No.1304 2019/01/22(Tue) 01:24:39
島野さんは、一度素性の良い仕事(職場)で、普遍的と言えるような外面的行動の技術を身に付けるべきだということを書かれていたと思います。でも、「素性の良い職場」への就職というのは誰もができることではないと思います。私も、尊敬できる人がいるような職場には恵まれませんでした。 「素性の良くない」とも思えるような仕事や職場、そもそも一人で物事を極めていくような仕事や職場であっても、普遍的な外面的行動技術を身につけることができるのでしょうか? 幸運にも素性の良い職場に巡りあわないと、普遍的な外面的行動技術を学ぶことは難しいと思われますか? |
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No.1306 2019/02/05(Tue) 11:14:29
これはまず書いて頂いた言葉としては3つほどのテーマになる感じかと。 1.「素性の良い仕事(職場)」・・・「素性」とは「生まれ育ち」のことで、まずは職場の性格などの話になるかと。
そして「普遍的と言えるような外面的行動の技術」ですが、これはハイブリッド心理学としては2つのテーマになります。 2.建設的行動法一般・・・「建設的対人行動法」「原理原則行動法」「ウインウイン行動法」から成る。 3.「仕事の普遍的スキル」
時代の変化・・
でこれですが、 >島野さんは、一度素性の良い仕事(職場)で、普遍的と言えるような外面的行動の技術を身に付けるべきだということを書かれていたと思います。
かなり以前ですが、旧掲示板で仕事スキル関係を書いていたものの話かなと。以下など。 これはまずは1.「素性の良い仕事(職場)」の話になるかと。 =========== 過去ログ2006.2収録 文字装飾はつけ直し 『「太陽と惑星」の社会構造』 しまの No.909 2006/02/21 ・・(略)・・ 企業で働くようになり、最後に長く勤めた大きな会社にいて、そのイメージがこの社会の基本構造であるのを感じるようになった次第です。 社会で上位者と位置付けられる者達は、まとまって大きな集団を作る傾向がある。下位に行くほど、分裂して小さい。さらにその大きな集団の中で実際に生活してみて、まあ僕が行った所が良かった幸運もあるのでしょうが、暖かい、光のある世界だったと感じます。だから「太陽と惑星」というイメージがぴったりきます。 決して「け落しけ落される」世界ではなく、「純粋さ、思いやり、誠実さ」そして「建設的であること」が何よりも大切にされた会社文化があったと思います。それが顧客の信頼を得て、継続的な利益につながるわけです。
そうした集団に入ることを、人生の目標の一つにすることに、僕は大賛成です。そうした集団は決して排他的ではなく、その会社の社員になるのでなくとも、その取り巻き集団(^^;)の中に入るだけでも、沢山学ぶことなどの恩恵があるでしょう。 ・・(略)・・ ===========
ということで、主旨的にご指摘頂いたようなことを書いたと言っていいのかなと思いますが、 実は今じっくり読み返して、すぐ浮かんだ感想とは、 「今は違う」 というものなんですね。
ちょっと時代考証などしますと、僕が社会に出たのが85年、仕事場にパソコンなるものもない頃で、88年に大手IT企業に移り、その後Windows95の登場、パソコンそしてインターネットの普及などの流れの中、2005年に会社を辞め執筆専念という経緯です。 それからまだそう時間も経っていない2006年に上記文章など書いていたわけですが、その時点で実際そう思えていたわですね。 しかしもう違う。どう違うかというと、僕が会社にいた歳月というのは、基本的に「情報」が閉ざされた場の中に閉ざされていた時代なんですね。だから、同じ閉ざされた場でもなるべく大きな場の方が情報も豊富で有利であったわけです。人もその中でスキルを獲得していく、そのために教育するという風潮もあったと思います。 ところが今はそうではないですね。インターネットの普及からさらに、SNSが社会行動インフラになったという次の段階。 ここに至り、人間社会、人間文化そのものが、「集団の時代」から「個の時代」に転換したと感じています。いつ頃からかと言えば、やはりfacebookが株式公開した2012年頃が、その転換点かと。
そうして「個の時代」となった今、職場におけるスキル習得について起きている変化とは、 情報が基本的には開かれた場の上にあり、仕事場の中で教育していくというよりも、即戦力、そして自分自身を教育できる人材を求める風潮。 というものになると思います。
また「素性の良い仕事場」について言えば、社会経済が発展途上にあった一回り前までは、上位の大集団がその経済的ゆとりや情報の豊富さ、教育熱心さ、そしてまだまだ発展するという活力によって素性の良い仕事場になることがより可能であったと考えられますが、今のような低成長時代となると経済的ゆとりもなくなり、活力も低下しがち、そして「個の時代」化により職場教育の手薄化などもあり、上位の大集団が「素性の良い仕事場」とはもうあまり言えない風潮ではないかと思います。 今の時代、そしてこれからの時代において「素性の良い仕事場」というのは、やはり「個を大切にする仕事場」だと思います。具体的にどういうことかなどの考察はここでは省きますが、それはむしろ小規模のベンチャー的企業などに見られるようになっているのではないかと感じます。
ということで、「仕事場」について言えば・・「大学」とかになるとまた話は違うと思いますが、「上位の大集団が素性良く学びやすい」というのはここ数年でという時間レベルで急激に変化している、つまりもうそうは言えない、というのが僕の考えです。
ではどうすればいいかと言うと、時代の潮流そのまんまですね。自らを教育すればいい。 実は「普遍的」というのであれば、これは前からそうなんですね。「普遍的」であるとは、時と場所を越えて通用するということですから、特定の場所で身につけるというものでは、元々ないんですね。特定の場所で身につけられるのは、個別限定的スキルです。まあ特定の場で「普遍的スキル」と銘打った教育をするものがある可能性もありますが、あくまでそれは「考え方」を教えるにとどまり、「身につける」のはそこからさらにさまざまな場での経験を通して、になると思います。
仕事の普遍的スキル入門
では「仕事の普遍的スキル」とは何か、それはどのように獲得されるのかについてごく簡潔に書いておきましょう。 なおご質問の「普遍的と言える外面的行動の技術」という言葉は、仕事スキルだけではない対人行動法全般、冒頭でテーマ整理した、 2.建設的行動法一般 も指しているかも知れませんが、これはもう仕事場に限らず全ての生活場面で取り組むものになりますので、素性の良い仕事でうんぬんはもうない話になりますね。これはいいですヨネ。こちらについては 辞典 「実践3-1 行動学」 など参照頂ければ。
ということで、 3.「仕事の普遍的スキル」 という本題そのものになりますが、『辞典』の「実践3-2 仕事の普遍的スキル」での整理がまだあまり書けていませんので、ここでごく輪郭など書いておきましょう。 まず定義としては、「未修得の特定技能を求められるようなものでなければ、詳しい指示を受けなくても、置かれた仕事の場において自分がすべきことがすぐ分かり、作業をすみやかに行うことができる」といった能力などと言えると思います。 これは次のような課題側面から成るものと言えます。 ・この社会で「仕事(業務)」というものがどのように構成されているのかが分かる。そこでの個々の作業の役割が分かる。 ・ミスをなくすための工夫を考えることができ、実際ミスを最小限にして作業することができる。 ・トラブルへの対処ができる。 ・向上への工夫ができる。そのために必要な他者との調整ができる。 このためにまず基礎教養的スキルとして・・これは当然時代に応じて変化するものですが、パソコンのスキルや多少の英語力、文章力・プレゼンテーションスキルなどがあります。その上で上記のような課題側面を習得するためには、実際の仕事に携わりながら、それなりの勉強たとえば社会人向け自己啓発本、また僕の経験で言うと「簿記」の勉強(これは結局3級も受かりませんでしたが^^ゞ)が、企業でのお金の流れを把握する上で役に立ち、ひいては企業の業務の構成が把握できるようになったりしました。 そして結局仕事というのは人との調整というのが大きなものになりますので、テーマとして 2.建設的行動法一般 が基礎になります。 そして仕上げとして、「実践3-2 仕事の普遍的スキル」の冒頭に書いた、 ============= 「役割」「工程」「管理」そして「生み出す価値」といった専門的視点にできるだけ早く意識を向け、仕事場におけるその具体形の把握のコツをつかむことが、仕事のスキル獲得への近道になります。 ============= というものになります。 これは『入門編上巻』P.212で「価値言葉」として指摘したものでもあります。ご一読頂ければ^^。 その具体例は、 メール相談事例集 No.002 視線恐怖および「職場での自分の位置への不安」の克服 またこの掲示板を「スキル」とかで検索して頂くと例が出てくると思います。
これらを一言でこう言うこともできますね。「仕事の普遍的スキル」とは、仕事の普遍的なスキルとは何かが分かることだ、と。まあ言葉の繰り返しですが、実際まさにそういうことだと思います。
ということで、それなりに結構高度な話であり、社会人生活を通してまずはざっと10年といった歳月を経て獲得できるものになると思います。結構ハードルの高い話でもありますが、気休めにハードル低い話をあつらえても意味ないかと思いますので^^。 それに向けて、まずはそうした目標意識を持つか。そしてそれなりの勉強を積み重ねるかになると思います。「運」というのはあまり関係ないかと^^。 まずはそんな話になりますね。お答えになりましたかどうか^^。 |
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