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一応完成ということで。 問題等あれば直すんで遠慮なくいってくださいませ。m(_ _)m ============================= たけきの最強、最麗の剣、それが「聖騎士の誇り」である。 はじまりは藩王竹上木乃の『聖騎士の為に強くてかっこいい武器が欲しいなぁ』というつぶやきだった。 竹上としてはなんの気なしに発した言葉だったのだが、それを聞いた国民が「藩王様が聖騎士の為の強くてかっこいい武器を欲しがってるらしいぞ」と茶飲話のついでに話したのだ。国民が上層部の恋愛の成否を気にするお国柄、その話が広まらない訳はなく、仕事場で、酒場で、家で、人づてにその噂は広まり、当然の帰結として国中の刀工達の耳にも伝わっていった。こうして国中で「聖騎士の為の強くてかっこいい剣」が鍛えられることになったのである。刀工達を動かしたものは地位でも名誉でも、ましてや金でもなく、「藩王様の望みに応えたい」ただその思いひとつである。 竹上木乃とはそういう藩王であり、たけきの藩国とはそういう国であった。 しばらくして、藩王の執務室は献上された刀剣によって埋め尽くされた。 大量の刀剣の中から竹上木乃自らが選び抜き、名付けた剣。たけきの史上最高といわれる刀匠の手によって鍛えられた逸品。 それこそが「聖騎士の為の強くてかっこいい剣」、すなわち名剣「聖騎士の誇り」である。 普段、刀匠の生家を改築した刀鍛冶資料館に展示されているこの剣は、全長約150cm、剣身は左右対称の両刃で、先端からほんのすこし曲線を描いて広がった後、柄の部分まで内側に抉れたような形をしている。清冽な光を湛える剣身は刀匠の秘伝によって鍛えられ、硬く、鋭い。中央には血溝が先端近くまで伸び、意匠性と軽量化に一役かっている。 たけきのでは古くからニホントウの生産が盛んであり、刀工が切磋琢磨を重ねた歴史により高い技術を誇ってきた。現在でもニホントウに限らず名剣、名刀を生み出す技術にはニホントウの技術の流れを汲む場合が多く、この「聖騎士の誇り」にも随所にその技術が使用されている。先述した長い血溝や内側に窪んだ刀身といった独特の形状を、強度、鋭度、耐久性を落とすことなく実現できるのもこうした高度な伝統技術あってのことである。 柄は20cmほどで、両手で持つことが可能。金の縁取りをされた細緻な装飾、柄頭には竜の頭がかたどられ、ガードの中央には赤い宝玉が埋め込まれている。ガードの両端は一見ただの装飾だが、実は内部が空洞で鈴になっており、剣身が鞘にある時は鳴らないよう細工を施されている。 ガード中央に埋め込まれた宝玉だが、これは藩王がこの剣を見染めた後に追加したものである。見る者の目を惹くこの宝玉は、忍者の隠れ里にある理力の扱いがしやすいという泉の傍で、一流の理力使いが理力を込めたものである。 剣を抜くと宝玉の表面に魔方陣が浮かび上がり理力が発動。刀身はうっすらと光をおび表面には紋様が浮かび上がる。宝玉に込められた理力は剣と使用者の精神をリンクさせ、使用者の意思に応えるように動く剣は本来の何倍もの能力を発揮する。ただし理力の恩恵を受ける代わりに血しぶきや汚れで魔方陣が崩れたり、物理域の問題で魔方陣が浮かびあがらない時には元々の強度こそ落ちないものの、本来以上の重さを感じさせ思うように振るうことができなくなってしまう。血しぶきや汚れは拭き取ればいいだけであるが、それでも戦闘中に突如武器が重くなるのは危険極まりなく、突発的な状況の変化に対応できる者でなければこの剣を使いこなす事はできない。そして、言うまでもないことではあるが思うように振るえないこの武器を高物理域で使用するものもいないのである。 鞘は柄と同様に金の縁取りをされた装飾と宝玉がはめこまれており、その華美に過ぎず風格を感じさせる美しさも藩王がこの剣を選んだ一因となっている。ちなみに鞘の宝玉には理力はこめられておらず、ただの飾りである。 戦いにおいてこの剣は、鞘より抜き放たれるその瞬間から力を発揮する。それは、武具の機能としてではなく旗印としての象徴的な効果である。鞘から抜き放たれたこの剣はガードの左右に仕込まれた鈴の音、光を跳ね返す剣身の煌めき、魔方陣を浮かび上がらせ赤く眩い光を放つガード中央の宝玉、そのどれもが戦場に似つかわしくないほど美しく、周囲の者に戦いの場にいることさえ忘れさせる。一瞬の静寂の後彼らが我に帰る時、味方は自分の中に湧き起こる新しい力を感じ喜びに震え、敵は自分の大切なものを相手にしているような錯覚を覚え恐れ慄く。 あるいは、この剣の真価は味方の士気を上げ敵の士気をくじくこの瞬間にこそあるのかもしれない。 とはいっても、もちろん武器としての機能も一流であり敵と切り結び切り捨てる時にも頼れる相棒として、聖騎士の直面するあらゆる局面においてその力を発揮する。 聖騎士は騎士であり、騎士とは馬上の戦士である。 故に聖騎士の武具は馬上での戦闘ができなければならない。 「聖騎士の誇り」は元々の重量バランスの良さに加え、宝玉に込められた理力のおかげで片手での扱いも苦にならず、鞍上で手綱を持っての扱いが可能である。 また、長めの刀身により馬上より振り下ろす、振り払う、あるいは馬の勢いを利用して突き通すといった動作をする際に攻撃可能な範囲も十分に確保されている。 聖騎士は護る者であり、迫りくる敵を盾を持って食い止める。 故に聖騎士の武具は盾を持っての戦闘ができなければならない。 正面からまともに受け続けるのでなく、相手の攻撃を受け流したり捌いたりする技術を持つ者が扱う時、この剣は「もうひとつの盾」として十分な働きが可能な硬度と耐久性を持っている。ここでも折れず曲がらずと謳われるニホントウの流れを汲む技術が生きているのである。 また、先ほど挙げた片手での取り回しの良さ、刀身の長さは盾を持った戦闘の際も有用である。 聖騎士は戦う者であり、迫りくる敵を打ち倒す。 故に聖騎士の武具は敵を打ち倒す力を持たねばならない。 長いグリップは威力が欲しい時には両手で持つことを可能にしている。 両手で持ち叩きつけるように扱えば、攻撃力は増す。もちろん、どんな威力を生み出す斬撃であっても剣身が欠けるようなことはない。 最後に余談になるが、この剣の出来をいたく気にいった藩王により『聖騎士の制式武具にしよう』という案もあがったのだが、この剣を鍛えた刀匠が「自分へのご褒美」と称して旅に出てしまったため、今のところ実現していない。 (2589文字) [No.3674] 2008/11/13(Thu) 02:12:48 |