でも、”再誕からなぜAIDAが生き残れたのかは、仮説がたちました”」
そこまで言うと欅は振り向き、ハセヲの目を見据えた。
真剣な目つきだった。いや、それ以上にその目つきは・・・悲しみに満ちていた。
「ハセヲさん。貴方は竜賢宮のタイトルマッチで1度、AIDAに憑かれましたよね?」
その先に続く言葉は、ハセヲには嫌でも分かった。

まさか、まさか・・・。

「ハセヲさんはあの時、AIDAを体から追い出しました。
僕たちも追い出せたものだと思い、その後特に何もハセヲさんの体を調べようとはしませんでした。
でも、もしあの時ほんの一欠片でも、まだ体の中にAIDAが潜んでいたとしたら?
そしてもし僕がハセヲさんをオペしたときに、僕が気づかずにAIDAにもまた同時にチートしていたとしたら、どうなると思いますか?」
「・・・俺の体の中に、AIDAがいるっていうのか?」
ハセヲの言ったその言葉は、恐れているかのような声だった。
しかし、欅はそれを否定する。
「いえ。それは無いと思います。でも、ハセヲさんの体にいたのはまず間違いありません。
クビアと戦ったときに、ハセヲさんの体はロストしかけました。
おそらく、そのときに出来た穴からハセヲさんの体を抜けたんだと思います
・・・あくまで仮説ですが、それ以外に、考えられません」
そして、どんどん、その声は涙声に変わっていく。
「すいません。ハセヲさん・・・僕が気をつけていればこんなことには・・・。ハハ・・・やっぱり、自分の意志なんて無い、所詮AIのやることなんて、こんなもんなのかも知れないですね・・・」
その言葉にハセヲは体を反応させた。
それは、一時的とはいえAIDAの発生原因が自分の体にあったことを忘れさせたほどだ。
「欅、お前・・・AIだったのか?」


あとがき
ちょっと半端ですがこのあたりで切らせてもらいます。
なんかものすごい展開ですが・・・まぁ1つの可能性として認めてくれれば幸いです。

では、例の如く感想等、くださればうれしいです。
でわ。


[No.229] 2007/02/28(Wed) 23:24:21
.hack//L.G.U. 9章 トーナメントメンバー (No.87への返信 / 1階層) - 蒼

――Δサーバー 隠されし 禁断の 聖域 グリーマ・レーヴ大聖堂――
こちらではパイが残りの3人の碑文使いたちに、ハセヲたちより若干早く話を進め終わっていた。
今はパイが最後に要点をまとめようとしているところだ。
几帳面な性格の彼女らしいやり方である。
「つまり、今回のAIDAは体内に潜伏していたことで生き残っていたAIDAがこの数日で力をつけたもの。普通なら体内のAIDAでさえも”再誕”で消し去ることが出来たのでしょうけれど、ハセヲだけは再誕で消えかけていたAIDAを、欅が誤ってチートで生き残らせてしまったために生存できたと考えるべきね。発生場所はハセヲの体からクビア戦時の亀裂を通してだから、おそらく認知外迷宮(アウターダンジョン)。
その発生したAIDAは現在もなお特定できていない。
こんなところかしら」
パイが一気に今回分かったことを述べると、クーンはおもむろに言葉を紡いだ。
「なるほどな・・・。クビアとの戦いの爪あとが、こんなところに残っていたってことか」
「ハセヲさん・・・タイトルマッチの時からAIDAが体に残ったままでずっと・・・」
アトリは本当に悲しそうな表情でうつむき、手を胸の前で組む。
クーンはパイの目を見据えて言った。
「パイ、今後俺たちはどうすればいいんだ?一体、何からはじめればいいんだ?」
パイは手を組み、
「今後の活動方針はもう決めてあるわ。
とりあえず残っている碑文使いのうち、八咫様を除く私たち5人でこのThe Worldのルートタウンを警備する予定よ。今度のAIDAは手ごわい。最悪の事態を避けるために、ルートタウンは重点的に護るわ。
もちろん、欅や八咫様がAIDAの発生地点を特定するまでね」
「出来ることから、はじめていくんですね」
アトリが”彼”の言葉を借りると、パイは微笑んだ。
「えぇそうね。出来ることから、やっていきましょう」
「ぼ、ボクもがんばるよ!」
「よっしゃ!じゃ、今日は解散だな。早速明日から行動開始ってことでよろしくw」
「じゃあ、詳しいことはメールで知らせるわ」
パイが最後にそう言い、4人はハセヲより一足先に解散した。


――タルタルガ・ブリッジ――
欅がAIだという事実は、確かにそうと言われれば納得できるものだった。
まず第一にアトリの碑文が暴走した時。彼は”僕は大丈夫なんです”と言った。それはつまり、意識を失うプレイヤーがいないから大丈夫なのだと言える。
第2に彼とのメール内容だ。欅はいつもリアルの話になると話をはぐらかしていた。それは、リアルなんて無いからしゃべれないと置き換えられる。
最後にして最大の理由は、彼が常にThe Worldにいることだ。
ハセヲは見たことが無かったのだ。欅のメンバー情報が、Off lineとなっているところを。
「AI、そうか・・・AI、だったのか」
ハセヲはもう1度、かみ締めるように呟く。
「すみません、ハセヲさん。・・・騙すつもりは無かったんですが・・・」
そううつむいてしゃべる欅の声は、もうほとんど見た目と同じような幼く、そして涙の満ちたような声と言っても差し支えないだろう。
そんな欅に、ハセヲは躊躇い無く言った。
「気にすんな。リアルがあってもなくても、お前はお前だ。俺は、お前を信じてる」
その言葉に、欅は目に溜めていたものを右手で拭い去った。
そして満面の笑みを浮かべ、
「ありがとうございます♪ハセヲさん。じゃあ最後に、今後の方針を八咫さんから聞いてください」
そう言われると八咫は待ってましたとばかりに口を開いた。
「まず、今後は何が起きても大事にならぬよう、ルートタウンの警備を徹底しようと思う。最悪への対策は欠かせないからな。
細かい配置は、パイと朔望がマク・アヌ。クーンがドル・ドナ。アトリがブレグ・エポナ、私と欅は調査とここの警備だ」
「俺は・・・?」
「君はルミナ・クロス及び・・・神白宮トーナメントの警備だ」
ハセヲの動きが止まる。

また、俺はトーナメントにでるのか?

「君にはトーナメントにでてもらう。無論、予選抜きでな」
「だが他のメンバーはどうするんだ・・・?それに、今回のAIDAとトーナメントには何の関係も無いだろ?」
その問いには欅が対応した。
「確かにハセヲさん、あなたの言うようにトーナメントとAIDAの関係性は今のところ確認できていません。ですが、トーナメントで何かが起こった場合、対処は確実にしなければなりません。そこで、”もしも”を考え、ハセヲさんにはトーナメントに出てもらいます。
メンバーに関してですが、まず、碑文使いの皆さんにはタウンを常に護っていてもらうつもりですのででれません。ですが、ある程度AIDAに対して免疫がある適格者でないと今回の”僕のチートにより進化してしまった”AIDAには対応できないでしょう。
そこで、AIDAにある程度の知識と理解力があり、かつ適格者の可能性を秘めていた人でハセヲさんと面識がある2人と、今回ハセヲさんは出て欲しいと思います。入ってきてください」
欅がブリッジの扉に呼びかけると、扉が開いた。
そこにいたのは・・・

イコロ最強の男にしてハセヲと刃を交えた銃剣士と――

黒い衣服に身を包みし最初の未帰還者――

「まさか、君とメンバーアドレスを交し合う日が来ようとはな」
「ハセヲ、事情は聞いたよ。これからは、私も戦う」


「太白!?それに――志乃!!」


あとがき
どうでしたでしょうか?お見苦しい点等無ければいいのですが・・・。

まぁとりあえずこういう展開になったと言うことでよろしくです(汗

では、展開についての感想等や率直な感想など、かいてくださればうれしいです。


[No.253] 2007/03/01(Thu) 22:55:56
.hack//L.G.U. 10章 誘い (No.87への返信 / 1階層) - 蒼

翌日は土曜日だった。
ハセヲの通う高校は進学校なので土曜日も授業はあるわけだが、午前中で勉強は終わる。
この日も例外なくハセヲは1時過ぎに自宅へと帰宅した。

・・・まさか、志乃と太白と一緒にトーナメントにでることになるとはな。


昨日、2人を欅に紹介されてからハセヲは信じられないといった様子でこんなことを口走った。
「志乃、それに太白。いいのか?下手したらまた未帰還者になっちまうんだぞ?」
それを聞くと志乃は、手を体の後ろで組みながらにこやかに微笑んだ。
「いいんだよ、ハセヲ。危険なのなんて、わかってる。でもね、私、今までハセヲに助けられてばっかりだったから・・・今ぐらい、一緒に戦いたいの」
「ハセヲ。事情は全て聞いた。
イコロギルドマスターとして、いちプレイヤーとしても、今回の件は私にも関係がある。例えどうなろうと、私は君と戦わせてもらう」
そう断言すると太白はハセヲにつかつかと近づき、メンバーアドレスを渡した。
そして振り向きハセヲに背を向け、とっととブリッジを出ようと歩き出した。
ハセヲが叫ぶ。
「おい太白!本当に良いのか!?」
その声を聞いた太白は1度止まり、首だけ振り向き、そしてこう言った。
「ハセヲ。私にはこの世界において、アリーナしか居場所が無いのだよ」
「!!」
そして太白は行ってしまった。
空気を読んだのか、欅と八咫はもうブリッジにいない。後にはハセヲと志乃だけが残っている。
「ハセヲ。もう止めないよね?」
「・・・あぁ」
ハセヲはもう、2人を止めることを諦めた。
志乃にしても、太白にしてもその言葉からは決心が伺えた。
ゆるぎない、世界の平和を願う決心・・・。
これ以上、ハセヲには2人のトーナメント出場を止められなかった。
それを無理やり止められるほど、ハセヲは強くなかった。


ハセヲは学校から帰ると着替えて、早速パソコンの電源を入れた。
数秒後、白いデスクトップが画面に広がる。

メールが3通来ているな・・・誰からだ?

ハセヲはそれを確認すると、すぐにメールステーションをクリックする。
1通はCC社からだった。トーナメントが新しく出来たので、3階級制覇のハセヲにぜひとも出て欲しいといった用件だ。もちろん予選抜きである。
シラバスが昨日言っていたように、ハセヲには関係ないがどうやら今日から受付が開始されるらしい。
基本的に誰でも予選登録は出来るが、過去の成績などから120チームに絞り込み、明日1日で予選業務を全てこなすというスケジュールだった。もちろん明後日から本戦開始だ。

すごいハードスケジュールだな

ハセヲは素直に感嘆する。
今日だけで人数制限を作ってまで締め切らなければならないほど、参加したい人間が今回のトーナメントは多いらしい。

2通目は欅からだった。

件名:今日1日は・・・ 送信者:欅
ハセヲさん、理由は分かると思いますが実は今ものすごくルミナ・クロスが混雑していてサ−バーがアクセス過多で飛びかけてるんです。
ハセヲさんのPCデータ、僕がチートしている分データが普通のPCより非常に膨大で・・・そんなハセヲさんが、今のルミナ・クロスに行ったらどうなるか、分かりますよね?
・・・サーバーが落ちます。
そうなるとまずいので、ハセヲさんは今日1日ルミナ・クロスには行かないで、本戦に向けてレベル上げでもしていてください。
警備のほうは僕と八咫さんがモニターでしていますので。
じゃあ、がんばってくださいね!ハセヲさん♪


・・・おとなしくレベル上げでも今日はしてるか。

欅のメールをみて素直にそれに従おうとハセヲは心に決める。
サーバーが落ちた場合、下手したらルミナ・クロスにいた全PCのデータがロストしかねない。

最後のメールは彼女からだった。

件名:ちょっと付き合ってくれよ! 送信者:揺光
な、なぁハセヲ、今日暇かな?
もし暇ならさ、一緒にエリア行かないか?やっと私のレベル、ハセヲに追いついたし。
もし付き合ってくれるなら、マク・アヌのカオスゲート前にきてくれよ!


ちょうどいい。揺光と一緒にレベル上げにでも行くか。

ハセヲはそう決め、The Worldにログインした。


あとがき
ということで、次回は人気キャラ、揺光の登場になりました。
正直彼女の口調は結構打ちづらいのですが・・・まぁがんばります。
でもそれ以上に私には太白の口調がすごいむずかしい・・・。

では、いつもどおり感想等もらえればすごくうれしいです。
でわ。

PS
10話という切れのいい数字になりましたので、肥大化防止のため次からは新スレにたてます。
迷惑かけますが、よろしくです。


[No.283] 2007/03/03(Sat) 11:06:17
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