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Blue, Blue, Blue. I’m Perfect Blue. 黄色いマフラーをたなびかせながら、少女はいつものように呟いた。 それは彼女が戦場に立つ際にする、祈りの誓言のようなものである。 右手に機関銃、左肩から学生鞄。 セーラー服は、着ていない。が、年代は似たようなものだ。 仁義は切らない。校則も知らない。 風代ナインにあるのは虐殺のみ。 虐げる先は己である。 殺されるのもまた己である。 だが死なない。 Chu!! 白い歯が剥き出されて笑う、虚空へのキッス。 現実にはありえない、水色の、ロングストレートの髪が青く燃え立った。 それは青く、あまりにも青く、また、青すぎて、青を通り越した青だった。 I’m Perfect Blue. Because… 脇を締める肘を引き付ける体幹に固定するパルスを走らせるトリガーを引く人差し指握り締められた下三本足を踏ん張って揺れるミニスカート反動は両足が吸い胴体が殺し肩がいなし肘があわせて下腕でまとめた。 DaDaDaDaDa!!!!!!! 唇から迸る擬音不敵な笑み。 炸薬が爆ぜて銃口が光るTiTiTiTiTi… 捨てるマガジンを足で蹴り避け、学生鞄からリロード僕○○えもん。 無限じゃないぜ、無尽だぜ。 ただし弾が有限で、撃つ私の意志が無尽だぜ! 銃弾がめりこんだ。 右目を吹き飛ばす。さすがに血までは青くない。軟体生物とは違う。 骨片は白いし脳髄は灰色に赤みどろだし、木っ端微塵の眼球なんざ色すら認めるのも難しい塵状の破裂。 笑う。 笑う唇を弾丸が裂いた。 喉に穴が開く笛のような風切り音を呼吸で響かせる赤い洪水が内側から嘔吐の滝のように滴るそれでも立つ。 狂気などはない。 ただのコンバット・ハイでもない。 実に自然に、ナインは呼吸するように自らへの加撃を受け容れ、山の空気はうまいといわんばかりに笑っている。 偏差修正。アイボールセンサーが減ったので三次元視覚に及んだ影響をいつもの調子で補正する。集弾率向上、何、撃たれてからが本番だ。青く欠落部位の断面が輝く。青を極めれば群青や藍にはならないのだと、人は、彼女を見ていて常識から照らせば意外なことに気付くだろう。 青を極めれば水になる。 黒ではない。それは単に青を重ねたに過ぎない。極めるのとは異なる。 青は、青いから青なのだ。 その理屈を煮詰めれば、青から水色が生まれてくる。 今、また、ナインが撃たれた。 内臓を持っていかれた。アンチ・マテリアル・ライフル、対戦車の25mm級口径弾丸を直撃で胴体にもらい、文字通り、内臓が持っていかれた。 胸から上が勢いよく回る。回る回る回る、下半身の重みから解放されてすっ飛んでいく。 骨盤の突き出た腰から下は、きりもみ状に地面と水平になってから、やはり吹っ飛んで、地面を削りながら停止した。 衝撃にトリガーは引かない。無駄弾は撃たない。 唇で歌う。 I’m Perfect Blue. それは完全なる青の名乗りなどでは、ありはしない。 青いだけの、ただ青いだけの存在を、完全などと呼びはしない。 それは完成された青の名乗り。 虚空に拠って立つ、水色存在の名乗り。 青を過剰に極めた青い青い水色の名乗り。 輝きが肉片に回る。 ガソリンが撒かれた。 爆発。 肉片ごと焼却処分しようとした相手がいたようだ。 だが、駄目だ。 気化したガソリンの、熱による空間膨張を伴う赤い灼熱が、見る間に青く染まっていく。 青い空間膨張は収縮へと反転して、炎を纏うかのようにして、腰に手を当て、左肩から学生鞄を、右の腕には機関銃を、首元から黄色いロングマフラーをたなびかせ、水色の髪を腰まで垂らした、カジュアルなミニスカートファッションの少女がそこに生まれる。 「あたしを焼きたいならせめてバレル単位で漬け込んで連続発火してくれないとね」 だめだめよん、と、ナインがナインたる笑みをする。 それは自然で溌剌とした表情筋の作用。 やっほー、と、今にもやまびこを呼びそうな、ハイキング気分の深呼吸。 風代ナインにとり、死は呼吸である。 機関銃を初めて腰から離して手撃ちした。 銃口は切っ先の如くに敵を指し。 反動によるブレを修正するまでもない。 初弾の一撃で脊髄を砕かれて、敵は這いつくばった。多分いくつかバラまいた弾が追い撃ちになったろう。 赤い血の染み、酸化で黒い。 風代ナインの敵対者たちは、風代ナインとは異なり、呼吸をしない。 撃たれたら、死ぬだけだ。 「石の中にいる! とか位、やってくれないとねー。 あ、でも前に鋳金されたか。あの時は結局冷える前より冷えた後の方が楽だったんだよねー」 冷えたらすぐに出てこれちゃったし、と、若者らしい軽薄さでひとりごちる。 存在確率の変動操作も受けたけど、0でも存在しちゃったしなー。もはや歩く矛盾。 「絶技でなら殺せるんだろうけど、オーマでなら、私位のも平均的なんだろうけど」 と、学生鞄にてきぱき手際よく機関銃を解体して仕舞い込みながらの嘆息。 あいにく彼女はオーマに出会ったことがない。まして絶技を攻撃的に使って来るアラダを、望むべくもない。 Blue, Blue, Blue. I’m Perfect Blue. 歌う唇が小気味よい。 Yes, I am!! ビシィと右手の形を拳銃に見立てて振り回すポージング。 あたりに散らばる死体から、そろそろ生臭い空気が漂い淀んでナインの元まで這い寄ろうとしていた。 淀みを溌剌で蹴散らして立ち去るナイン。 後に残されたのは、消えることない死体のみ。 [No.6341] 2010/04/06(Tue) 22:14:10 |