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No.975に関するツリー
.hack//adjoin
- わん仔 -
2007/11/10(Sat) 19:08:15
[No.975]
└
act.9 迸る 裏切りの 空涙
- わん仔 -
2008/04/21(Mon) 17:22:56
[No.1221]
└
act.8 糜爛する 少女の 行ひ
- わん仔 -
2008/04/07(Mon) 23:18:06
[No.1208]
└
act.7 悩める 少女の 人間関係
- わん仔 -
2008/04/07(Mon) 23:08:47
[No.1207]
└
act.6 忍び寄る 災厄の 眼光
- わん仔 -
2008/04/05(Sat) 22:52:47
[No.1201]
└
act.5 疼き出す 少女の 影
- わん仔 -
2008/03/25(Tue) 21:03:18
[No.1180]
└
act.4 さんざめく 木漏れ日の 園
- わん仔 -
2008/03/10(Mon) 22:33:22
[No.1137]
└
act.3 視察する 我らが 観光大臣様
- わん仔 -
2007/12/01(Sat) 14:13:59
[No.986]
└
act.2 奥ゆかしき 古都の 案内所
- わん仔 -
2007/11/17(Sat) 23:05:09
[No.978]
└
act.1 気ままなる 天真爛漫の 店番
- わん仔 -
2007/11/10(Sat) 19:17:16
[No.976]
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.hack//adjoin
(親記事) - わん仔
皆様お久しぶりです! 恥ずかしながら帰ってきました、わん仔です(^^
今回もちっこいながら頑張りたいと思いますので、どうぞ宜しくです!!
しかし、久々なので文章が変になってたりすかもです(- -;
そ、そこはどうかお許しを……
・・・ちなみに、『adjoin』とは“隣接する”“隣り合う”という意味があります
[No.975]
2007/11/10(Sat) 19:08:15
act.1 気ままなる 天真爛漫の 店番
(No.975への返信 / 1階層) - わん仔
――Δ悠久の古都 マク・アヌ 中央広場――
大きな噴水がある広場の端っこの、小さなギルドショップ。
そこは『The World』における大きな観光案内所の、小さな支部。
ほら、今日もお客さんがやってきた。
「あ、あの〜。レベル上げに効率の良いエリア、ありますか? 30レベルくらいの……」
「はい! そですねぇ……『Δ未だ見ぬ 対岸の 好奇心』とか、良いと思いますよ?」
無邪気な笑顔を浮かべて客に応対する少女。
この子こそが、ギルド《VIVID*Tourist》ショップ マク・アヌ支店《夕園(ユウゾノ)》の元気ハツラツ
看板娘『萌黄(モエギ)』
「あ、ありがとござます!」
「いってらっしゃ〜い^^」
素っ気ない会話のように聞こえるが、これが、このショップでの仕事なのだ。もちろん、アイテムも
販売している。武器やら防具、装備品。それらは全て、エリアのミッションクリアでしか手に入らないもの。
「ねぇ! レアな刀剣が手に入るエリア、なぁい?」
萌黄が息つく暇もなく、またお客がやってきた。今度はこれまた可愛い男の子。
「いらっしゃいませ〜。んぅ……レアな刀剣かぁ(- -;」
困惑していると、店の奥から声がした。
「……『Δ黄泉還る 荒海の セレナーデ』はどうかな? 少し長いダンジョンなんだけど」
そう言って姿を現したのは、鮮やかな水色の服に身を包んだ少女だった。名は『シアン』
彼女も、このショップの店員――つまり、ギルド《VIVID*Tourist》のメンバーなのだ。
「ところで、君が装備するの?」
「ううん。リラじゃなくって、クラレットが。クラレット、最近武器が合わないって」
言葉だけでなく、体をめいっぱい使って表現する男の子は、自らを『リラ』と名乗った。
どうやらクラレットという人物にプレゼントしたいようだ。
「そっかぁ……じゃ、気を付けてね^^」
「ねぇ、萌黄。あの子大丈夫かな?」
萌黄が笑顔でリラに手を振っていると、シアンが不安げな表情で萌黄に訊いた。
当然、訊かれた方は何なのか解らない。
「? 何が?」
「だってあのエリア、レベルが49だよ? でもあの子、そんなに強そうには見えないよ……」
すると萌黄は顔を真っ青にして、
「わ、ワタシ、行ってくる!!」
と、走り出した。
「あ…!」
教えちゃったのは私だから、私も一緒に……
シアンはそう言いたかったのだが、萌黄は猛ダッシュで行ってしまい、自分が離れるとショップに誰もいなくなってしまうのに気が付いた。
「!? ――なぁ、萌黄のヤツどうかしたのか? そうとう慌ててたケド」
萌黄と入れ違いにショップへ来た少年。薄いラベンダー色のような髪が特徴のPC。彼もまた、この
ギルドのメンバーである。
「秘色くん。……えと、お客さんにレアな刀剣が手に入るエリアを教えて、けどそのお客さんには少々無理があって、それで萌黄が―――」
「まったく、無茶するなー……」
「どこ行くの?」
「萌黄救出へw」
『秘色(ヒソク)』と呼ばれたその少年は、シアンの申し訳なさそうな視線を受けながら頭の上で手を組んでカオスゲートのあるドームへと向かった。
一方の萌黄は――――
――Δ黄泉還る 荒海の セレナーデ――
「このダンジョンにいるなら、一直線だし必ず会えるよね……」
基本構造はほとんど変わらない回廊型のダンジョン。ここならば、探す手間もほとんど無いはず。
とはいえ、萌黄のレベルも40を超えたばかり…。助けられるのか不安でいっぱいの中、命がけで
第一階層を突破。ちなみに萌黄は妖扇士。
「うわぁーーー!!!」
「!? この階層にいるんだ!」
しばらく進んで第二階層、奥から悲鳴が聞こえた。間違いなくリラの声で。
それを聞くと、萌黄は妖扇を取り出しリラの許へと走った。
「居た――ッて。えぇ!? リプメイン! んでもって逃煙球〜!!」
ようやく見つけた。しかし、遅かった。機竜のようなモンスターに囲まれたリラのPCは、死亡を意味
する灰色に染まっていたのだ。
咄嗟に萌黄は蘇生スペルを唱え、アイテムを使って逃走。そのままダッシュし続け、第三階層の
獣神像に辿り着いた。
「癒しの水×3! は〜、ここのモンスター強すぎ〜」
つい皮肉めいた本音がでてしまうリラ。それに対し、萌黄は素直に謝った。
「ごめんなさい! ワタシ、キミのレベルも聞かないでこのエリアを……」
「ち、ちがうよ。リラの方がお姉さんたちのお話、よく聞かなかったから…」
はにかむリラ。萌黄もどうすればいいのか判らず、異様な沈黙が続く。
すると、声と同時に彼がやって来た。
「おーーい!! 無事かー?」
「ぅわ〜ん! 秘色〜、怖かったよぉ〜(ToT)」
「む…よ、よく頑張ったな……」
安心して、思わず泣きつく萌黄。秘色は当然拒否る。
――ガチャ
お遊びしている二人には目もくれず、リラは獣人像に捧げられている宝箱を開いた。
「これがレアな刀剣―――しかも、欲しかったやつだ!」
「よかったね♪」
「『壊疸刀・曼球沙華(マンジュシャゲ)』……か」
真っ赤な刀身を見つめ、秘色は呟く。
派手な色というものは鮮やかで美しくはあるが、時に毒々しさを併せ持つ。この刀剣はまさしくそうであった。
「……あ、ありがとう。 その、じゃ!」
リラはその刀剣を大事そうに抱え、ダンジョンを後にした。
「『想うはあなた一人』――好きな人、なのかな?」
リラが姿を消したプラットホームを見ながら、にこやかに萌黄は言った。
「何? それ」
「花言葉。曼球沙華って、彼岸花の別名なんだよ」
何故か自分が恥ずかしそうに言う萌黄を、秘色は不思議そうな眼差しで見る。
「ふーん。でもさ、どうでもよくね? こっちじゃ武器だし」
「あ〜もぅ! これだから男子ってのは!!」
今までの雰囲気を秘色の一言でぶち壊しにされ、萌黄はプンスカ言いながらタウンへと帰ってしまった。
「???」
――Δ悠久の古都 マク・アヌ 中央広場 ショップ《夕園》――
「ただいま〜」
「お帰り。…萌黄、どうしたの? 何かすんごく不機嫌そう……」
テキパキと店前の商品を整理するシアンが、手を止めて出迎えてくれた。
すると萌黄は待ってましたと言わんばかりに愚痴をこぼす。
「男子って、みんな夢ってのがないのかなぁ…って」
顎に手を当て考えるシアン。
「そうでもない、と思う… ほら、濡烏さんとかモーブさんとか、紳士的な人はいるよ?」
「まぁねぇー。……あ〜ぁ。どっかに王子様みたいな人、いないかなぁ〜」
―あとがき―
改めまして、お久しぶりの方はお久しぶりです。初めましての方ははじめまして。わん仔です。
初っ端からドタバタな展開です…これからどうなることやら(!?
一応、主人公は『萌黄』ですが、お話によっては異なる予定ですので、作者が混乱しなければいいのですが……(おい
今作も、一週間に一回のペースで更新できるように頑張りますので、どうか応援の程よろしくお願いします!!
[No.976]
2007/11/10(Sat) 19:17:16
act.2 奥ゆかしき 古都の 案内所
(No.975への返信 / 1階層) - わん仔
さて、ここで萌黄たちの所属するギルド《VIVID*Tourist》について説明しよう。
世間では『観光案内所』の名で通ってる。最近では『案内所』と略されることの方が多いが。
このギルドの主な活動は『一般プレイヤーたちにエリア情報を提供すること』
つまり、そのPCのレベルに合ったエリアを紹介する―――というものだ。無論、適当に紹介しているわけではない。
メンバーが視察済みのエリア、また、その客にとってよりメリットの大きいエリアを紹介している。そのため、大概のエリアのアイテム・モンスター・ミッションは把握しているのだ。
冒険用のエリアだけというわけでもない。なかには、単にこの『The World』のグラフィック(景色)を楽しみたいという客もいる。そういった客にも対応できるよう、おススメの“観光”スポットも用意している。
これらはメンバーのみならず他のプレイヤーからおススメの絶景エリアをアンケートし、独自に調査してからリストアップされる。また、そのアンケートを基準に、月一のペースで『絶景エリア★ベスト5』を発表していたりもする。
さらには、調査のお土産ということで入手したアイテムも、ショップを通じて販売も行なっている。
――――とまぁ、こんな具合だ。
……ん? さっきから説明してるアンタは誰だって?
作者兼天の声じゃないよ。ウチはこのギルドのマスター『女郎花(オミナエシ)』
ちなみに《VIVID*Tourist》の本拠地はブレグ・エポナ。
そう、上級ギルド。メンバーは100人を超えてる。グランティの名前はエユ★ランディ。
余談だけど、マク・アヌのショップは《夕園》ドル・ドナでは《葉園(ハゾノ)》ブレグ・エポナでは《天園(アマソノ)》という。
そろそろ、《夕園》にも顔だししなくちゃね……抜き打ちで視察を。ね?
――Δ悠久の古都 マク・アヌ 中央広場 ショップ《夕園》――
「……!」
「どうしたの萌黄?」
だらけ全開だった萌黄はおぞましい気配を察し、思わず姿勢を正す。シアンは、何事かと小首を傾げる。
「な、なんか背筋がゾォって……」
「風邪?」
シアンの眉毛が「ハ」の字に下がった。シアンのこの顔は、相手を本気で心配している時の表情だ。「今日は落ちた方がいいんじゃない?」と真剣に言われ戸惑っていると、一直線にこちらへ向かって
くる人影がひとつ…いや、ふたつ。
「もぎーが風邪!?」
よく通る声の叫び。
そう、こちらへ向かってきた人影の正体。どちらも紫紺のチャイナ服のようなコスチュームを纏ったPCで、外見だけではほとんど見分けがつかない。まるで双子だ。
「か、風邪じゃないよ! シアンが勝手にそういっただけで……」
「なぁ〜んだw あ。そーそー。ハイ、どーん」
双子の一人、少し紅みがかった瞳の女性が萌黄に何かを差し出す。
「お土産だね? 紅桔梗さんに、紺桔梗さん御苦労さまです」
「……紅姉は何もしてないの」
双子のもう片方が不機嫌な様子で言う。
不機嫌な方は青みがかった服が特徴の『紺桔梗(コンキキョウ)』で、さっき叫んだのが妹の『紅桔梗(ベニキキョウ)』
声の違いでようやく見分けがつくのだが、実際のところ、この二人は実際の姉妹ではないらしい。
ちなみに、この二人も《VIVID*Tourist》のメンバーである。先ほどまではエリアの調査に行っていたのだ。
「紅姉、人の手柄を自分のことのように言っちゃいけないの」
「なによぉ! ロールとはいえ、紺は紅の妹でしょ〜?」
「ロールは所詮ロールなの。本当は紺の方が年上なの!!」
紅やら紺やら、なんだかややっこしい状況になってしまった。
一人称が『紅』でややくだけた口調のが紅桔梗。語尾に「〜の」と言っているのが紺桔梗である。
「……また始まった」
「仲が良いんだね(^^;」
秘色が溜息混じりにそう言うと、シアンも苦笑する。
これも日常茶飯事なのだが。
「おやおや、相変わらず元気だね。桔梗の双子は」
ここにいるメンバーの声ではなかった。紅桔梗たちの喧嘩も止まり、一斉にその声の主へと視線が移る。
そこには、夕日をバックに堂々と仁王立ちで構えている、恐るべき存在があった。
―あとがき―
どうも……双子キャラなんか書いてしまったと後悔しているわん仔です(T T
語尾で分けるのが精一杯……
お気付きの方もいらっしゃると思いますが、今作の登場人物の名前は皆『色の名前』なんです(どうでもいいわ
とまぁ、あとがきらしくないあとがきになってしまいましたが(汗
調子も取り戻しつつありますので、今後ともよろしくです!
[No.978]
2007/11/17(Sat) 23:05:09
act.3 視察する 我らが 観光大臣様
(No.975への返信 / 1階層) - わん仔
「女郎花観光大臣様の気まぐれ抜き打ちショップ視察の時間だぞ>∀<」
……キラーン+ ―――――決まった!
「お、み…なえ、し……さん?」
「さっきの悪寒はコレを予知してたんだ……」
皆の顔は驚きの色に染まり、シアンはビクビクしながら、訪問者の名を口にした。
萌黄も脱力し、ガックリと肩を落とす。またこの人は…。
「なんじゃなんじゃ? 皆して青ざめた顔をしちゃって〜んw」
「貴方がいきなり現れるからですよ」
眉間に皺を寄せて秘色が言うと、女郎花はニヤリと微笑む。
「はい。秘色は接客態度−30点ね。それに、“いきなり”じゃなくて“抜き打ち”だから、コレ」
「なッ!?」
「ほらほらぁ。さっさと仕事せんと、どんどん減点しくわよぉ〜?」
『は、はいぃ!!』
いつしか採点されているメンバーであった。
なんだって突然――?
《夕園》メンバーは思う。しかし、これが初めてというわけでもない。
過去には、2ndPCを使ってお客に紛れて採点してたり、刺客(?)を送ってきたりといつもいきなりだ。
彼女曰く「商人と言うのは、どんな場合でも、お客にどんなムチャブリをされても冷静に且つ正確に、そして笑顔で対応しなければならない」らしい。
そのため…なのか個人の趣味かは知らないが、時々こうやって“視察”という名目でやってくるのだ。
しかも、こういう時に限ってやっかいな客が来るのだったりする。
「モーブ様、いらっしゃいます?」
菫がかった白色の縦巻きロールの髪をなびかせ、リアルならものすごい香水の香りを振りまいていそうなお客がやってきたのだ。その姿、いかにもお嬢様。
「ちょっと、聞こえまして?」
「あ、えと…。モーブくんなら、たぶんドル・ドナに居ると思うの」
「ていうか。モーブんはもともと《葉園》の店長ですよぉ? ここには顔出しませんて」
お客とのやり取りを厳しい目で見つめる女郎花。まず紺桔梗はギリギリ合格、紅桔梗は−15点。と。
それよりもあの客、どこかで……?
「……何ですの? わたくしがそんなに美しく見えて?」
女郎花の訝しげな視線に気づいたのか、客のお嬢様はモデルのようにポーズをとる。
「ええ。貴方様のようなお方が来て下さって、こんなに幸せなことはありませんとも」
こういうのが一番嫌いなんだと、めいっぱい皮肉を言う。ジェラシー?
(アンタが一番、接客態度が悪いじゃんか……)
秘色は胸の内で呟く。もちろん、女郎花には全てお見通しのこと。
「なんか腑に落ちませんけれど、わかりましたわ。それでは失礼」
お嬢様の背中を笑顔で見送り、秘色に振り返る女郎花。その顔は笑顔ではあるのだが、なんというか…殺気のようなオーラが混じっているのだ。
「秘色、自分の持ち点が今いくつか解ってる?」
「………な、70ですよね?」
「うんにゃ。前回の繰り越しで−5点。さらに今ので合計−30点ってことで、OUT」
「(アウトって…)それってどういうこと…ですか?」
ビビる平社員。不敵な笑顔の社長。周りはいつしか誰もおらず、平くんの逃げ場はない。
「そーねー。一週間ギルマス交替っていうのも悪くないんだけど、それだとギルド運営に支障がでるし……」
秘色の周りをゆっくりと回る女郎花。「棒でも持ってりゃ拷問だ…」と、遠くから見つめる萌黄たちは思ったり。
「【絶景エリア★ベスト5】の集計でもしてもらおうかしらん?」
「しゅ、集計!?」
「そ。データとかは全部、後で送るから。――あ。表計算ソフトとかは使えるよね?」
「まあ、学校で習いはしましたけど……」
罰の軽さに安心しているものの、この人の目が怖くてオドオドする秘色。
「ふぅん…今の小学生はハイテクなのねぇw じゃ、その件はヨロシク」
「もう発表の時期?」
「ホントだね。ついこの間発表したかと思ったのに」
いつの間に戻ってきたのか萌黄一行。シアンも驚き隠さずに頷く。
「“歳月は人を待たず”なの」
紺桔梗がウンウンと首を縦に振ってひとり納得していた。まぁ、確かに君の言う通りだけど。
「紺、そこまで遠目じゃないよ……」
「? そなの??」
姉に指摘されるも、解っていない様子の紺桔梗であった。
「それじゃ、ウチは本部に戻るわ。皆さまお疲れっした〜w」
頃良しと見計らったのか、パンっと手を打つと、女郎花はドームに向かって歩き出して行った。
なんともお騒がせなギルドマスターである。
―あとがき―
どうも。風邪をひいて鼻声の喉ガラガラなわん仔ですorz
……のゎーーーー!!!
一週間さぼってしまったぁあああぁあ!!!!
ごめんなさいぃいぃいい(全力で土下座
しかも短ぇ……
始まって早々、ご迷惑をお掛け致しました(_ _;)
。。。
皆さん、体には十分お気をつけて。
また次回お目にかかりましょう〜
[No.986]
2007/12/01(Sat) 14:13:59
act.4 さんざめく 木漏れ日の 園
(No.975への返信 / 1階層) - わん仔
――Θ蒼穹都市 ドル・ドナ ショップ《葉園》――
木漏れ日の真下で営業している《VIVID*Tourist》のドル・ドナ支部こと《葉園》
ここには常備3人のギルドメンバーが居る。
「撫子(ナデシコ)、この間のミッション報酬どうした?」
「んぁ? ……あ。ワリ、トレードしちまったわ」
軍服調の衣を身に纏っている青年が、「自分はお祭り男です!」と言わんばかりのエディットをした『撫子』という男に問う。
「通りでショップの商品が少ないはずだよ……」
「キャハハ^▽^ 撫子おバカさん万歳・万歳・万々歳だぁ〜いw」
独り万歳三唱をしているのは、肌の色が若干黒く、オレンジ色の呪衣を身につけた『ポピー』と言う
名の女の子。この《葉園》メンバーの中で唯一の女性である。
「だよな!? 俺は馬鹿。万歳―――って、ポピーッ!!?」
「ノリツッコミ万歳〜ww」
「モーブ、コイツをどうにかしてくれッ!!」
「(^^;)」
撫子にとっては天敵で、どうにも彼女のペースに巻き込まれてしまう。
というわけで、モーブにも、ただ苦笑するしかないのだ。
狭いショップの中で、ポピーを撫子が追いかけまわしていると、眼鏡を掛けた美青年が客として
やってきた。ネットゲームというのは、美男美女を演じることが多いものだ。
「ショップやってます?」
「あ。やってますよ〜? この人たちは義務そっちのけで遊んでますけどね〜ん‐ε‐」
それを聞いた途端、撫子は一気にポピーを襲おうとした。が、モーブも咄嗟に押さえつける。
「なら。訊きたいことがあるのですが、よろしいですか?」
店の奥の出来事も笑顔で受け流し、尋ねる。
「エリアのことならお答えできますよ」
ようやく撫子を落ち着かせたモーブが、客の男性と同じような笑顔を浮かべて答える。
すると、客の目が鋭く一変した。……まるで、獲物を狩る獣のような視線で。
「それで結構です。――“とあるPKパーティ”の潜伏場所をご存じですか?」
『“とあるPKパーティ”?』
「有名なところでいうと、《ケストレル》とか?o?」
唸りながら、ポピーが顎に指をあてて訊く。しかし、青年はにこやかに微笑んで否定した。
「いえ。《花水仙(アマリリス)館》という小規模のギルドです」
「で、パーティっちゅうのは?」
すかさず撫子が返す。
「そこまではお答えしかねますね」
「ケチんぼ〜Θ皿Θ」
「すみません」
「ようは、PKが好むようなエリアを教えてほしいってことですよね?」
「ま。そういうことですね」
膨れっ面のポピーや撫子に苦笑しながら、客は素直に頷く。
「うみゅ〜……Θ懇願する 死凰の 遺灰 とかかなぁ〜? どういう訳かPKたちって、結構ダーティーなワード好むんだよにぇ゜Δ°;」
客はエリアワードを聞くと、ピクリと片眉を上げて反応した。
「『懇願する 死凰の 遺灰』……そうですね。彼らにはピッタリかも知れません。―――ところで、
あなた方のなかで呪療士はいらっしゃいますか?」
「呪療士なら、こいつが――」
ついでなので…と、訊いてみる。撫子は怪訝そうな表情で、その人物を右手親指で示した。
「ぃぇ〜いv^▽^v」
「僕と一緒にアリーナ、参加しませんか?」
客は一瞬キョトンとしたが、すぐに持ち直してさらに訊く。いきなりにもほどがあると思うのだが――
「……いいよ〜゜v ^b★」
―――案の定、アッサリOKのポピーであった。
「おいおい、女郎花の許可なくいいのかよ」
100人を超えるメンバーがいる《VIVID★Tourist》だが、ショップ担当は僅か10人程度。ひとつの
ルートタウンに3人の配分だ。残りのメンバーは全員、遊びながらのエリア散策担当なのだ。
そんな貴重なショップ担当が、あのギルマスに無断で遊びに行くと、何をされるかわからない。
それが当事者だけなら、無関係の撫子も黙っているのだが…連帯責任だったりする。イジメだよね。
「その心配は無いぞ」
不意に、声がした。いかにも男らしい、低い声。
「アンタは…?」
「オイラは濡烏(ヌレガラス)。ビリジアンのパーティメンバーだ」
名前の由来であろう、黒く艶のある髪をなびかせ、声の主は木漏れ日に映る。
そして、眼鏡の客はビリジアンというらしい。だが、その声に対して異常に反応した男が一人…。
「濡烏!?」
「んだよモーブ、お前知り合いなのか?」
「《VIVID*Tourist》初代ギルドマスターだよ。ちなみに女郎花は3代目」
「じゃ2代目はぁ?」
「さぁ?」
素早く2代目の存在を問うポピーであったが、モーブはしらばっくれる。
「そんなことより、ポピーがアリーナに出てもいいっつったのは本当に女郎花なんだろうな?」
話を戻した撫子は、なんだか怒っているようにも見えた。濡烏との顔の距離が、近い。
そんな撫子の気持ちを知ってか、濡烏は思わずニヤケながら答える。
「もちろん、本人に直接交渉してきたとも。……それとも何かい? 嫉妬ですかな?」
「なっ!? んなわけねーだろ!!?」
図星だったのであろうか、赤面して唾が飛ぶほどの大声で叫んだ。
「キャハハッ^▽^ 撫子はおバカさんだけど愛いヤツよのぉ〜ww」
「うるせぇッ!!」
撫子と濡烏のやり取りを面白がっていたポピーは、実に嬉しそうに撫子に飛びついた。当の本人はおもいっきり振り解こうとしているが、まんざらでもない様子である。
「で。協力して頂けるかな?」
「もっちろん^▽^/」
「じゃ、ポピーは借りますよ」
ビリジアンが諭すと、ポピーは子供のようにはしゃぎながら、行ってしまった。
3人が去った後も、落ち着かない様子だった撫子が、モーブに振り返り、真剣な表情で訊く。
「《花水仙館》……。なぁモーブ、そのギルドってアイツが――」
店の商品を整理していたモーブも手を止めて、頷く。
「ああ。多分、な」
今日は、いつもより木漏れ日が多い日だった。
―あとがき―
お、お久しぶりででです(ド緊張
わん仔、復活です<(`ω´)>
一週間に一回ペースの更新は難しくなるでしょうけど、何が何でもこのお話は完結させますので、
再び応援の程、よろしくです
[No.1137]
2008/03/10(Mon) 22:33:22
act.5 疼き出す 少女の 影
(No.975への返信 / 1階層) - わん仔
――Δ駈け出す 厳冬の 苺馬――
「見てるだけで寒〜い!」
今年に入って新しくできた仕様のエリア。一面が銀世界で、舞う雪が美しい雪原風景。
しかし、このエリアはクエスト専用のためか雪山の仕様で、雪も舞っているというより吹雪いている
というほうが合っていた。
今日は萌黄・シアン・女郎花の三人でクエストに参加していた。
「さて、ラッキーアニマルを探してブッ飛ばしゃいいんだね?」
辺りを見渡す。一面が白く吹雪いていて、目を凝らさなければ背景の木もよく見えない。
「けど珍しいですね。女郎花さんがクエストに誘ってくださるなんて」
珍しいから猛吹雪なのかもしれない……それはないか。
しかし、本当にそうなのだ。日頃エリアにも出ず、@HOMEとショップを行ったり来たりするのが彼女のプレイスタイル。
「まぁ。アレだ。雇ってる従業員との親交を深めつつ、アタシへの忠誠心を試すという画期的な……」
またこの人は…と、苦笑いのシアン。
―――と。少し離れた場所から少女が叫ぶ。
「女郎花さん! シアン! 例のアニマルってあれじゃないですか!?」
吹雪の奥、ポツンとピンク色の点が一つ。これこそがこのクエストの目標物『苺のはっしば』
あの俊足のはっしばである。
「……シアン。このパーティのリーダーは誰だっけ?」
はしゃぐ萌黄の後方、怒りのボルテージがグングン上がる人物が一人。
「お、女郎花さんです(^^;」
シアンを恐怖が襲う。苦笑するその顔もどこか硬い。
「もぉーえぇぇーぎぃぃいいい!!!」
修羅、覚醒。
このあと萌黄の悲鳴が轟いたのはいうまでもなく。
「いいな。萌黄は」
ボソリ。
「誰とも仲よくできて……」
誰にも聞こえないように。覚られないように。
その瞳は淋しく、そして妬みの色が暗く淀んでいた。
「シアン…?」
「ぅわわ! ご、ごめん!!」
気付くと、萌黄の顔が目の前にあった。
萌黄は知っていた。彼女がたまに物思いに耽ることがあるのを。
そういう時は必ず私を見つめるから。
女郎花はその様子に対して見て見ぬふりをしていた。厄介事に関わりたくない。
――それが理由だ。
「見逃しちゃうわよ、アレ」
厄介事に関わりたくないといっても、ただ見ているだけでは、話は進展しない。誰かが無理矢理に
でも引っ張らねば。
女郎花は少々呆れ気味にピンクの点を指差す。
『はいッ! リーダーw』
なんだかんだで、少女二人の仲は変わらない――――
そう。変わらない……
―あとがき―
よ、ようやく五話……
どうもわん仔です。
今日は.hack//G.U. TRILOGYの発売日でしたねぇ〜
もう朝からハイテンションで困ったもので……
と。このままだと長々となってしまいそうなので、今回はこの辺で。
次回も頑張ります!!
[No.1180]
2008/03/25(Tue) 21:03:18
act.6 忍び寄る 災厄の 眼光
(No.975への返信 / 1階層) - わん仔
はてさて萌黄一行、クエストの真っ最中。
広大なフィールドを吹雪のなか駆け回り・・・
――Δ駈け出す 厳冬の 苺馬――
「よ、ようやくゲ〜ット!」
ジタバタと暴れるピンク色のはっしばを腕に抱え、パーティの皆に報告する。
萌黄の顔は、笑顔だった。
しかし、その笑顔は一瞬にして散った。
――――骨破砕!!
「……え。」
唐突に。少女の背中は切り裂かれる。
一撃で。少女は、地に伏した。
「萌黄!?」
女郎花は反射的にアイテム欄から【黄泉返りの薬】を選択し、萌黄を蘇生した。
不意打ちに成功したもののすぐに蘇生されて不機嫌そうな表情を浮かべるPK。
「………ぁ」
シアンは驚愕していた。そのPKもまた、シアンの姿を見て驚いていた。
「シアン……? 久しぶり」
PKは大剣を軽々と肩に担ぎ、へたり座っているシアンを見下ろした。
二人の間で、チャットが行われる。
―『灰梅(ハイウメ)』…さん………?
―久しぶりにクエストやって正解だったw こんな収穫があるんだもんww
―しゅう、かく?
―そw アンタに“逢えた”からね
最悪。ほんと、災厄。
なんで。どうして。
―また、パーティ組もうな? あの時みたく、さ。
彼女は満足げに言うと、ちょうど足元にいたはっしばを鷲掴み、そのままプラットホームの光に消えた。
ただ事を見ていることしかできなかった萌黄と女郎花は、状況もなにも掴めぬまま、シアンを見つめた。
「あのPK、知り合いなの?」
一声を発したのはシアンを誰よりも信用する親友、萌黄だった。
親友である少女でさえ、疑問の念は声に乗せた。
「…え。あ……」
答え、たくない。
「ま。いいっか。……にしても! はっしば盗られたーー!!!」
少女なりの気遣いだった。女郎花もそれを察してか、健気な少女に便乗する。
「ちっ。ギルマスへの忠誠を誓わせるはずがッ……!」
「ど、ドンマイですっ!」
素直に受け取ろう。彼女たちの厚意を。
そして、迷惑にならないうちに………―――
―あとがき―
今回はちょっぴり短く書けました。どうも、わん仔です。
なんだか段々と更新が遅くなってます。
――というより、下書きのスピードもだんだんと………
で、では!
今回はこのへんで。
[No.1201]
2008/04/05(Sat) 22:52:47
act.7 悩める 少女の 人間関係
(No.975への返信 / 1階層) - わん仔
日に日に、“彼女”がギルドへ来なくなっていった。原因はわからない。
自らのギルドマスター、そして親友である少女とクエストに行ったあの日から。
別に、少女が“彼女”に対してどうこう言ったわけではない。ただ判っているのは“彼女”自らの行動、ということだけだ。
―――このことに、少女は酷く傷ついていた―――
――Δ隠されし 禁断の 飛瀑〜アルケ・ケルン大瀑布〜――
少女――萌黄はひとり座り込んでいた。
「…………シアンの馬鹿ぁあああぁあ!!!!」
どうどうと落ちる大瀑布に対抗するかのように叫ぶ。しかし、到底敵う相手ではない。萌黄の悲痛な叫びは痛快なまでに掻き消され、飲み込まれた。
「………」
もう、いっそこの気持ちも水に流したい。
大体、なんでワタシが不貞腐れてんだろう?
だ、だってあ…ああ赤の他人じゃない!
それでもずっと一緒だったからって! ずっと、仲良かったからって……
さすがのワタシだって、あんなこと……傷付くよ………
体育座りの姿勢で、さらに身を縮める。自分で、自分を抱きしめた。
たった数十分前のことを思い返す。
『萌黄、今日は休んでろよ』
ログインして早々、秘色にこう言われた。
もちろんショック受けたし、自称・看板娘だからお店休むわけにはいかないって反論したけど、ギルマス命令だって言われて、仕方なくこうして独りで不貞腐れている。
― 何に?
― ワタシ、かな
自問自答してみた。
ひょっとして自分の知らぬ間に彼女に対して失礼な言動をしてしまったのかもしれない。
自分に非があったのかもしれない。
……それでも
「――――バカ」
それは、他愛のない子供のケンカかもしれない。
所詮はネット。架空の姿、偽りの心。
でも、人との繋がりは現実。たとえそれが、文字情報だけであったとしても。PKという関係にしても。
なんであの時、あんな………?
激しく揺れる思念の波。絆という糸はこうも簡単に擦り切れてしまうものなのか。
萌黄は未だ、ふっ切れない。
[No.1207]
2008/04/07(Mon) 23:08:47
act.8 糜爛する 少女の 行ひ
(No.975への返信 / 1階層) - わん仔
遡ること一週間余。きっかけは、彼女からだった。
『女郎花さんからお休みもらったから、たまには二人だけで冒険にでも行こう? 錬金地区で待ってるね』
こんなメールが、届いていた。あのクエストでPKに会ってからというもの、あからさまなまでに様子がおかしかった。萌黄は真相を探るべく、彼女の誘いに乗ったのだった。
――Δ悠久の古都 マク・アヌ 錬金地区――
そこは海風が薫る場所。
母なる海が優しく問いかけるように髪が靡く。私の決心をも、揺るがせる。
すると。
「シアン……?」
来た。
「行こ」
「…うん」
パーティになるわけでもなく、ただ二人でドームへと歩く。
その間も二人の空気は重苦しく、特に萌黄は耐えきれない様子だった。
――Δ豊かなる 悲しみの 夜更け――
虫の音、環境音しか聞こえない夜のフィールド。その中を、少女たちは歩いていた。
しかし冒険するにも、このエリアレベルは低すぎる。萌黄とシアンのレベルが40台にしても、だ。
―――Lv.5
「ねぇシアン。ここ、レベル低すぎない?」
彼女は………無表情のまま振り向いた。
「今日、初心者さん来てるかな?」
「…え?」
どういう、ことだろう。萌黄はまったくもって理解できなかった。
シアン個人でやっている初心者サポートだろうか。でも、エリアで突然「サポするよ」なんて言われても驚くだけだ。そういうことは大体タウンで行うはず……。
「この間のクエストで会った人ね、私が初めてメンバーアドレスを交換した人なの」
不意に、シアンが声を発した。
「いつも一緒に居てくれて、この『The World』じゃ一番の仲良しなんだ」
「シアンの嫌いな“PK”……なのに?」
「……仲良し」
彼女は、いつだってPKを否定し続けていたのに。
萌黄の頭の中は、疑問符でいっぱいになる。
彼女の言っていることは、どこか矛盾に感じてならなかった。
「アンタよりも、ねwww」
小高い丘の陰から、あのPKが、灰梅が現れた。
萌黄の脳裏に、あの時の恐怖が浮かび上がる。一方のシアンはあの時と打って変わって、無表情。
「あっちに居たよ、獲物様w」
灰梅はそのまま、自身の指差した方向へ歩き出した。
「行こ」
萌黄もシアンに促されるまま、灰梅の後を追った。
ただならぬ不安を胸に抱きつつ…
「きゃーー!!」
一足先にたどり着いた灰梅は、パーティの一人を狩っていた。他のパーティ二名は愕然とした表情で、どうすることもできないでいた。
「ちょっと! 何してんですか?!」
萌黄は敵意むき出しに、灰梅に対して妖扇を取り出す。
「何って、PKじゃない」
答えを発したのは、シアンだった。
シアンに振り返ると、カーソルが彼女にターゲットされた。
「!?」
もはや、驚きは隠せない。
彼女は―――シアンは灰梅のパーティになっていた。
萌黄はうまい具合に誘い出されたということか。信じられない。でも。事実。
「――――…リウクルズ」
少女は、言葉を失った。
あろうことか、シアンが、彼女が。
萌黄の後ろに居る銃戦士の少年に向かって
―――PKを。
「ぅぁああぁあ!!!」
強烈な水圧を受けた銃戦士は、灰色に染まって、倒れた。
これが、真実なのか。
「全ての原因は。――――私。だから。」
ワタシの後ろには、灰色のシタイ。
萌黄の頭の中は、混乱していた。
「どういう……こと?」
「こういうこと」
「――――――レイザス」
“彼女”は、PKだった
―あとがき―
今回は奮発して一気に2話更新しましたー^^
第7話は短かったのに、8話長……い…か、なぁ……?
あ、あと。題名が“少女”“少女”と連発でどっちがどっちか判んなくなってますね…すみませんm(_ _;)m
でも、これでちょっとは遅れを取り戻せたかなぁ…
では。今回はこの辺で失礼します〜
[No.1208]
2008/04/07(Mon) 23:18:06
act.9 迸る 裏切りの 空涙
(No.975への返信 / 1階層) - わん仔
「リプメイン×2! と、ラウリプス!!」
回復スペルの青い光が、灰色になって倒れていた二人と萌黄を包んだ。
皆は一斉に声の主を探す。
そこには…
「リラくん?!」
「あ! 萌黄のお姉さん!」
萌黄に対して笑顔満開で手を振るこの少年。
そう。以前、レアな刀剣が欲しいとの依頼でやって来たあの子であった。
その隣には、あの真っ赤な刀剣【曼球沙華】を手にした女性が立っていた。
この人がおそらく『クラレット』であろう。
「………発見」
曼球沙華の切っ先を灰梅に向け、ポツリと呟く。そして、その眼は開かれる。
「及び……抹殺!」
―――ガキィッ!!
クラレットの素早い一閃。しかし、灰梅は半ば余裕の様子で受け止めていた。
「アンタ、誰?」
「我は“オイナカムイ”の意志を貫く者。幼きを蔑まんとする者は、抹殺の対象とする」
「……ようはPKKってことでしょ? 紛らわしい」
灰梅はイラッとして言うと、大剣をひと振りさせてクラレットたちを威嚇した。
『…………』
萌黄とシアンは、黙ったままだった。
「シアンのお姉さんと萌黄のお姉さんは仲良しなんだよね!」
リラは萌黄の顔を覗き込むように訊いた。その言葉に少女二人はハッとする。
「……そう、だよ。そうだよ!」
萌黄は、笑顔で答えた。
「違う。仲良しなんて……上辺だけの、付き合いじゃない!」
シアンは、泣き顔で答えた。
「同じギルドだったから何? 一緒に居たからって何!? 私はッ―――!」
嘘だ。全部。姿も声も、心も。全て嘘。
「―――その言葉、そっくりそのまま灰梅とやらにも向けられるんじゃないのかい?」
ビクリ。と、シアンの表情が硬くなる。図星だったのだろうか。
「濡烏…」
驚いているような、安堵したような声で彼の名を口にしたのは、意外にもクラレットであった。
「まったく。女郎花に言われて、さらにはお前にまでココに呼び出されたってのに……何なんだこの状況?」
やれやれと首を振るモーションをする濡烏。直後、シアンを真っ直ぐに見た。
「シアン、萌黄と良い友達でいたかったんだろう?」
彼女は真を突かれたかのように驚き、たじろいだ。
「か、勝手な言いがかりはヤメて下さい!! 私は、私は……萌黄が嫌いなのぉッッ!!!」
涙が、散る。空涙が、地に還る。
「萌黄姉ちゃん! 逃げて!!」
リラは咄嗟に叫ぶ。だが、遅かった。
「――――――じゃぁねwwww」
シアンの叫びに応えるように、灰梅はその兇刃で萌黄の体を――――縦断した。
萌黄の思考はもはや追いついていない。どの表情をしたらいいのかさえ、分からない。
―どうしてシアンがPKをしたのか。
―どうしてシアンは泣いているのか。
―どうしてワタシは斬られているのか。
そもそも。ネットじゃこんなに、ヒトの繋がりって緩かったっけ………?
『…………嫌い……だから………』
ワタシがリラの蘇生を受けたとき、もう灰梅とシアンの姿は、なかった。
―あとがき―
どうも。すっかりサボり癖がついてしまったわん仔です(;
今更ですけど、このお話、AIDAとかそういうのは一切でてこないんです。ん〜と、AIは出るかもですが……
後書の方がネタ切れ寸前の今日この頃………(汗
と、いうわけで(?)次回も頑張ります!
[No.1221]
2008/04/21(Mon) 17:22:56
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