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(何故、こんな事に?) たけきの藩国、城内の政庁。暑さの厳しい折ながら、雨戸も障子・襖も全て開け放っている事と屋根が高い構造から通風が優れているので、空調なしでも涼しく勤務の出来る書院の中。 休憩時間で雑談に花を咲かせている輪と離れた場所で、竹戸 初は自問自答していた。 「夜の廊下を、音も無くスゥーっと人影が移動したんだよ!」 「ええ!? あの鴬張りって言うよりも、単に老朽化しているだけの廊下を?」 「闇の中を、キラキラと光る何かが無数に乱舞してたのも見たぞ!」 「おいおい?」 聞くまいとしても聞こえてくる噂に、竹戸は自分の顔色が変わっていないか不安だった。 思いは、今朝まで遡る。 ……… 竹戸 初の朝は、午前四時に始まる。 静かに起床し、寝巻き姿のまま足袋を履き、帯の上に大小を佩く。庭で日課の朝稽古をする為だ。普段は木太刀を用いているが、この日は常佩きの真剣を選ぶ。 森閑とした夜の城内。寝ている人を起こすのは気の毒だし、警備の眼に触れるのも好ましくない。第一、稽古など人目を忍ぶもの。 呼吸まで気を配り、摺り足で歩く。足裏に充分に綿を詰めている皮足袋で、音もなく廊下を抜け御庭に出る。 殿舎から離れ、庭の奥に立つ。 自然体の姿勢から、スッと予備動作なしで抜刀する。 半身になり、腰を落としながら抜きつけ、仮想敵を下から斬り上げる。 動作を滞らせず、即座に次の仮想敵に対して、肩の高さまで斬り上げた刀を反転させ、小手を狙って斬りつける。 道場とは異なり、水平とは程遠い起伏に富んだ庭を滑るように移動しつつ、次々と襲い来る仮想敵に対して、クルリクルリと刀を揮う。 小手を狙い、得物を握る指を狙い、時に擦れ違い様に臀部を撫で斬り、頸部や眼球を霞めるように斬る。 何れも、多数の敵に対した時に、敵の気勢を制し、相打ち覚悟の一撃必殺の伎でこそ無いものの、同じ速さでも敵よりも先に斬りつける事が出来る急所を狙う伎。 一時間余りの間、竹戸の稽古は続いた。 ……… (あの後、普段通りに御庭を掃除して、汗を流して着替えて、またいつもの朝が始まる筈だったのに) どうやら、廊下を移動する影が障子越しに目撃されたらしい。その上、御庭の奥で一人稽古をしている姿まで見られるとは。 遠眼だったので、刀剣の煌きだけが庭の向うに見えたのだろう。 (まさか、怪談扱いされるとは!) その内に、真相がバレるのではないか? いっそ、その前に笑い話として此方から打ち明けるべきでは? いやいや、しかし……。 どんどん尾鰭の付いて行く噂を遠くに聞きながら、竹戸は何度目とも分らぬ溜息を吐いた。 [No.766] 2008/07/16(Wed) 04:42:50 |