宝石になぞらえて人生を描いている。そういう短編集だ。宝石はきらびやかで美しいけど、きちんと花言葉みたいに意味があったりもして、そこらへんも意識してるのかも・・・。
「真珠」「ルビー」「ダイアモンド」「猫目石」「ムーンストーン」「サファイア」「ガーネット」の7編。
「真珠」はある放火魔の女性の独白的な会話からある謎が紐解かれてゆく様が見事。ただのたぬき顔のおばさんの情緒不安定と思わせてどうやら潜んでいるどんでん返しな真相に、え!と思うところで終わる。真珠のような美しい歯だけは、変わらずいたのだ・・・というところがなんともはや。 「ルビー」もほのぼのした新設老人ホームのどうやらお金のある孤独な老人と、その隣接地で花や畑を育ててる家族との交流・・・と思いきや。ああ、そういう真相が・・・と、やはり最後に驚かされる。 「ダイアモンド」は雀の恩返し、なのかな。でもなんだかちょっと切ない。ダイアモンドを羽にはめて、雀は天国行けたかな・・・。 「猫目石」はお隣の猫から始まるちょっと不穏な空気の物語。誰にでも秘密はある。家族同士だって。もしかして家族なんて秘密をそれぞれ持っていてかくしたまんま生きてくものなのかもしれないななんて少しぞっとした。ラストもね、なんか怖い。 「ムーンストーン」ぶっちゃけこれが一番好きだったな。どんでん返しもあって驚いて読み返したけど、好きだと感じたのはそこじゃなくて、なんていうのかな、友情?中学時代の友情がまさに花開き実を結ぶ感じの感動がある。これ・・・一番好きだ。 「サファイア」と「ガーネット」だけが連作になっている。サファイアを恋人から贈られた主人公。でもその指輪は事故で死んだ彼の遺品の中にあった。自分が指輪を欲しがったせいで彼が死んだと思い込んだ主人公が、やがて小説家になって、救われてゆく物語とでもいおうか。サファイアとガーネットという宝石が、物語のキーのアイテムとしてとても活かされてるところがすごい。そして・・・ちょっと切ない感じがまたいい。
湊さんてすごいね。短編でもやはりすごい。宝石の美しさだけでなく、独特の怖さ?みたいな輝きも思い出さずにいられない、そんな感じ。 さーっと読めて面白いから(長編ほど重苦しさも少ないし)オススメだな・・・
no.654
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