[
リストに戻る
]
No.877に関するツリー
.hack//Pledge 〜go out in the sun〜
- わん仔 -
2007/08/09(Thu) 19:29:14
[No.877]
└
おまけ 椎の(ラギによる)皆の為のしぃつもんコーナー...
- わん仔 -
2007/09/24(Mon) 15:53:54
[No.937]
└
おまけ 椎の(ラギによる)皆の為のしぃつもんコーナー...
- わん仔 -
2007/09/23(Sun) 14:06:11
[No.931]
└
エピローグ 日の当たる場所へ
- わん仔 -
2007/09/18(Tue) 21:14:45
[No.926]
└
#10 きっかけ
- わん仔 -
2007/09/11(Tue) 22:06:08
[No.921]
└
#9 ユウキ
- わん仔 -
2007/09/06(Thu) 22:16:41
[No.919]
└
#8 姉の悩み
- わん仔 -
2007/09/04(Tue) 17:16:55
[No.917]
└
#7 PK卒業宣言!?
- わん仔 -
2007/09/01(Sat) 14:17:52
[No.914]
└
#6 母親
- わん仔 -
2007/08/25(Sat) 14:07:48
[No.901]
└
#5 初の依頼
- わん仔 -
2007/08/25(Sat) 13:51:41
[No.900]
└
#4 団欒の木ノ実
- わん仔 -
2007/08/19(Sun) 15:38:53
[No.895]
└
#3 ギルド発足
- わん仔 -
2007/08/19(Sun) 15:23:27
[No.894]
└
#2 プレイヤー
- わん仔 -
2007/08/11(Sat) 13:59:09
[No.884]
└
#1 美女と野獣≒狩人と魔獣
- わん仔 -
2007/08/09(Thu) 19:54:08
[No.880]
└
プロローグ お届けもの
- わん仔 -
2007/08/09(Thu) 19:34:43
[No.878]
並べ替え: [
ツリー順に表示
|
投稿順に表示
]
.hack//Pledge 〜go out in the sun〜
(親記事) - わん仔
皆さん! お久しぶりでこんにちはです!!
……どこかで見たことがあるタイトルですねぇ(^^;
はい。以前こちらで書かせて頂きました.hack//Pledgeのお話です…
今回は思い出話が中心です。主要人物のリアルも少〜し入ってます。
ので、自己満足の域で書いてます(何
それでもOK! と仰って下さる方はどうぞ
[No.877]
2007/08/09(Thu) 19:29:14
プロローグ お届けもの
(No.877への返信 / 1階層) - わん仔
――Θ蒼穹都市 ドル・ドナ――
ギルドショップが立ち並ぶ広場の奥。そこには中級ギルドの@HOMEにつながるひとつの扉がある。
「くぬぎ、どこ行くんだよ?」
「《あずま屋 オアシス》の@HOME。渡すモノがあるから」
口調といい、その動作といい、面倒くさいというのが窺えるくぬぎ。
椎は「メンドくさいなら、何で行くんだ?」と思いつつ、ゆっくりとトビラを開いた。
トビラを開くと、そこは台風一過の空のような青色をした部屋だった。そして、あちこちで水音がする。
「いらっしゃいませ―――あら、くぬぎ様。今回はどういったご用件でしょうか?」
「陽翳、いる?」
「申し訳ありません。我がマスターは、今……」
「不在ってことね。………あ。そっか、アリーナに出てるんだったっけ」
「はい」
出迎えてくれたのは受付組であるはずのラギ。
ギルドマスターが不在となれば誰かが代理をせねば――ということで、ラギがその代理だったのだ。
「じゃ、コレを渡しておいて」
そう言ってくぬぎがラギに渡したものは、魔導士であるくぬぎ、そして鎌闘士の椎も使えるはずのない、ひと組の拳当だった。
「……かしこまりました。伝言はいかが致しましょう?」
「そうね。ついでにお願い。―――アリーナといえど所詮はPK。使い慣れてて親しみのあるこっちの方が、気持ち的にもラクでしょ? と。」
「承りました。――あ。私的なことでございますから、料金は結構ですよ」
いつものことで依頼料を払おうとしてしまったくぬぎ。ラギの笑顔に見つめられ、恥ずかしくなって顔を赤らめる。
椎はそんなこととはつゆ知らず、顔を水がめに突っ込んでいた。
「くぬぎ! 金魚がいるぜ、この壺ん中!!」
「………ガキ」
――Ω闘争都市 ルミナ・クロス――
『湧き上がるは観客。奮闘するは猛者ども。さぁ、命をかけた壮絶なバトルが、今宵も展開しよう
としております!! ―――――………』
実況の熱い声が会場いっぱいに響く中、トネリコたちはその中心にいた。
―――アリーナ・碧聖宮 準決勝
既に紅魔宮は制覇していた一行。しかし、アリーナの恐ろしさはこれからだった。
「ようやく、ここまで来れましたね……」
「今まで4回ぐらい挑戦したけど、ぜぇ〜んぶ予選敗退だったからねぇw」
「照ちゃん、そこ笑うところか?」
あの、“約束”を果たすために
「相手は初出場か」
「でも僕らの方が、キャリアは上です!」
トネリコの両手に、碧に輝く双剣が握られた。
『それではッ!! 試合開始だぁああぁあ!!!』
実況の声が轟き、戦いの火蓋は切られた。
トネリコたちの対戦相手は魔導士2人と妖扇士1人の、スペル重視のパーティだと、ラギが事前に
教えてくれていた。戦闘パターンもひとつ。
――まず、妖扇士が仲間(相手)のステータスを上げ(下げ)、魔導士2人が互いに時間差を作ってスペルを用いての遠距離攻撃。SPが減ってくると、とにかく逃げ回り、その間にまた妖扇士が……――とのことだった。
「時間差を作ってるとなると、アーツは無闇やたらと使えねぇな。すぐに反撃されっから」
「妖扇士の方も放っておくわけにはいかないよね。意外とやっかいなスペル持ってるし……どうする、トネリコ。パーティリーダーを徹底的に叩く?」
「いえ、マンツーマンで勝負です。物理攻撃力は僕らの方が上ですから」
「つまり?」
「『攻撃は最大の防御』です。とにかくスペルを放つ隙を与えずに、レンゲキを狙って下さい」
『了解!』
入り乱れるスペルの嵐の中、トネリコたちは冷静に作戦を練る。こちらに回復役がいない以上、速効で勝負を決めないといけなかった。
トネリコの指示通りに動く陽翳、そして照々。
すると相手はラギの言ったとおり、SPがなくなった途端、逃げ回り始めた。
『逃がしゃ、しねぇっての!!』
――Θ蒼穹都市 ドル・ドナ――
試合が終わって、トネリコたちは《あずま屋 オアシス》の@HOMEに来ていた。
「お疲れトネリコ」
「うん。……次は決勝、か…」
「長かったねぇ〜ここまでくるのに。……これだけ時間食ってたら、さすがのハセヲも誰かにやられ
ちゃったんじゃない?」
「そんなことないですよ! 約束してくれたんですから!!」
あの、ハセヲ先輩がやられるはずがない。だって、この世界を救ってしまったとんでもない人だもの。
トネリコは信じていた。あの人が、約束を破るはずがない、と。
「マスター。先ほどくぬぎ様がいらして、コレを渡してほしいと……」
奥からラギがやってきて、アイテムを陽翳に差し出した。
「ん。コレ、陽翳が使ってた拳当じゃないの?」
「そうだ、なぁ。前に、くぬぎちゃんに売ってもいいからってことで渡したけど……何で今更?」
「くぬぎ様は『アリーナといえど所詮はPK。こっちの方がラクでしょ』――と仰っておりました」
それは、トネリコがプレイを始める以前まで陽翳が使用していた【護拳・隈鳥(くまどり)】だった。
「あ。思い出した!」
トネリコが突然叫ぶ。
「何? アンタがコレを知ってるはずないでしょ?」
「いえ、そうじゃなくって。以前に、陽翳が照さんたちと出逢ったきっかけを訊こうととしたら『後で』って言われたっきり聞いてないんです」
「なぁ〜んだ。そんなこと? この武器が帰ってきたし、ちょうどいいかもね。じゃあ、アタシが教えてあげ―――」
「だぁああぁあ!! オレが言うからいいってばッ!!!」
そんなに嫌なことでもあったのだろうか……?
陽翳は咳払いをすると、思い出話を始めた。
[No.878]
2007/08/09(Thu) 19:34:43
#1 美女と野獣≒狩人と魔獣
(No.877への返信 / 1階層) - わん仔
オレの腕の先には、鋼のように堅い拳が付いている。
無論、それはオレにとって道具、凶器に過ぎない。
鳥の嘴を模した黄色い爪。曲線を描いたそれは、角度によっては歌舞伎役者が施す隈取りにも見えることから【護拳・隈鳥】という。
もしも、これがリアルであれば、連続撲殺魔といったところだろうか。
指名手配されて、裁判にかければ死刑か無期懲役は確定だろうな。
リアルなら。
ま。こっちもそうそう変わらないか。
オレはPK。この世界での凶悪殺人犯。
――――自らの拳を紅く染め、オレは何を求める?
――Δ悠久都市 マク・アヌ――
「なぁ、アイツって確か―――」
「そうそう。カオティックの」
『撲魔獣の陽翳』
そうだ。オレはカオティックPK。
元々は、個人で始めた商売だった。復讐屋、雇われ屋とも言われていた時期もある。とにかく、オレはPKを生業としていたんだ。それも、己の拳で。
そして、今日はカオティックPKメンバー更新のクエストがある日だ。
不定期に行われるテストのようなもんで、同時にPKを狩る者すなわちハンターたちの試験でもある画期的なクエストだ。
とりあえず、オレは暇だから参加するだけだけど。
「御武運を」
クエスト屋でクエストを受け、オレは開催エリアへと向かった。
――Δ入り乱れる 圧巻の 雄姿――
「あっれ、撲魔獣じゃん。いきなりで悪いが成敗してくれる!!」
エリアに着くや否やいきなりハンター候補に出くわしちまった。不意打ちにもほどがあるっての。
「………はっ!」
「ぅにゃあぁあぁああ!!!」
軽く何発かかましただけでくたばっちまったハンター候補。
すると、それを遠くから見ていたのか、一人の女性型PCが近付いてきた。
「やりますなぁ、アンタ。じゃ、今度はアタシの相手してくれる?」
「おう」
どうせコイツも同じようだろ。と、余裕を持っていたものの、バトルフィールドが展開した途端マジで
ヤバいと思った。
強い。
今までヤッてきたどんな奴よりも、素早くて技のキレもあって、なにより綺麗だった。
「割と自分の拳にゃ、自信があったんだけどね。今回はそうもいかなそうだ」
「へぇ……カオティックPKにも、なかなか骨のある人いるじゃんか。アタシって運がないのかなぁ…」
互いに余裕なんてないくせに、笑ってる。コイツも、オレも。
よく見りゃコイツ、最近になって知名度が上がってきたっていうヤツじゃ―――?
結局
「無理。オレの負け。……ところでさ、お前―――」
「照々。これからもヨロシクね、えと、陽翳くん?」
フロアのど真ん中で横たわっていたオレに手を差し伸べるPC。
これが、オレと照々が出逢った瞬間だったんだ。
―あとがき―
改めまして、こんにちは。わん仔です♪
今作からは副題を付けます。
注意書き(?)にも書きましたが思い出話、陽翳の思い出ですね。
プロローグは今現在の一行を。#1では陽翳と照々の出会いをお届けいたしました。なんだかありきたりな出会いだなぁ……(黙
プロローグ・エピローグ含め全12話の予定です。
割と短めですが、またよろしくお願いします!!
[No.880]
2007/08/09(Thu) 19:54:08
#2 プレイヤー
(No.877への返信 / 1階層) - わん仔
――Δ悠久都市 マク・アヌ――
マク・アヌの桟橋。オレを見る周りの目は冷たい。いままでの行動を振り返ってみればあたりまえだろう。なんたってオレは………
「おい!お前、ハンターにやられたんだってな。魔獣の名が泣くぜ? あ。今は元かwww」
いきなりオレにいちゃもんつけてきた男―――けど、いったい誰だ?
「そんなこと言われる筋合いなんてないし、第一、誰ですかアンタ?」
「てめぇに以前PKされたんだよ! 憶えてねのか!?」
「んなこと言われたって、いちいちPKした奴の顔なんて憶えてないだろ普通」
「礼儀がなってねぇな。俺は憶えているぞ! ヤッタのもヤラレタのも!!」
自慢げに言われても……オレは、ヤッた奴の顔どころか存在すら憶えていない。考えちゃいない。ただ行動しているだけだ。
「あれ?君、この間アタシがやっつけたカオティック君?」
ちょっとした口論になりかけた時、男の背後から声がした。聞き覚えのある声だ。
「げっ!?てめぇ、昨日の―――!!」
「やっぱりそうだ。アンタを狩ったばっかりに、あの後PKと勘違いされて大変だったんだからね?」
「お前ら、知り合いだったんだな……くそぅ、憶えてやがれぇええ!!!」
お前に憶えてるも何もあるのか? と思いつつ、事は収まった。しっかし、何でこの人に……
「やほ、陽翳w」
「……誰だっけ」
この人にあまり関わりたくなかったオレは、わざと目を合わせないように訊いた。
な、なんか恥ずかしかったんだ。今までずっと単独行動してきてたし、オレは敗者だし……
「照々だってば。てるてる坊主の照々」
「てるてる坊主って……」
「うん。アタシ、雨が嫌いだから。ベランダにも全長1m弱のてるてる坊主を吊るしてあるよ?」
「デカっ!」
驚いてはいるものの、オレの知り合いにもそんなくらいのてるてる坊主を吊るしてる人がいたような。
「そっかなぁ…? 誰だって、雨は嫌だと思うけど。『ユウキ』も『ヨウイチ』くんみたいなこと言うんだよねぇ」
そうそう。オレの知ってる人にも、ユウキっていう弟がいた――ってか、オレの幼馴染みだ。
なんかオレのリアルの名前まで出されたような気がするけど……
――――は? もしかして、それって……
「w」
オレが「まさか」といった表情でいると、向こうはニヤリと笑った。間違いない、あの人だ。
「………『アスハ』さん?」
「御明答ー。やっぱりヨウイチくんだったんだねぇ。初めて会ったときから疑ってたけど」
「な、なんで!?」
「だって、PC名は字違うけどキミの苗字だし、なにより素のままだもん。声が」
こうして、お互いに弱点(?)を握ってしまったわけだ。
[No.884]
2007/08/11(Sat) 13:59:09
#3 ギルド発足
(No.877への返信 / 1階層) - わん仔
マク・アヌの噴水前。オレの目の前には……あの人。
「依頼?」
「ちょっとぉ、まんま単語で言わないでよ。主語を言いなさい照々という主語を」
「お客様、依頼でございましょうか?」
まさか、あんなか弱そうで真面目なお嬢様がネトゲを。それもオレを打ち果たしたのがこの人だと思うと、調子が狂う。
ろくに目も合わせられやしない。そして、ついつい口調がきつくなる。
「病弱だったのは小さいときだけだよ?」
「あ、そ」
「意地悪だね〜。それはさておき、折り入ってお願いがあるんだけど」
「何?」
オレの思考を……―――オレってそんなわかりやすいヤツなんかなぁ……?
すると照々は、ずいっと顔を近づけてきやがった。
「ギルド、建てない?」
「……ギルドの手助け?そんなことはしない」
現実逃避というのか、ワザとらしくとぼけてみた。
「アタシと、ギルドを経営してみないかって言ったの!」
「どうしてオレかなぁ……?」
「だって、陽翳は今までは独りで商売してたんでしょ? それほどの腕を持ってるなら、もっと社会に貢献したほうがいいんじゃない?」
言われてみると、確かにオレはずっと独りだったかもしれない。
友人に勧められてやり始めたけど、実際プレイをしてみると独りで活動する方が多くなっていった。
PKをやり始めたのもそんな時だ。もとは単なる暇潰し。いつしかそれはオレの糧となり、オレの存在意義を語るまでになっていたけど。
「……社会貢献、か。そんなんじゃないけどPKにも飽きてきたし、いいかも。けど、二人だけでか?」
「う……」
そりゃ、一桁の人数でやってるギルドもあるだろうさ。でも二人じゃ同好会もままならないだろ?
まぁ、皆無とは言わないが。
「あの……そのギルド、私も参加してよろしいでしょうか?」
突然、オレの左方から声がした。弱々しい女の声。そこには、ブレザーのような服装をしたPCが立っていた。
「え。ラギ?」
照々が驚きを隠さずに呟いた。どうやら知り合いのようだ。
「知り合いなのか?」
「う、うん。たまたま学校でね」
「はい。私はラギ、安らぎのラギと申します。以前は《月の樹》に所属しておりました」
「《月の樹》ねぇ……」
オレは当然渋る。《月の樹》といえば、PKにとって天敵みたいなもんだからだ。
「あれ。いつ抜けたの?」
照々はそんなことを気にも留めず質問する。お前もPKしてることには変わりないだろ……
まぁ、リアルでも知り合いの仲なら当然か。
「だいぶ前には。欅派だの榊派だの派閥争いにうんざりしてしまいまして、単身、援助活動をしておりました」
「で、ちょうどいいところにオレ達が話をしていたと」
「その通りでございます」
にこやかに笑い掛けるラギ。
それだよ。その胡散臭い笑顔が嫌いなんだ。
《月の樹》ってのは人が良いよさそうな作り笑顔で、信者を増やしていくような連中だ。
そんなオレの思考を察したのか、ラギは黙り込んだ。
「まぁまぁ。ラギはあくまで、元メンバーだよ? 抜けたんだから。陽翳もそんな気にしないで、ね?」
縋るような仕草で近づく照々。言われてみれば、そっか……
「で。ギルド創設するにしても、何やんのさ?」
「え? それって、一緒にやってくれるってこと!?」
「……そのつもり、だけど」
照々は目を輝かせて、思わずオレが仰け反るくらいにさらに近づく。
はい。そこで、ラギが挙手。
「やはり、ここは支援的な活動が良いのではないでしょうか」
「は?」
「陽翳様は今までにも、PK関連で商売をなさっていたのでございましょう? それに、私も《月の樹》で救援活動をしてましたし」
「アタシも賛成〜!」
「………てなわけで。中・上級者支援ギルドに決定!」
初心者は相手をするのが面倒、という満場一致の意見で、レベルも近く、話もしやすい中・上級者のサポートをすることになった。照々もオレもバトルが趣味、というのも大きな要因のひとつだったけど。
――――それが将来、おもいっきり後悔することになるとは思ってもみなかったが。
「ギルド名はいかが致します?」
「太陽に日陰、それに安らぎ……か」
PC名の由来を呟いてみた。やっぱ創業者の名前は残したいからな。
照々は明らかに日が照っているという意味だし、オレもまんまだ。ラギは、さっき自分で言ってたしな。
「海?」
「なんでだよ」
「じゃあ、リゾート」
「そっから離れろ!!」
さっきっから暑苦しいことしか言わない照々。確かに夏もだいぶ近いけどさぁ……。
「オアシス……なんていかがです?」
オレと照々の妙な物議を見ていたラギが、ふと提案した。
「オアシスかぁ。いいんじゃない? ね、マスター?」
「おう」
素っ気なくオレが答えると、照々は驚いたような表情を見せた。
「え? ギルマス、やってくれんの?」
「やってやるさ。てか、最初っからそれ覚悟の上だ」
「じゃ、よろしくお願い致しますね。我がマスター」
ラギも認めてくれたようだ。照々もようやく我に返ったように頷いた。
ホントのこと言うと、いち企業の社長って一回やってみたかったんだよな。
「じゃ、誰もがすぐに立ち寄れるという意味も込めて《あずま屋 オアシス》に決定。活動内容は中・
上級者支援でOKな?」
オレが宣言すると、二人は大喜びした。
「では。私はギルド創設の手続きをしてまいりますね、マスター」
「アタシはメンバー募集してこよっと♪」
二人はそれぞれに散って役目を果たしに行った。
……オレ? オレは何をするのか判らんかったから、ただそこで仁王立ちしていただけだ。
[No.894]
2007/08/19(Sun) 15:23:27
#4 団欒の木ノ実
(No.877への返信 / 1階層) - わん仔
あの二人とギルドを立ち上げてから、PKをすることはめっきり減った。というより、あの二人が許さないんだ。……ラギはもとい、照々はハンターのくせに。
――Δ悠久の古都 マク・アヌ 《あずま屋 オアシス》@HOME――
「お客、来ないねぇ」
「存在自体、知らしめていませんし」
「その方がラクだって………て、何度目だよコレ言うの」
@HOMEでの会話。何度もループしてやがる。
第一、メンバーだってようやくオレ達含めて5人になったばかりだ。客なんて来なくて当たり前。
「気晴らしにエリアにでも行ってくるな」
オレはとにかくこの二人といると調子が狂っちまって嫌だったから、この場を逃げ出した。
と、外に出た途端―――
「あなた、《オアシス》の人?」
「そう…ですけど、お客様ですか?」
目の前に現れたのは、PCの見た目だけでいうと小学生くらいの、女の子だった。
「そのギルド、具体的には何をしてるの?」
「レベル上げやクエストの手伝い、及びパーティメンバーの提供、アイテムの入手・販売なんかも
する。まぁ、強いて言えば“何でも屋”だな」
「じゃぁ、依頼する」
「お前、レベルは?」
「118」
(お、オレより高い……)
正直ショックだったね。てか、いいよなぁ〜ガキには時間があってさぁ……
「で、良いの? ダメなの?」
「『オ』まかせ下さいお客様
『ア』ナタのために
『シ』ンライ・安心届けます
『ス』テキにサポート致します。 して、その依頼とは?」
何故わざわざこんな恥ずかしいことをしなくちゃいけない? そんなん「ありがとうございます」で済むことじゃねぇかよ。
―――そう、オレも訴えた。けど、あの二人はインパクトが必要だときかなかったんだ。個人スロー
ガンを一人ひとつ考えてもらう。それがこのギルドの参加条件にしたんだと。
「とあるアイテムを、獲ってきて欲しいの」
「アイテムですか?」
「『青どんぐりの石』。クエスト『リスの洞窟探検』の報酬」
そう言うと、くぬぎと名乗った女子はクエストの情報をよこした。
その下の方には、こんな一言も。
「……『亜貴』の、誕生日?」
「き、気にしないでっ!!」
さっきまでクールに振る舞っていたくぬぎは、急に赤面して「その部分だけは見ないで!」と言って
慌てた。
なんだよ。可愛いとこもあんじゃん。
「彼氏か? 生意気だなw」
「そんなんじゃない!!」
「じゃ兄弟?」
「………それ以上、訊かないでちょうだい」
見た目に反して凄みのある声を発したと思ったら――
「でも、すごく大切な子なの。たまには『The World』で誕生日プレゼントを……」
恥ずかしそうに、涙目を浮かべながら答えた。
もちろん、オレはそれ以上何も訊かなかったさ。
たったひとつ解ったこと。その“大切な子”とくぬぎの間には強い絆のようなものが、あるってことだ。
[No.895]
2007/08/19(Sun) 15:38:53
#5 初の依頼
(No.877への返信 / 1階層) - わん仔
――Δ静かなる 古代の ブナの木――
始めての依頼ということで、オレを除くパーティメンバーの二人は大はしゃぎしていた。
「ねぇねぇ陽翳! このクエストの報酬を手に入れればいいんだよね!?」
「……」
「クエストのクリア条件は何ですか?」
「ボス退治だそうだ」
「おし!! モンスターでも何でもかかってこいやぁ!!」
大はしゃぎしてたのは照々だけだったみたいだな。ラギはいたって落ち着いている。謝ろう。
今思うと、ラギをギルドメンバーにして正解だったな……
事務的なことは一手に引き受けてくれる。オレと照々だけじゃ、こんなことできやしないからな。
絶対。
「ところでマスター、PKはやめたのですか?」
「やめちゃいないさ。ただ今のところ、ギルドの方で手いっぱいだし。ま、カオティックは諦めたけど」
「ふふんw 諦めたもなにも、アタシがやっつけたじゃない?」
「………」
抑えろ、抑えるんだオレ! コイツはただ、テンションがhighになってるだけだ……!!
「そ、そろそろ行こう」
『はい』
モンスターも奥へ進むほど強くなってきていた。それでもオレと照々がいれば、まだまだ雑魚レベル。
しっかし、面倒なクエストだよまったく……。連続でモンスターどもと戦わされたり、ようやく
親玉の登場かと思いきや、実はダミーだったり。
ま、何はともあれ無事にクリアできたからよかったが。
――Δ悠久の古都 マク・アヌ――
「お疲れ様。で、アイテムは?」
あらかじめ指定しておいた待ち合わせ場所に、依頼主の女子こと『くぬぎ』が待ちくたびれている
様子もなく立っていた。
「はい。こちらにございます……が。まずは料金を」
「……いくら?」
「3000GPほどは♪」
それぐらいが妥当だと、自信ありげに照々が言う。しかし―――
「全額タダにしたらリピーターになっても構わないけど」
『ぜ、全額!!?』
くぬぎという、とんだお客を持ってしまったものだ。と、そこでラギが登場。
「ええ。さすがに初回は無料とさせていただいておりますからご安心を。ただし、お客様の名簿は
しっかりとらせていただくので、必ずリピーターにはなっていただきます」
「……あくどいやり方ね」
「元はしっかりとらせていただかなくては♪」
必殺・スマイル炸裂!!
このとき、ラギの素顔を垣間見たような気がした照々とオレだった。
「ありがとうございました」
くぬぎはちょっと不機嫌そうにタウンの人ごみへと消えた。
深々とお辞儀をするラギ。彼女はその後、レポートをまとめなくちゃいけないという理由でログアウト
した。照々も昼寝するとか言ってログアウトしちまった。オレはもちっと遊ぶか。
[No.900]
2007/08/25(Sat) 13:51:41
#6 母親
(No.877への返信 / 1階層) - わん仔
ギルドを建設して早一週間。ギルドメンバーの数も増え、@HOMEにもだいぶ活気が出てきていた。そこそこ依頼も増えてはいたが、今日はいたって平穏。つまり暇なんだ。
@HOMEにいても、することなかったからエリアをうろつくことにした。
すると、見知らぬPCがこちらに向かって手を振っていた。……後ろを振り向いたが、相手らしき人物はいない。もしかしなくても、オレに用か。
「依頼ですか?」
「今、ヒマ?」
「……いきなりかよ。馴れ馴れしいな」
「だって、くぬぎの知り合いなんじゃないの?」
くぬぎ…―――ああ。記念すべき最初の客か。
「知り合いと言うより、大事なお客様ですけど」
「ほほぅ……?」
「何?」
「ううん、何でもない。ウチ『オーク』っていうの。くぬぎのママ友よ」
ゲームでも―――ゲームだからこそ、リアルの年齢を気にするのが女性ってやつだろ。若く見せたいのは当然のはず。
だが、この人は女性型PCにしちゃ珍しく、わりとオバサン色が強い印象を受ける。割烹着風の
エディットとか。
にしても、くぬぎの“ママ友”…ね。
「くぬぎって、リアルでも小学生なんじゃねぇの?」
「違うわよ。PCはあれだけど、立派な母親よ?」
「……オーク。本人の居ないところで、リアルのことをペラペラ話すのはやめて」
「む。この子にくぬぎの良さを伝えてあげようとしただけなのにぃ〜」
オレ達に挟まれる形で、くぬぎ本人がひょっこりと顔を出した。
「だいたい、4人も子供がいる母親がネトゲなんかする?」
「あら。それはこっちの台詞よ! 若作りにも程があるわ。そんなガキンちょの格好なんかして。実の息子に恋愛感情でも芽生えた!?」
「馬鹿なことを言わないでッ!!」
「まぁまぁ落ち着けって二人とも。……でも、オークは言い過ぎだぜ。ココで他人のリアルを言うのはタブーだろ?」
『………』
突然の出来事でオレも驚いたが、とりあえず落ち着いたようだ。
オークもブツブツ言いながら行っちまったし。
「ごめんなさい。アナタに迷惑をかけるつもりじゃなかったのよ」
オークが膨れっ面で去った後、くぬぎは今までに見たことないような表情でオレに謝った。
「じゃあ、その迷惑ついでに訊いてもいいか?」
「私のリアル……ね?」
「ああ。客の情報は欲しいからなw」
「いいわ。どうせ貴方とは“企業と客”の関係だし。ログは非表示にすればいいし」
すると、今までのくぬぎとは違う“母親”としての人物がそこに現れた。
「私、もともと虚弱体質というのもあるけれど、出産以来ずっと入院してるのよ。それで、私の“大切な子”―――息子が『The World』を始めるんだって言っててね。というより、毎日報告してくるのよ。学校であったこととか、これから友達と遊ぶんだー、とか」
「で。少しでも一緒に居たいから―――約束した、と」
くぬぎは何も言わず、ただ頷いた。
「………どーしよーもねぇくらいの、親バカだな」
「ええ。ホント、馬鹿よね……」
くぬぎがここまで高レベルの理由。『The World』に居る理由。
それは大事な息子との、約束のため。
自分がこの子を守りたい、少しでも一緒に居たいという欲。母性本能か。
「ついでのついで。頼み事しても、いいか?」
「また随分と唐突ね。何?」
オレが言葉を発すると、くぬぎはいつもの調子に戻って頼みを聞いてくれた。
「コレをさ、預かってもらいたい。……売っても構わない」
「………PKから足を洗うということかしら」
「ま、そういうことだな。今までのことはスッパリ切り捨てて、新生陽翳として頑張るさ」
オレがくぬぎに託したモノ。それは―――オレがPKであった象徴でもある拳当、【護拳・隈鳥】
「新生、ね。せいぜい頑張りなさいよ」
「おう。これからも依頼をお待ちしておりますよ、くぬちゃん?」
「変」
「えぇ!? 即答っすか!!?」
「ところで。この拳当のロッカー代、頂ける?」
「………」
初めて見た、くぬぎの笑顔。やっぱ無邪気な女の子、なのかな?
―あとがき―
皆様こんにちは! あとがきを書くのは久々です。
今回はくぬぎ中心でお送りいたしました。いかがでしたでしょうか〜?
ついにこのお話も半分……6話目でございます。
早いですなぁ〜。夏も休みも終わってしまいますぅ(ToT)
ではでは!! わん仔でした!!
[No.901]
2007/08/25(Sat) 14:07:48
#7 PK卒業宣言!?
(No.877への返信 / 1階層) - わん仔
くぬぎに、【護拳・隈鳥】を渡して正解だったと思う。
だから、こうして覚悟が決まったんだ。くぬぎに、感謝だな。
オレは早速、ギルドの@HOMEへと向かった。
――Δ悠久の古都 マク・アヌ 《あずま屋 オアシス》@HOME――
「いきなりだが……皆に聞いてほしいことがある」
『?』
現在、ギルドメンバーの総数はオレ含め18人。ランクは2。
その全員が、一斉にオレを見つめる。今日はこのために、皆に集まってもらったんだ。
この、たった一言のためだけに、ギルド活動を中止してまで。
「オレ、PKやめる」
『はぁッ!?』
皆、同じようなリアクションをした。当然って言えば当然だな。ここにいるほとんどの奴は、オレがカオティックの名を持っていたことなど承知の上でメンバーになったはずだ。
オレ自ら、こんなことを言うなんて夢にも思わなかっただろう。
「ど、どうして?」
「ん〜……気まぐれ? 飽きたっつーか、ギルマスやってる方が楽しいしw」
開いた口が塞がらないってのはこのことを言うんだなw メンバー全員が口を開けて呆然としている。
ま。ギルド造って以来、満足にPKできなかったし。この際、いっそ止めてやる
そんな気持ちが切欠だった。………こういうのを諦めって言うんだっけか。
正直なところ、今のプレイスタイルの方が気に入ってる。
「そこで、だ。これからは演技してプレイすることに決めた。エディットも少し変えるつもり」
「ろ、ロールってどんな感じに……ですか?」
目を丸くしたまま、ラギが訊いてきた。早速オレは、咄嗟に変声機能を作動して言ってみたんだ。
「新生した陽翳です。これからもよろしくね、ラギちゃんw」
『………』
「あれ、無反応?」
「いやぁ、なんて言うか。あまりに今までのイメージとかけ離れすぎてて……」
照々までもが信じられないといった表情だった。演技って面白いですなぁww
「あれ、マスター。愛用の拳当は?」
メンバーの一人がそんなこと訊いてきたから、微笑んで言ってみた。
「売った」
「マジ、で?」
また別の一人がキョトンとした表情で言う。
「うん。ついさっきw」
夢でも見てんのかと思っているような皆の顔。でも、夢じゃない。現実だ。
「じゃ、こんな感じでよろしく(^^」
『は、はい……』
「ギルマスからは以上! それぞれの任務、お願いしまぁ〜す♪♪」
オレは満面の笑みで手を振って、送りだしたんだ♪
[No.914]
2007/09/01(Sat) 14:17:52
#8 姉の悩み
(No.877への返信 / 1階層) - わん仔
――Δ悠久の古都 マク・アヌ 《あずま屋 オアシス》@HOME――
今日はギルドのことは新人に任せて、創設者であるオレ達は@HOMEでのんびりと過ごしていた。すると照々が。
「ごめん、アタシ喉乾いちゃったから何か飲んでくる!」
と言って突然プレイヤーが席を外したために、PC照々の動きが止まる。
いきなりにもほどがあると思うけど……ま、いっか。今日は暑ぃし。
「私たち、何だかんだでリアルでも知り合い同士だったんですよね?」
そういえば、という感じで呟いたラギ。
「ん? そーだねー。照ちゃんのプレイヤーは、オレの親友の姉ちゃんだし――」
「私は彼女のクラスメート」
言われてみれば、オレ達は皆、リアルでも知り合いってコトになるんだったっけ。
でも、照々のプレイヤーは確か全寮制の学校に通ってて、滅多に家へは帰ってこないって聞いてたな。
「ところでさぁ、ラギちゃんのリアルって―――?」
「あ、はい。当然、私も寮生活を送っていますよ」
「会ったことあったっけ?」
「『リアルで』――ですか? たぶん無いのではないでしょうか。照々とも、顔見知り程度ですしね」
「ん〜、『キヨスミ』さんって何かさぁ、からかいにくいオーラがただよってるんだよねぇ……」
いつの間に戻ってきたのか、照々は呑気に伸びをしていた。
「て、照々!? こんなところで本名をださないで下さいよ!! 何の為にPC名があるんですか!!?」
ラギが顔を真っ赤にして訴える。そういや、オレも言われたな。リアルの名前を、その口から。
そもそも照々には、TPOってものが無いのか?
「サ! 喉も潤ったことだし、ラギも怒んないの!!」
「もぅ〜! 人の話を聞いて下さい!!」
これじゃゲームもリアルもありゃしない。何の為のMMORPGなんだか……。
ラギは珍しく怒った様子でタウンへと出て行った。
カチ・カチ・カチ・カチ………
時計の秒針の音だけが響く、@HOME。グランティなんか居眠りこいてやがる。
オレも照々も人(?)のことを言えた義理じゃないが。
「……ねぇ」
照々の一声が長い沈黙を破った。
「何?」
「ユウキさ。今、学校じゃどんな感じなの?」
ユウキ―――照々のプレイヤーの弟で、オレの親友の名だ。
「そうだねぇ〜…相変わらず優柔不断。ってか、リアルのこと言うなってラギに怒られたばっかじゃんw」
「……あのさ。その変声、止めてくんない? 未だ慣れない。しゃべり方は許すから」
オレは渋々、声を元に戻した。―――なんだよ。 せっかくオレだって頑張ってるのに……
「でも、なんで急にユウキのことなんか?」
すると、照々の表情が急にしんみりしたものになった。
「ほら。アタシ、普段は家に居ないでしょ? だから気になってさ。夏休み入ったら帰るつもりだけど」
「……そんなに気になるなら、オレがユウキに『The World』勧めてみよっか? そうすればいつだって会えるし、話もできるしさ」
「アイツ、ネットゲームはしないじゃない」
困ったように笑う照々。確かにユウキはネットゲームはしない。――が
「やるよ。ユウキ、神話とかなら目がないし。やり始めるまでが時間食うだろうケドさ」
「そうだったねぇ。あ、でもさ。アタシの正体、バラさないでね?」
「は? 何で?? それじゃ意味ないんじゃ」
「いいの。そっちの方が面白いしww ―――それに、今アイツとケンカしてるし……」
ああ。ユウキも言ってたっけか。姉との仲がうまくいってないって。
「そんなことなら、お任せあれですよ」
「じゃ、よろしくね」
オレたちはそう約束して、その場を後にした。
まったく、オレの知り合いはどいつもこいつも親バカというかブラコンというか………
―あとがき―
こんにちは、わん仔です♪
ホントーに今更ですが。。。
今作の語りは陽翳本人でお送りしております。
第7話生まれ変わった陽翳。だから語りも変わっているはず……
しかし語りの口調は今までと変わってません。
ので、読みにくいったらありませんね……
申し訳ございません(;_;)
[No.917]
2007/09/04(Tue) 17:16:55
#9 ユウキ
(No.877への返信 / 1階層) - わん仔
油蝉がまばらに鳴く桜の木の下で、オレは待っていた。
「陽一(ヨウイチ)ぃーー! …ハァ、っ……待たせてごめん!!」
息を切らしながらオレの許へ走って来たのは『泉 雄樹(イズミ ユウキ)』――オレの親友だ。
「まったく。校門の前まで来て忘れ物に気付くとは、お前らしいというか……」
「酷いなぁ! そんなことより陽一はどうだったのさ、先生の数学気まぐれ抜き打ちテスト」
「あぁ、結構自信ありかな。お前は?」
「ん〜……ビミョー? ていうか、勉強してないし」
「なんだよその反応……はは〜ん。お前、実は暇してんだろ?」
「………」
すると、雄樹は黙り込んでしまった。
オレは図星とみた。雄樹は部活もやってないしな。この夏休みなんか暇で暇で蒸発しちまいそうなんだろう。―――だったら
「そか。じゃあさ、雄樹もやってみね? 『The World』」
「『The World』? 確かネットゲームだよね、ソレ」
「そ。案外おもしれぇんだ、コレが。俺も『陽翳』ってキャラでプレイしてんだけどさ」
「僕はあんまし、そうゆうのは………」
ま、ここまではシナリオ通りだな。さすがに、ゲームとかに疎いコイツでも存在だけは知っているはずだし。
“ネットゲーム”という響きに抵抗があったんだろ。
ではでは、最終兵器投入!!
「じゃ、神話とかに関連してたとしたら?」
「……!?」
「設定はしっかりしてる」
「ホント?」
ほら、食いついた。しっかし、大概のRPGの世界観の元は、ほとんどが神話や聖書とかだろうに。
そんな話をしながら、オレ達は通学路を行く。
「……だってさ、妙なトラブルに巻き込まれたくないし」
「妙なことに首突っ込まなきゃいい話だろが。それに、お前の―――」
「?」
っと、危ねぇ〜……照々こと『明日晴(アスハ)』さんがプレイしてるって言いそうになっちまった。
「いや、何でもない。じゃ、オレこっちの道で帰るから」
「じゃあ……いつか、僕もやってみるよ『The World』」
「おう!!」
帰宅したオレは、照々に呼び出されていたのを思い出して、ログインした。―――確か、港区……
だったか。
――Δ悠久の古都 マク・アヌ――
海上に浮かぶ『イ・ブラセル』を望みながら、オレは地べたに座っていた。その隣に横たわる樽に腰を下ろしているのは照々。
「陽翳、どう? ユウキの様子は」
「案の定、まだ『プレイする!』っていう決心はついてないみたいだな〜」
「そっかぁ……」
照々がガッカリと言わんばかりに肩を落とした。
経済的なことを考えれば、無理もないことだけどな。現にこのオレも、小遣いの半分をはたいてプレイしてんだし。
「でもさ。お前さん方の親父って、ゲーム会社の社員なんだろ? こんなことくらい許してもらえるんでない?」
「……確かに父さん本人もゲーム好きだけどさぁ。だからって、自分の子供がやるモノに金をかけたりしないよ。アタシの使ってるパソコンとかだって父さんのお下がりだし、今は本社に単身赴任中」
「ふ〜ん。まぁ、やるかどうかは本人次第だから、オレらにもどうしようもないっしょ?」
「まぁねぇ〜。アタシが勧めたらやってるってことバレちゃうし」
立ち上がり、数歩前に出る照々。夕日に照らされ海風になびく髪が、綺麗だった。後ろ姿も凛々しくて………っ何言ってんだオレは!? げ、ゲームだぞコレは! しかも本人の顔知ってんじゃねぇか、オレはよぉ!!?
「惚れた?」
「ッなわけ―――」
「じゃ、先に@HOMEへ行ってますよ。ギルマスさんw」
黙ってりゃ美人なPC、か――……去りながらオッサンのような笑いをしてるし。
やってみて判ったけど。
演技ったって、大して変わんないんだなぁオレは……。
ま。いっか。これからも続けてりゃいいってこった。
……そして、現在に至る。
[No.919]
2007/09/06(Thu) 22:16:41
#10 きっかけ
(No.877への返信 / 1階層) - わん仔
「―――と、いうわけさ。オレの波乱万丈な生い立ちは、此れにて完結〜♪」
ふぅ…と、一息ついてからトネリコは納得した様子で言った。
「成程。だから陽翳は、照さんには頭が上がらないわけだ」
「そうそう。ギルドの立場的に言えば陽翳の方が上だけど、実際の権力者はアタシのようなもんだからw」
「けれど照々、マスターのお仕置きだけには敵わないのでしょう?」
「そぉなんだよね〜。さすが元PKというか、手加減皆無だし」
「それに、マスターがカオティックPKだったお陰で、未だにお客様が増えませんよね」
わりとマジに話す照々とラギ。この二人というのは、容赦しないのが基本なのだ。
「照ちゃんもラギちゃんも酷いなぁ……オレだって必死なのに(T T)」
部屋の隅っこでいじける陽翳。その姿をみた3人は笑わずにはいられなかった。
「そんな気を落とさないでよ陽翳! 陽翳がこのゲームに誘ってくれたから、姉さんとも仲直りができたんだし」
「……あの。訊いてもよろしいですか? トネリコ様と照々は、いったい何が原因でケンカなさったのです?」
ラギの質問に対し、互いに顔を見合わせて姉弟が出した答えは――
『お小遣い』
「………?」
「だって、ユウキは月3000円なのに、姉のアタシは2000円なんだよ!?」
「姉さんは教育費が掛かってるんだからいいでしょ!?」
「それはそれ!!! 小遣いとは無関係でしょうが!!?」
決して無関係とは言い難い気がするが……
と、トネリコも負けじと言い返す。
「姉さんはバイトができるじゃないか!!」
「そんな時間あるかぁッ!!!!」
姉弟ケンカ・再発(?)
「小遣いが月一で確実に貰えるだけマシじゃねぇか!! オレなんか親の気まぐれだぞ!?」
部屋の隅っこから大声で叫ぶ陽翳。
何故そこでアンタが全力で主張する? といった空気が一瞬にして流れ、一同沈黙する。
「え、と……あの。ま、マスター。依頼の時間になりましたが………?」
「お。そっか。照ちゃん、暇な撃剣士をブレグ・エポナに派遣してちょうらい。依頼者はモーブさんね」
「りょ、了解です!」
いつもの陽翳に戻った。仕事もしっかりこなす――のは、いつものことでもないような…
照々はタウンにいる撃剣士を探しに行き、ラギも受付組としての任務にタウンへ戻った。
「トネリコ」
「ん?」
不意に、落ち着いた声で陽翳がトネリコの横顔に声をかけた。
「アリーナ制覇できたらさ―――」
「?」
すると、陽翳は一息ついてこう言った。トネリコの瞳を見つめて。
「このギルド、任せるな」
「えぇッ!?」
「オレさ、PKに復活しようと思って。……その、昔読んだマンガがムショーに読みたくなったような感じかな」
「また、カオティックになるの?」
少し不安げなトネリコに対し、陽翳は笑って答えた。
「いんや。その―――PKKになろうかと」
「それってキャラ作り直して、レベル1からやるってことだよね? そのキャラじゃマズイでしょ」
「ああ。だから、色々頼むな」
ニッと白い牙を見せる陽翳の顔。なんとも爽やか。こんな顔されちゃ、トネリコは断るに断れない。
「やれるだけのことはやるよ。親友の頼みだしね。――でも、僕がギルマスかぁ……」
「ま。焦ることはないさ。お前はもう、このギルドのメンバーなんだし」
「いつの間に……」
「お前がログインした来た時には、登録してあったww CC社からのメールも来てただろ?w」
「そんなの無かったは…ず……! そっか。姉さんと共謀か……orz」
「(∀)v」
してやられていたトネリコ。体は字のごとく膝をガックリと落としていた。
そう。初夏のとある日、明日晴は自宅にこっそりと帰り、勝手に雄樹のパソコンをいじっていたのだ!
こうしてまた一人、このギルドに仲間(被害者?)が増えていたのであった。
[No.921]
2007/09/11(Tue) 22:06:08
エピローグ 日の当たる場所へ
(No.877への返信 / 1階層) - わん仔
「いよいよだね、決勝戦」
「何の?」
午後4時47分、雄樹と陽一は公園にいた。色々あった夏休みも過ぎ、学校生活の感覚も取り戻した頃。とはいえ、地球温暖化の影響なのか、まだまだ蒸し暑い日はある。
「『何の?』って、陸上部だよ。重原くんも代表になれたって嬉しがってたじゃん。それに―――」
「オレたちも、だろ? 忘れてねぇだろな」
「うん。忘れてないよ」
忘れるはずもない。今夜なのだ。現実ではないけど、真剣な試合。
「明日も、きっと晴れるね」
「そうだな。しばらくは、晴れだろ」
雄樹がポツリと呟くと、陽一は日陰にあるブランコから飛び降りて答えた。
彼らは今、橙色に光る日なたに居る。
空を見上げると、少し秋らしい風が東へ東へ吹いてた。
西の空に、雲は無い。
陽一の座っていたブランコが、キィと音を立てて揺れる。
どこかの家のベランダで、仕舞い忘れた風鈴が淋しげに啼いた。
陽一と雄樹は、走りだした
――Ω闘争都市 ルミナ・クロス――
観客席には、くぬぎと胸に“青く光るどんぐりのような石をつけた『椎』”が試合開始を今か今かと待ちわびていた。
その観客達の熱気・闘気に包まれる武台に、ユウキは―――トネリコたちは居た。目の前には、同じ志をもつ相手が構えている。
負けられない。誰にも。自分自身にも。
―――アリーナ・碧聖宮 決勝戦
【護拳 隈鳥】を手に、再び戦いに身を投じる陽翳。
しかし、独りじゃない。意味もなくヤルわけではない。暇潰しでもない。……単なる人殺しじゃない。
自らの拳を紅色に染めてまで欲したもの。それは、この幸せなひと時だったのだろう。
でも、紅く染める必要なんてなかったんだ。それは今、自分自身が此処に在ることで証明している。
全ては、この親友のために。
きっと晴れる、こいつの明日のために――――
―あとがき―
およそ一ヶ月、番外編にあるにも関わらず最後までお読みいただきました皆様、本当にありがとうございます!
これにて.hack//Pledge 〜go out in the sun〜完結です。
……が、書いてしまいました。おまけを。
しかも前後編の二話分……
ちなみに、更新はこの一週間以内を予定しております。
いやぁ、訂正に時間がかかってしまうもので……(殴
というわけでッ(?
『おまけ』も読んでくださったら嬉しいです♪
[No.926]
2007/09/18(Tue) 21:14:45
おまけ 椎の(ラギによる)皆の為のしぃつもんコーナー 前編
(No.877への返信 / 1階層) - わん仔
ギルドには本拠地である@HOMEがある。その造りこそ、ほとんどが同じようになっているが、それぞれのギルドにはそれぞれの特徴がある。
《あずま屋 オアシス》だって同じことである。このギルド@HOMEは、涼しげな水色で統一され、金魚やカニなんかもいる。
しかし、今日は違った。なんだかチカチカする。まるでテレビ局のスタジオのように……!
――《あずま屋 オアシス》@HOME――
「皆さまこんにちは。本日の司会は安らぎのラギこと、私ラギが務めさせていただきます。
今回は、私の所属するギルド《あずま屋 オアシス》の常連様であらせられます、椎様の質問攻めでお送りいたします」
当然のようにマイクを手に持ち語るラギ。第一、誰に向かって話しているのやら。
(ねぇ陽翳、これって何? イベント?)
(いや。あからさまに違うだろ……)
視線はノリノリに司会するラギにありながら、密かにチャットをするトネリコと陽翳。
(……わざわざCC社に頼んだのかねぇ? この部屋の装飾)
(ラギちゃんならやりかねないかも………)
(え。ラギさんってそんなキャラなの?)
(意外とハッチャけるときはハッチャけるんだよね〜)
チャットに照々も加わる。やはり、誰にでも今の状況は謎なのだ。
現状を整理するとこうだ。
この部屋の中心で円を描くようにトネリコ・陽翳・照々・くぬぎが椅子に座っている。
ラギはその輪の中でクルクルと回っている。
@HOME内はパーティー会場のように飾り付けられ、もはや原型が判らなくなっているくらい。
結局、ラギ以外はここに居る理由が解っていない。
くぬぎにいたっては半分寝オチ状態…というわけだ。
「回答者の皆さんはチャットしないで下さい!! くぬぎ様も寝ないで下さいませ!!」
「か、回答者?」
「はい。これから皆様に椎様からの質問をさせていただくので、それにお答えください」
「あの子、今度はいったい何を―――」
ようやく目が覚めたくぬぎ。と、ラギが言葉を遮り……
「それでは、早速。。。第一問! 『照々がハンターになった理由はなに?』――はい、照々どうぞ」
「い、いきなり?」
マイクを押し付けられ、困惑の表情を浮かべる照々。一方のラギは笑顔全開(*^ ^*)
「質問のお答をどうぞw」
「え、えと…ハンターになった理由? そりゃお金目当てに決まってるじゃない。 ゲームだってお金は大事でしょうよ。それに、ハンターって響きが何かクセになっちゃって……こんなもんd――」
「実に照々らしい答えですね。確かにゲームでもお金は大切ですが、リアルの方をもう少し気にしてほしいですね。最近では、私にも魔の手が迫っているようですし……では、続きましての椎様による質問は。。。」
またしても言葉を遮る。彼女はいったい何がしたいのだろう…?
その場にいる誰もが思ったことである。
そしてさり気無く、口でドラムロール(ドゥルルル…・)
「じゃん! 第二問!! 『トネリコ様が『The World』をプレイし始めた“本当”の理由は?』」
一斉に、視線がトネリコに向けられる。
『………』
「そんなん、オレが誘ったからに決まってるだろ!?」
「ん〜……(汗」
自信有り気に答えた陽翳だが、とうの本人は何やら考え込んでしまった。
「考えるなよ! てか(汗)ってなんだ!? 他にワケがあんのか?」
「世界観というか、設定にも惹かれたし、もちろん陽翳に誘われたのがキッカケになったよ。でも…」
「『でも?』」
彼は一息ついてから、ハッキリとこう言った。
「ブッチャケ言うと、陽翳以外の友達もプレイしてて僕だけやってなかったから、話についていけなくて。それで……(^^;」
「………激涙(T□T)」
「ちなみに他の皆さまはどうでしょう?」
泣いている陽翳を後目に、ラギは微笑みながら皆に訊いた。
「私は前に言った通り。親バカよ、どうせ」
くぬぎも嘲笑の気持ちを込めながら言う。
「アタシは現実逃避」
「それ、どういう意味です?」
自慢げな照々に対し、少し嫌味っぽくトネリコは訊いてみる。すると案の定、照々は不敵な笑みを浮かべて答えた。
「“受験”という名の現実から逃れるために、ね。プレイし始めたころは中3だったし」
(またリアルを軽々と口に……)
こんなんでよく高校に受かったなぁ…と思う一同であった。
「陽翳はどうなの?」
「オレは、弟がやってたのを偶然見て。年下のくせに生意気な!――的なノリでプレイしてた」
「弟、いるんだ?」
くぬぎは、意外ね。と言わんばかりに訊いた。
「ああ、4人兄弟だから。その2番目、オレの2歳下のがやってる」
「PC名は?」
「……秘色(ヒソク)」
「えぇ〜!? 秘密なのぉ?」
明らかにわざと言っている照々。どうやったらそう聞こえるのだろう? と、トネリコは純粋にそう思った。
「秘色だ! ヒ・ソ・ク!! とあるギルドで頑張ってるらしい」
「さて、お話が盛り上がってきたところなのですが。次の質問、よろしいですか?」
「あ。すみません……」
何故かトネリコが謝る。すると、これまた何故か「よくできましたw」と、ラギが頭を撫でる。
「いえいえ♪ では、第三問!!!―――……と。なんと、ここでお時間が来てしまいました」
『はぁッ!?』
「続きは明日、後編で!!」
――――※リアルに明日、更新予定です♪
[No.931]
2007/09/23(Sun) 14:06:11
おまけ 椎の(ラギによる)皆の為のしぃつもんコーナー 後編
(No.877への返信 / 1階層) - わん仔
「はぁ……」
後編始まって早々、溜息をついたのはラギ。
昨日までのハイテンションぶりは何処へいったのやら……
「どしたの、ラギちゃん?」
「いえ…まさか、こんな形で皆様とお別れがくるとは思ってもみませんでしたから」
「皆様って、誰よ?」
「まッ、そんな細かいことはあまり気にせず、質問の続きを始めましょう!!」
意外と立ち直りが早いラギであった。
「第三問!!! こちらはマスター宛てですね」
「オレ?」
「……『マスターこと陽翳はどうしてカオティックPKになったの?』」
「確かに。陽翳って、PKとかしなさそうだよね」
「それ、馬鹿にしてるのかトネリコ?」
トネリコ、苦笑。半分は本気だったらしい。
カオティックの名を持っていたことがあるからこそPKとしての雰囲気があるものの、見た目からはそんなことをしなさそうなのが陽翳なのだ。
「で? カオティックになったワケっていうのは何なの?」
ついにくぬぎが痺れを切らして本題を訊き出した。
「あぁーと。……オレが初めてログインした日に、PKKの人から色々教わったんだ。で、その時バトルの相手がPKだったわけだな」
「え。じ、じゃあ陽翳は最初、PKKだったってこと?」
照々が驚いた様子で言う。たぶん、少しの間でも自分と同じだったことに驚いたのだろう。
「まぁ、そう…なんのかな。とにかく、そん時にオレはPCを倒すことがこのゲームの目的だと勘違いしちまって――」
すると、陽翳を見る周りの目は一気に冷たいものになった。
「―――ただの思い込みってことですか(- -)」
冷やかな声でラギは「ふぅ」と息をつく。
他のメンバーもそんな感じだ。
「な、なんだよ皆してさぁ!」
「さ! シラケた空気も最後の質問でフッ飛ばしましょう!! ってなことで、第四問!!!!」
陽翳、完全に無視される。そしてトネリコに泣きついた。
それにもノーコメントでラギは叫ぼうとした、が。
「『全員のリアルを述べよ』」
『…………』
さっきよりも相当シラケたような気がするのは気のせいだろうか?
「あの子、ここがリアルだってこと解っててこういう質問してんですかねー? まったく……」
「ご…めんさない」
照々が棒読み風に言いながら、横目にくぬぎを見る。
それを察したくぬぎは、顔を赤くして俯きながら謝った。
「じゃ、発表しちゃいましょう!」
『えぇ!!?』
思いがけないラギの素気ない答え。
「ちょ、ラギさん? 本気ですか!?」
「はいw これで皆様とはお別れになってしまうかもしれないんですから、今回は大目に見ましょう?」
「立派なプライバシー侵害でしょ……コレ」
さすがのくぬぎも泣きたいようだった。しかし、ラギの手によって暴露されてしまうのであった。
「では、最後の質問のお答えです〜!! 左からPC名・プレイヤー名・現在の職業(年齢)です♪」
―――――
トネリコ・・・・『泉 雄樹(イズミ ユウキ)』 中学1年生
陽翳・・・・『日景 陽一(ヒカゲ ヨウイチ)』 中学1年生
照々・・・・『泉 明日晴(イズミ アスハ)』 高校2年生
ラギ・・・・『清住 琳(キヨスミ リン)』 高校2年生
くぬぎ・・・・『栗原 美都(クリハラ ミサト)』 31歳 現在自宅療養中
椎・・・・『栗原 亜貴(クリハラ アキ)』 小学4年生
―――――
「はい。以上が私の存じている範囲の、各プレイヤーの情報ですw」
ラギ以外のメンバーは皆、真っ白になっていた。
御愁傷様です……
「知ってもどうしようもないようなことではありますが、最後ですのでね。それではっ! これにて椎様の質問攻めを終了とさせていただきます。完結でございます。御用がおありでしたら《あずま屋 オアシス》上級者受付組のラギに、お申し付け下さい!!」
……………END
―あとがき―
今度こそ、本・当・に! .hack//Pledge は完結です!!
最後の最後でどーでもいいようなことを書いてしまいましたが……
こうしてみると各プレイヤーの年齢に偏りが……
ま、まぁそんなことはさておき。
次回作はですねぇ、現在製作中であります!!(≧∀≦)v
ので! これからもお世話になります!!
以上!! わん仔でしたぁ〜
[No.937]
2007/09/24(Mon) 15:53:54
以下のフォームから投稿済みの記事の編集・削除が行えます
記事No.
パスワード
記事編集
記事削除
画像削除
-
HOME
-
お知らせ(3/8)
-
新着記事
-
記事検索
-
携帯用URL
-
フィード
-
ヘルプ
-
環境設定
-
Rocket Board Type-T (Free)