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当たれば軽装の「龍の使い」は、ひとたまりもないであろう攻撃を、寿々乃は冷静に見切っていた。 無論、それだけなら生存本能の働きで、危険が迫る瞬間を目視できた者であれば可能だったかもしれない。 彼女が非凡な拳法家として、天与の才覚と絶えまぬ努力を重ね、そして現実に幾多の実戦を経験している証左は、次の瞬間に発露された。 「拳法家をなめないで貰いたいですね!」 軽口さえ利く余裕を以て、鮮やかに攻撃を回避して見せる。見切って、それを認識する前に、身体が反応する。 紛れもなく、彼女は「龍の使い」の一員だった。 空振りして姿勢が乱れた敵を、空かさず攻撃する寿々乃。 同じ情景は、そこ彼処で展開していた。 「どんな攻撃だって、当たらなければ効かないっ!」 その言葉通り、敵の攻撃を気合と共に回避するのは、これも「龍の使い」りあらりん。 次々と敵を『料理』していた彼女は、反撃してくる敵の攻撃をも華麗に捌き、手際よく『料理』を再開していく。 敵の配置、その強弱、得物、味方の状況。それらを眼で観ながら、彼女は食材と食べる相手を考えながら料理をこしらえるように、無駄なく的確に敵を屠っていく。 「龍の使い」は、確かに胴に鎧を着け、籠手・臑当を当てているが、重装甲では無い。現に、頭部を守るのは単なる笠だ。 寧ろ、鎧は最小限の重量に留め、鍛えぬいた反射神経と直感で敵の攻撃を回避する事こそ、たけきの藩国でも屈指の拳法家である「龍の使い」の戦い方だった。 黒い笠の相手を見事に打った時、それは勝利を確信した。絶対に外す間合いでは無いし、確かに当てた手応えはあった。 飛び道具であれ打ち物であれ存在する、確実に命を奪った手応えでは無かったから致命傷では無いかもしれないが、次で留めをさせば終わる。 その筈なのに、それは自身の視界が暗転している事に、最期まで気づかなかった。そもそも、自身の身体が揺らいで視界が回転している事も、当てた筈の相手が実は無傷である事も、実は自分こそが相手に屠られたのだと言う事にも、それは気づかずに終わった。 避けれぬ間合いの敵の攻撃を、敢えて踏み込んで勢いを減殺してから籠手で受け止め、同時に馬手の小太刀で斬る。 無言で攻防一体の技を示した竹戸 初は、事切れた敵に一瞥する事もなく、次の敵に向かう。絶え間なく、心の中で手を合わせながら。 [No.2487] 2007/08/05(Sun) 04:58:38 |