短編集である。帯には「女どうしを描く初の短編集」とある。そう、女どうし。
幼なじみ、三十女と恋人(バツイチ)の娘、老婦人と若い小説家、旅行者と嘘つき女、二匹の雌猫、母と娘。
それぞれがその組み合わせの短編だ。 正直、オチらしいオチがある物語という感じでもない。でも・・・なんだかほんわかする。どこか切ない。独特の感じ。
みんな悲しい過去をかかえていたりして、でもそれを普段は出さないで頑張って生きてきていたりして、それがその出会いでふっとゆるんでこぼれてしまったりするような・・・。どれもこれもそんな感じの。
中学以来ご無沙汰していた幼なじみとばったり出会って、意気投合して海外旅行に行って、ちょっと相手がぽろっとこぼした言葉でほんとはつらいんだ、なんて気づいてみたり、恋人に嫌われたくなくて無理して娘を預かったらクソガキでむかつくんだけどこちらも本音でがばっとぶつかってみたら案外いい関係になれてしまってみたり、年代のギャップで理解不能で苦しんで話を聞いてるうちに実はつらい愛情をかかえて心細いところが同じだと気づいてみたり、嘘ばかりつく少女の嘘をつく原因となった事故のことを知って惹かれてみたり、恋人の浮気疑惑に不安なのを隠して同棲することになった強がる心が少女のような母と会話するうち氷解、さまざまだ。
中でも異色で、実は私が一番好きだったのは、やっぱりタイトルにもなった「しずく」という二匹の雌猫の絡みを書いた一編。 男性に飼われていた猫。女性に飼われていた猫。二人が結婚したから猫たちも同居することになって。でもいつも喧嘩してばかり。それでも実はすごく気があっていて、それがやがて離婚によって引き離される顛末が書かれている。
作者はよく猫のことをわかってる人だなという描写で、読んでてところどころ笑ってしまう。笑ってしまうのだが、どこか悲しい。引き離されてもすぐ忘れてしまう猫たちなのだが、でも・・・しずくを見ると思い出す。この水滴でたわむれて遊んだ友達がいつも隣にいたんじゃなかったかしら?って。
短編だと侮るなかれ、結構泣かされる一冊だった。
no.685
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