----- 長篇官能私小説「淫妻・麻紗美 第1話」第3章第6節をアップしました。 ----- 小百合の眉がぴくりと動いた。「知らない? 経験がないのですか?」
その問いに、麻紗美はますます声を落として力なく答える。
「私、早くに結婚したものですから。主人もいまして、そういうことには満たされております。ですから、一度もそういうことをしたことは・・・」
小百合の頬に一瞬あざけるような笑みが浮かんだが、恥ずかしげに瞳を伏せていた麻紗美は気づくことはなかった。
「あの、もう一つの方法というのは?」 小百合は、顔を伏せたままの麻紗美の顔を覗き込んできた。
「あなたにマスターベーションの経験がないのでは、しかたないですね。ただ、残りの方法も、決してたやすくはありませんよ。いいですね」
麻紗美は頷く。小百合はその答えを確認してから、ソファに深く掛け直した。
「要は瑠里子さんのフラストレーションを解消して上げれば良いのです。ですから、誰かが、というより、あなたがということになるでしょうが、彼女にオーガズムを与えてあげればいいのです」
「そんな!」 立て続けに出される無理難題に、麻紗美は思わず立ち上がって叫んでいた。 そして、同時に小百合も立ち上がっていた。
「また、出来ないとおっしゃるつもりですか」 小百合の声には叱咤の色が加わっていた。
「そうやって逃げてばかりで、どうするつもりなの。瑠里子さんはあなたの娘でしょう!」 「でも、でも・・・わたしでは、どうすればいいのか、わからない・・・」
麻紗美の頬を涙が伝った。麻紗美はそのままその場にしゃがみ込むと顔を覆って泣き始めた。
小百合は、そんな彼女を、しばらくの間冷たい瞳で見下ろしていた。 やがて、小百合はそっと麻紗美の傍らに歩み寄ると、身を屈めて彼女の肩を優しく抱きしめた。
「さあ、いつまでも悲しまないで。涙は何の解決にもならないわ」
しかし、小百合のその優しい言葉にも、麻紗美の嗚咽は止まらなかった。 女教師はしばらくためらったが、力強く麻紗美の身体を抱きしめると、意を決したように言った。
「もし、あなたが出来ないのなら。わたくしがやってもいいわ・・・」
麻紗美が涙に濡れた顔をあげた。 小百合はその嘆きに歪んだ顔をじっと見つめると、
「もし、あなたがそれでよいのなら、わたくしがやります。リラックスさせるマッサージだと称して、やってみましょう。いいですか?」
一瞬泣きやんでいた麻紗美は、小百合のその言葉に再び嗚咽を洩らし始めたが、見間違いようのないほどはっきりと頷いて見せた。 小百合はその承諾の意思を確かめると、言葉を続ける。 ----- |
No.8222 - 2017/11/02(Thu) 20:51:35
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