ファンタジーというかSFというか子供時代の懐かしい思い出というか昭和時代のレトロな描写・・・。 そのどれもに当てはまる不思議な物語。主人公は今、40代後半くらい?もう普通のサラリーマン、普通の夫で父で、ごくふつうの人生を歩む男だ。
でもかつて・・・小学校時代。仲間だったやつらのこと・・・、特にリンダというニックネームだったそいつを思い出すときの気持ちは・・・。
美少年・・・不思議な出会い・・・少年探偵団のウルトラマリン隊にいたエムイチ、ムー坊、ニシ、モッチ、ミハル・・・そしてリンダ。どんな事件も解決しちゃえたのはリンダがなんだか不思議な力を使っていたからだと、モッチこと主人公の僕だけは気づいていた。小学生が解決できるなんてたかが知れてるはずなのに、いつも土壇場で変なことがあったりして解決しちゃうんだ。不思議な道具を使ってたり、超能力みたいなことをしてたり・・・人の記憶も操っているようだったし・・・。は宇宙から来たからって言ってたけど、それがギャグじゃないってことを僕だけは知っていたんだよ。
そう、そして突然去ってしまったリンダ。その去り方も考えてみれば出会いのように突然過ぎて不思議だった。 しかもね、口笛の音だけ残して姿を消した・・・なんてリンダらしいかっこよさ。
今思い出しても僕(モッチ)はあれは夢とか少年時代の遠い思い出と願望が入り混じった妄想なのかなぁなんて思うこともあることはあるけど、いや、違うやっぱりリンダは宇宙から来た人で、今でもどこかにいるんだよなぁと、そう思えるのだ。
リンダは別れの間際にこう言ってたね。 「こんな風に冬でも緑がある星なんて、本当に珍しいんだぜ。もっと言えば、冬があって春があって夏があって秋があって・・・季節のある星そのものが、とっても少ないんだ。だからここに生まれたのはラッキーだって思わないとな」
だからモッチは成長して思う。 「僕が今も信じている通り、もし君が本当にこの星の人間でなかったのだとしたら、あの頃の君は僕ら地求人をどんな風に思っていたんだろう。まだ宇宙を自由に旅行できるような科学力もなく、百年程度の寿命しか持たず、同じ星の人間同士でさえ仲良くできないでいる地求人は、君の目から見れば幼稚で、まだまだ修行の足りない生き物に見えていたかもしれないね。」
子供向けとも大人向けとも取れる素敵なファンタジーだった。読後感もほろ苦い感じでよかった。
no.642
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