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開催の口火を切る栄誉は、浮遊島が得た。夜明け前のことである。 夜空が星と月の輝きを手放していく。空が深い蒼から白へと移ろうとしていた。 浮遊島の中央部には、神殿がある。 石柱が並び立つ石畳の一本道が伸びている。螺旋を描く吹き抜けの神殿である。周囲にはヘビイチゴが群生している。解け残った雪の下からは赤い実が姿を見せていた。 それは蛇神を崇める場所であった。 凍てつく寒さをもたらすと言われた神を人々は恐れていた。だから、崇めた。 畏怖の念を込めて。 かつては、そうだった。だが、今は違う。蛇神は変わった。 いや、蛇神を崇める国民が変わったのだ。 蛇神様の神官団、総勢150名が整然と神殿内部の螺旋回廊に並んでいる。 彼らは吹き抜けの下にある凍った水盤を取り囲んでいた。視線は、水盤の中央部に置かれた石像に注がれている。 美しい少女の上半身に蛇の下半身を有していた。 それは恐ろしい神と伝えられた蛇神のイメージとはかけ離れていた。この遺跡が発見された当初、神官団は面食らった。 だが、今になって思う。 あの関西弁の神様は昔こんなに美形だったのか、っていうか性別まで変わってないかと。 斉唱が始まった。 回廊の下から順に声が広がり、空にのぼっていく。加わる歌声の数に比例して、螺旋の壁に反響する声も大きくなる。 歌は冬の終わりを懸命に告げていた。 雪解けで水量が増した滝の轟音。 草の若葉が雪を押しのけ芽吹く姿。 落ちる鹿の角が立てる乾いた音。 その150の心は、願っていた。 冬の寒さを土中で過ごす、関西弁の神様との再会を。 この国の誰よりも早く、春の到来を告げたかった。 ともに喜びを分かち合う為に。 蛇神様、はやく起きてくださいよ。 年の若い神殿楽師見習いが、丸く切り抜かれた空を見上げた。見習いになって日は浅かったが、心は立派な楽師であった。学生の頃から抱いていた願いを今も忘れてはいない。 絶対スイングしてくださいよ、ウィングバイパー様。 [No.7351] 2010/03/29(Mon) 22:16:58 |
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