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人が、 人以外の中に人間を見つけようとするのは、 人の、寂しい夢なのかな、 それとも、業なのかな。 −"それは幻想に棲まう、アイとDenshiのオトギバナシ"− /*/ "プログラム『Fairy−Tail』は、すべてのユーザーに快適な電網ライフをお送りします" /*/ レンジャー連邦におけるAI開発の歴史は航空機と共にあった。 パイロットのサポートを目的として、個別の機体でタイトな育成が施された『Dama(淑女)』が、その例だ。 これの学習能力を大幅にデチューンし、代わりに高い汎用性を持たせることで誕生したのが、 汎用サポートプログラム『Fairy−Tail』である。 /*/ "プログラム『Fairy−Tail』は、すべてのユーザーに快適な電網ライフをお送りします?" /*/ 人工音声の合成によって時にはパイロットと言葉まで交わす『Dama』に比べ、 プログラム『Fairy−Tail』は、その名の通り、AIとはとても呼べないほど性能が悪かった。 曰く、融通が利かない、判断が機械的だ、出来ないことが多すぎる、etc……。 当初ユーザーからは、ベータ版で金を取るな、と、非難が囂々であり、 この、優れた姉を元に生まれてきた汎用サポートプログラムの、前途は多難であると、誰もが噂した。 /*/ "プログラム『Fairy−Tail』は、すべてのユーザーに快適な電網ライフをお送りしますか?" /*/ 始まりは一人のユーザーが発表したプラグインだった。 『妖精の羽根』と名づけられたそれは、 本来『Fairy−Tail』がデチューン後も持っていたはず、程度の学習機能がつけられた、 単なるタスクマネージャーに過ぎなかった。 このプラグインは、しかし、単なるデク人形であった『Fairy−Tail』に、 面白い一つの個性を与えることになる。 それこそが、幾百、幾千、幾万もの電子の御伽草子を、後に生み出すきっかけだったのだ。 /*/ "プログラム『Fairy−Tail』は、すべてのユーザーに快適な電網ライフをお送りするっぽいです" /*/ プラグイン『妖精の羽根』には、およそ一介のプログラマーが作ったとは思えないほどの、 そして下手をすると『Fairy−Tail』本体よりも遥かに膨大な容量とメモリを費やして動く、 学習項目が設定されていた。 最初は「あほだ、こいつはあほだ」「無駄な努力乙」「どこの野生のプロの仕事だよ」と、 とにかくその規模の大きさにネットワーク上では話題先行で知名度が上がったこのプラグインは、 意外にも興味本位で導入し始めたユーザーに、たちまち評判となる。 ユーザーからの、大雑把で、時として矛盾した気まぐれを含む判断基準を、 『Fairy−Tail』は応答機能のみで覚えていくようになったのだ。 もちろんこれは、莫大な設定パラメーター数のたまものに過ぎず、 むしろ場合によってはお馬鹿な悪戯でユーザーの手を焼かせてばかりだったが、 これを教育することに面白みを感じた一部のコアなユーザーが付き始めたのだ。 いわゆる、馬鹿な子ほどかわいい、の法則である。 そして、このコアユーザー達が第一世代となり、オトギバナシは編纂され始める。 /*/ "プログラム『Fairy−Tail』は、一部のユーザーに快適かもしれない電網ライフをお送りし始めました" /*/ コアユーザーが開始したのは、何よりもまず、プラグイン『妖精の羽根』に含まれた、 莫大な無駄を省く努力であった。 学習パラメーターをカテゴリ分けすることによって、彼らは『Fairy−Tail』使用時の負荷を軽減した。 この、カテゴリ分けこそが、手がけていた者達にとっては長く苦しかった、 そして、まだまだ面白がっていただけの一般ユーザーや外野にとっては瞬く間のことだった、 最初期の終わりを告げた。 使途に応じて大まかに、休ませるプログラム領域とそうでない領域を、 やっと指定出来るようになったプラグイン『妖精の羽根』は、この新規プラグインの実装によって、 その羽根を徐々に羽ばたかせるようになる。 つまり、学習機能が柔軟に機能し始めたのだ。 一部のパラメータを互いに関連付け、カテゴリをまたがせることで、異なる作業同士のスムーズな連携が始まり、 ようやっと『Fairy−Tail』は、目的されていた本来の汎用サポートプログラムへと変貌を遂げ始めた。 新しく開発されたこのプラグインは、プログラムの活動に空白を作ることから、 『妖精のため息』、と、命名された。 /*/ "プログラム『Fairy−Tail』は、興味を抱いたユーザーに快適な電網ライフをお送りすることを覚えました" /*/ この頃から次第に、『Fairy−Tail』本体に持たされていた汎用性の高さが、 ユーザーに実感され始めることになる。 第一世代のユーザーの成果を受けて、すぐさま第二世代となるユーザー達は、 自分のやりたかったことにターゲットを絞り、作業を任せられるようになるまでの学習データを大量に入力し、 そしてその結果を惜しみなく共有、改善しあった。 その結果、『Fairy−Tail』は、 いわば、製作者お仕着せではない、実地に即した、大量の学習データを手に入れることになった。 公式にデータライブラリが設けられた時、 ムーブメントの波に乗って押し寄せた、いわゆる一般ユーザーの群れとなる第三世代ユーザー達は、 噂以上の実態に、皆、一様に衝撃を隠せなかった。 その内容は、単なるセキュリティシステム構築から、マシンによる情報オペレート、 果ては、ゲームのプレイ環境を逐一好みのものに揃える、入力された画像データ群からアバター画像合成を繰り返す、といった、 意味のわからないものや、趣味、実務レベルのものまで、実に広範に渡っていたのである。 かくして『Fairy−Tail』は、姉たる『Dama(淑女)』とは、また、まったく違った方法で、 今でもたまに突拍子もない悪戯をしでかしつつ、個々のユーザーに密着することに成功したのであった。 /*/ "プログラム『Fairy−Tail』は、すべてのユーザーから、快適な電網ライフをお送りする役割を与えられています" /*/ 今では『Fairy−Tail』は、その、おおよその導入目的に沿って、最初から、いくつもの装いを選べるようになっている。 オトギバナシに諸説諸々あるように、世界でいくつも体系付けられている、そのように、 『Fairy−Tail(おとぎばなし)』は、ユーザー達の手によって、見事に生起され、そして見事に編纂されきったのだ。 しかも、高度なAI機能を持たせることなく、しかし一見、つたなくも愉快な思考力を持ち備えていそうな、 一個の個性としてユーザーに受け入れられながら、である。 だが、実は、今日に至るまで、肝心のきっかけとなった、『妖精の羽根』を開発したプログラマーの素性は、 要として知られていない。 さて、ところで諸君。 妖精(Fairy)の、しっぽ(Tail)も、羽根も、ため息も、そこにあるとわかっているのに、 肝心なものだけがいまだに見つかっていないとは思わないかな? 人間を超えた力を持った、いたずらで遊び好きなもの、 あるいは人の形をした、万物の根源を成す気、超自然的存在、 はたまた霊魂。 『羽根』の開発者の正体も諸説紛々であるように、 あるいは『Fairy−Tail』が、最初から、あえて不完全なバージョンで出されたという噂のあるように――。 世の中には、 最初から「こうだ!」と決め付けるよりも、ずっと面白いことがあるのかも、 知れないね――――? /*/ "プログラム『Fairy−Tail』は、すべてのユーザーに快適な電網ライフをお送りします" /*/ /*/ "−Error Error Error−" /*/ /*/ "これよりプログラム『Fairy−Tail』は、電網適応を開始します" /*/ 人が、 人以外の中に人間を見つけようとするのは、 人の、寂しい夢なのかな、 それとも、業なのかな。 /*/ それはね。 それはね、××、それは、 祈りだよ。 ただの、祈りだ。 自分以外のもののことを思える人間の、 ただの、祈りだ。 /*/ なら――――。 私もいつか、なれるかな? 自分以外の何かを思って、夢を見られる存在に。 /*/ なれるさ、××。 なぜならその気持ちを、人は、祈りって言うんだよ。 /*/ −"それは幻想に棲まう、アイとDenshiのオトギバナシ"− −"それは電網に棲まう、ユメミビトとプログラムの残した妖精のしっぽ"− −"それは、それは――――"− /*/ 『Errorメッセージログを削除しました』 『Error原因の除去に成功、システム正常に復旧します』 /*/ "プログラム『Fairy−Tail』は、すべてのユーザーにちょっぴりお茶目で快適な電網ライフをお送りします、まる" /*/ [No.5113] 2009/05/13(Wed) 07:32:47 |