| ☆金星食の撮影、一応成功した!
晴れるか否か、それが一番の鍵だった。 僕らは噴火湾を北上、函館から北へ西へと向かった。
その途上、あらんことか、長万部の手前の噴火湾で晴れ始めた。 この場所は、僕たちのマル秘ポイントのある海岸だった。 僕たちはここで金星食を撮影することを決めた。
月が昇ってきた。 雲の切れ間を出たり入ったりしながら 月と金星はその形をより鮮明にしてきた。
雲がほぼ切れたとき、 月と金星は暗黒の夜空を背景にその姿を鮮明にし、 その光を海に投げかけた。 波は月と金星の光を金銀のさざ波に変え、 幾重にも重なる波の絨毯のように見える。
美しかった。あまりにも美しかった。 ただ金星と月とが近づき、寄り添っているだけなのだ。 それなのにこの美しさはいったい何だろう。 こんなに美しい光景を僕は見たことがない。
その後、金星は月に隠され、一時間ほど経ってから 再びその姿を現した。 オリオンが海辺から昇ってきていた。 夜明けが始まっていた。 金星と月の光は青白くなり始めた空に徐々に同化していた。
こうして金星食の撮影に一応成功したが、 やりたいと思うことの1/10もできなかった。 でも、金星食の美しさは、撮影では伝えきれないだろう。 金星食という単なる現象として伝えるのではなく、 この美しさをより強く印象深く伝えられるならそれが本望だが それはとうてい不可能と思う。
でも、今持てる力の全てを使って撮影した。 |
No.961 - 2012/08/15(Wed) 16:26:36 |