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詩歌藩国はまことに小さな国である。 極北の海に浮かぶ島がその国土である。 森は深く山は高い。氷雪に閉ざされた霊峰が島を南北に横たわる。15のターンを経たが、この山脈は変わらない。その威容も人々の想いも。 この島は海底火山を有し、地熱を生んだ。おかげで自然は厳しさだけでなく恵みも与えた。土は肥え、果実がなる。鳥が啄ばみ、落ちたものを地上の生き物が食べる。 過酷に見えるこの島にも、命は生きている。 詩歌藩国はまことに静かな国である。 人もいるが、町の数は少ない。 行き来は殆どが徒歩である。騒音を生む技術が主要なものになっていない。 国中が音に包まれることなど滅多にない。思い当たるのは春先の雪崩、それと音楽。 けれど音楽院は王都のみにある。 他の街で夜毎音を奏でても、国を包みはしないだろう。 なぜなら雪がこの国を包むから。 詩歌藩国はまことに寒い国である。 一年の大半が冬である。短い夏や春以外、雪化粧は落ちない。 木の葉の雨が止めば、粉雪が散る。 湖水は薄氷が張っていく。 草花が霜を溶かす頃、吐く息の色を知る。 日暮れの色を眼にすれば、短日の意味を知る。 霜の花が芽吹くのは、冴ゆる月下の夜のこと。寒造りの酒を飲み、窓辺に思う。 今が春の隣だと。 これまでずっとこうであった。幾度かの騒乱を除けば。 けれど、この年の春。少々具合が違うらしい。 この年の春、詩歌藩国は騒がしい。 このまことに小さな国が、華開こうとしていた。 音楽祭が、始まる。 [No.7350] 2010/03/28(Sun) 00:40:42 |
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