No.1161 2016/02/19(Fri) 18:34:05
結果を意識せずに作業に集中する具体的な方法について解説いただけませんか。 「焦りの解除」の記事で、出来た結果に意識が集中すると、目の前の作業がおろそかになる旨書かれていたと思います。自身、まさしくその状態であり、作業が少し進むたびに、「まだこんなにも残っている」、「もうあと少しだ」と、自分を鼓舞しながら作業を進め、へとへとになって作業を終えます。 そのように焦って作業をした場合、一つ一つの作業内容がおろそかになり、いつのまにか作業目的がただ「早く終えること」になってしまっているのを感じます。その結果、再度やり直しが必要になったり。 一つ一つの作業を丁寧にやるほうが結果的には効率的かもしれないですが、とりあえず早く終えて安心したい、という気持ちのほうが勝り、気づいたら作業に集中出来なくなって、「あーまだこんなにある・・・」とやる気がなくなってしまいます。 自分としては、全体の作業の半分をとりあえずの目標にしてやるようにしています。半分を終えたら後は気分的に楽で、ゴールが射程に入るからか、作業がゴールというご褒美に向かって加速するからです。100やることがあれば、とりあえず50を目指す。50を目指すに当たって、25を目指す。25を目指すに当たって、13を目指す。13なら2時間程度でできそうである。その時点で着手する。ただ、13を終わった時点で、100を意識してしまって、「あーまだこんなにある・・・」と思い、不安が大きくなり、作業が手につかなくなってしまう。 ただ、「全体を見て、今の位置づけを確認することも大事」とも思うので、作業に集中するだけなのもいかがなものかなとも思います。 具体的な方法論を提案していただけるとありがたいです。 |
|
No.1162 2016/02/25(Thu) 10:43:57
「焦りを解除して落ち着いて作業できる技術」といったテーマになりますね。 僕自身の仕事経験なども踏まえて、本格解説など^^。
「焦らず集中して作業できる技術」の3段階要件
まず書いて頂いた状況を考慮して、まず理屈をまとめますと、次の3段階が要件になる、ということになるかと。 1.一つの作業ごとの、自分なりの高品質な作業手順と必要時間の積もりを確立する 2.適宜の進捗管理による調整 3.その作業そのものに面白みや価値などの魅力を感じられること
1つ目の「高品質な作業手順と時間積もり」はよろしいかと。「これじゃーやり直し!」とならないよう、不具合なく高品質にその作業をやるための、自分なりの作業手順の工夫を、自己点検なども含めて確立し、一つの作業でおおよそどのくらいの時間が必要かの目安を持つ。 ノウハウ的なポイントとしては、全速力でそれをやった場合の最短所要時間と、余裕を入れてそれができる通常所要時間という、2つの数字を把握するというのが、次の「進捗管理」で重要になってきます。
2つ目の「進捗管理」は、ある程度の大きなくくりで作業の進み具合の計画と実績を比較チェックして、差があればそれに応じた調整を行うものです。 例えば遅れが出ていたらスピードアップ、それでも挽回が難しいようなら、最終成果の目標を「下方修正」したり「延期」したりする。予定より進んでいたら、後ろの作業で余裕を多めにいれる、あるいは最終成果の目標を「上方修正」したり「前倒し」したりする。 ここでのポイントは2つ。 まず、「計画」は上記「時間見積り」の、「通常所要時間」を使って計算します。これをカッコつけて(^^;)「最短所要時間」を使って目標を立てるのが、最終的な失敗が火を見るより明らかな、経験不測の人がやりがちなものです。 そしてもう一つがまさに「焦らず集中して作業できる技術」の核になるものですが、こうした進捗管理調整作業は、そもそもの作りこみ作業とは完全に切り離して別に行わなければならない、ということです。 これをまさに、作りこみ作業が進捗管理調整作業を伴うものであるかのように行うのが、作業に落ち着いて集中できず、焦りによってミスを頻発しやすい作業姿勢です。最終結果目標に間に合うかどうかが気になり、作業そのものに集中できなくなる。その結果ミスも起きやすくなり、間に合わない結果を招く。 書いて頂いた状況が、まさにこのやり方でやってしまっているものかと^^。それを、適宜の「進捗管理タイム」を本来の作業とは別途で入れるようにすることで、「あとこれこれの間はこれこれのペースでやればいい♪」という安全線を見極めることで、その「あとこれこれの間の時間」は、もうほとんど進み具合結果については心配することなく、本来の作業そのもの、つまり上記1で確立した自分なりの作業手順に専念した作業が、可能になるわけです。
ですので、
>結果を意識せずに作業に集中する具体的な方法について解説いただけませんか。
というご質問の言葉尻(^^;)を取り上げて正確に言うなら、「結果を意識せずに作業に集中する方法」なんてものはない、というのが僕からのアドバイスです。 あるのは、「これで行けばよい結果になる」という意識に守られて、作業に集中できる、ということです。そのための技術として、「進捗管理」というものがある、と。 それは本来の作りこみ作業とは完全に切り離して行う必要があるというのが発展して、大規模なITシステムの構築などにおいては、「進捗管理担当者」というのが開発技術者とは別に設けられるようにもなったりする次第です。
まずは以上2つのポイント、「自分なりの作業手順と所要時間見積もり」「進捗管理」が、「結果をいったん気にせず落ち着いて作業に集中」できるための技術になりますね。 あとは、その作業に多少とも面白みを感じられるか。でないと、意識が結局、作業そのものよりも、いつ終わらせられるか・・という結果の方ばかりに向かってしまう。まこれはもう問題が作業集中の意識技術ではなく、その仕事への適性があるかどうかという話ですね。今回のご質問テーマとはもう別のものですが、一応検討事項としてはそれがあると頭に入れておけば良いかと思います。
具体例
具体例として、僕ならこんな仕事の進め方をする、というのを考えてみましたので書いてみましょう。 たとえば玩具のぬいぐるみ作成のバイト。パーツはできており最終縫製を行う。月から金で9時から5時まで、昼休み1時間。1日50個ノルマにて、最初の1週間は見習い。時給1,000円で、残業代はないが、1日50個よりも多く作れるようになれば自給アップも。ただし検品担当者が不具合見つけたものはマイナスカウント、といった条件を想定しましょう。
まず最初の1週間で、ミスなく1日50個作れるかトライです。一通りの作り込みをして、出来上がったら不具合が出やすい部分について自己点検までして終了。最初はパーツをあべこべに付けてしまってやり直しとか繰り返しながら、やがて何とかミスがない形で作れるところまで習熟する。 ここでタイム計測。8分かかる。余裕を含めて1個10分とすると、1時間で6個、7時間作業で42個。 これではノルマ達成できないことになります。作業手順と手先の動かし方の工夫を重ね、6分でできるようになった。では1個8分で計算してみると、1時間で7.5個、7時間作業で52個。これで行けそう、と。 これが3日目として、4日目には一日の作業配分を検討、としたいところです。午前3時間、午後4時間として、とりあえず午前に20個(7.5*3=22.5)、午後に30個(7.5*4=30)とするか。チェックポイントを10個ごとに置くことにすると、午前は10時半と昼休みに入る12時、午後は2時半と4時と・・あれっ終わりがうまく合わない。これは午前に余裕多目の20個を基準に計算したせいですね。 仕切り直して、午後3時にティーブレイクを10分ほど取る習慣のようなので、午前に22個(7.5*3=22.5)、午後はティーブレイクまでの2時間で15個(7.5*2=15)、残りの2時間弱で13個、をまずは指標にすると良いだろう。うん、これで決着、と。 あとは「進捗管理」をどんなタイミングでやるか。まあ僕なら、話がこうなればもう何個単位でというより、エクセルとかで1個目から50個目(さらにプラスもあり)ごとに、予定時刻をあらかじめ埋めておき、実績時刻をブランクにした表を印刷して、一つ作ったごとに時刻を実績記入、というやり方を考えますね。予定時刻は8分刻みで、まずは落ち着いて作業して7分くらいでできるペースを基準にして、予定時刻との差異に応じて、次の一個はもう少し早いペースで、あるいはかなりゆっくりでも大丈夫と意識の上、取り掛かる。 これで作業していって5日目にはもうかなり落ち着いたペースで午後5時少しまえに50個作れるようになってれば、「おっ島野くん十分行けそうだね♪」とも言われる状況になるという算段。 計画の立て直し発生部分なども含め、僕ならという思考過程例をそのまま書いてみました^^。
ということで、上記例でも次の一個はこのくらいのペースでやればいいと「意識の上」、と強調したように、「結果を意識せずに作業に集中」なんてことは全然ないんですね。「これでやればいい結果になる」という意識によってこそ、あとは結果を心配することなく、作業に集中できるということです。 ということで、「自分なりの作業手順と所要時間見積もり」と「進捗管理」の確立が、方法論です。 そこにおける「数字の確度」と「チェックのタイミングの最適化」こそが命だと言えます。
なおそれこそ本当に「結果を意識しない集中法」、たとえば時限爆弾の解除作業を恐れずできる強靭な精神の鍛え方、なんてテーマはハイブリッド心理学の範囲外になりますのでご了承あれ。ま僕自身軟弱でひ弱な神経の持ち主を自負しており(自慢できる話ではない^^;)、それでも焦りや怖れが根本克服できる、というのを探求した結果がハイブリッド心理学になりますので^^。
検討頂ければ。もし上記例とは大分異なる種類の作業についてということであれば、どんな作業の話かなど書いて頂ければ、それについても僕ならこうするという例をあげてアドバイスできると思いますので^^。
「仕事の普遍的スキル」
付け加えれば、上記の話も「仕事の普遍的スキル」の一つですね。作業への習熟過程と進捗管理を自分で構成できること。 こうした「仕事の普遍的スキル」が身につくと、社会にある大抵の仕事がこなせるようになってきます。このやり方で、一日の大半の時間を使ってもしまう「仕事」というものを、どうせやるならよりやりがいのあるものへと向かうのが、人生の一つの大きな側面になりますね^^。 |
|
|