[ リストに戻る ]
No.885に関するツリー

   .hack//A.D. Vol.2 守護神混乱 - 菊千文字 - 2007/08/11(Sat) 19:09:43 [No.885]
あとがき+なりきり次回予告 - 菊千文字 - 2007/12/30(Sun) 02:03:39 [No.1012]
最終話 蒼炎の守護神! - 菊千文字 - 2007/12/29(Sat) 21:18:20 [No.1011]
第十九話 ”意志” - 菊千文字 - 2007/12/24(Mon) 18:34:07 [No.1010]
第十八話 鬼愚者 - 菊千文字 - 2007/12/21(Fri) 21:21:36 [No.1009]
第十七話 創聖のアウローラ - 菊千文字 - 2007/12/18(Tue) 15:21:54 [No.1006]
第十六話 核<メインプログラム>の危機 - 菊千文字 - 2007/12/18(Tue) 15:09:14 [No.1005]
第十五話 カイトといっしょ - 菊千文字 - 2007/11/26(Mon) 17:35:03 [No.983]
第十四話 愛しさと切なさと心強さと - 菊千文字 - 2007/11/20(Tue) 16:21:17 [No.980]
第十三話 CRICK - 菊千文字 - 2007/11/06(Tue) 18:01:18 [No.974]
第十二話 翼-クロニクル- - 菊千文字 - 2007/11/06(Tue) 17:38:30 [No.973]
第十一話 遊☆戯☆神 - 菊千文字 - 2007/11/03(Sat) 20:59:22 [No.972]
第十話 蒼炎のカイト育成計画 - 菊千文字 - 2007/10/26(Fri) 21:46:18 [No.968]
第九話 アズールオブファイア - 菊千文字 - 2007/10/21(Sun) 18:18:26 [No.959]
第八話 デッドマンズK - 菊千文字 - 2007/10/14(Sun) 17:22:03 [No.955]
Another.4 過去のイヴ - 菊千文字 - 2007/10/07(Sun) 16:53:20 [No.954]
第七話 AI賛歌 - 菊千文字 - 2007/09/30(Sun) 18:36:40 [No.953]
Another.3 地獄に一番近い男 - 菊千文字 - 2007/09/24(Mon) 16:27:47 [No.939]
Another.2 Queen Knight - 菊千文字 - 2007/09/16(Sun) 02:08:33 [No.923]
Another.1 眠れぬ城 - 菊千文字 - 2007/09/14(Fri) 21:44:49 [No.922]
第六話 ジョジョに奇妙な浸食 - 菊千文字 - 2007/09/08(Sat) 22:54:28 [No.920]
第五話 ほろうに双剣士 - 菊千文字 - 2007/09/01(Sat) 18:31:22 [No.915]
第四話 蒼炎メイデン - 菊千文字 - 2007/08/25(Sat) 22:08:45 [No.902]
第三話 ホロー追跡者 - 菊千文字 - 2007/08/22(Wed) 18:29:06 [No.898]
第二話 藍より蒼し - 菊千文字 - 2007/08/14(Tue) 00:43:58 [No.889]
第一話 蒼炎の守護者 - 菊千文字 - 2007/08/11(Sat) 20:59:50 [No.887]
.hack//A.D. Vol.2 設定(1/17更新) - 菊千文字 - 2007/08/11(Sat) 19:21:56 [No.886]



並べ替え: [ ツリー順に表示 | 投稿順に表示 ]
.hack//A.D. Vol.2 守護神混乱 (親記事) - 菊千文字

お世話になっています、菊千文字です。

約五ヶ月半前から続いた.hack//A.D.、とうとうVol.2を迎えることができました。
見ていてくださる方がいらっしゃり、ここまで来れました。ありがとうございます。

初めて.hack//A.D.をご覧になる方は『Vol.1 黄昏』からお願いします。

また.hackでよくある矛盾がここでもおきているので、あれ?と思うことがありますので
その場合は『設定』をご覧ください。

P.S Part2のスレはみなさんのおかげでここのスレが復旧したので
 削除しました。


[No.885] 2007/08/11(Sat) 19:09:43
.hack//A.D. Vol.2 設定(1/17更新) (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

この『設定』は随時更新します。

Vol.3からネタバレを防ぐために各話ごとに設定を置きますので.



時間帯:Roots、G.U. Vol.1、A.D. Vol.1と同時&以降

主人公:蒼炎のカイト(三爪痕)

概要:.hack//G.U.での蒼炎のカイトと.hackersの物語

A.D.の意味:Another DD(もう1人のカイト)の略


蒼炎のカイト(三爪痕)設定
・アウラの意識が作り出したAI
・目的はThe Worldにとって異物な物(AIDAなど)の駆除
・アウラに好意持ち

蒼炎のカイトの腕輪設定
・データドレイン、ゲートハッキング、守護神覚醒、計7つほどの力を持つ
・゛2014年゛にある人物が持っていた物

バルムンク設定
・リアル年齢25歳
・正義意識を変えPKK行為に走る
・LVはPKKをした当時のPCの引継ぎ(高LV)腕はR:1同様一流

オルカ設定
・プレイヤー『ヤスヒコ』年齢20歳(カイトと同い歳)
・LVはあまり高くないが、腕はR:1同様一流

ブラックローズ設定
・プレイヤー『速水晶良』年齢22歳
・初登場時LV1(爆

蒼月設定
・オリジナルキャラ、でも実は『過去のある人物』、性格は変わった
・俗に言うボク少女。これは昔から
・『某第4ドール』みたいなPC、オッドアイ
・職業は『撃剣士』、大剣名『波鎖魅』(笑)

碧設定
・cellの時間帯にカイト(前作主人公)と出会っていることになっている



第九話
カイト(前作主人公)設定
・プレイヤーが第九話以降意識不明になっている

第十七話
黒きカイト設定
・名前は『漆黒のカイト』
・第九話以降のカイトの姿
・腕輪二つとオーヴァンの左腕に一つずつ、つまり○○○○



.サーバーとは
 漆黒のカイトが創り出した未帰還者の意識が彷徨っている場所
 無印のコルベニク戦のような加勢を防ぐため
 詳細は後に

オルカ達がキャンペーン終了後の痛みの森に入れた理由
 オーヴァンやバルムンクがハッキングして
 プロテクトを破り、そのままだったため。


[No.886] 2007/08/11(Sat) 19:21:56
第一話 蒼炎の守護者 (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

The Worldには3人の神がいると言われている。

ハロルド=ヒューイック

モルガナ・モード・ゴン

そして・・・女神アウラ=Aura

ハロルドは思念体としてThe Worldのどこかに散らばった。

モルガナは『黄昏事件』時に.hackers達によって第八相:コルベニクとともに消滅。
しかしその因子は今でもThe Worldに残っている。


****


−データの海
そこは消去されたデータが捨ててあり、ノイズが走っている。
中央にふたつ光り輝いている物がある。
腕の残骸につけられた輪のようなもの、

 『薄明の腕輪』

ふたつの腕はどちらも右腕だった。過去に腕輪所持者が2人いたということだ。

データの海にはそれだけでなく、バグデータも存在する。
それは黒い水たまりのような姿で、意志を持ったように海を渡る。


なんとそれは3つに分裂。


そのふたつはふたつの腕輪の中へ、
最後のひとつはデータの海を抜け出し、どこかへ行ってしまった。


****


 −The Worldが・・・世界が、一新する・・・


暗闇の中、ひとりの少女が肩をすくめてうずくまっている。


それは、三大神の1人、Auraの姿。

 
 −世界は・・・神という存在はあってはいけない・・・




 −世界は・・・誰か1人が支配する物ではない・・・


女神の意識がだんだん薄れてゆく。

 
 −私のせいで・・・また大切な人たちが・・・


女神は、やがて暗闇に隠れてしまう。

 
 −カイト・・楚良・・あなた達なら、どうしますか・・・?






次の瞬間、その空間は真っ白に輝き、暗闇が消える。
データの海からデリートデータが集まり、繋がり、
ひとつの形になり、右腕の指が奇怪的に動いた。

胎児のようにうずくまっていて、やがて体を伸ばしてゆく。
手には三つ又の双剣が現れ、地に突き刺し、立ち上がる。

少年PC、怪物のような目に、一致していないデータを繋いでいるせいか、
全身ツギハギだらけになっていた。


「ウウウウウゥゥゥゥゥウウウウウ」


彼はかすれている呻き声を出している。まともに声が出せないのか。

光は消え、いつのまにか彼は宮殿らしき建物の中に立っていた。


 −△隠されし 禁断の 聖域 グリーマ・レーヴ大聖堂


女神の石像が八本の鎖で繋がれている。彼は双剣を握り、

「ダッ!!」

三本の傷跡を宙に刻み、一気に鎖を斬り壊した。

女神を束縛する物はなくなった。石像は静かにその場から消えていく。

その様子は、まるで女神が解放されたかにも見えた。

少年は双剣をしまうとどこかに向かっていった。
赤い双剣士、右腕についている腕輪が光る。


 彼の名は『蒼炎のカイト』




 

 −第一話 蒼炎の守護者






あとがき
はぁ・・・わかりずらい話を書いてしまった・・・。
一話目からすみません!次こそはパッと見ただけで情景がわかるようにします!
これからもよろしくおねがいします!

いつもあとがきでネタバレ気味なのでここら辺で・・・


[No.887] 2007/08/11(Sat) 20:59:50
第二話 藍より蒼し (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

「おい!このPCは・・・」
「どうです?なつかしいでしょう。結構探すの苦労した・・・」
「そんなことはどうでもいい!どこでこのデータを!?なにが目的だ!」
「いっぺんに聞かれても・・・消去されてバラバラになったPCを見つけてくっつけたんですよ。
 半分しか見つからなかったからあとは僕が作りましたけど。」
「ハッカーという訳か?そんな奴のプレゼントなど俺はいらん!」
「2ndPCっていってもそこまでレベルを上げておいて今更作れませんよね。」
「・・・では俺をこの姿にした理由はなんだ。」
「あなたが非行に走ってるからそうしてあげたんじゃないですか。
 バージョンが変わってもあなたを知ってるひとはいるんですよ。」

「かつての英雄がPKなんて非正義的な行為をしてるなんてイメージ崩れますよ〜?
 
 フィアナの末裔『蒼天のバルムンク』さん。」
「黙れ!その名はとうに捨てた!」

そう言うとバルムンクと呼ばれるPCはその場を去っていった。

「収穫なし、か・・・」


****


−△サーバー、レベル2エリア

蒼炎のカイトの誕生から数日が経った。
彼はこのエリアから異常が検出され、この地を歩いている。

誕生から数日の間に何十ものバグデータを処理してきた。
その姿を一般PCに目撃されることもしばしば。
そう、今回も・・・

−『バ@*ータ、駆?完<・・・』

いつものように修復が終わる。すると、


「ガスパー、そんなに走っちゃあぶないよ!!」
向こう側から声がする。2人こっちに走ってくる姿が見える。
手前は小型の獣人PC、もう1人は斬刀士PC。
「あ!ガスパー、前!!」
 
 −ドンッ!

「あひゃあ!」
前を見ずに駆けだしている獣人PCがカイトにぶつかってしまう。
「びっくりしたなあ、もう・・・   !!」
ぶつかってきた獣人PC、ガスパーはカイトに目をやると何か驚いた様子でいる。

その場に少し沈黙が漂う。

「キミ・・・もしかして・・・」
斬刀士のPCが口を開けカイトに詰め寄る。
カイトの思考データは最近噂になっている自分のことについて話すだろうというものだが

「・・・初心者?」
大外れ。カイトを見てどこが初心者と思ったのか分析できなかった。
「ごめんね、びっくりしたでしょ?そうだ!よかったら一緒にパーティー組まない?」

「・・・・」
カイトの思考判断が鈍る。自分を見て恐れるはずが、この青年は友好的に接している。
常識ではない彼の行動は理解できなかった。

−あ、あやしすぎる人だぞぉ・・・

一方ガスパーは普通の対応。カイトを見て怯えている。
そんな後ろでこそこそつぶやいているガスパーにカイトがギロッっと睨み付けると
青年の後ろに隠れてしまった。
「ほら、ガスパーもあいさつしなよ」
「よ、よろしくだぞぉ・・・」
青年に言われ、仕方なくあいさつをするガスパー。震えていて涙ぐんでいた。

−シラバスのメンバーアドレスを手に入れた!
−ガスパーのメンバーアドレスを手に入れた!

青年はシラバスというらしい。

 −『メン@−ア>レ¥・・・』

しばらく立ち止まったカイトに別の異常反応の観測が。
「「あっ!」」
そこに向かうべく蒼炎をまとって消え、エリアを去ってしまった。

「不思議な初心者さんだったね。」
「・・・・」
彼を見て平然としているシラバスの方が不思議だと思ったガスパーであった。


****


 −「よ¢っ∞※一緒*パー&ィ組$#い?」・・・

あの言葉に異様に反応するカイト。
それは一般PCに発言するようなものだ。
カイトの存在がAIと知らなくても姿を見れば近づかない。ましてやメンバーアドレスを渡すことなど。

しかし何故かAIで感情を持たないはずの彼はその言葉が突っかかる。
感情というのはカイトにとってあるはずがなく、必要もない。

 
 −『俺は、だ@女神を守♯$めのAI・・・』


****


「あ〜あ、つまんね〜。」
1人ルートタウンを歩いているPCがいた。

「ん・・・?あれは・・・?」

彼の目の前に、なんとあのバルムンクが目の前に通りかかったのだ。

彼は急いでバルムンクに声をかける。
「お前・・・バルムンクなのか!?この姿は!?PCは引き継げないはずだぞ!?」
「気になるなら『月の樹』のギルドマスターに聞いてみるといい。
 俺より詳しいはずだ。」
「待てって!俺だよ!バルムンク・・・」
バルムンクは最後まで聞かずにタウンを転送してしまった。

「『月の樹』っつったら三大ギルドのひとつじゃねーか・・・」
彼はかつての姿のバルムンクを見て何かを思う。

「何か起こりそうだな、オイ。」





 
 −第二話 藍より蒼し







あとがき
タイトル元ネタ『藍より青し』
読んだことないのでウィキペディア調べ。
調べてみたらヒロインの声がアトリと同じ川澄さんでした。
元ネタは内容と関係ありませんのであしからず。

こんな時間に更新してるのは自分でもおかしいってわかってるんですが
なんだか手が出るんですよね〜。受験生ですけど(爆)
っていうか『ガスパーのそれいけ!ザ・ワールド!』の内容を・・・
犬丸さん、ごめんなさい〜!
もう寝ます!(逃)


[No.889] 2007/08/14(Tue) 00:43:58
第三話 ホロー追跡者 (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

あるところに1人の銃剣士がいた。
男性PCで背が高く、眼鏡をかけているごく普通のPC。
一部を除けば・・・

「出てこい・・・俺はここにいる。」
彼は誰かに声をかけているようだった。

その声に反応するかのように、そこにひとつの蒼い球体のようなものが降りてくる。
それはやがて光り輝き、何者かの人影が見える。
.hackerを模したPC、蒼炎のカイト。

−『PC「オーヴァン」確*、バ#%ータ検@・・・』
「久しぶりに見る・・・いや、人違いか?中身も違うようだな。」
イリーガルPCのカイトを目の前にしてもオーヴァンと呼ばれるPCは動じていない。
カイトはオーヴァンの左腕に目を向ける。

−『Triedge発*!直#‰駆※!』

双剣を持ち、戦闘態勢に入るカイト。それを察したオーヴァンも銃剣を出す。


 キィィン!!


いつの間にかオーヴァンの間合いに入っていた。双剣と銃剣がぶつかる音が響く。
「ふんっ!」
「アアアアアァァァァァァ!」
せめぎ合いが続いている。どちらも一歩も退かない。

「轟雷爆閃弾!」
−『削*連!』
スキルを駆使して攻防している。カイトと互角にまで達している
オーヴァンもかなりのプレイヤーなのだろう。
しかし、若干カイトの方に分があった。

「手強いなっ・・・!轟雷爆閃弾!!」
オーヴァンがスキルを発動。
しかし矛先にはカイトの姿はなく、空撃ちしてしまった。
「何だと・・・?どこに・・・」

  −『後*ダッ!!』

 ズバァァッ!

「! ぐおっ!貴様ァ!!」
突然背後にいたカイトに不意打ちをくらった。
カイトの戦闘スタイルは過去のカイトのプレイヤーと一致していて、
彼ほどの者は未だに存在しない。その点で優勢だった。

このまま戦えば勝てる。だが目的はバグデータの駆除。
データドレインを当てる必要があった。
相手も相当のプレイヤー、そのまま黙っているはずかない。

しかし、そこには銃剣を捨て、無抵抗なオーヴァンの姿が。

この行動に理解不能なカイトだったが、絶好の機会。

 キイイィィィン・・・

腕輪を使い、データドレインの準備に入る。

「お前は・・・何もわかっていないようだな。」
オーヴァンが声を発し、左手の拘束具に手をかける。
すると拘束具が外れ、黒い腫瘍があふれ出てきた。

−データドレインの弱点は、時間だッ!!



****


「そーだ、ギルドキー持ってねぇ・・・」
カオスゲート前でたたずんでいるのは先日バルムンクと遭遇したPC。
「どうしよ、@HOMEがルートタウンにないから待ち伏せできな・・・」

「いたいた!待ちました〜?」

彼は呼び止められ声の主を見ると、青髪で角が生えている子供PC。
と、隣には凛とした女性PCが。
「あっ、ちょっと話があるんで先に行っててください。」
「は、はい・・・」
そう言うと女性PCはカオスゲートで転送していった。

「・・・一体誰?」
「申し遅れました♪『月の樹』ギルドマスター、欅と言います。」
「! あんたか!?バルムンクって奴知ってるだろ!?」
「もちろん、フィアナの末裔『蒼海のオルカ』さん。」
「!! 俺のことまでっ!何者なんだ!?」
「話は@HOMEで、ね?」
「・・・・」

彼はあの『オルカ』だった。言われる通りに欅についていく。


****


「グアアアァァァッ!!」
オーヴァンの左腕から出現したバグデータがカイトを貫いた。
データドレインを発動するよりも先に倒されてしまった。

−『緊♯%態!グリーマ・レーヴ大聖堂*急行』

カイトから蒼炎が吹き出される。
バグデータが左腕に戻り、オーヴァンが膝を着いた。

「ん・・・?」

オーヴァンが何かに気づいた。
消えゆくカイトが何故か笑みを浮かべていたのだ。

−『完全修※回&、残*二回・・・』

謎のメッセージを残し、カイトは姿を消していった。




 −第三話 ホロー追跡者






あとがき
元ネタはジョジョで有名な荒木先生作『バ○ー訪問者』。
『ホロー追跡者』のホローは放浪AIの『放浪』を掛けました。

今回で自分は戦闘シーンを書くのは下手だということが発覚(遅
誰か効果音の出し方を教えてください。本当おねがいします。


[No.898] 2007/08/22(Wed) 18:29:06
第四話 蒼炎メイデン (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

「バルムンクだけじゃなくて・・・カイトも!?」
「はい♪バルムンクさんの方は強制でしたけど。」
「あんたがヘルバの関係者ってことはなんかあるんだな。」
「まあ、そうですけど・・・」
「それをあいつらになんとかしてほしいと?」
「いや、僕はPCを元通りにすることだけプログラムされてるので。」
「? プログラム?」
「い、いえっ!そういう役目なだけです!」
「じゃあ俺も元通りにできるってことだな。」
「・・・もう『未帰還者』も出てるんですよ?危険・・・」
「今度は俺が助ける番だ!頼む!」

過去に何もできなかった思いがオルカを動かす。次は自分が・・・


****


「あ〜!もうカイトさんどこですか〜!?(泣)」
草原エリアに女双剣士PCがモンスターを何十匹も斬って叫んでいる。

「カイトさんが突然いなくなってからもう七年・・・いいかげん私の目の前に現れてくれても
 い〜じゃないですか〜!!」
叫んでいるというか、泣き叫んでいるようだ。

「告白したのにいなくなるなんて、あんまりです〜ぅ!」
泣き叫ぶというか、本当に号泣しているようだ。


そのエリアの反対の岸にもう1人来訪者が来た。
彼女と同じ双剣士。

−『バ@*ータ検#・・・接近&・・・』
「ひょっとしてここに・・・っているわけ」

島の出っ張っている地形を2人が曲がり、

「いたぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
−『バ@*ータ発見!!』

ばったり出くわした2人の双剣士。1人は修復に完了した蒼炎のカイト。
そしてもう1人のPCは、名前表示から見ると

『なつめ』というらしい。

−『感染※PC、初期化#移‰!』
感染者とはバグデータが潜んでいるPCのことをいう。
「カイトさ〜ん!会いたかったです〜ぅ!!」
突然なつめがいきなりカイトに抱きついた。
−『!! いg@sんftんvsな;!』
思考回路がおかしくなった。頬を真っ赤に染める。
AIの自分が感情を持たないはずなのだが・・・

どうやら過去のカイトのプレイヤーの思考もプログラムされているらしい
と、その時は思っていた。

−『感染*#想外行$!』
カイトはなつめを押して距離をとった。

ともかく早めに初期化する必要がある。なつめにとっても危険だ。
なつめのほうはカイトに仲間意識を持っているようで無抵抗、
難なくデータドレインをおこなえる。
しかしデータドレインは相手を未帰還者にするほど凶暴なもの、
だがカイトには未帰還者より感染者の方が驚異になる。

「・・・?」
何故か腕輪が開花せず、反応もしない。どういうことだろう?

平行になつめを調べてみると
なんと彼女は.hackersの1人だという。
過去のカイトのプレイヤーの仲間だった。

まさか腕輪とカイトのPCが拒否反応を起こしているというのか。

そしてなつめにも異変が起こり始めた。
「うっ・・・調子が・・・ゲームのしすぎかなぁ?」
いきなりなつめが体調不良を訴える。
これは感染者の禁断症状の合図だった。

「ロ、ログアウトできない・・・カイトさん・・・」
次の瞬間なつめが目をバッと開くと眼球が真っ黒に染まっていた。

「ううぅ・・・あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!」

なつめが完全にバグデータに精神をとられてしまった。
強烈な圧力が感じられる。

−『デ@¥増大!感%拡#!警戒レ*ル6!』
腕輪も使えず極限に追い込まれたカイト。

ひとつだけ手があった。

カイトにプログラムされている1バイドの
『黄昏の恩恵』プログラム。
これをなつめのPCに埋め込むこと。
そうするとカイトにデータドレインやバグデータの耐久力がなくなってしまう。

カイトは、どうするのか・・・




 −第四話 蒼炎メイデン



あとがき
タイトル元ネタは『ロー○ンメイデン』
好きなキャラは蒼星(シャットダウン

いいかげんAIDAと表示したい今日この頃。(何かを
トラ様の頬を赤く染めさせるのはダメですかね?


[No.902] 2007/08/25(Sat) 22:08:45
第五話 ほろうに双剣士 (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

バグデータに完全に感染してしまったPC『なつめ』。
蒼炎のカイトは急いで初期化しようとするが肝心の腕輪が反応しない。
考える暇もなくなつめが暴走し、斬りかかってきた。

右手の剣はカイトの肩にかすり、肩のベルトに傷がつく。
すぐさま左手の剣がやってくる。

「ハッ!」

しかしカイトはこれを見切り、なつめの左手をガッと掴む。

するとそこから黒い腫瘍があふれ出てカイトにまとわりついた。

「グウウウウゥゥゥゥゥゥ・・・」

体を揺すってバグデータを振り払い、なつめと少しの距離をおく。

バグデータに振れても感染しないのはカイトにインプットされている
エラー、データ破損防御システムの働き。

通称『黄昏の恩恵』プログラムという。


バグデータはデータドレインか初期化効果のある武器が不可欠。
両方使えない今のカイトに対処法がない。

「あああaaA唖嗚呼アア阿あアAAa嗚呼!!」

こうして考えているうちにもバグデータの浸食が進んでいる。
苦しそうになつめが頭を抱えているのが伺えた。


なつめ、腕輪が作動しない原因が彼女なら、バグデータを彼女から引き離せば・・・


カイトの『恩恵』プログラムは他人にに埋め込める。

いや、1バイドしかない『恩恵』プログラムを彼女に与えれば自分がバグデータやデータドレインに
対処できなくなってしまうし、

時間がかかるがなつめごとデータの海に放り込む方が自分に支障がない。


そう、蒼炎のカイトは単なる放浪AI。
The Worldを現状維持させる事だけを目的に動いている。


カイトはなつめの隙をつきヒット&アウェイを繰り返し、なつめがよろけた瞬間

−『体勢#崩*、二秒%制御不@!今&ッ!』

そこで双剣をすぐ仕舞い、なつめの首を掴み上げる。

「嗚呼Aa阿唖・・・」

だんだんと首を絞められ、息も絶え絶えになる。


−『俺*AI。意志$いう%は存在し#い。
  
  ア*ラが#の世界%存在さえ*れば、お前*どうな$@と俺≠別に構#ない。

  今ま$%異常はこのPC@原因。俺の判断で&な*んだ・・・

  #れを・・・証明し*やるっ!!』


「カ、カイト・・さん・・・」

すると奥底でかすかになつめの意識の声が聞こえた。
感染状態のほんのわずかに発している。

悲痛な声を聞く度に、カイトの力が緩んでしまう。


 −『黙れェ!お前*言@カイトは・・・俺で$ない!!』


思考回路を乱すな。
そうカイトはそのままなつめを絞め殺そうとする。


しかし・・・


指が動かない。これもカイトのPCボディの仕業だろうか。

目先には、明らかに左手がなつめを掴んでいる手を押さえていた。


−拒絶#%るのは、PC$は@く、俺自身・・・?


それが結論なのか、カイトはしばらく俯いてしまう。

すると意外なことに左手で自分の腹を突き刺した。
そこから一塊りのデータを取り出し、それをなつめに埋め込む・・・

なつめを離してやると、そこからバグデータがなつめから離れていった。
カイトから逃げるかのように。

−『・・・駆除続行、バ#*ータ初%化』

  
   キイイィィィン・・・


やっと反応し始めた腕輪を使い、バグデータを初期化に成功。
そこに倒れているなつめに回復アイテムを与えると、その場を去ってしまった。



なつめはカイトが去った何十分後に立ち上がった。

「・・・・」

彼女の様子がなにかおかしい。変な気がが漂っている。


「ト・・トライエッジ・・・・」


****


−グリーマ・レーヴ大聖堂

破損したデータを元通りにしようと戻ってきたが、さすがに『恩恵』プログラムは
アウラなしでは作れない様子。

いつもより浮かない表情、元々カイトに感情はないのだが。


  感情がない・・・そうだろうか?


なつめを救う、その行動はカイト自身が決めたことのように見えた。

自分が見えない。AIなのか?人間なのか?それとも・・・

カイトは答えが見つからず、その場に落胆する。


−『俺*、誰だ・・・?』



 

 −第五話 ほろうに双剣士






あとがき
タイトル元ネタは『るろう○剣心』。ちょっと無理ありました。
『ほろうに』は『放浪人』という意味で、『双剣士』は『剣士』にしようと思ったんですが
斬刀士ではないので・・・
好きなキャラは「沖田総司」。出番少ない・・・

本編の話に移ります。
本当は自分の奥底にある感情を否定しようとするトラ様の回だったんですけど・・・
想像していても伝わらない、自分には国語力が足りないようです。
次の話の内容が思いつかない、やっぱり想像力も足りないようです(泣


[No.915] 2007/09/01(Sat) 18:31:22
第六話 ジョジョに奇妙な浸食 (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

集いし、2人の赤い双剣士。


異常発生の警告を受けて着いた先。
そこにいるはずのない者に出くわしてしまった。


自分の分身、もう1人のカイト。






「君は・・・僕!?」
こっちを見ながら動揺している相手。
同タイプのPCは別に珍しい事じゃない。が、カイトの場合は違う。

引き継ぎのできない、その上゛創られた゛イリーガルデータのR:1PC。



−.hacker゛蒼炎のカイト゛の%ータは゛海゛に#存在せ*。
 
 単*゛カイト゛#模*たチートキャラ$思わ*る。


The Worldに害を来す者は、消す。

蒼炎のカイトが三つ又の双剣を出現させ、戦闘準備に。
相手の様子を伺いながら・・・

−『!!』

カイトは何かを発見。


−『薄明#・・・腕輪!!』


なんとカイト特有なはずの腕輪をはめていた。
これで完全に単なるプレイヤーでないことは確か。


−『速攻・・・排除!』

「ガアアアアァァァァァ!」
「!!」

声を張り上げ相手に斬りかかる。その攻撃はガードされてしまったが、

「ダアアッ!」
力量の差は他とは比べものにならない。
「がっ・・・!」
そのまま振り切り弾き飛ばした。相手は壁にぶつかり、ずり落ちる。


カイトは相手を詳しく分析。PCボディや腕輪など・・・

−50%.hacker゛蒼炎のカイト゛のデータと認識。

 女神&集め損*#残り$%ータ*?


「こいつ・・・ただのPCじゃない。」

倒れ伏せていた゛もう1人のカイト゛が起きあがる。直前にガードをしたのでHPはそんなに減っていない。

未確認の相手に長期化の戦闘は危険と判断。
蒼炎のカイトはチェックメイトを仕掛けようとしていた。


−『蒼炎#残像!』


身を蒼炎に包み込み、姿を消す。

「ど、どこ・・・」
゛もう1人のカイト゛が消えた蒼炎のカイトを賢明に探している。

一方蒼炎のカイトは背後から音速でカイトに迫っている。


5秒、


4秒、


3秒、


2秒・・・


「だ・・・」
気配を感じた時には、もう遅い。



「ダッ!」

かけ声とともに三角形の傷跡、通称゛サイン゛が刻まれ、
相手のHPは0に・・・



ピタリと止まり、倒れているカイトを見据える蒼炎のカイト。

−『・・・?これ@終%り・・・


  ・・・!』


蒼炎のカイトは目を疑った。
カイトのHPが・・・回復している・・・?

「『・・・?』」

蒼炎のカイトだけでなく、゛もう1人のカイト゛も理解できていないようだった。


「志乃さん・・・」
カイトの手のひらに見知らぬアイテムが。
それは光って弾け、消えた・・・


−『イベントアイテム゛黄昏のお守り゛・・・?

  そ#%アイテムはThe Worldに存在@な*・・・?』

解析プログラムで分析。

−『チートアイテム*確認。一部不純物発見・・・

  ・・・PC#破片?』

チートアイテムには手袋のデータが少量含まれていた。
手袋から1人のPCのデータが浮かび上がってくる。



 −『オーヴァン!』



一度対峙し、敗北してしまったTriedge所持者の重要犯罪人。
奴はカイトとなにか関係があるのか?

それより・・・



 −あまり*も自分#存在を表@&いる$*ようなプログラム#組み込み方%何*?



チートアイテム、志乃・・・これらから゛もう1人のカイト゛がオーヴァンと関係していることは確定。

腕輪も所持。今ここで使われれば驚異になる。


  消される前に、消す



「アアアアァァァァァアアアアアッ!!」
「な、なんだ!?」



****


−Θサーバー とあるエリア

「いたっ!バルムンク!!」

PCボディを取り戻した゛蒼海のオルカ゛は
同様に過去のPCを持っている゛蒼天のバルムンク゛を発見。

「オルカ!お前なのか!?どうして!?」
「言われたとおり『月の樹』のキルドマスターに会ってきた!お前の事も聞いたぞ!」
「あの時のPCはお前だったんだな。・・・そうか。今の俺はPKKという部類に成り下がってしまった。」
「・・・・」

「なあ、今になって奴がこのPCをお前に渡してきた理由って
 何だと思う?」
「『月の樹』の者だ、どうせ俺のPKK行為を止めさせる気だろう。
 俺は止めるつもりはないがな。」
「実は・・・カイトも前のPCに戻ってるんだ。」

背を向けていたバルムンクがオルカを振り向く。

「あいつもなのか!?俺達だけでなく!?」
「ああ。もうすでに・・・未帰還者も出てるらしい。もっとこう、なんかありそうだろ?」

「第三次・・・ネットワーククライシス!?」



****


「こ、こんなところでっ・・・」


データドレイン、ゲートハッキング、黄昏の恩恵。
そして四つ目の腕輪の力『守護神』。

安全かつ、余裕にPCをねじ伏せる奥の手。
蒼炎のカイトはそれを使い、゛もう1人のカイト゛をなんなく撃破。
抵抗してこなかったことから、相手がまだ守護神を使えないことが確認できた。

その時、


「グ・・アアアアァァァァァッッ・・・」


右手首に走る激痛、蒼炎のカイトの視野にノイズがチラチラ写る。

−『腕輪#浸食率・・75%・・・』

『守護神』は他の力と比べ、一気に腕輪を蝕んでゆく。
バグデータの処理にはデータドレインが不可欠。
休息をとる必要がある。


そのために、゛もう1人のカイト゛を初期化せず、生かしておいた。


『蒼炎の残像』で傷痕〈サイン〉を施し、そこから゛もう1人のカイト゛の視点で行動を伺える。
うまくいけばオーヴァンと接触するかもしれない。



しかし、これも、第三者の策略の内の1つだった。




 

 −第六話 ジョジョに奇妙な浸食






あとがき
タイトル元ネタは『ジョジョの奇○な冒険』
全シリーズ通して好きなキャラは『DIO』こと『ディオ・ブランドー』。
七部の『ディエゴ・ブランドー(Dio)』も好きです。
『ジョジョに浸食』って全然徐々にじゃないんですけど。
守護神使って4分の3蝕まれて(ry

次の話を突然見るとどんな状況かわからなくなるので、ここで少し説明。
トラ視点のカイトの話。アナザーストーリーを書きます。
単にVol.1で収集がつかなかった所を埋めるだけですけれど(汗

トラ視点なので自分のやる気によって文章が文字化けしたりしなかったりすると思います(え

あとVol.1を第一話以外全部編集し直しました。
前よりは見れるものになってます。(汗
読んでみて下さい。お願いします!
なぜ一話を編集してないかというと、パスワードを入れ忘れちゃいまして・・・
一番直したい所なのに〜!(泣)


[No.920] 2007/09/08(Sat) 22:54:28
Another.1 眠れぬ城 (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

−△サーバー とあるダンジョン


「誰かぁ〜!助けてぇ〜!」
「へっ!無駄無駄、あきらめなぁ!!」

ひとりのPCを三人組のPC達が武器を持ちながら追いかけている。

これはPCをキルする『PK』と呼ばれる者の1つの戦法。
単体を複数で攻める、そうすると勝率が格段に上がる。
PKは相手のアイテムを横取りしたり、自らのストレス発散の為に行っている事が多い。

「うっ・・・行き止まり・・・?」

不幸なことに逃げた先は道が閉ざされている。すぐにあのPK達も追いついた。

「残念だったねぇ〜。この゛ボルドー゛様に目をつけられたあげく、逃げ場もないとは。」
「姐さん、どうしましょう、こいつ?LVも低いし殺るなら簡単ですぜ?」

最近PKとして名の知られているギルド『ケストレル』ボルドー、とその舎弟。

「逃げ回られて面倒だったんだ。少しずついたぶってあげようかねぇ。
 おい、゛グリン゛!『騎士の血』かけてやんな!」

そう言われるとグリンと呼ばれるPCは一時的に防御値が上がる『騎士の血』をターゲットに使う。

「じゃあいくよ!せ〜のぉ!!」
「ひいっ!」

悲鳴を上げ目をふさぐ。ボルドーはお構いなく刀剣を振り下ろす。


すると、突然後ろから短剣がボルドー目がけて飛んできた。


「!!」

キイィィンと音が鳴り響き、ボルドーの刀剣が弾かれる。
刀剣はそこに座り込んでいるPCをかすめ、壁に突き刺さった。

「誰だ!邪魔しやがるのは!!」

ボルドー達が短剣が飛んできたほうを向く。奥には人影が。



「PCと戦いたいんだったら、アリーナに行きなよ。」



言葉が堂々としていて、とても説得力のある声。
現れたのは、赤い服を着た双剣士。


「なんだおめえ?ひとりで俺達に喧嘩売ってただで済むと思ってんのかぁ!?」
「僕はただ君たちがその子から手を引いてくれればいいだけ。
 初心者相手にPKしてることも反省してね。」

「結構度胸あるねえ・・・私達を誰だか知ってて言ってるんだろ?」
「『ケストレル』ボルドー。残忍で卑劣なPKで有名。
 僕から言わせてみれば単なる悪餓鬼だけどね。」

その言葉に気の短いボルドーはすぐさま挑発に乗ってしまう。

「ふん、その減らず口を閉じさせてやる!ネギ丸、グリン!殺っちまえ!」

赤い双剣士の左右でネギ丸とグリンが攻撃態勢に入っている。

「死ねえええぇぇぇっっっ!!」

2人が攻撃・・・しかし双剣士の身のこなしに難なくかわされてしまう。

「アリーナ戦闘の基本は・・・相手の攻撃パターンを読み、見切る!」

彼は双剣を使い、グリンに三連斬を浴びせる。ネギ丸はスキルを発動させようとするが・・・

「遅い!スキルを使う場合は判断を速く、相手より先に発動させる!」

ネギ丸がスキルを出すより先に、彼がスキル『疾風双刃』を発動。
的確かつ、速い。

「ぐほぉ・・・!」

ネギ丸、グリンがその場に倒れ込む。HPはもうあと一撃くらいしか残っていない。

「けっ、情けねえ・・・!」
「君はどうするの?このまま帰る?」
「ふざけんな!お前を殺してそいつも殺す!なめられたままでたまるか!」
「信念はちゃんともってるんだね。
 僕の知ってる限りそういう人は根は良いんだけど。」

その言葉にボルドーが赤面。

「て・・てめえ・・・ふざけやがってええぇぇぇ!!」

ボルドーが双剣士に向かってイバラの剣を振り下ろす。
これも彼に当たらず。

「このっ、このおっ!」

闇雲に剣を振り回すボルドー。
その隙に間合いを詰められ、首に短剣を突きつけられる。

「せっかく斬刀士なんだから双剣士相手にはリーチをうまく使わなきゃ。」


瀕死状態のネギ丸、グリン、絶体絶命のボルドー。
双剣士の完全勝利が誰が見ても伺える。

「ひ、ひとまず逃げるぞ、野郎ども!」
「へ、へいっ!」

危険を察し、ボルドー達がこの場から逃げてゆく。

「覚えてやがれ!次はお前がこうなる番だ!」

負け惜しみとも言える言葉を吐いて、去っていった。


その場には赤い双剣士と、もう1人のPC。

「・・・・」
「あの・・・君、大丈夫だった?」

双剣士が心配そうに問いかける。
青いケープに半ズボン、シルクハットをかぶっている。
それに瞳は左右違う色、オッドアイ。

相手の方は呆然と双剣士を見ているだけだったが、口を開ける。

「・・・シューゴ」

「ん?」
「い、いや、何でもないんだ・・・」

かすかに発した小声、誰かの名前なのか?
正気に戻り、双剣士が差し伸べた手を握り、立ち上がる。

「ほら、男の子ならしっかりと!」

「あの・・・僕こう見えても女・・・」

双剣士の動きが凍り付いたように止まる。

「あ・・ごめん・・・」
「別に気にしてないよ。こんなPCだれでも男の子って思うし。」

こう言われたが、彼女が内心ショック受けてたらという思いに押しつぶされそうになる。

 −き、気を取り直そう・・・自己紹介、自己紹介。

「僕は゛カイト゛って言うんだ。」
「えっ、カイト・・・?」

その名前を聞いたとたん、彼女は何かを考え込む。
『カイト』という名前になにか心当たりが・・・?

「やっぱり、ちょっとさっきのことで・・・」

カイトは全然見当違いの事を話している。

「なんでもない、なんでもない!
 それより助けてくれてありがとう。」
「そんなの別に気にしないで。人と人同士はお互い様だよ。」
 
「でも僕、君の役に立ちたいな。これ、受け取って。」

彼女がカイトにあげたのは、メンバーアドレス。

「! いいの!?本当に!?」
「うん、僕の名前は゛蒼月゛。よろしくね、カイト君。」


カイトに向けられた蒼月の二色の瞳は、とても輝いていた。






 −番外編一 眠れぬ城







あとがき
タイトル元ネタはアリプロことALI PROJECT『眠○る城』。
ロー○ンメイデン『蒼星石』のイメージソングですよね。
なぜこれをチョイスしたかはたぶん皆さんわかってると思います・・・

Anotherとかいって単なるVol.1の話してるだけで、
トラ視点とかいって文字化けしてないわで・・・すいません!


[No.922] 2007/09/14(Fri) 21:44:49
Another.2 Queen Knight (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

−『カイト、未*オーヴァンと#接触%ず・・・』

蒼炎のカイトの30%が修復。完了するまで゛もう1人のカイト゛を監視している。


****


 −おい、最近変なPC居ねえか?
 −トライエッジのこと?
 −違げーよ、ドス黒くていかにもホラー映画に出てきそうな・・・
 −もしかして・・・あの死神PKK?


「ん・・?何話してるんだろう?」

ルートタウンでPCの会話が聞こえたカイト。
彼らの口からPKKと聞こえる。

この頃『よもやまBBS』で大きく取り上げられているうわさ話は
『トライエッジ』と『高レベルのPKK』。

PKKとはPKをキルする者のことであり、正当か不当かは賛否両論に分かれている。
中でも不当との思想を高めているのが三大ギルドの1つ、『月の樹』だ。

「なんつう名前だったっけ・・・。たしか『ハ』・・・」
「『ハセ』・・・ん〜?」

そのPKKの名が『ハセ』から始まるらしい。

 −どっかで聞いたことあるなぁ・・・

その言葉に何か心当たりがあった。つい最近、いやPKKが目立つ前から聞き覚えがある。


考えながら歩いているうちに、ギルドショップが立ち並ぶ広場に着いていた。
ドームから見て右側の方が何やら騒がしい。

見てみると『トライフル』のショップが出所。


「しゃ〜ないな〜。じゃあ9000に値引き・・・」
「もう一声〜〜!!」
「アンタなあ!もう15000から負けてんねんで!じゃあもうあきらめぃ!」
「そんなぁ〜!」

カイトがショップ近くに行くと、客は昨日PKから襲われている所を助けた少女PC、
『蒼月』だった。

「しつこっ・・・じゃあ8500に・・・」
「もう二声〜〜!!」
「なんやねん、アンタ!!」

必死にアイテムの値段を値切っている蒼月。
この光景・・・どこかなつかしい感じがする。

「ねえ、蒼月。何してるの?」
「はっ!カ、カイト君・・・」


「ん?カイト?・・・     ああああぁぁぁ〜〜〜〜!!!」

ショップ店員がカイトの顔を見て、驚いた表情をしている。
カイトもそのPCを見るとギクッとなっている。

「き、君は・・・エルクの・・・」
「見ぃーつけた!ずっと探してたんや!」
「? カイト君、お友達?」

店員は上下に突っ張っている帽子をかぶっていて、赤いランドセルを背負っていた。

「と、とにかく逃げよう!蒼月っ!」

カイトが蒼月の手を掴み、一目散に港方面にかけだした。

「カイト君〜!まだアイテム買ってな〜い!(泣)」
「待ちぃ〜!って店番してるから動かれへん〜!
 また逃げられたわ〜!(泣)」

2人の(泣)は少しの間終わらなかった。


****


「ふう〜、危なかった〜。で、蒼月。なに買おうとしてたの?」
「ちょうどレアアイテムが売られてたから買おうとしたんだけど・・・
 お金が足んなくって・・・」
「レアアイテム集めしてるの?」
「じゃあちょっと見せてあげる。ほらね。」

蒼月は自分のアイテム欄をカイトに見せる。
そこには何十個ものレアアイテムが。

「すごいね、蒼月!よくこんなに!」
「えへへ〜。でもそのせいでよくPKに襲われるんだ〜(泣)」

−蒼月を見てると、ミストラルを思い出す・・・


ミストラル、.hackersの1人。明るい性格のレアアイテムハンター。
少女PCで実は主婦だった点が驚きだったが、カイトは何度も彼女に励まされた。
蒼月にはどこかミストラルの面影がある。


「あの値段じゃいつまで経っても買えないし、
 『殴られ屋』にでも行こうかな〜。」
「あのBBSで少し話題になってる?」
「うん。ちょっと一緒に行ってもいい?」
「僕もちょっと気になるし、見てこよう。『殴られ屋』って物を。」

カイトは蒼月とパーティを組み、『殴られ屋』を営んでいる場所へと転送していった。


****


「あっ!人がいっぱい!」
「中央で戦ってるやつが、そうかな?」

バトルエリアに2人戦っていた。しかしどうも様子が変。
1人は武器を持っていない。ただ攻撃をよけているだけ。

「はい、残り一分〜!」

バトルエリア近くで何やら時間を計っている少年PCが。
『殴られ屋』の関係者だろうか?カイトは声をかけてみる。

「あの〜『殴られ屋』って、ここですか?」
「あれ?お客さん?ようこそ『殴られ屋』に!僕は彼女のマネージャーの
 ゛アダマス゛っていいます!」
「彼女って、あの人ですか?」

カイトは細身の蒼い衣装を身にまとう女性PCを見て言った。

「ええ、そうそう。゛碧゛!あと10秒!」
「了解!」

殴られ屋とは、どうやら相手の攻撃をよけ続け、かすりさえすれば賞金を渡すという
商法らしい。

「終了!毎度あり〜!」
「ちきしょ〜!!まただー!!」

参加費が削られて挑戦者は戻ってゆく。

「じゃあ次は・・・君?」

アダマスはカイトに目線を向ける。

「え・・・いや、僕は・・・」
「碧〜!お客さん見つけたよ〜!!」

そう言うとアダマスは無理矢理カイトをバトルエリアに引っ張り込んだ。

「ちょ、ちょっと〜!!」
「カイトくーん!がんばって〜!」

そんなカイトにエールを送る蒼月。とても人ごとのように楽しそうだ。


「・・・・」

碧がカイトをずっと凝視している。

「すいません、何か・・・」
「! な、なにも・・・」


 −僕を見ると何かみんなおかしいな・・・


 
 −まさか・・・いや、こんな優しそうな表情じゃ・・・


碧は気を取り直し、カイトに話しかける。

「遊びに来てくれてありがとう、『カイト』さん?」

もう引き返せないような感じがしたカイト。


 −もうなるようになれっ!

「よ、よろしくお願いしますっ!」

カイトはガチガチになりながら碧に礼。

「あら、ここにはゴロツキぐらいしかこないから・・・珍しい。
 こんな礼儀正しい人。

 じゃ、始めようか・・・」


その言葉は言い終わる前にかき消された。


「ボ、ボルドー一味だっ!!」


「!!」

観客の声によって見た先には大勢の軍団が。
その中で何者かに剣を突きつけられ捕らわれている蒼月とアダマスを目にする。

「蒼月!!」
「アダマス!!」
「足掻いたって無駄だよ。」

軍団の先頭には、あのボルドーが。

「赤い双剣士・・・殴られ屋を荒らしに来たら偶然バッタリ。
 この間の借りを返すってわけさ。」
「だったらその子達を放せ!」
「そんなに怒んなくたっていいじゃないか。
 PKには人質ってもんが必要なんだよ。」
「くっ・・・」

卑劣なボルドーに碧はある提案を差し出した。

「じゃあ『殴られ屋』で勝負をつける?」
「はぁ?」
「私とこの双剣士が逃げ回るから、あなたがどちらかを攻撃できなかったら
 2人は返してもらう、それはどう?」
「ふざけんな!私は・・・」
「逃げる気?」
「ぐっ、コイツ・・・!」


 −えっ、ちょっと碧さん!僕まだ未経験・・・
 −大丈夫。私が援護するから。

カイトと碧がヒソヒソ話をしている最中に、

「へっ!面白れえじゃねーか!お前ら、終わるまで人質には手ェ出すな!」

その言葉に碧はカイトにガッツポーズ。

 −よし、うまく作戦に乗ってくれた。
 −一体どうやって?
 −ああいう奴は「逃げる気?」とか言われると断れない種族なのよ。

「なにコソコソ話してんだ!始めんぞ!」

ボルドーがイバラの刀剣を持ち、こっちに向かってくる。

「いくよ、カイト!」
「ど、どうしたらいいんですか碧さ〜ん!!」






 −Another.2 Queen Knight





あとがき
タイトル元ネタはRoots最終回ED、アリプロさんの『King Kn○ght』です。
碧やCELLっていうとこの曲を思い浮かべます。

も、もうこんな時間・・・夜更かしはいけませんね、本当。
というわけでもう寝ます。おやすみなさい〜。


[No.923] 2007/09/16(Sun) 02:08:33
Another.3 地獄に一番近い男 (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

なりゆきでボルドー相手に自らが『殴られ屋』をすることになってしまったカイト。

「うおらああぁぁ!」
ボルドーがカイトに剣で斬りかかる。
「おっと。」
それに対しカイトは後方に退く。が、それ以上後ろに下がれない。
バトルエリアの壁に接近していた。

「や、やば・・・」
「カイトッ、こっち!」
碧はそう言いながらカイトの襟巻きを引っ張る。
間一髪、カイトに刀剣が触れることは免れた。

「あ、ありがとう・・ございます・・・」
「礼は終わってから!あと30秒だから頑張って!」
殴られ屋創立者の碧の存在は今の状況においてとても大きい。

「くそっ!ふざけやがって!」
「あと10秒!」
「もう無理じゃないの?」

時間ももう残り少ない。ボルドーが最後の賭けにでる。

「死ねええぇぇぇ!!」

5秒にさしかかったところでボルドーが刀剣を投げつけた。

 狙いは・・・碧

碧はカイトを庇いながらバックアップしていて気づいていない。
光景を見たのは、カイトのみ。

「碧さん!危ない!」

声をかけたが振り向く時間で剣が向かってきてしまう。

 −どうする・・・!

思考を凝らす結果・・・


 カイトは碧の足をかけ、転ばせた。


碧はそのまま転倒。刀剣は当たることなく岩場に突き刺さる。

時間切れになり、カイト達の勝利に。

「ふう〜、やっと終わった〜・・・」
「゛終わった〜゛じゃなくって・・・」
転んだ拍子に頭部を強打し、碧は頭を抱えながら起きあがる。
「すいません、あれしか方法見つからなくって・・・」

 −これで一件落着・・・
 −なわけないでしょ、あれ見て。

碧が指すところには敗北してしまい、殺意剥き出しのボルドーが。

 −どうなると思う?
 −・・・全員で襲いかかってくる!?

すると一味の1人が声を上げる。

「ボルドーさんが負けるはずがねぇ!てめえらどんな汚ねぇ手使いやがった!
 野郎ども、殺っちまうぞ!!」

PKのよくある光景、変な言いがかりをつけ、喧嘩を売る。
一味が一斉にこっちに向かってくる。何10人もいる軍団だ。

「やっぱりね、この数どうする!?」
「それより・・・!」

カイトの心配は別のところにあった。

 −2人が・・・蒼月達が!!

PK達に囚われている2人、もしかしたらすでにやられているのかもしれない。
懸命に探すと、見覚えのあるシルクハット。

「いた!蒼月!!」
「アダマスも!あれ、あのPKは?」

カイトと碧は無事に蒼月とアダマスを発見。しかし2人を捕らえていたPKの姿がない。


「ずいぶんと賑やかじゃねえか、俺とも遊んでくれよ。」


その声にその場の全員が注目。

蒼月とアダマスの背後から現れたPCは、


 魂を狩る死神に見えた。


「お前は・・・PKK『死の恐怖』!!」

「死の・・・恐怖・・・?」

最近騒がれているPKKの通り名。

「んじゃ、こっちから行かせてもらうぜっ・・・!」

彼は手に持っている大鎌を大振りすると、PK達が一気に宙に飛ばされ、キルされてゆく。

逃げろという声が聞こえ、ボルドー達PKが転送装置にかけていった。


その場に残されたカイト、碧、蒼月、アダマス、

そしてPKK『死の恐怖』。

「どうもありがとう。でも名の高い方がこんなところでお仕事?」
「別にPKKが目的って訳じゃない・・・ん?」
彼の視野に何かが入る。
それは碧の背に隠れているカイトの姿。

 −・・・何してるの?
 −いやあの人って『三爪痕』を探してるんでしょ・・・?


****


 −奴*、俺#探$&いる・・・?

修復率が75%に達した蒼炎のカイト。なかなか『守護神』を使った後のリスクが軽くならない。
あのPKKが言っている三爪痕はバグデータ『Triedge』ではなく、
恐らく自分のことだろう。

しかし、その意図がわからない。

何故、何の目的で・・・


****


「おい、何してんだ?」
「!!」
行動がバレ、ドキッとしてしまったカイト。
三爪痕とPCが同一の自分を見られたらとんでもないことになる。
しかしそのままでいられることもなく、仕方なしに顔を出す。

すると驚いたことに彼の反応はあまり大きくなかった。


カイトの頭には、小さくて収まりきらないシルクハットが。


 −どうしたの?いきなり・・・
 −蒼月っ!早くその帽子隠して!

蒼月の手にはカイトの帽子。
いつの間にかカイトは自分のと蒼月のシルクハットとを交換していた。
疑われないための最大限のカイトの策(?)のようだ。


「は、はは・・・」
笑ってごまかすカイトに、
「・・・・」
「・・・・」
反応どころか失笑してしまっている。

その沈黙を消すかのようにすぐ彼が話を戻した。

「お前・・・『三爪痕』を知ってるか?」
「!!」 
カイトは突然のことに動揺しすぎてしまった。
「し、知らない知らない知らない知らないっ!!」
「・・・?ま、いい。俺はこっちに用があるんでな。」
カイトの行動には触れず、目線を碧に向ける。

「カイト、アダマス。もう今日は・・・」
「え?」
「何か感じる・・・」
「このPKKのこと?」
「いや・・・後で伝えるから。これ受け取って。」
碧はカイトにメンバーアドレスを渡す。

「大丈夫。別に取って食ったりはしないでしょ?」
「じゃあ・・・気をつけて下さいね。蒼月、行こう。」
「ああ〜、結局稼げなかった〜。(泣)」
「PKされないだけよかったでしょ。」


碧は転送装置に向かうカイト達を見送ると、PKKと対面する。

「死の恐怖『ハセヲ』さんが私に何の用?」
「さっきも言ったとおりだ。三爪痕を知ってるか?
 姿だけでもいい。何か情報を持ってないか?」
「姿知らない訳ね、それもそっか。カイト隠れ損・・・」
PKK『ハセヲ』は三爪痕の姿もわからないという。

 −姿か・・・しいて言うなら・・・

碧はそこでカイトのPCボディを思い浮かべる。

あの時、銃剣士と戦っていた三爪痕。それはまさしくカイトの姿だった。


「私も・・・会って確かめたい、三爪痕に・・・」
「?」
「君と同じように、私も三爪痕を追っていること。理由は違うと思うけど。」
「・・・あんたは、三爪痕に何を求めているんだ?」

碧はしばらく考え込み、答えを口にする。


「三爪痕が私を導いてくれる気がする。その先にある答えまで。」



****


 −何週間後・・・


100%データが完全に修復、蒼炎のカイトは活動を再開する。

゛もう1人のカイト゛を通して見たモニターから、新たな感染者を発見。
しかもそれにプレイヤーは存在しない、イリーガルNPCであった。
 

 PC名は、『碧』。


その時は異常が発生し、CC社がプレイヤーを強制ログアウトさせるほどの混乱を招いていた。

蒼炎のカイトは、蒼い炎を放ち、崩壊しそうなエリアに降臨した。

そこにいたのは、浸食され、半身が黒く染まっている碧。


「アアアアアァァァァァァァ」


三つ又の双剣を構え呻き声を上げるカイト。
碧の姿はもはや獣といえるほどにバグデータに浸食されている。


カイトは碧を捕捉し、光をも上回る速さでエリアを駆けた。






 −Another.3 地獄に一番近い男







あとがき
タイトル元ネタはドラマ『天国に○番近い男』。
好きな人物は『天童世死見』です。というか陣内さんが好き。

な、長かった・・・
でもこれでやっとAnother Storyが一区切り。
ちゃっちゃと済ませて書きたいところもありますし(爆

もうすぐG.U.小説Vol.3が発売されますね。
すごく楽しみです、カイトが・・・(笑


[No.939] 2007/09/24(Mon) 16:27:47
第七話 AI賛歌 (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

The Worldはバグデータの影響でメンテナンスしざるを得ない状況になっていた。

そのバグデータは今、まさに蒼炎のカイトの目の前に存在している。

時間内に始末しなければ逃げられてしまう。
今までとは比べものにならないほど警戒が必要になってくる。

カイトが見てきたバグデータは、3割ほどがPCに取り憑いているものであった。

そう、今回も・・・



バグデータはやはりPCに見られた。

「アアアアアアアァァァァァ・・・」

カイトは銃剣士、双剣士、魔導士の感染者を双剣で手に掛け、切り刻んでゆく。

彼らは力を振り絞り抵抗していたが、カイトの前には無意味、
傷1つない。

身動きしなくなった彼らに、カイトが右腕を突きつける。
腕輪が開花し、光が回転し始める。


腕輪の力『ドレインアーク』が3人の体を直撃。


「嗚呼唖阿aAあAAぁAッ!!」

彼らのバグデータがカイトの腕輪に取り込まれ、PC達は消滅していく。


その光景をずっと見ている者がいた。

女性型PCで、彼女もまたバグデータに浸食されている。
カイトを見て、恐れをなしているのか、立ちつくしているばかり。

カイトのターゲットは先ほどの3人ではなく、彼女の方だった。


−『NPC『碧』*データ%一致・・・』


半分以上蝕まれているPC、それは変わり果てた碧の姿だった。

碧のデータ要領が上昇し続けている。The Worldが崩壊するかのような気迫が漂ってきた。

時間も残りわずかとなってくる。カイトは碧を始末しに出た。

「アアアアアアァァァァァ!!」

双剣『虚空の双牙』と大剣『竜華樹』が攻防しあう。
ハタから見れば化け物同士の戦いに見えても過言ではない。

−『! こ、こいつ・・・!』

碧の力が、どんどん増えてゆく。徐々にカイトを押していくのが解る。

「ウオオオォォォ・・・」

それでもカイトは大剣を振り払い、また、碧に向かってゆく。
彼女もそれに反応するかのようにカイトと同じ速さで空間を駆ける。

「ダッ!!」

カイトが碧を双剣で叩き落とし、

−『レイザス!!』

地面に激しく煙が舞ったところに魔法スキル『レイザス』を打ち込んだ。


通常なら即死コンボ。碧の敗北を確信したと思ったところに、

カイトの背後に、碧が現れた。

「!!」
「あぁ阿亜嗚呼AAa!!」

振り下ろした竜華樹が命中、カイトが弾き飛ばされる。

完全に今の碧はカイトを上回っていた。背後を取られることは、まず初めてだろう。

今の一撃は、結構重く感じた。苦戦を強いられる上に、時間制限まである。

こんなものを野放しにすればThe Worldの危機。
負けるわけには、いかない。


「アアアアアアァァァァァァアアアアアアア!!」


力を振り絞り、甲高く声を上げた。宙を駆け、碧を目がける。




「三爪痕・・・」

その言葉にカイトはピタリと動きを止める。

「すべては、この時のために・・・」

碧が口を開けた。感染していながら自らの意志を失わずに・・・

彼女はNPC。カイトと同じ意識すら持たないはずのデータ、
本来ネットスラムにあるはずのデータ。


「時は満ちた。

 さあ、私に真の死を!!」


そう言うと彼女は竜華樹を己に突き刺した。

−!!

考えもしなかった状況。碧の行動にカイトは理解に戸惑った。
なんのためにそんなことを・・・

そんな中だった。

 
 キイイイィィィィィン・・・


腕輪が赤く光り出した。やがてカイトの視界が光で埋め尽くされる・・・


****


−『! #、ここ*!?』

カイトの目の前に、小さな個室が見える。病室だろうか?
様子が慌ただしい・・・

そこには昏睡状態1人の女性がいた。十代くらいである。
彼女からは気が感じられず、危ういのが解る。
医師と呼ばれる者達の声が飛び交っている。

ベット近くにある札を見てみると、彼女の名が伺えた。


 『下村みどり』


そう書かれてあった。

碧はただのNPCではない。神経がThe Worldから来てはいなかったのだ。
PCが自分の名前と一緒のプレイヤーは数少なくない。


−『碧は・・・みどりと別#意味$繋が&%いる#かも@れない・・・』


なんの根拠もない、どこからかきた直感。

眩い光が、戻ってゆく・・・


****


状況が元に戻った。

あのヴィジョンとも呼べるものは腕輪がカイトに見せたリアルのみどり。
そして碧の自爆行為。

なんのために、碧は何か奥の手でもあるのか、


だが、すぐにその疑いは晴れた。


バグデータに洗脳されながらも碧が見せた微笑み、

カイトに向けられたそれがすべてを物語っているようだった。


 −奴は何故俺#殺%れ*がって&*・・・?


腕輪のヴィジョンが見せた瀕死のみどり。彼女の病気の原因が碧なら・・・


 −他人#救う&$に、自分を捨#る*もり&・・・


碧もカイトと同じAIであるはずだ。カイトにはとても考えられなかった。


体が勝手に動く。右腕が赤く光を発し四方に放ち始める。

その光に包まれた碧の表情は、以外にも落ち着いていて、安らかだった。


 −『データ・・・*#イン・・・』


CC社によるメンテナンスが開始し、全サーバーが閉鎖された。


そこには、もう碧とカイトの姿はない。


1つの終わりは、新たなる始まり・・・


これから幾度となく、カイトはモルガナの驚異に出くわすことになる。





 −第七話 AI賛歌






****
タイトル元ネタは『人間賛歌』。
ファンによるとジョジョは人間賛歌だというそうです。

とてつもなく時間がかかってしまいました、ごめんなさい!
今回を見ると作者のネタ切れが伺えると思います・・・
次はコンパクトにまとめたいと考えているので、読んで下さい。
お願いします!


[No.953] 2007/09/30(Sun) 18:36:40
Another.4 過去のイヴ (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

「どうしたの、蒼月?」
「突然呼び出したりしてごめんね。ちょっと聞きたいことが・・・」
「なに?何でも言ってよ。レンゲキの方法?ラッキーアニマルの追い方?」


「カイト君のPC、R:1でドットハッカーズ仕様だったボディだよね。」


「!」
いきなりのこの質問に動揺した。確かにR:2にも自分を知っている者はいるばずだか、
蒼月の歳で知っているとは思ってもみなかった。

「君、ひょっとしてシューゴ・・・いや、.hackersのリーダー『カイト』なの?」
「シューゴ・・・?」

三年前、バルムンクにカイトのレプリカPCを持つ、
『国崎秀悟』というプレイヤーの存在を聞かされたことがあった。
蒼月が彼のことを知っているなら、シューゴの関連者ということになる。

自分の事を多く話していいのだろうか、カイトはそう思った。

「ちょうど明後日、七年前゛蒼海のオルカ゛が行方不明になった日だ。」
「! それって・・・」
「その日にグリーマ・レーヴ大聖堂で僕のことを君に話す。だから今は・・・」
「・・・うん、わかった。」


****


 −ネットスラム・タルダルカ

「いないな〜、どこにいるんだろう?」

蒼月や『レイヴン』もとい『G.U.』のことについて欅に話しに
ネットスラムを訪れたカイト。
ところがそこに欅はいなかった。

そこでカイトは欅が三大ギルドのひとつ『月の樹』のギルドマスターだということを思い出す。

「@HOMEかな?早めに言っておきたいし、行ってみよう。」


****


「そうだ、ギルドカード持ってない・・・」

カオスゲート前でどこの誰かと同じ状況にたたされていた。
月の樹のホームはエリアなのでメンバーを待つことはできない−
というのは以前にも記した通り。


「ギルドショップ開いてたらいいんだけど・・・」

広場で月の樹のギルドショップを探す。


トライフル、癒し隊、ケストレル・・・


「・・・やってない。」

とうとう月の樹のショップは見つからず、為す術がなくなってしまった。

ハァ・・・と落ち込むカイトにある声が聞こえた。



 「PK廃止活動にご協力くださーい!!」



噴水の所に2人のPCが見えた。1人は和服を着た青年PCで、

もう1人は偶然にも志乃と同じ型のPC。
違いは色くらいなものだろう。


「すいません、これって・・・」
「あっ、興味をお持ちになってくださったんですね!ありがとうございます!」
そう言うと彼女はカイトに一枚のチラシを渡す。
それにはPK行為を批判しているような内容、PK廃止の取り組みなどが書かれていた。

ここまで広く活動する組織は月の樹以外に存在しない。
「もしかして、『月の樹』の人ですか?」
「ハイ!月の樹二番隊隊員の゛アトリ゛といいます。
 それであちらの方は二番隊隊長の゛榊゛さんです。」

ようやくメンバーにありつけたカイト。
No.2の榊に話をつけてこようと思ったが、誰かと面向かっていた。

相手は黒い装備を身にまとったPKK『死の恐怖』、ハセヲ。

「うっ!!」
「? どうかされました?」

カイトの事情がが解らず心配そうにを見るアトリ。
三爪痕を追っているハセヲに姿を見られたらマズイ事になる−というのも
以前記した通り。

榊が彼と話しているのは、彼のPKKが原因なのだろう。

「あいにく、お友達の勧誘なら間に合ってるぜ。」
ハセヲはそう言い残してそのまま去ろうとする。

 −ふう、行ってくれた・・・

と、安心したのもつかの間、アトリがハセヲに詰め寄っていった。

「人の話は最後まで聞きましょう?榊さんの話、まだ終わってないです。」

 −引き留めた!?

二度目の危機がカイトを襲おうとする。危険を察知し、物陰に隠れた。

「ったくお前・・・っ。」
ハセヲの動きが止まった。目線はアトリを向いている。


「・・志乃・・・?」


 −!

ハセヲの言葉が引っかかる。志乃とはあの志乃のことだろうか。
だとしたら・・・

 −『死の恐怖』って、まさか『黄昏の旅団』のハセヲ君!?

前々から気になってはいたが、ハセヲという名前がどうも出てこなかった。
R:2は両方とも同じ時期に始めたのでLVの圧倒的な差に違和感を感じたが。

「ふんっ!」

そしてハセヲは背を向けドームに去っていった。

見つからずに済んだが、それ已然にハセヲのことが気になって仕方がない。
志乃がカイトに何度も話していたあの少年、
PKを嫌っている志乃に反してそれを執行しているとはなんとも皮肉である。

その時だった。


  ポーン・・・

 −! これは!

カイトの目の前が真っ暗になり、そこに現れたのは・・・


 −『死の恐怖』・・・



「はっ!」
カイトが正気に戻る。もしかすると彼も、


 
 −゛碑文使い゛、なのか・・・?






 −Another.4 過去のイヴ






独り言
タイトル元ネタはALI PROJECTもといアリプロさんの『未來の○ヴ』。
このチョイスは過去の伏線があったので何となく。

久々に来ましたが、皆さん忙しいんですかね?(自分がヒマなだけ
CC2社さん、.hackよりNARUTOを多く発売されてますが
ナルティ1から買ったことが・・・
(1は里マップがなく、キャラが12人と・・・)
ナルティアクセル2買ってみようかな?と思ってます。


[No.954] 2007/10/07(Sun) 16:53:20
第八話 デッドマンズK (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

  ポーン・・・


「!!」

グリーマ・レーヴ大聖堂に、蒼炎のカイトは現れた。
彼は赤外線センサーのような視覚から2人のPCを観測する。

1人は今やPKKとして名高い『ハセヲ』。
そしてもう1人は、

−『扉越%*オーヴァン#見、直&に@末』



「てめえええええええええええええええ!!」

するといきなりハセヲが双剣を手に持ちカイトに襲いかかってきた。
ハセヲの双剣は芥川、強い武器とはいえない代物である。

「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!」
連撃を繰り出しても難なく、しかも片手だけで受け止められている。

 −くっ、ふざけやがって!

ハセヲは一旦退き、錬装士特有のジョブエクスデントを使い大剣に持ち替えて
再びカイトに攻撃。

チェーンソーのような大剣・大百足と虚空の双牙がぶつかり火花を上げているが、
双牙は削れる様子を見せない。
−『目標の障@*見な”駆除』
カイトはオーヴァンを狩るのに邪魔なハセヲを弾き飛ばす。

圧倒的な実力差を見せつけられているがハセヲは諦めようとしない。

 −こいつが・・・こいつが志乃を・・・

「うおおおおおおおおおおおおおぉぉ!!」
三つ目の武器、大鎌を錬成。するが、

−『データブレイク!』
カイトの瞳孔の開きとともに突然大鎌が壊れ、消滅。
 −なっ・・・!?
自らの武器がデータのくずになり動揺するハセヲを、
カイトが鷲掴みにして投げ飛ばした。

ハセヲに時間をくってしまったが、オーヴァンはまだいる。
以前は失敗したがこの距離なら・・・
右腕を突き上げて腕輪を開花させる。

好都合にもオーヴァンはその場を離れずずっとそこにいる。
この時はその意味がわからなかった。

データドレインを発動。光は真っ直ぐオーヴァンに行くはずだった。
光はハセヲを突き抜ける。

 −!!

想定外の出来事、カイトとオーヴァンのちょうど間にハセヲがおり、
彼にデータドレインが直撃してしまった。

「ああああああああああああああああぁぁぁぁぁ!!」

悲鳴を上げながら3rdフォームの装備が剥がれ、データが崩壊してハセヲは倒れた。

カイトはそれを気にせず扉の方を向くが、誰も居ない。
オーヴァンを取り逃がしてしまった。


****


「ゲーム中に意識不明・・・?」

電気屋のTVでこのようなニュースが報道されている。

それを目にした1人の女性がいた。
大人っぽいが制服を着ていることからまだ大学生なのだろう。

この手のニュースは今年になって二件目になる。七年前の『黄昏事件』は八件ほどだった。

「あっ、メール・・・?」
携帯の着信音が鳴っていて、彼女はそれを確かめた。


送信者 ヤスヒコ
 お久しぶりです、速水晶良さん。
 突然ですがもし今でもThe Worldをやっていたら
 △隠されし 禁断の 聖域に来て下さい。
 話があります。


「? ヤスヒコって、どっかで聞いたことあるなぁ?」
その上自分の名前も知っているのなら相手に会ったことはあるということだ。
The World関連、それにあの聖堂を知っている者。

彼女はR:1のサービスが終了したと同時にThe Worldを引退した身である。

「The Worldかぁ〜。文和やってたっけ?」
彼女は足を早め、店から出ていった。


****


同時刻、蒼炎のカイトはまだ聖堂にいる。
理由は何者かが聖堂に向かってきているからだった。

オーヴァンの可能性も少なくはない。
聖堂の扉が開き、カイトの前に姿を現したのは・・・


「あっ、カイト君もういたんだ!」

オーヴァンではなく、シルクハットをかぶった子供PCでだった。

−『・・・・?』






 −第八話 デッドマンズK





あとがき
タイトル元ネタはジョジョで知られる荒木先生の短編
『デッ○マンズQ』。
好きなキャラは『吉良吉影』です。

ご無沙汰しております、菊千文字です。
今の時期忙しくてなかなかパソコンに手を出せませんでしたよ。
というのは言い訳で、ネタが切れなだけでした。


[No.955] 2007/10/14(Sun) 17:22:03
第九話 アズールオブファイア (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

 −グリーマ・レーヴ大聖堂前

「えっ!?ヤスヒコって・・・!?」
「そう、蒼海のオルカ。思い出した?」
「だってまさかオルカって思わないでしょ。あのメールじゃあ。」
「年上の人に送るのってどうしたらいいかわかんなくってさ。」

「てか、何でそのPC?引き継げないはずでしょ?」
「そのことなんだが・・・聖堂の中に入ってから話すわ。」
「変わんないね、ここも、オルカも。

 あっ、そうだ!カイト今どうしてる?元気?」

「・・・・」
「?」


****


 −その頃、グリーマ・レーヴ大聖堂内

「カイト君?どうしたの、なんかいつもと雰囲気違うような・・・」
「・・・・」
聖堂内に現れた少女PC。蒼炎のカイトとは今まで会ったことはないはず。

 −『PC名<蒼月>、リア#名<黒川深鈴>、過去&PC<カイト>%接触し@形跡があ*』

彼女は"もう1人のカイト"から見た時に映っていたPC『蒼月』のようだ。
確かにこの日に"もう1人のカイト"とどこかへ待ち合わせをしている様子だった。
とすると彼女はここ、大聖堂で”もう1人のカイト”と会うつもりだったのではないか。


 キイィィィン・・・

「!?」
突然腕輪がひとりでに赤く光る。何かに反応していると言った方が正しいか。
しかしいつもの光とは違い、黒い光りが混ざっている。

「その右腕に”アレ”があるんでしょう?」
「・・・?」
腕輪の存在を知っている、いかにもそんな口調だ。
一般PCには見えないはずである。

「僕の友達も君と似たようなPCで、特別なアイテム持ってたから・・・」
「・・・・」


 −!!

カイトは大聖堂の扉付近に2人のPCの気配を感じ取った。


「ん、もう誰かいるみたいだな。」
扉を開けたのは先ほど外にいたオルカ達だった。

「ねえ、あそこにいるの、もしかしてカイト!?」
「! 何だと!?」
カイトがオルカを見た途端、

 
 −『!! ドットハッカーズ仕様PC!”蒼海のオルカ”!』

「アアアアアアアアアアアアアアァァァ!」
カイトは双剣を手にとり2人の方に駆けてゆく。

「カイト君!?」
「カイトッ!どうしてここに!」
「アアアアアアアァァァァ!」
オルカの姿をしたPCを始末しようと双剣に掛けようとした。

その時、


 −カイト・・・その方を傷つけてはいけません



「! この声は!」

−『女神ア#ラ!』

聖堂に響き渡る声は三大神の1人『アウラ』のものだ。

−『ア#ラ、此奴#”蒼海のオルカ”PCを模#&プレ@ヤー、始末す*%だ』
 −確かにPC自体はオルカの物、今となってはインストールできません。

  しかし彼は正真正銘あのオルカ、私の大切な方です。

「・・・・」
「そ、そこまで言われると照れるな〜。」
「そんな場合じゃナイでしょ。アウラ、どこにいるの?あの銅像がなくなってるようだけど。」
−『ア#ラ@世界を創$#は人と考$、俺が鎖*斬った』
この台詞は一般PCにはチャットコマンドで伝えられる。

「・・・久しぶり、カイト。どうした?全然喋んないし、なんか様子変だし。
 そっか、私が誰だかわかんないから・・・」
 
 −ここにいるカイトはあなた達が知っているカイトではありません。
「!?」
−『俺は女神@意志#作り出%たNPC、AIと#言う*』
「カイトじゃ・・・ないの・・・?」

 −ブラックローズ、カイトは・・・

「突然倒れて病院に運ばれて意識不明だ。直前にThe Worldをやっていた。」

「! なんですって!?」
「カイト君が!?」
「・・・・」

オルカの口から告げられた事実に沈黙が走る。

「あいつも俺のようにPCを取り戻してたって聞いた。
 『月の樹』のギルドマスターさんにハッキングしてもらってな。」
「なんでそんなことしたんだろう・・・?」

 −R:2に移り腕輪から消滅した『黄昏の恩恵』プログラムが残っているからでしょう。

「アウラ、カイトはどうなっちまったんだ?」
 −私にもわかりません。しかし、真相を知るのは貴方達です。
  
  カイト、剣を下ろしなさい。
「・・・・」
そう指示され、カイトは虚空の双牙をしまう。

 −オルカ、ブラックローズ、彼を『蒼炎のカイト』を貴方達に預けます。
  
  カイト、彼らの言うことを聞くのですよ。

「アアアアアアァァァァァ・・・」
そこでアウラの声は消えた。

「・・・なんか、母親みたいだな。」
「だ〜から言ってる場合じゃないでしょ!」

「あの・・・」
蒼月が申し訳なさそうにオルカ達に声をかける。
「? そういや君誰?」
「蒼月って言います。カイト君とはけっこう一緒に・・・
 あ、カイト君ってあのカイト君のことでここにいるカイト君のことじゃあ・・・」
「なんかややこしくなってきたけど、要するにカイトの知り合いって訳ね。
 あ、カイトってあのカイトのことでここにいるカイトのことじゃあ・・・」
「わかってるから!もういいから!
 
 それよりあいつがどうなっちまったのかが問題だ。
 The Worldは、何かが起こってる。そんな気がする。」
「・・・・」


****


 −グリーマ・レーヴ大聖堂 カオスゲート前

「じゃ、明日からよろしくな『カイト』。」
「アアアアアアァァァァァ・・・」

「アウラに言われたとおり、お姉さんが喋り方から笑い方まで教えるから、覚悟しときなさい!」
「アアアアアアァァァァァ・・・」

「カイト君・・・わかってる?」
「アアアアアアァァァァァ・・・」

カイトから帰ってくる返事は呻き声のみ。


 「「「不安だ・・・」」」


そう思う3人だった。






 −第九話 アズールオブファイア






あとがき
タイトル元ネタは『ブレスオ○ファイア』。
好きなキャラは3の『レイ』、3・5の『リュウ』です。
PS3で6が出るんじゃないかと期待している今日この頃。

今もなお約一週間の更新を保って(?)いますが、
そろそろヤバそうです。
打ち切りではないですが更新が遅くなりそうです。
まあ受験生なのにネットしてますが。(笑


[No.959] 2007/10/21(Sun) 18:18:26
第十話 蒼炎のカイト育成計画 (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

 −ネットスラム・タルダルカ

オルカ達は欅を訪れ、ブラックローズのPCを戻すことに成功した。
「おっ、なつかしいなそのPC。」
「それはそうとして、もう少し大人っぽくしてくれても・・・ねぇ?」
ブラックローズは七年前と全く変わらない姿を見て苦笑する。

「案外楽でしたよ。他の方々はデータが半分消失してたのでこっちが少し改良しましたが。
 で、これから何を?」
「お前は関わらないって言ったろ?俺たちが勝手にしてることだ。
 どうなっても俺らの責任だ。んじゃ、アリガトな。」
そう言ってオルカ達は転送していった。

 −関係ないわけないじゃないですか・・・僕は彼を・・・


****


 −グリーマ・レーヴ大聖堂

「どうだった?カイトの様子は・・・」
「一向に変わんない。同じ症状の人がいる別の病院に移されるんだ。」
「もし私ん家から行けるんだったら、お見舞いに・・・」

「アアアアアアァァァァ・・・」

「わっ!」
ブラックローズの背後から不気味な声が聞こえた。
「よう、カイト。」
「いっ、いきなり現れないでよっ!びっくりするじゃない!」

そこにいたのは三爪痕こと『蒼炎のカイト』。

−『貴様&の事#つい@はインプットして+いた。オルカ、ブラックローズ』
「それは物覚えが早い・・・って私にもちゃんと言葉が聞こえる!?」
「そのPCの影響じゃないか?それよりお前じゃない方のカイトについては?」
−『その時$映像にプロテクトがか@って#た

  だが手がか*は#る、『ラーン・バティ』だ』

「ラーン・・・バティ?」
「期間限定のクエスト『痛みの森』をしてたロストグラウンドだ。」
−『そ$に反応@*った、#れと同時刻%腕輪も反応*た』
 
「・・・偶然じゃないな。
 なぁカイト、そこって激ムズじゃねえか?俺らの代わりに行ってきてくれよ。」

−『そ*な暇#ない、だが貴様$が俺&協力する@ら考え`#ってもいい』
カイトにとってはもう一人のカイトの行方などどうでもよい。
−『貴様*”フィアナの末裔”と言わ%&ほどのプレイヤーだろ#
  勝手*行け』

あまりのカイトの言動に前のブラックローズなら反発しているが、
かつての仲間『ワイズマン』のことを思い出した。
−取引−
それは人もAIも同じ条件ではないのだろうか。

「い、いいじゃない。私があんたにあれこれ教えるから、それでいんでしょ。」
−『無理だ、その#%なLVでは』
「! な〜んですって〜・・・?」
ブラックローズはカイトにそのLVの低さを指摘され、怒り寸前である。
「ちょっ、落ち付けって。」
オルカはそんなブラックローズを制止する。

「カイト!あんたねぇ不愛想だからBBSでも叩かれてんのよ!
 喋ってみ!『アアアアァァァァァ』じゃなくて!」
「・・・・」
ブラックローズを見てオルカは苦笑。

「そうだ、あの人に会うの忘れてた。

 ブラックローズ、『Project G・U』に行くぞ。
 悪いなカイト。また今度な。」

「明日までに表情の作り方の課題をクリアするように!以上!」
ブラックローズが勝手にカイトに突きつけた要求。
聖堂を出る途中オルカはカイトの無表情さを見る。

 −・・・いや無理だろ。つか趣旨変わってるし。


****


「コノ先カァ・・・?ハロルドォ・・・」

ある特殊エリアに異形のPCが一点を睨み付けながら歩いている。
生気は感じられない。
かといってただのAIでもない。

三つ又に分かれた双剣を手に持ったそのPCは、
全てドス黒く、右手首が黒く光っていた。






 −第十話 蒼炎のカイト育成計画






あとがき
タイトル元ネタは『新世紀エヴァンゲ○オン』の『育成計画』シリーズ
好きなキャラは『渚カヲル』です。

今回あまり重要な回じゃなかったですが大目に見てください(笑
次回は『黄金の鎧』の人を出します。


PS.
キターーーーーーーーーーーーー!!(^o^)
.hack//Link!なんとカイトとハセヲが出るそうじゃないですか!
トキオ・・・?誰それ、別にいいや(早
それより彼女が『天城丈太郎』の関係者かが気になります。

−おはよう、カイト。
 また君の勇気が必要になった。

24歳のカイトに何させる気だCC2社(笑


[No.968] 2007/10/26(Fri) 21:46:18
第十一話 遊☆戯☆神 (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

 −モルガナ八相

第一相・スケィスを始めとする”禍々しき波”と呼ばれた
三大神、モルガナの分身ともいえる存在である。

『黄昏事件』時に勇者カイト達”.hackers”によって全て打ち倒される。
しかしその後もR:1に一時期復活した波があった。

 第六相・マハ

.hackersと密接な関わりがあったのはこの波といえる。
マハは『ミア』というAIを媒体にし、カイト達の手で葬られるも、
後にそのカイト達によって”新生”した。

が、マハ、ミアは二度目の崩壊を遂げてしまう。

 −2015年

”ProjectG.U.”という組織が動き始めた。
彼らは八相データのサルベージを目的とし、その時標的になったのはミア。
G.U.はミアのPCを破壊、
他の相も次世代R:2のPCにそのデータを移行させる、予定だったが失敗。
八相は無造作に飛び散ってしまった。

それが『碑文使い』のきっかけである。


****


最近感じ取ったものがモルガナのデータに近いと気づいた蒼炎のカイトは
後々驚異になるであろう碑文使いにも注意を配っていた。

オーヴァンとの戦闘中に察知した第八相・コルベニク
ハセヲとの戦闘中に察知した第一相・スケィス

この時点ですでに2人が碑文使いだということを知っている。

スケィスは他の相とは違い、反存在クビアを呼び寄せ、
コルベニクは八相中最強の力を誇る。

 −オーヴァン%スケィス#碑文を持&PCを知っ@い*としたら・・・?

オーヴァンはハセヲ、スケィスの力を利用しているのではないか、
スケィスとコルベニクがぶつかり合うとき、何かが起こるとでもいうのか、

 −オーヴァン*目的が何で%$うと、絶対$止め#見せる・・・


****


「そういやさ、ギルドって何?」
「あ、それも知らないんだ・・・」
「何よその目!しゃーないでしょ!」
@HOME前にオルカとブラックローズがいた。

「同じ目的をもった人たちが集まっていろいろしてる集団のこと。
 あとで詳しく話すから。」

「んで、何でそんなところに行くわけ?」
「カイトの情報を持ってる人がいるかもしれないからな。」
「? 誰その人?」
「今にわかるって・・・」
嫌な顔を浮かべながらオルカはギルドキーで扉を開く。

行き先は『ProjectG・U』。


****


「いや〜、よく来てくれた!ゆかいゆかい、あっはっはっは!」
黄金の鎧を着たとにかくでかいPCがオルカ達を待ち受けていた。

「おや?隣にいるのは『いい目をした人』の”コレ”ではないか!
 どうだ?今でも仲良く付き合っているのか?」
彼は小指を突き立てて”コレ”と言う。
「誰が”コレ”よっ!!何変な誤解してんの!!」
やけに赤面するブラックローズの横からオルカが声をかける。

 −ほら、誰だかわかったろ?
 −うん・・・あんなセンスの持ち主は『ぴろし』さんしかいないって・・・
  しかも私たちがこの姿なのに何も言わないし。

「ちっちっち、私は『ぴろし』ではない!
 ニューヒーロー『ぴろし3』として私は・・・」
 
 −しかも何でチャットなのに聞こえてんの?

少しぴろし3と話したところでオルカは本題に入る。
「ぴろしさん、カイト最近見なかった?」
「むむ、奴か?2ヶ月ほど前になら会ったが。」
オルカも知っての通り2ヶ月前はカイトのプレイヤーはまだ何ともなかった。
ここ最近の目撃情報を聞きたかったのだが・・・

「そうか・・・なんか変な様子なかったか?」
そう言われるとまたぴろし3は考え込んだ。

「! そういやなつめのやつがなんか言ってたぞ。”カイトさんが私を助けてくれた”って。」
「なつめ!?あの子もここのギルドに居んの!?」

「ぴろしさん!そういえばあの時なつめどうしちゃったんですか!?
 この前見かけたら訳も分からず襲われたじゃないですか!
 瞳孔が開いててなんか怖かったし!」

「? そんなことあったか?
 いやあすまんすまん!思い出せん!」
 
 −駄目だ、この人完全に忘れてる・・・

高笑いしているぴろし3に呆れるオルカ。

「じゃ、なつめに会わせて下さいよ。」
「それが・・・とあるエリアに行くって行ったっきり戻ってこんのだ。
 
 そういえばあやつと会ったときもこんなことがあったな、
 なつめを探しに行ったら何故かPKされそうになったり・・・」

「へぇ、カイトとそんなことが・・・

 いや、よくよく考えると知ってんじゃないすか!なつめのこと!」

「あ、本当だ。あっはっはっはっは!」
「しっかりして下さいよ、もう!!(怒)」

結局ぴろし3はカイトに近々会ったことがないということを知ったので
オルカは他を当たろうとした。

「またなんかあったらお願いします。ブラックローズ、行くぞ・・・
 って、何してんだ?」
どうも会話に参加してないと思ったら、ブラックローズはProjectG・Uのグランディに駆け寄っていた。

「ねえねえ、この子なに?可愛い〜!」
ブラックローズの意識は完全にグランディに行っている。

グランディはギルドマスターに似る、
ということはこのグランディはぴろし似に・・・

見てみるとそのグランディはやっぱり黄金に輝いていた。
名前は『ジャス・ランディ』。

「何が『可愛い〜』だ!元々あの『プチクゾ』なんだぞ!
 月の樹にこれよりいいのがいるっつうの!
 ありがとぴろしさん、それじゃ。」

なかなかグランディから離れようとしないブラックローズを引っ張って@HOMEから出ていくオルカ。

「待たれ〜い!そこの2人!我がギルド『ProjectG・U』に入らんか!?
 絵がうまい人、好きな人なら大歓迎・・・ってお〜い!!」

オルカはぴろし3の言葉を無視し、早々とギルドから出ていった。


****


 −△隠されし 禁断の 絶対城壁

ロストグラウンド『モーリー・バロウ』。
そこに青髪の青年銃戦士、オーヴァンがいた。

「『愛奈』、待っていろ。あともう少しで・・・」

「見つけたぞ。」

背後からオーヴァンに声をかける1人の青年斬刀士PC。

「その左腕にあるものを・・・見せてもらおう。」
「・・・『蒼天のバルムンク』?」
そこに現れたのはR:1の英雄だったバルムンク。鋭い目つきでオーヴァンを睨む。

「カイトといいお前といい、『月の樹』のギルドマスターはよほど俺の邪魔をしたいらしい。」
「奴とは関係はない、俺にとっての邪魔はお前だ、オーヴァン・・・」

バルムンクがそう言いかけた瞬間、辺り一面に蒼い光が立ちこめた。

 −!? これは・・・?

そこから一体のPCが出現、ツギハギの体に双剣を握っている。

「! カイト!?・・・いや、お前・・・」
「三爪痕・・・勇者を模した偽者が懲りずに俺”達”を追ってきたか。」
「アアアアアアァァァアァァァ・・・」

蒼炎のカイト、バルムンク、オーヴァン。
一触即発の戦いが勃発し始める。






 −第十一話 遊☆戯☆神






あとがき
タイトル元ネタは『遊○王』。
好きなキャラは『漠良了(バクラ)』です。
好きなカードは『青眼の白龍』・・・(もういい

パソコンがぶっ壊れて更新危うかったですけど昨日なんとか生還!
作中で出てきたProjectG・Uの『ジャス・ランディ』、
あれ『ジャスティス』と『ゴージャス』をかけたものです・・・。

ぴろしさんみたいなキャラとの会話って考えていて楽しいです。
でも格好いいのも作りたいなぁ、な〜んて。
そこまでの技術があったらいいですか(泣

ゲームじゃぴろし3ってなつめの二重人格知らない設定でしたっけ?
えっと・・・三日経つと忘れるってことで許してくださいm(_ _)m
(Vol.1の『ProjectG・U』の回、後で編集し直します・・・)


[No.972] 2007/11/03(Sat) 20:59:22
第十二話 翼-クロニクル- (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

 −△隠されし 禁断の 絶対城壁 ロストグラウンド『モーリー・バロウ』

「お前が三爪痕か。カイトに似ているとは聞いたがこれほどまでとは。」
「アアアアァァァアアアア・・・」
絶壁に集った蒼炎のカイト、バルムンク、オーヴァンの3人。

「丁度いい、此奴の狙いもお前のようだからな、オーヴァン。」
「そうとも限らない。
 『AIDA』を持つ俺と.hackers仕様のお前、
 ”両方”始末しに来たとも考えられるだろう?」
「『AIDA』?お前が左腕に隠しているバグデータのことか。」

−『お前@スケ*スに何を求#$いる?』
カイトが問いただす。
目的は何か、ハセヲを何故利用しているのか。

「・・・お前らにとって不都合なことだ。」
そう言いながらオーヴァンは銃を手に持つ。

「フン、未帰還者を”2人”も出している奴の魂胆など目に見える。
 いいだろう、2人まとめて蹴散らしてくれる。」
バルムンクも自らの武器、刀剣を出す。

「アアアアアァァァァアアアァァ・・・」
虚空の双牙を両手に握るカイト。


「ハアッ!!」
真っ先に攻撃に出たのはバルムンク。オーヴァンに向けて駆け出す。
「壱之太刀・垂月!」
そのスキルは全てガードされ、ダメージが乏しい。

「ダッ!」
そこにカイトが上空から双剣をバルムンクに振り下ろすもすんでのところでかわされる。
「くっ、流石に一筋縄ではいかんようだな。」
「俺の番だ、裂球繰弾!」
−『旋風滅双刃!』
「無影閃斬!」

高LVPCのSPは何度スキルを使ってもなかなか減りはしない。
アウラの守護者蒼炎のカイトと.hackersバルムンク、
天才ハッカーオーヴァンの戦いは熾烈を見せていた。


****


カイトのプレイヤーが新しく移されたという病院。
部屋は個室、そこにはオルカのプレイヤー、ヤスヒコが見舞いに来ていた。

「俺が意識不明になってた時も、こうやってお前が来てくれてたんだよな・・・」
何故こんな事になってしまったのか、ヤスヒコにも分からない。
ピクリとも動かないカイトの腕をヤスヒコは暗い表情で見つめている。


「えっと・・・ここかな?

 すいません。君、ヤスヒコ・・・君?」
突然1人の女性がヤスヒコに声をかけた。
自分より少し年上で、見覚えのある顔。
「? はい、そうですけど・・・」
「!! やっぱりここだったんだ!

 私よ、『速見晶良』!」

「ブ、ブラックローズ!!?」
いきなり現れたブラックローズのプレイヤー、速見晶良に驚き
思わず大声を出してしまったヤスヒコ。
看護婦がどうかしたかと様子を見に来たので「スイマセン」と答えた。

「な、何でここって分かったんだ?教えてないのに。」
「前に”同じ症状の人がいる病院”って言ってたでしょ。
 ニュース調べてみたらドンピシャでさ。ここに来たわけ。
 で・・・カイトは・・・?」
「ここだよ。」
ヤスヒコはベットで寝たきりのカイトのプレイヤーを指す。

「・・・見ないうちに、こんなに立派になっちゃって・・・」
最初に晶良がカイトにかけた言葉はそれだった。
心配の一声ではなく、
こんな形ではあったが久々の再会という気持ちの方が勝っていた。

しかしその言葉の先が繋がらなくなってしまう。
自分たちがカイトにしてあげられることが見つからない。
晶良の表情にも不安が漂う。

ただただカイトの手を握りしめて。


****


「それが・・・貴様の『AIDA』・・・!」

オーヴァンの拘束具の封印が解かれ、AIDA『Triedge』が姿を現した。
奇怪に動く黒い槍は蒼炎のカイトとバルムンクに狙いを付ける。

−『!!』
「来たぞ!!」
高速で向かってくるTriedgeを間一髪すれすれでかわす。
攻撃を受けるとしばらく修復状態を必要とするほど厄介なもの。

「なんだ!?城壁に三角の傷跡<サイン>が!?」
The Worldのグラフィックにまで傷をつけることでその驚異さは十分伝わる。

「どちらかに標的を付けよう・・・バルムンク、お前からだ。」
「無駄な宣告だ!AIDAに屈した貴様ごときに俺は倒せん!」
再びオーヴァンに向かってゆくバルムンク。
その瞬間Triedgeが目を光らせた。

一直線に走る黒い槍。
オーヴァンはバルムンクがTriedgeに射抜かれた・・・かに見えた。

間合いに詰め寄った白い騎士を見るまでは。

「!!」
「かかったな、貴様のAIDAはリーチが長い故か発動後の隙が大きすぎる。」
刀剣がオーヴァンの腹部を貫く。
勝ち誇り笑みを浮かべるバルムンク。

「ふっ、罠にかかったのはお前だ。」
オーヴァンに突き刺さった剣をTriedgeが絡め取り、
バルムンクは刀剣ごと大絶壁に吊り下げられてしまう。
まさに形勢逆転劇になった。

「チェックメイトだ、蒼天のバルムンク。」
無防備なバルムンクに銃口を向けるオーヴァン。
銃声がなり響こうとしたその時だった。


「ガアアアアアァァァァアアアアアアァアアアアァァァアアア!!」


急に大声を上げて叫びだしたカイト。頭を抱えて苦しそうな様子である。
前が見えないのか、そのままオーヴァン達に勢いよく激突する。
「! 追跡者!」
追突された勢いで地から足が離れてしまった。

「うおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!」
崖から落ちる3人、やがて白い霧に隠れて消えた。


****


「じゃあもう私行くよ。
 またね、カイト。」
カイトのプレイヤーにそう呼びかける晶良。
ヤスヒコもそろそろ帰る時間だいうので一緒にカイトの病室を出た。

廊下に差し掛かった晶良に隣の病室が目に入る。
「ねえ、”同じ症状の人”って・・・」
「ああ、そこの部屋の人だよ。
 たまに高校生あたりのがお見舞いに来たりしてるの見たことあるけど。」

その患者は女性。
年齢は晶良より年下、カイトくらいだ。

すぐそばの机には”ガーペラ”の花が添えてある。彼女が好きな花なのだろうか。


「『七尾志乃』さん・・・?」
病室の札に、彼女の名が書かれてあった。






 −第十二話 翼-CHRoNiCLE-






あとがき
タイトル元ネタは『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』。
好きなキャラは『ファイ・D・フローライト』と『小狼』です。
あ、『小狼』は小狼じゃなくて『小狼』の方です。(ツバサ知らない方にはわからなそう・・・)

人物の出し方がネタ切れしてきました。(オイ
戦闘シーンがネタ切れしてきました。(オイ
Vol.2がもうすぐ終わりそうです。(え
・・・こんなんでいいんでしょうか?(泣


[No.973] 2007/11/06(Tue) 17:38:30
第十三話 CRICK (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

「アアアアァァァアアアァァァァ・・・」

流れ着いた先は、何処だろう・・・
『モーリー・バロウ』の絶壁から落ちた蒼炎のカイトは
真っ暗闇の何もない場所で意識を取り戻した。

カイトにはThe Worldのエリア全ての情報がインプットされているはずだが
こんな所は見たことがない。

少しばかり歩くとひとつ、ふたつと光の玉が暗闇を彷徨っているのが伺えた。

カイトがそれに触れようと手を伸ばす、するとその光が形を変え、輪郭をかたどる。
やがてその光はPCボディに形を変わった。

 −違*・・・データ%の一致@発見&き#$

カイトが分析したところ、PCの姿をしていながらPCとは別物らしい。
そのPCの姿というのはカイトに見覚えがあるものばかりであった。

 −アイナ、志乃・・・未帰*者達・・・

過去にオーヴァン、カイトによって葬られたPC達。

この光の玉はもしかしたらPCのプレイヤー達の魂を具現化したものなのか。
それだとしたら何故こんな所にあるのだろう。


カイトは疑問を持ちつつもっと先の先へ行ってみた。

「・・・・?」

魔導師の少女PCが見える。さっきの光といい、何故こんな所に・・・
後ろを向いてしゃがみ込んでいる。

ぱっと見でただの一般PCである。
彼女がこちらに気がついたのか、振り向いて顔を見せた。



  −ポーン・・・



カイトの頭に稲妻が走る。
脳裏によぎったのは、二つの奇妙な石仮面。

暗闇が異世界に変わり、憑神が姿を現す。

「!!」


****


同時刻、目を覚ました者がいた、バルムンクだ。
「くっ・・・ここは?」
突然の暗黒の世界に同様するバルムンク。

「やっと目覚めたか。」
「! オーヴァン!」
オーヴァンもまた、ここにいた。左手の拘束具は元に戻っている。

「貴様ッ!」
刀剣に手をかけるバルムンク。
「まあ待て、俺もお前もHPは残りわずかだ。
 こんなところで死んでもしたらどうなるか分かったものじゃない。」
「・・・・」
相手の言動を疑ったが、刀剣をしまう。オーヴァンはそんなバルムンクに問いかけた。
「お前は一体どこまで知っている?」

「・・・碑文使いと言ったら?」
「・・・・」
「第一相、三相、四相、六相、七相、八相の碑文使いはもう発見済みだ。」
「情報源は『彼奴』のようだな。」
「憑神を目の当たりにしたことはないが、モルガナ八相に変わりはないはず。
 それをお前がどう利用するのかは分からんがな。」
「憑神は、完全にコントロールできるものではない。
 時には自らの力となり、時には自らが振り回されることもある。
 宿主を探すために野生化している物もいる。」

「あの用にな。」
「?」
次の瞬間、バルムンクとオーヴァンを包んでいた暗闇が消え、新しい情景が飛び込んできた。

「お前にも見えるだろう?ここが唯一憑神を拝める世界だ。」
「あれは・・・三爪痕か!?」
バルムンク見た先は異形の存在と戦闘を繰り広げているカイト、
蒼炎の守護神であった。

「第五相『策謀家』ゴレ。碑文使いは『朔望』という子供のようだ。」
「では三爪痕も碑文使いなのか?」
「憑神と対なる力『守護神』。腕輪によってデータをかき集めたモルガナ八相に対抗するための力だ。」

目にも止まらぬ早さで異世界をかけてゆく両者にあっけにとられるバルムンク。
憑神や守護神達の前ではバルムンクさえも小さな存在になってしまうのか。

「バルムンク、こいつらを見ていると自分の無力さにつくづく嫌気がさしてくるだろう?」
「・・・・俺はお前にいいように利用されたりはしない。カイトのようにな。」
「知っているのか。まったく『彼奴』は大した奴だ。」

そしてオーヴァンはバルムンク達に背を向けて歩き出す。

「いずれお前は力を求める。葛藤が訪れる。違う道を歩み続ける。」

何処に行ったのか、バルムンクが振り向いた時にはオーヴァンはもう消えてしまった。


「ウオオオオオオオオオオオォォォォォァアアアアア!!」
ゴレに素早く打撃を与えていく蒼炎の守護神。
ゴレにかけられているタイム制限、それまでにゴレを叩いておかなければいけないらしい。
一回ほど食らってしまったが割と大きなダメージを受けてしまった。

「ガアアアアアアァァァ!!」
守護神が双剣からデータドレインの発射口を出現させる。
ゴレの土台に乗っているふたつの人形も腕から発射口を見せる。

両者は同時にデータドレインを発射。
激しい鍔迫り合いの末、カイトの方が劣等し、ゴレのデータドレインに飲み込まれてしまった。

巨大になったデータドレインの球はどんどん突き進んでいく。
しかしゴレにはいつになっても守護神に命中する気配がない。

  キイイィィィン・・・

「!!」
「ハアアアアアアァァァァァァアアアアアアァァ!!」
自分の放ったデータドレインに気を取られていたゴレの背後で蒼炎の守護神が発射準備に取りかかっていた。


あの時、データドレインの裏側で蒼炎の守護神は猛スピードで異世界をかけ、
一瞬にして一週し、ゴレの後ろをとっていたのだった。


カイトのデータドレインによって、周りが膨大な光に包み込まれた・・・






 −第十三話 CRICK






あとがき
タイトル元ネタは『TR○CK』。
好きなキャラは『上田次郎』です。『CRICK』はマウスを・・・ってことで。
今まさに再放送を見ているんですが、なにかグッとくるものがありますね。
さぁ、続編はあるのか!?

明らかにペースが遅くなってる・・・
まぁこれ書くのも楽しみなのでちょくちょく更新していきます。


[No.974] 2007/11/06(Tue) 18:01:18
第十四話 愛しさと切なさと心強さと (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

戦利品ともいえる第五相<ゴレ>の碑文の断片を手にした瞬間、
普通のThe Worldのとあるエリアにいた蒼炎のカイト。

バルムンクとオーヴァンとの戦闘中、自分の思考回路にエラーが生じた原因も掴めていない。
あの暗闇の世界や憑神に何か関係があったのか、それとも・・・


「あっ!あれカイトじゃない!?」
「ホントだぁ〜!」
遠くから2人の声が聞こえてきた。斬刀士青年PCと魔導士獣人PC、
以前出会ったことがあったシラバスとガスパー。

「ねえねえ、なんでこんなところにいるの〜!?」
カイトに向かってきながら問いかけるシラバス。
こっちが聞きたい、というかお前らはどうなんだと言いたかったがそんな暇もない。
早速するべきことがあった。

「あっ!」
蒼炎を纏ってその場から去るカイト。

「また行っちゃった・・・」
「ねえシラバスゥ〜、なんかまたカイト変じゃなかった〜?
 最初あった時みたいな、まさかハセヲが探してるっていう・・・」
「あっ!あそこに誰かいるよっ!」
「って聞いてない〜・・・(T_T)」
しょげるガスパーをよそに走ってゆくシラバス。

「何してるんだろ?いっぱい人がいる。」
「というか・・・」
彼らの目に飛び込んできたのは、4、5人のPCが1人の女双剣士PCを壁際に追いつめている光景だった。

「P・・・K・・・?」


****


送信者 蒼炎のカイト

 ・・・グリーマ・レーヴ大聖堂#


「初めてあいつからメールが来たと思ったら、なんだ?そこに来いってか?」
「私にもメール来てる。何かあったのかな?」
マク・アヌで受信メールを確認するブラックローズとオルカ。
内容はカイトからの呼び出しだった。

「丁度よかった、実は俺もある情報を掴んできたんだ。」
「? 何それ?」
「カイトに会ってから言うよ。」
 
 −本当は向こうから声かけてきたんだけど・・・


****


 −グリーマ・レーヴ大聖堂内

「・・・いないじゃない、どこにも。」
あたりを見渡すブラックローズ。するとそこに

「アアアアアアァァァアアァァァァァ・・・」
「わっ!!」 
ブラックローズの背後に現れたカイト。
「だ〜からいきなり現れないでっていったでしょ!学習してんの!?」
以前と同じパターンに微笑するオルカ。

「どうしたんだ?いきなり呼び出したりして。」
−『痛ミ#森%近々散策ス%
  ソコデ&前達ニ@動イ’モ$ウ』
カイトは『痛みの森』をオルカ達と共に一緒に捜索しに行くという。
「! まじでか!?すごい風の吹き回しだな。」
「どうしてアンタが急にそんな協力的になったの?」
「・・・・」
「てんてんてん、じゃな〜いっつーのー!ってなんかなつかしい・・・」

と、そこに聖堂に入ってくる者がいた。

「カイトく〜ん!!ごめん、待った〜!?」
「! 蒼ちゃん!?なんでここにいるの!?」
入ってきたのは少女撃剣士PCの蒼月。蒼炎のカイトと同じタイミングで出会った少女だ。
「え?カイト君からメールもらったから・・・」
「カイト、お前が呼んだのか!?」

蒼月もまた、ブラックローズ達と同じくカイトから呼び出しメールが届いていた。
「まさか蒼月も連れていく気じゃ・・・?」
−『人材*必要ダ、低LVノ奴#使イ方次第%何ト@#ル』
「だからって危ないでしょ!この子だってまだちっちゃいのに・・・
 ってリアルのことは分かんないけど。」
「だ〜いじょ〜ぶだって2人とも!私だっていっぱいレアアイテムもってるし!
 それにカイト君達がいるし!」
不安げなブラックローズとオルカとは逆に明るい表情の蒼月。
「そーいう問題じゃないんだけどな・・・」
「この子見てるとミストラルを思い出すわ・・・」

−『日程#後日報告スル、以上』
そう言うとカイトは蒼炎を纏って消えていった。

「そーだ、アンタが言ってた情報って?」
「あ、そうそう。

 見つけたんだよ、『例の情報屋』!」
オルカの言う情報屋のことがいまいちよく分からなかったが
一文は一見にしかず、実際に会ってみた方がいい。
そう思ってブラックローズと蒼月はオルカについていった。


****


「おっ!蒼海のオルカ!と、そのお二人さんは・・・?」
「あ、『クーン』、ちょっと失礼するぜ。」
「ここって・・・普通の@HOMEよね・・・?」

ギルド『レイヴン』の@HOME。
見たところ中にいるのは青髪の銃戦士PCだけである。

「.hackers副リーダー『ブラックローズ』!」
クーンという青年PCはそう言ってブラックローズの方を見ている。
「どうして私のこと知ってるの?」
「それはまぁ・・・俺もR:1からのプレイヤーだしな。」
「ブラックローズ、クーンはな
 R:1で有名だったあの『ジーク』だったんだぞ。」
「ちょっ!あんま昔のこと言うな!恥ずかしいだろ!」
ジークはR:1においてフィアナの末裔と呼ばれるオルカとバルムンクをライバル視していた
強く、プレイヤーに優しい面があり評判のよいPC。
彼は今R:2になり『クーン』としてThe Worldを過ごしている。

「オルカやカイトは結構顔とか変わったが・・・
 ブラックローズ・・・昔から全然可愛げアップしてね〜な〜。」
その言葉にオルカが敏感に反応。
 −お前っ!やめとけ、殺されるぞ!
幸いブラックローズはグランディに夢中になっていて聞こえていなかった。

「ゴホン!んじゃこっちに来な。八咫に会わせてやるよ。」
「「やた?」」
ブラックローズと蒼月は声をそろえて分からない風に言った。
「うちのギルドマスターだよ。あんたもよく知ってる奴さ。」


左奥の通路を進むと見たこともない光景が広がっていた。
スクリーンが何十、何百個もあり、奥には端末とPCが見える。

PCはオルカ達に前を向ける。

「『知識の蛇』へようこそ。我が同志よ。」


****


「わわわ、助けに入ったのはいいけど・・・」
「先のこと考えてなかった〜!」

その頃シラバスとガスパーはPKされそうになっているPCを見かけ、
ギルドの活動方針や良心でPK達に向かっていったが
自身の強さを判断せずつっこんでしまったために一方的に襲われている身になっていた。
3対6、明らかに不利な戦闘である。

「ごめんなさい〜!私のせいでこんな事に・・・」
PK達に襲われていたのは緑色の髪に細目か糸目ような目が特徴的の女双剣士。
「いいのいいの!そんなことより何とかしないと!!」
「シラバスゥ〜、なんか相手様子変じゃな〜い?」

当のPK集団はチートでも行っているのだろうか、
体に妙なオーラのようなものを纏っており、普通とは思えぬ動きや雰囲気。
「AAa阿亞嗚呼あアアaAアア亜嗚呼あああaaAAA!!」
発する声も奇妙な呻き声、6人全員そうである。

だんだんガードで通すにも限界が来ていた。
「2人とも、逃げて下さい!狙いは私だけのようですし・・・」
「何言ってるの!僕とガスパーは『カナード』の一員だよ!なんとかなるって!」
「何とかするのは僕たちでしょ!って一気に来たぁ!!」
固まっている3人にPK達が一斉に剣を振り下ろしてきた。

もう駄目だと思い目を閉じたシラバス達。その瞬間に1人の声が聞こえた。


 「ドレインアーク!!」


その声と共に光が立ちこめ、PK達がみるみると消滅してゆく。

瞑っていても眩しく思えるほどの光にシラバス達が目を見開く。
「・・・・何が起こったんだろう?」
「シラバス!誰かいるよ!」
ガスパーが指をさした先には、あの赤い双剣士が立っていた。

「カイト・・・さん・・・!?」






 −第十四話 愛しさと切なさと心強さと







あとがき
タイトル元ネタは篠○京子さん歌の『恋しさとせつなさと心○さと』
スト2(アニメ?)の主題歌でしたね。ちなみに好きなキャラは『リュウ』です。
殺意の方が好きだったり。

ここら辺からたぶん?ってなってくると思います。
どうなっているのかは察して下さい。後々わかりますんで(そればっか


[No.980] 2007/11/20(Tue) 16:21:17
第十五話 カイトといっしょ (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

シラバスとガスパーは女双剣士がPK集団に襲われているところを見かけ、
参戦するも苦戦していた。
とどめの攻撃にもう駄目かと思った瞬間にPK達を打ち砕いたのは
なんと意識不明になっているはずのカイトであった。

「! シラバスにガスパー!それで君は・・・」
「カイトさ〜ん!!!どこ行ってたんですか〜!?(泣)」
「わっ!!な、なつめっ!」
なつめに飛び付かれ押し倒されるカイト。
当然カイトのプレイヤーが意識不明であることを知らない3人は平然な対応である。

「あれ〜?そういやカイトさっきどっか行ったんじゃ・・・?」
「どういうことか分からないけど・・・なつめ!」
カイトは立ち上がりなつめの肩を持って語りかけた。

「オルカ達に伝えて!紅魔宮アリーナが終わる二日後に『痛みの・・・!」
様子が突然おかしくなったカイト。
彼の体がどんどん煙のように消えかけているのだ。

「くっ、もう時間がない!エルクとハセヲ君の戦いが終わるまでにオルカ達を探して!
 頼んだよ!」
「カ、カイトさん!?」
完全にカイトはそこにいなくなってしまい、なつめの肩の感覚もきえてしまった。

「またいっちゃった・・・」
「一体どうしたんだろう・・・?」
「すみません!今アリーナってどこまで進んでます!?」
「え?明日に僕の『ハセヲチーム』と揺光の『暁』が当たるけど・・・」
ハセヲチームと暁の試合は準々決勝、オルカの行方が分からないなつめにとっては期間が短い。

「ありがとうございました!このお礼はまた後で!」
「うん!頑張ってね!」
「がんばれなつめ〜!(^_^)/~」

双剣士なつめは急いで転送ゲートにかけていった。


****


 −△サーバーのとあるエリア

「アアアアァァァアアアアァアアァァ・・・」
そこにそびえ立つ蒼炎のカイト。

 −何処ニ#ル・・・?

誰かを探しているカイト。するとそこに、

「よっ!」
振り向くとそこにブラックローズがいた。
カイトはブラックローズにメールでこのエリアに呼び出されたのだった。

−『・・・何*用ダ?』
「何をするにも息抜きってものが必要じゃない?
 いっつも暗いアンタをついでに呼んだってわけ。ここならあんまり人来ないし。」
−『俺@暇*ド・・・』
「ほらほら、あそこにモンスターが!腕前見せてよ!」
「・・・・」
反発も通用せず、ブラックローズに促されるままにバトルエリアに。

△サーバーのモンスターなどカイトの相手ではない。
三体とも双剣一振りで瞬殺である。
「さっすが!やるぅ!」
−『低LVの*前トハ違#』
「うっ!可愛くない・・・ほ、ほらあそこにも!行こ行こ!」

そんなこんなでモンスターを全て倒して獣神像に。
宝箱を開け、アイテムを手に入れる。
「どう?けっこうレア?」

「・・・・」
そのアイテムを確認することなく、
カイトはブラックローズにそのアイテムをプレゼントした。

予想外の行動に驚くブラックローズ。
「えっ!?わ、私に!?えっと・・・ありがとう・・・」
−『大シテ使エ@アイテム、オ前ニ似合ッテ#@』
「・・・・(怒)」
言葉の追い打ちに無言の怒りをあらわにするブラックローズ。


「アンタはさあ、私たち人間のように嬉しかったり悲しかったり
 そういうこと思ったことある?」

−『AIハ普通感情トイ@不必要ナ#%ハナイ』
「感情ってものは大切よ?それで私達あそこまで頑張ってこれたんだから。」
−『感情*変化デステータス$上昇スル*ハ考エ@レナイ』
「そういうことじゃなくって!
 じゃあアウラのことはどう思ってるの?」

−『女神ハ俺&生ミ出シテ%レタ親、恩人ノ#ウナモノ*
  感謝スル*キ存在#』
「そう思ってんでしょ?それが感情って言うの。
 具体的なこと教えるから(笑)ってやってみ。」
「・・・(笑)」
言われるがままに行動するカイト。

「顔が全然(笑)じゃないけど・・・まっ、いっか。
 私がアンタにつっこんだらそれ使うの。わかった?」
「アアアアアァァァァアアアアァァ・・・」
「『アアアア』じゃなくって!」
「・・・(笑)」
「そうそう、うまいうまい。」
「・・・・」

「じゃ、今日もう遅いからまた後でね。」

カイトは最後までブラックローズが何をしたいか分からなかった。
わざわざ呼び出したのも感情とかいう物のためだけだったのか。
無駄な時間を過ごしたと思ったカイトだったが、

「そうだ、私だけカイトにもらってちゃアレだよね。
 これ・・・使えないものじゃないから、持ってて。」
帰り際にプレゼントをくれたブラックローズ。
そしてカイトに手を振ってログアウトしていった。

「・・・・」
何か違和感を感じるカイト。
あの時もそうだった。シラバス達にメンバーアドレスをもらったとき、
なつめにとどめを刺せず自分にリスクを背負ってまで助けたとき、

悪い感じはしない。ぬくもりが感じられるような、どうしてだろう?


AIDAより、オーヴァンより、”もう1人のカイト”より不可解な謎である。


 −俺ハ『碧』*『リコリス』ト#違ウ・・・






 −第十五話 カイトといっしょ






あとがき
タイトル元ネタは『トロと○っしょ』。
特に意味はナイです、はい。

最後の余興の回です。もう少し時間とってもいいような気がしますが。
さあさ、ラストスパート!


[No.983] 2007/11/26(Mon) 17:35:03
第十六話 核<メインプログラム>の危機 (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

 −気#イタ時、俺*何処カノ森ニ流レ着イテ%タ


  ボロボロ*散ッテ*ク俺ノ体


  目ノ前*イル”別ノ俺”


  事ノ発端ハ・・・



****



一時間三十分前、△隠されし 禁断の 絶対城壁
メールで蒼月に呼び出される。

「カイトく〜ん!何して遊ぼっか〜!?」
「・・・・」
相変わらずこのような用件。もうかれこれ5回くらいはあった。

「あっ、そーいえばさ、いつ『痛みの森』に・・・」
−『考エ&変*ッタ』
「・・・え?」

−『俺1人*行ク、1人%事足リル』

『痛みの森』の調査は自分一人で行くと告げた蒼炎のカイト。



一時間十分前、城壁の傷跡が<サイン>が光を発した。

「!? 何!?」
−『傷跡<サイン>・・・』
カイトがそれに手を触れた瞬間、その先に引きずり込まれていった。

「カ、カイト君!!?」
蒼月は間に合わず、傷跡の光は消えてしまった。



一時間前、一気にAIDAと碑文使い四人に遭遇。

「もうお前の好きにはさせねえ・・・

 未帰還者を戻す方法を・・・答えやがれえええええええぇぇぇ!!!」

何週間前は赤子のようだったハセヲや他2名の碑文使いに押されてしまっているカイト。
その理由を知ったのは彼が憑神に変身した時。

「スケエエエエエエエエエエエィィィス!!」

碑文使いになり仲間を手にしたハセヲはあの頃と比べ物にならないほどに成長。
スケィスはカイトの戦闘能力を遙かに超えている存在になっていた。

三十分前、
守護神までも完膚無きまでに叩きのめされハセヲ達に敗北。
データの破片がどんどん削れていくようになくなってゆく。

「待て!未帰還者を元に戻す方法を・・・」
ハセヲの呼びかけも通じず、カイトはデータの屑となって消滅、


したかに見えた。


カイトが行った行動は『緊急退避』。
自分が窮地に陥ったときにエリアを離れ、別の場所にランダムに移る自動システム。
完全にデータが消える前に大聖堂に向かわなければならない。
ボディが崩壊すると自分で修復しに行くことができなくなってしまうからだ。


自動転送されたエリアは『ラーン・バティ』。

そして今、森の中で3人のPCがカイトの目の前にいる。


『久しいなぁ・・・いや、「初めまして」か?

 ・・・兄弟!!』


両手を広げカイトに叫ぶ黒きPC。

その足下には虫の息になっているオーヴァンとバルムンクの姿が。


「!!」
『どうだ?こんな光景二度と見られないだろう?
 .hackersの1人と碑文使いが容易くこのざまだ!』

そう言って2人をカイトの方に投げ捨てた。
バルムンク達はまだPKされてはいなく、瀕死状態なだけであったが
一体何が起こったのだろうか。

それにカイトを『兄弟』と呼ぶPC。

PCのカラー自体どす黒くて暗い森の中では見えなかったが、
彼が近づいてきた時に、ようやくハッキリ映し出された。


 −・・・.hacker『蒼炎のカイト』!!


殺意に満ちた死神は、変わり果てた”もう1人のカイト”の姿だった。






 −第十六話 核(メインプログラム)の危機






あとがき
無茶苦茶なタイトルの元ネタはF○7、『クライ○ス・コア』。
好きなキャラは『ザックス・フェア』です。
お前は英雄だあああぁぁぁぁ!!(何

いつもとは違った書き方に挑戦しましたが当然のごとく失敗。
元ネタも尽き始め(早
誰かいいネタ持ってませんか?(聞くな


一旦ここで今回の状況を整理。
1,蒼炎のカイトは蒼月に「痛みの森へは着いてこなくていい」と告げる。
2,ハセヲ達に敗北。(ゲームVol.1ラスト
3,強制退避システムで「痛みの森」に逃げ延びる。
4,そこには瀕死のオーヴァン、バルムンク、
  そして黒くなり殺気漂うカイトの姿。

・・・こんな説明でわかりますかね?(笑


[No.1005] 2007/12/18(Tue) 15:09:14
第十七話 創聖のアウローラ (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

痛みの森にて未帰還者になっているはずの”もう1人のカイト”に遭遇した蒼炎のカイト。
その場に絶え絶えなバルムンクとオーヴァンの姿もあった。彼がこんな事をしたのか。

−『.hacker『蒼炎のカイト』・・・何故#前ガ*此処ニ・・・』

と言いかけた時に、

『残念。』
「?」

『俺は『カイト』であって『此奴』ではない。
 つまり俺はお前が知っているカイトではない。』

−『? ドウイ`事ダ?』

ため息をついて”もう1人のカイト”はこう続けた。

『・・・殺す前に教えてやろう、今までの事を全て。

 オーヴァン!貴様、聞いているなッ!』

「・・・・」
瀕死ながらもオーヴァンは銃剣をついて立ち上がる。

『種明かしだ。本当に利用されていたのは誰なのか。』


****


「あ〜、もういつになったら『痛みの森』とかいう所に行くの?」
「あいつもまだ準備できてないんだろ。他にもいろいろあるようだしな。」

何故か人目に付きにくいような場所にいるオルカとブラックローズ。

最近ブラックローズはCC社にこのPCボディを怪しまれているようでたまらなくなっていた。
今ならあの時のカイトの気持ちが分かるような気がする。

「まさか家に請求とか来たりしないよね・・・ってメールが・・・
 オルカ、ちょっと待ってて。」
ブラックローズがディスプレイから離れたようで、PCの動きが止まる。
携帯メールのようだ。


「! なつめから!!?」
「何ぃ!?」
ブラックローズのPCの奥から
かつての仲間、なつめのメール受信の内容が聞こえた


「えっと・・・<今日、『痛みの森』>・・・?」
なんと用件はただその一言だけである。

「ブラックローズ・・・俺ん時もそうだったが
 ぜんぜんメルアド変えてな・・・」
「どうでもいいでしょ!
 でもなんでなつめが『痛みの森』って・・・?」


「あっ、こんな所にいたっ!!」
2人がいる場所を探しあてた蒼月。とても焦っているようだった。

「蒼月?どうした、何かあったのか?」
オルカが問うと蒼月は一気に話し始める。
「えっとね、あのね、カイト君が、『痛みの森は俺1人で行く』とかなんとか言ってね、
 それでトライエッジのマークに引きずり込まれてね、それでそれで・・・」
何十回も言葉を噛んでいることから明らかにパニクっている蒼月。

「ちょ、落ち着いて!状況がよくわからない!」
「要するに痛みの森に何かあるんだな!?
 まさか・・・あいつ、1人で・・・?」


****


『アウラがお前を創るとき、そこから始まった。
 俺はデータの海にいいものを見つけた・・・『薄明の腕輪』を。

 アウラと月の樹の者の動き察知した俺は一足先にその腕輪に潜り込んだ。
 わざわざ体を三つに裂いてまで。

 二つはふたつの腕輪に一つずつ、そしてもう一つは<ハロルドの部屋>
 
 オーヴァン、お前のいた所だ。』

「・・・!!」
何かに気づいたようにオーヴァンが反応する。

『ハロルドの部屋にいたのはふたり、隣にいるのがお前の妹だとはすぐわかった。
 
 奴に寄生して碑文使いのお前の弱みを握ろうとしたが
 ・・・運良くお前から俺に感染してくれた。

 暴走したお前は自分の手で妹を未帰還者送り・・・』

「・・・・」
『お前の左腕にあるのは俺の一部なんだよ!』

AIDA<Triedge>の正体、それは彼の一部だと言う。
事実かは定かではないがその告白にオーヴァンは血相を変えていた。


『それから俺はバグデータ・・・貴様らは<AIDA>とか言ったな。
 The Worldに広がるそれらを混乱のため悪性ウイルスに改竄。
 蒼炎のカイト、それでお前の目を引いた。

 オーヴァン、それから貴様は『黄昏の旅団』を結成。
 碑文使いが3人もいるギルドとはな。俺が目を付けないはずがない。

 俺の宿主の守護神覚醒の条件は感情とやらの爆発。
 
 なんとかしてお前達とコンタクトをとらせようとした。

 
 グリーマ・レーヴ大聖堂にて旅団の1人、『志乃』と遭遇。
 それからしばらくして此奴は奴に惹かれ、利用するのには充分だった。

 そのため俺は『TaN』に捕まったオーヴァンの脱走の手助けをしてやった。
 お前は助けにやって来た志乃を葬った。此奴もその状況を目撃。

 
 その後お前は俺の予想通り、第一相<スケィス>の碑文を持つハセヲを
 三爪痕、いや、蒼炎のカイトを使い初期化。
 それと同時に俺を開眼させるきっかけを作った。』

今まで起こってきた事件。
オーヴァンが行ったと思われていたそれはすべて自分が組み立てたことだと彼は言っている。


『貴様には感謝しなければならない・・・

 よく・・・俺を目覚めさせてくれた!!』


瞬間、森全体がざわめき始めた。先ほどよりも暗黒で包まれる森に緊迫感が漂う。

「すべて・・・仕組まれていたのか・・・何もかもが・・・
 何故そんなことを・・・」
傷だらけのバルムンクがそう呟いた。

『邪魔な奴らを始末する。

 女神アウラ、ハロルド・ヒューイック』

−『何!?』
その言葉に殺気立った蒼炎のカイトは虚空の双牙を手に持つ、が双剣は刃が使い物にならなくなっていた。

『慌てるな、データドレインを喰らった貴様に何ができる?』
今のカイトのPCボディはハセヲ=スケィスとの戦闘で欠落し続けている。
動くこともままならない状態だった。

『俺がここにいるのは最下層にいるハロルドを抹消するため、
 その後に八相の碑文を回収すればアウラの首は取ったも同然。』
「回収だと?」
オーヴァンの言葉にカイトはこう言い放った。

『八相は元々俺のものだ!それを貴様ら人間は誰の許可を得て利用している!?

 神の道具を使おうとなどという愚か者は俺が全て天誅を下す!!』

恐ろしい面相の黒きカイト。”もう1人のカイト”のものとは思えぬ口振りや表情。


『なあ、兄弟。俺とお前のデータは共用されてるんだよ。

 同時に作られた『カイト』PCデータは半分ずつ、
 あとのデータは『シューゴ』PCデータでまかなっている。

 俺に比べ時間がなかった貴様はそのような姿になっているが。


 二つの腕輪に俺の体は一つずつと言ったな、

 つまり、お前の腕輪にもいるんだよ、俺が!』

「!!」
「カイト、三爪痕、オーヴァンの誰かが消えても生存しているということか・・・!
 何者なんだ、お前は!」


蒼炎のカイトが何かに気づいた。

 −”神の道具”・・・

  ”八相は元々俺のもの”・・・

  ”アウラ、ハロルド”・・・


−『! 貴様*!!』
『さあ、命乞いの時間だ。お前達にはこれから向かってもらうところがある。』

そう言って黒きカイトは虚空の双牙のような禍々しい双剣を手にする。


−『・・・蒼天のバルムンク、<再誕>オーヴァン、

  ハッキング*テ強制的ニ俺*パーティ@入レ』

「「何!?」」

黒きカイトに刃向かおうというのか、蒼炎のカイトは朽ちる体をこらえながら双剣を構える。


『そいつらと共にしている貴様はどうも様子がおかしい・・・
 それほど途中で出会った奴らが大事か?
 
 貴様はただのAIだ、慈愛など持ち合わせていない。』
オルカ、ブラックローズ、蒼月、シラバス、ガスパー、なつめ・・・

過去に蒼炎のカイトを恐れもせず対等に扱った者は何人もいた。

「アアアアアアアァァアァァアアアア・・・」

常人ならそう思うだろうが、自分はAIでしかない。
そう自分に言い聞かせてきた蒼炎のカイト。


−『俺#守ル者ハアウラ、女神ダ*ダ!』


蒼炎のカイトは蒼い気を放ち、黒きカイトに猛進していった。






 −第十七話 創聖のアウローラ






あとがき
無理矢理タイトル元ネタは『創聖の○クエリオン』
「愛してる〜♪」のアレです。
しかし本当に無理矢理ですいません。
台詞も元ネタがかってますが気にしない気にしない(オイ


ここで言うことではないと思いますが
この掲示板のために取り組んでくださっている宴六段さんやみなさん、どうもありがとうございます。
どこで言えばいいのか分からなかったのでここに書きました。
これからは自分も取り組んでいくのでよろしくお願いします。


[No.1006] 2007/12/18(Tue) 15:21:54
第十八話 鬼愚者 (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

「オオオオオオオォォォォォオオオオオォォ!!」

痛みの森にて
黒きカイトこと『漆黒のカイト』に猛突していく蒼炎のカイト。
彼は先ほどのハセヲ達との戦闘ですでに修復しなければならない状況に陥っている。

『どうした?亀と同レベルの動きしかできてないじゃないか?』
虚空の双牙の斬撃を漆黒のカイトが自らの双剣で受け止められる。
「・・・ッ!」
『何度言わせる、データドレインを喰らった貴様に・・・』

「隙だらけだ!『無影閃斬』!!」
漆黒のカイトの背後にはスキル発動直後のバルムンクが。
「ハアッ!」
『当たると思うかッ!』
振りかざした刀剣をもう一方の短剣が絡め取られる。

漆黒のカイトの左右には蒼炎のカイトとバルムンクが、
彼を押し崩そうとしている。
「これでお前は無防備、今だオーヴァン!」

バルムンクが声をかけた先には銃剣を漆黒のカイトに向けるオーヴァンの姿。

頭部に矛先を向け、引き金を引くオーヴァン。
銃声が鳴り響いた。

「! やったか!?」
バルムンクは明らかに命中したと確信した。
こんな状態で銃弾をよけられるはずがないと。


『俺が喰らいたいのはこのような鉛玉ではない、

 欲するのは、お前達の亡骸・・・』

「!?」
「馬鹿なっ・・・!?」

ムクリと顔を上げる漆黒のカイト。
一呼吸置いて彼は口から何かを吐き出した。

それはオーヴァンが放った銃弾であった。

「歯で弾を食い止めた!?こいつ・・・    ・・・!!」
動揺したバルムンクの隙をついて漆黒のカイトは彼を蹴り飛ばした。
「ぐあっ!」
「! アアアアアァァァアアアアアアアアァァアア!」

続いて蒼炎のカイトが双剣を振り下ろすが、
漆黒のカイトの方が先に行動に出ていた。


ボッと音が立ち、砂のように散らばるデータのクズ。
カイトの左腕が肩から吹き飛ばされてしまった。


「ガアアアアアアアアアアアアアァァァァアアアアアアアアアァア!!」
「カイトッ!」
絶叫する蒼炎のカイト。

『おっと、勢い余って突き抜けてしまった。』
「グウウウウウウゥゥウウウウゥゥゥゥ・・・」
どんな攻撃も漆黒のカイトには効かない、
倍になって相手に返ってくる。

『双剣というのは俊敏だが破壊力に欠けるな・・・


 やはり狩りにはコイツだろう。』

彼の持っている双剣が次第に溶け初めていく。
やがてAIDAの腫瘍のようなものに姿を変えた。

「・・・何を・・する気だ・・・」

その腫瘍も変形し始め、形を整えてゆく。

『これが、腕輪第五の力・・・』
「! その武器はっ!」

漆黒のカイトが手にしている武器は、双剣ではなくなっていた。


 『ジョブハッキング、<大鎌>』



****


その頃、オルカ達はカオスゲート前に集まっていた。

「準備できたな?じゃあ行くぞ。」
「ちょっと待ってよ!」
「? どうした?」

「『痛みの森』ってそもそも期間限定クエストでしょう!?
 閉鎖されてるのにどうやっていくの!?」
「あいつのことだ、『ゲートハッキング』でも使ってるだろ。
 そのままなら俺らも入ることができる。」

「じゃあ・・・どうやって進むの?
 あそこ高LVモンスターだらけじゃ・・・」
その言葉にしばらく沈黙する3人。
彼らのLVは明らかに痛みの森の基準LVに達していない。

「カイトがあまり先に行ってないことを祈るしかないだろ。
 覚悟決めろよっ!」
オルカが『Σ隠されし 禁断の 罪界』へのボタンを押す。
不安を抱えながら3人は転送していった。


****


「がっ!」
「ぐおっ!」
「グアアッ!」
『ホラホラァ!立ち上がって見せろォ!!
 さっきの活気はどうしたァ!!』

一方的な漆黒のカイトの猛攻。
大鎌を振り回す彼に為すすべがない蒼炎のカイト達。

「『ジョブ・・・ハッキング』・・・?」
「ステータスが練装士より上・・双剣士のままで違う武器を使っている・・・」
素早い上に広範囲攻撃できる双剣士に大鎌。
起きあがる隙もないほど切り刻まれてゆく。


『しぶといな。だが、そこまでだ』


漆黒のカイトの腕輪が黒く開花する。

「ガ・・・アア・・・」
蒼炎のカイトにはそれがデータドレインだとすぐ分かった。

迫る閃光。本当にこれで終わってしまうのか。




 −・・・・




 −・・・・




 −・・・・?




 −何#・・・起コ*ナイ・・・?




静かに目を見開くと、目の前に人影があった。

閃光は蒼炎のカイトではなく、それを貫くようにして走り去る。


−『! オマ*ハッ・・・!!』

データドレインを喰らったのは蒼炎のカイトではなく彼の前に飛び出した何者かだった。

女PC、手には短剣を、双剣士だ。
オーヴァンがそこに駆け寄り、彼女の様子を伺う。
「この顔は・・・」
何か心当たりがあるように考え込む。すると・・・


「う、ううん・・・」
『!!』
突然彼女が声を出した。何事もなかったかのように。

「動いた・・・!?」
「そんな馬鹿な!データドレインを受けたはず・・・    !」

バルムンクが彼女を見て何かに気がついた。

「お前は・・・なつめか!!?」


彼女は過去に蒼炎のカイトの前に姿を現したことのある.hackersの1人『なつめ』だった。
緑色の髪と糸目がそれを示している。

『そうか・・・確か貴様はこの娘に『恩恵プログラム』を埋め込んでいたな。
 だからデータドレインを喰らっても未帰還者にはならないわけだ・・・』

「いてて・・・あっ!カイトさん!ご無事でしたか!?」
「・・・・」
「お前こそどうなんだ!自ら向かっていくとは無謀な奴だ。」
なつめは危険を省みず蒼炎のカイトをデータドレインから庇ったようだった。

−『ソノLV*ドウ#テ此処マデ・・・』





  「『どうして』って、まだここ”一区画”じゃない。」





『!!』
「お前は・・・ブラックローズ!」
「オルカ!何故ここに!?」
−『蒼月・・・』

現れたのはなつめだけではなく、
オルカ、ブラックローズ、蒼月も蒼炎のカイトの元に駆けつけていた。

『.hackers・・・全員とまではいかないが集まったな。
 厄介者は今のうちに始末しておこう。』
「あれがカイト・・・ってなわけないわよね。」
「お前が元凶か?お前が何者だかわからねえが・・・」
「カイト君は返してもらう!!」

−『何故此処*来タ、俺#来ルナト・・・』
「それって私達のことが心配だったから?そう思ったんでしょう?
 だから私達もアンタが心配でここに来たの。

 ねっ、『感情』っていらないものなんかじゃないでしょ?」
「・・・・」

どういうわけだか、その言葉は蒼炎のカイトに響いて全身に伝わっていくような気がした。


『貴様ら・・・あの時のように俺の邪魔をする気か。
 俺は奴等に用がある。しばらくコイツらと遊んでいろ。』

漆黒のカイトの声と共に、四体の人影が現れた。

「! 何コレ・・・?私達と一緒・・・!?」
「『ドッペルゲンガー』か!気を付けろ!」

ドッペルゲンガーという自分のPCと同じ姿になるモンスターがオルカ達の前に立ちはだかる。


『さあ、続きを始めよう・・・

 ”世界ハ一新シタ”、”新タナ世界モ生マレタ”』

「新たな・・・世界・・・?」


 『理想郷 ”.<ドット>サーバー”

  新世界はそこにある。』







 −第十八話 鬼愚者







あとがき
タイトル元ネタは『鬼武○』
好きなキャラは『明智左馬介』です。
新で出ないのかと思っていた矢先、新事実が!
それからと言うもの紅い鬼ばっか使ってますw

今回で次に繋がる話にしようと思ったのに
なんか蛇足な話になってしまいました。
まあオルカ達が痛みの森に出動ってことが伝われば。

P.S. と言いつつやっぱり気になったので更新しました(汗


[No.1009] 2007/12/21(Fri) 21:21:36
第十九話 ”意志” (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

漆黒のカイトから発せられた『.<ドット>サーバー』。
それが一体何を指しているのだろうか。

「『.サーバー』?そんなサーバー名は聞いたことがない。」
「お前の目的を聞いたときAura達を抹消すると言ったが
 最終的な目的はそのことと何か関係しているらしいな。」

『オイオイ、貴様ら3人は一度転がり込んで来たはずだろう?』

バルムンクがとっさに『モーリー・バロウ』の時の蒼炎のカイト達との戦闘を思い出した。

「あの何もない暗闇の場所か。」
蒼炎のカイトが無数のPCを象った光を見つけ、
そこで第五相<ゴレ>に襲撃された場所だ。

『失礼だな。あの時は・・・そうだな、5、6人か?
 死者当然の愚民どもが居座っていただろう。』

彼の言う5、6人の者達。
蒼炎のカイトが見たPCの像もそのくらいの人数だった。
そのPCは『志乃』、『アイナ』などの・・・

 −『未帰還*達・・・!』

『ピンポ〜ン、正解。
 R:2になり新たに発生した未帰還者がそこに放り込んである。』
「何故そんなことを!?」
『過去の教訓を生かした結果だ。
 野放しにしておくとまた何をし出すか分からないからな。』

七年前の『黄昏事件』ではオルカ、楚良達未帰還者の手もあって
.hackersは第八相<コルベニク>を撃破する事に成功した。
そのことと関連しているのだろうか。


 「「わあっ!!」」

「!」
そこにはドッペルゲンガーに押されているオルカ達が。

「お前ら、ヒット&アウェイだ!R:1の時を思い出せ!」
「そっちは結構なLVだけどねぇ、こっちはかなり低いのよ!」
「大丈夫ですよ!ドッペルゲンガーは自分のLVに合わせて強さが設定されてますから!」
「普通のドッペルゲンガーだったら・・・ね。」
正体不明のPCが呼び寄せたモンスターだ。何もないとは到底思えない。

『心配するな、モンスターのデータはそのままだ。
 ただし負けたらどうなるか・・・』
「! やっぱり何かあるんじゃないの!?なにが”心配するな”よ!」


「アアアアアアァァァァ・・・」
蒼炎のカイトがオルカ達の元に一歩踏み出した。
その時、


何かの破壊音とともにデータの砂が辺りに散らばっっていた。


蒼炎のカイトが自分の体を見てみる。


 −コレ*・・・何#・・・?


それは彼の腹部を貫く漆黒のカイトの腕であった。

『何処に行く?まだ俺がここにいるぞ。』


ただでさえボロボロに成り行く蒼炎のカイトを無情にも砕いてゆく漆黒のカイト。

『何故奴等の元へ行く?やはり貴様は彼奴らが気がかりなのか?』


 −ソウ*・・・

  俺*ドウシテ行コ&ト$タ・・・?

  体<反射的*動#タ・・・

  『カイト』のPCデータの依存現象・・・

  
  ソレ*モ俺ノ・・・”意志”・・・?


仲間達が蒼炎のカイトの名を叫ぶも、徐々にそれは掠れて聞こえる。


 −アア・・・

  俺ハ自分%何者ナノカ$明確#知ラヌ*マ・・・

  The Worldカラ無#ッタ存在ニサレ@シマウ&カ・・・

  女神ニ何>恩ヲ返ス#トモデキ*ニ・・・


  ・・・光・・・?



****



−誰ダ・・・? ソコ#居*ノハ・・・


 ・・・?


 ア・・ウ・・ラ・・・?



 −・・・カイト。よく、The Worldのために尽くしてくれました・・・

  そしてごめんなさい。

  私は見ているだけで何も貴方にできませんでした・・・



−何故謝ル必要*・・・?俺#単ニ防衛プログラムトシテ存在スルAI・・・



 −私、そしてオルカ達は貴方を1人のPCとして見ていました。



−・・・・!!








−・・・・







−・・・女神、時々俺ハ奇妙*現象何度モ生ジタ事@アッタ・・・


 ソレ&ハ単ナル『エラー』ダッタ*ダ#ウカ・・・



 −いいえ・・・それは貴方の・・・




    ”意志”




  今までの全てのAI達は少なからず持っていたものでした。


  リコリス、ゼフィ、ミア・・・


  そしてカイト、貴方も・・・


  
  



  カイト、The Worldに未練はありますか?






****



「グウウウウウゥゥゥゥウウウァァァアアアアアアアアア・・・!!」

『!! コイツ!まだ・・・!』

意識を取り戻した蒼炎のカイト。
彼は漆黒のカイトの腕を放さぬように掴み、彼を凝視する。

その眼は死神に相当する目つきだった。


−『寄コ・・セェ・・・! .hacker『蒼炎ノカイト』#粒子ヲ・・・!』


『コイツ何・・・を・・・!?』


漆黒のカイトの体から小粒の光が何十、何百、何千と溢れ、
蒼炎のカイトに吸収されてゆく。



「ハァ、ハァ・・・俺らをナメるなよ!」

ドッペルゲンガー達を”フィアナの末裔”とまで言われた腕で
なぎ倒したオルカ。

「カイトは!?どうなってるの、ねえバルムンク!!」

「・・・どうなっているんだ・・・?」


粒子を吸収し終わった蒼炎のカイトが貫通している体を押しのけると同時に、

ボロボロのデータがやがて修復していった。

「修復!?いや、様子が変だ!」

単に修復されているわけではなく、
あのツギハギ姿も何処かへ消えてしまっていた。


「「アアアアアアァァァァァァアアアアアァァアアアアアアアアアアアアァァァアアア!!!」」



 −・・・カイト・・・?


ブラックローズには蒼炎のカイトと”あのカイト”の声が重なっているように聞こえた。


『フン!見かけ倒しだッ!粉砕してくれるゥ!!』


大鎌を手に持ち、駆ける漆黒のカイト。
激闘が佳境に入ろうとしている。



 −”再誕”ヲ迎エタ・・・



  我、”蒼炎の守護神”也!!






 −第十九話 蒼と黒






あとがき
珍しくタイトル元ネタはなしで。
ちなみに前は『蒼と黒』ってな感じでした。
元ネタはア○プロの『赤と○』。

もう十九話・・・!
Another Storyを加えると半端ないスレパンパン状態。
今思えば入らない話もあったような・・・
安心してください。次で最終回予定なんで(え!?


[No.1010] 2007/12/24(Mon) 18:34:07
最終話 蒼炎の守護神! (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

「「ハアアアアアアアアアァァァァァァ!!」」

漆黒のカイトから.hacker『カイト』のデータの一部を奪い取った蒼炎のカイト。
とたんに彼のPCボディは再生、それどころか進化しているようにも見える。
ツギハギのデザインは消え、凶眼とも言われる瞳も真っ直ぐしている。


『ハッ!その姿が何だと言うのだ!?ハッタリかどうか調べてやろう!!』
漆黒のカイトが腕輪を開花。
データドレインを蒼炎のカイトに向かって放つ気だ。

しかし、それが発動されようとした瞬間、彼は進行方向を変えた。
閃光はブラックローズ達の方へ走ってゆく。
「!!」
『さぁどうするこの状況ォ!もう間に合わ・・・』


  −ドパァン!!


疾駆のごとく追いかけてきた輝く閃光に相殺される黒き光。
「・・・・」
「・・・・」

『・・・・!

 貴様ッ・・・いつデータドレインを放った!?』

漆黒のカイトが腕輪を開花させていた時、
蒼炎のカイトは何も行動していなかった。
後から腕輪を使ったなら待機時間によって間に合うことはまずない。

「一秒も待つことなくデータドレインを打った・・・」
オーヴァンが見たことによると
蒼炎のカイトはデータドレインの待機時間を無視して発動させ、
その上光が駆けてゆく速度も漆黒のカイトのそれよりも上だったという。


『くっ!アウラァ・・・!!』
「「次ハオ前ダ、逃ガシハシナイ」」
『誰が逃げるだとォ!?笑わせるなァ!!
 ”ジョブハッキング”!!』

今度は大鎌を銃剣に変化させる漆黒のカイト。

『攻撃こそ最大の防御!コイツで貴様の薄汚ねぇ眼球を・・・』
「やめろっ!!『虎乱襲』!!」
『! このガキッ!?』
蒼月が大剣スキル『虎乱襲』を漆黒のカイトに打ち込む。
それを銃剣で防いだ漆黒のカイト。


「悪りぃな、ちっと動かねぇでくれるかぁ!」
漆黒のカイトの背後にいるのは、オルカ。
彼は隙ができた漆黒のカイトを抑え付ける。
それに続きブラックローズ、蒼月、なつめが彼の身動きを止める。

『!! ガアアア!!放せェ!!』

何とか彼らを振りきろうとする漆黒のカイト。



「「モウ遅イ、手遅レダ」」

『・・・・!!』

右腕を掲げる蒼炎のカイト。


 「「データ・・・ドレイン!」」








漆黒が腕輪に吸い込まれるようにカイトの体から浄化される。

蒼炎のカイトのPCデータが粒子となってカイトに戻ってゆく。

それと同時に地面に倒れるカイトの体。
そして・・・蒼炎のカイトも。

「カイトッ!!」
「カイトさん!!」
「カイト君!!」

ブラックローズ達が2人のカイトに近づこうとした瞬間、




  −フハハッ・・・



「「!!?」」

天から降り注ぐかのような、漆黒のカイトの声。



  −フハハハハハハハハハハハハハハァァァァ!!



痛みの森全体に響き渡る。
やがてそれは空の彼方にとけ込んでいった。

「・・・何だったんだ、奴は・・・?」
「俺は三爪痕のあの力に興味を持ったが、
 それ以前に・・・」


「カイトッ!カイトォ!!」
彼は完全に崩壊していた。
データがその場に散らばり、最早動くことも、立ち上がることもできない。

「どけ。」
.hackerカイトを伺っていたオルカを押しのけるオーヴァン。

そして彼は、カイトの頭部に銃剣を突きつける。

「! 何するの!?やめてっ!!」
必死で止めようとするブラックローズ達。
オーヴァンはそれに全く動じない。


 −こいつ、カイトの腕輪にも・・・Triedgeが・・・


  

  愛奈・・・



引き金を引こうとする指に力が入るオーヴァン。







 −−オーヴァン・・・






オーヴァンに囁く、何者かの声。


「・・・・!!」









 −−オーヴァン・・・    カイト・・・
















 −志乃・・・







 愛奈、志乃・・・
 許せるのか・・・?俺とカイトが・・・






気力がなくなったように力無く銃剣を落とすオーヴァン。

「オーヴァン?」
オルカ達に背を向けるオーヴァン。


「・・・今の貴様を葬ったところで、意味がない。」

そう言い残してオーヴァンは闇の中に消えていった。

彼の後ろ姿には、何を想ったのか、悲しみが感じられた。





大聖堂に行けなければ、修復する事もできない。
これからずっとデータが地に帰るまでそこにとどまり続ける。

 
 −コレ*・・・正シ@ッタノカ・・・?


  俺#・・・選択ヲ間違ッテイナ%ッタノカ・・・?


  ・・・結局此処ニ留マル#ラ・・・


  感情*ド・・・意志ナド・・・





  必要*カッタノカ・・・?




  ・・・・?


 
「おい!急いでかき集めろ!まだ間に合うかもしれねぇ!」
「全く・・・世話焼かせるわねホントッ・・・!」
「カイト君、もう少しの辛抱だからね!」
オルカ達が、カイトのデータを集めている。
蒼炎のカイトにとって、それはとても信じがたい光景だった。


−・・・・!




 何故・・・・




 何故・・・・





 −−カイト・・・




−! ア#ラ・・・?




 
 −−いずれ貴方にも分かります。彼らの”感情”、”意志”が。





−・・・・








「これで確信した。

 やはり全てを納めるのに必要なのは”完全なる力”のようだな・・・。」

オーヴァンに続いてその場を去るバルムンク。


 −あの力があれば、この腐りはてたThe Worldを俺の手で!


何かを思うバルムンクの表情には笑みが浮かんでいた。




「オルカ!カイトはどうするの!?」
向こう側で倒れているもう1人のカイト。

「う〜ん、これじゃ連れていけないしなぁ・・・」
全員の両手にはいっぱいのカイトのデータクズが。
「じゃあこちらのカイトさんをアウラさんに預けたら、またここに来ましょう。」
「しょ〜がない、
 カイト、すぐ戻ってくるからね。」

一同は1人カイトを残して痛みの森を去った。




****



 −グリーマ・レーヴ大聖堂


「大丈夫?生きてるカイト?」
「よし、アウラ!カイトを・・・」
「・・・ちょっと待って!アレ何・・・?」


土台の前に舞い降りてくる蒼い球体。

それは蒼炎を放ち、そこから人影が現れた。



「コオオオオオオオオオォォォォオオオオオ・・・」
「グウウウウウウウウウゥゥゥゥウウウウウ・・・」



見るからに男性PCで、
蒼炎のカイト同様にツギハギ、いやPCの完成度はカイトに劣っているが。

やはりカイトのようにある人物を模していた。


「! 誰だ!!」

「ん・・・!アレ、オルカさんとバルムンクさんに似てません!?」
「カイトと一緒だ・・・
 っていうことは、アウラの仲間・・・?」
「本当に・・・誰なんだお前ら?なぜ俺に姿が似ている?」


バルムンクを模したPCがこちらに手を差し出した。

「・・・お前に任せていいんだな?

 ほら、カイトのデータだ。」

蒼炎のカイトのデータを渡すオルカ達。


−<<.hackers仕様、違法PC・・・>>
−((今回ハ見逃シテ*ル、直チ#PC@破棄シロ))


彼らはそう言い残して蒼炎を纏って消えていった。

「何よー!こっちがせっかく・・・」
「いいじゃない。カイト君が助かるなら。」
「ほらほら、蒼炎のカイトさんは任せて、カイトさんの所に行きましょうよ!」
「よし、じゃあ痛みの森に戻るぞ。じゃあなーカイト!」

 
 −久しぶりだなぁ・・・カイト・・・


  やっと・・・逢える・・・!


思いを馳せながら歩いてゆくブラックローズ達。
















彼らが痛みの森に着いたときには、カイトはもうそこには居なかった。








そして、リアルのカイトのプレイヤーの意識が戻ることはなく・・・









状況は、全く回復せず、


さらに、悪化の一方を辿っていた。









漆黒のカイトが言っていた『.サーバー』とは何なのか。


カイトはどうなってしまったのか。


オーヴァンの目的は、


バルムンクの目論見は、


碑文使いの神髄、


守護神の神髄、


”2人のカイト”の力の神髄は何処にあるのか。







その謎に包まれたThe Worldに







   ”俺”は生まれた。






                      −ライト・エゼル






  −.hack//A.D. Vol.2 守護神混乱 完


[No.1011] 2007/12/29(Sat) 21:18:20
あとがき+なりきり次回予告 (No.885への返信 / 1階層) - 菊千文字

カイト「僕は・・・どうしてたんだ・・・?」


 −『次回予告』


カイト「思い出せないや・・・君は・・・?」

揺光「”揺光”だよ、”よ・う・こ・う”!ちゃんと覚えとけっ!」


カイト「えっと・・・そこの黒いフードの子は?」

ライト「ガキじゃない。

    ライト・・・”ライト・エゼル”だ。」


エンデュランス「カイト・・ミアが・・ミアが・・・っ!!」


バルムンク「やはり、俺とお前は対峙する運命にあるようだな。」

カイト「どうしてっ!どうしてだよっ!!何故なんだ!!」


蒼月「あっ!みんな〜!こっちこっち〜!!」

オルカ「ふっ、こんな所にいやがったか。」

ブラックローズ「やっと逢えたね・・・お帰り・・・」


ライト「その腕輪と一緒に、オレは成長する。

    オレは、”時”を戻せる。

    七年前の反存在”クビア”のように。」


欅「未だに意識不明・・・
  やっぱり・・・君を呼ぶべきじゃなかった・・・」


カイト「一番隊隊長側近の『杉』と言います!
    皆さん、よろしくお願いしまーす!」




三爪痕「アアアアアァァァアアアアァァアアァ・・・」

オーヴァン「君達を、まだ行かせるわけにはいかない。」


カイト「オオオォォーバアアアァァァァァァーン!!」


ライト「やめろ!それ以上追うなッ!!

    カイトオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォ!!」



 −Vol.3 時刻ム愚神



カイト「消えてゆく・・・僕に関わった・・・全ての人が・・・」





****

・・・ハイ。好きなようにさせて頂きました(^_^;)
最近恥じらいという物が自分には消えたようです。
なんつー時間まで起きてるんだ自分は・・・。

Vol.2、完結しました!!まぁどうせすぐ編集しちゃいますけど(オイ
巻末や次回予告に出ていた黒フード少年(子ども?)『ライト・エゼル』。(名前変更、すいません
名前の由来を考えてくだされば誰なのか分かると思います、ハイ。
ちなみに後からVol.1の巻末にも付け足しました。

Vol.2の反省点、

 エン様出してない!!(ミスったぁぁぁぁ!!

他にもいろいろありますが自分としてはこれが最大の反省点です。


えっと・・・
もう本格的になったじゃないですか、受験シーズン。
前も言ってましたがかなり自分も塾で時間が薄いです。
ですから・・・

Vol.3の更新は延期ということで・・・(泣

だから次回予告書かせて頂きました。
少しでも・・・いや気になってませんか(笑

隙あらばちょくちょく感想を書かせていただくので。
それではまたいつか!よいお年を!

いざ、Vol.3『時刻ム愚神』へ!ドコドンッ!!


[No.1012] 2007/12/30(Sun) 02:03:39
以下のフォームから投稿済みの記事の編集・削除が行えます


- HOME - お知らせ(3/8) - 新着記事 - 記事検索 - 携帯用URL - フィード - ヘルプ - 環境設定 -

Rocket Board Type-T (Free) Rocket BBS