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#間にオペレーターと連動する事を追記しています。 まるで砂嵐の中にいる様な先の見えない防御壁に舌打ちをする。 どう攻撃を仕掛けるか…ここに到達するまでもてこずり、チームで挑んだメンバーも気が付けは片手で足りる人数にまで減ってしまった。 情報という名の星々が輝くネットワークの宇宙に浮んだ白い広大な砂漠を持つ星の中で、ハッカーと呼ばれる彼らは途方に暮れ、そして恐怖に生唾を飲み込み誰もが悪態をついた。 …オアシスはもうすぐだと言うのに。 痛みさえ覚える光の粒が生き物の様に押し寄せる中次々と壁を崩す為の手を投じるが、一つ消すと光は複数に分裂するプログラムで、消せは消すほど、手を投じれば投じるほど踏み込む難易度が跳ね上がる。 「くそったれ!」 横を向けば近くにいたはずのメンバーが見えない、そして周囲は焼けつく光の粒の嵐渦。 このままでは侵食される! 彼は身の危険を感じてギリギリでログアウトをした、これがテストの為のハッキングというのを忘れて…。 「お疲れ様でした」 穏やかな女性の声とモニターから溢れる光に「ここは現実なのだ」と彼はぼんやりと意識を戻して行く。 息が荒い、首に取り付けたプラグとコードが熱を持っている気がしていた。 「ひでえもんだ…だれだあんなプログラム組んだのは」 全身が重いのは、汗で水分が失われた為だと脳内に届くヘルスチェックデータで分かる、彼は側に控えていた彼女に水を頼むと、直ぐにハッキングデータを分析に回したのだった。 情報戦の評価値をあげる為に挑んだ、レンジャー連邦ハッカー部隊全員による実戦さながらの『バッジシステムネットワークセキュリティー攻略作戦』。 これは先に行われたナニワアームズ藩国で行われた情報戦移行、敵は難易度80超という数値を叩き出して来た事を踏まえて行われたテストであった。 軍ではその脅威に対してどうしたものかと頭を抱えたが、敵が防御壁を破っても破ってもそれより早く次の防御壁を作り続けるプログラムを考案し、ついぞ先日、開発中の軍専用のサポートセキュリティシステムである電子妖精に組み込んでみたのだ。 砂嵐の様な防御壁、という比喩は砂漠の国に暮らす彼らならではの畏怖を込めた表現ではあったが、正にその通りとデータを受け取った開発者も頷く表現である。 敵のフィールドに持ちこまれるのは勝率を確下げる事を意味しており、常に敵が動きにくい戦場を維持する必要があるのはネットワークの世界も同じ事。 電子の世界では人の及ばない速度世界が存在する。しかし、意思を持たない敵を相手にする時「生」ある人は迷い思考する、というロスタイムを生んでしまう為に不利に陥りやすいのだ…。 レンジャー連邦の電子妖精はあくまでもオペレーターとの連携無しには動かないものだが、一旦指令を受ければ局面に合った行動を自ら選びだし、自動で防御ラインを構築しそして侵入者を撃退する事が出来る。 オペレーターはランプに住まう妖精のマスターだ。 彼らは厳しい審査の元選ばれ、大統領府の監査を受けながらマスターである資格を誇りに職務を送る事になる。 電磁波を遮断する個室の並ぶ一角、その部屋の中心に置かれた黒いボックスにノートPCを繋げ、システムのチェックをしていた彼女はほほ笑む。 ここはL.A.M.Pの置かれた秘密の場所。 その開発者である彼女とその側に立つ男性も名を知られる事はない。ここではそう言う事になっているのだ。 「そこをサポートするのが電子妖精なんです。普段はオペレータの作業効率を上げたり、他システムとの誤差を埋めるために働いてくれますが、それは本職ではありません。」 モニター上には可愛らしい妖精が羽を休める様に座っている。 正式にはモニターの中、デスクトップマスコットよろしく時々ランダムに動いているのだが、これがこちらの指示を待っている様で微笑ましい。 この姿は過酷な仕事をする職員の癒しになる様にしつらえた物で、自分の使うPCモニタでは好きな姿で見える様カスタマイズできるのだ。 彼女の電子のパートナーは赤毛の少年型、ややサイバーなスタイルが特徴で、透明な羽をパタパタ動かして待機していた。 「この電子妖精『沙嵐』が誇るのは膨大な情報を処理する能力と速度です。電子の世界での速度はハッキングに対して高い抵抗力を生みますからね。」 「ここでも速度ですか…、スピード勝負とは良く言いますがねえ。」 「ええ、ここでもですよ。」 彼女の答えに苦笑する男性、口元が柔和な笑みの形に動く。 「さて、このセキュリティーも万全ではありません。その時はどうしましょうか。」 「ああ、その時は…」 中には情報戦絶対成功という特殊を持つ存在もあるのだ、そういった相手に対してはどんな分厚い壁を作っても潜入をされてしまうだろう。 そういった時の対処もセキュリティの重要な一つであった。 「はい、ここを押して下さい」 「ここ?」 彼女は黒いボックスの脇にある赤いボタンを指さした。 ボタンは赤だけではない、何色かあって順番に並んでいるのが見えたが、彼はとりあえず指示されたボタンを押してみた。 『第一システム強制切り離し作動』 音声案内の後、直ぐに正面から何か基盤の様な物が飛び出し、静かに稼働していたボックスがにわかに騒ぎ出す。 「!?」 彼は驚きながら数歩後ろ下がり指示を出した彼女の顔を見た。 「直ぐに第二システム起動しますよ。外部より潜入され侵食された第一システムはダミーシステムとして敵にはそのまま稼働している様に見えますが、こちらでは次のシステムが起動し、侵食された部分を修復して正常に働くシステムになっています。」 「ふむ…、とかげの尻尾切りみたいですね。」 「えー、ランプの精の魔法と言って下さいー。」 と彼女は楽しそうに笑い、自分のPCを使ってボックス全体を再起動さると、L.A.M.Pの第一システムをメイン設定に戻す。 「敵は自分が魔法にかかっている事に暫く気付かないでしょう、その間沙嵐は嘘の情報を敵に送り続け、一定の時間になったら自動的に…敵に気付かれシステムを解析される前に敵のハッキングシステムを巻き込んで消滅するのです。面白いでしょう?今のは手動ですが、ハッキングに沙嵐が気付いたら自動でも稼働するんですよ。」 「すごいですね…」 彼は自分の身の丈を超える黒い箱を前にして、深く息をついた。 ハッカー達が恐れる砂の嵐を起こした妖精の正体は、金で入れられた文字だけが魔法のランプの面影を残すコンピューター。 静かな室内は人工の灯りだけが白い壁と黒いボックスを照らす部屋で、そんな中、彼と彼女はノートパソコンのモニターでくるくる動く電子の妖精を見つめた。 普段は愛嬌のある妖精の姿を取っているが、その実は彼らは主人に忠実な恐ろしいランプの精でもある…。 「ここは正に電子妖精が住まうランプ…か。」 彼は小声で呟く、どうしてか他に誰もいないのに声をひそめなくてはいけない気がしたのだ。 レンジャー連邦のどこか誰も知らない秘密の場所で、L.A.M.Pと呼ばれる住処から電子の宇宙を舞う遊撃手が、静かに飛び立つ時を待つ。 そう、ランプを主人が擦る時が来るまで。 [No.6289] 2010/03/14(Sun) 13:56:34 |