舞台はハワイ。ハワイ島。ある事件がきっかけで小学校教師を辞めて傷心から立ち直れずにいる木崎淳平。一人旅に慣れた友人から勧められたのはハワイでの長期滞在。アメリカは最長で3ヶ月滞在できると知り、友人が薦めるハワイ島にあるホテル・ピーベリーに旅立つ。 そこは思ったより田舎で不自由で、そこが現実から逃げたかった淳平には心地よかった。オーナーはほとんど不在だが、オーナー夫人でホテルを実質きりもりしている和美は40代でも魅力的で包容力ある優しさだし、一緒にホテル滞在している桑島七生は訳ありっぽいが美人だし、既にホテルに長く滞在しているような蒲生と佐奇森は人当たりのよう男性だ。青柳という風変わりな若者もいるが、彼は夜しか行動しない。
のんびりした心地よい時間・・・でも心の傷はなかなか癒えず、なのに何故か和美には打ち明けてしまった淳平。そして人妻なのに和美と体の関係を持ってしまう。 3ヶ月経ったら離れてしまう人なのに?それとも3ヶ月経ったら離れてしまえるあとくされのない人だから? 自分でもわからぬまま、でも確かに心の傷が癒えていくのを感じる淳平。
そんな中、突然起こった蒲生の事故死。そして蒲生の連絡先は偽者で、蒲生というのも偽名だったことが判明する・・・・。 そのあと「誰かが亡くなったホテルなんかに長期滞在していたくない」と青柳が別のホテルに移ることになり、出発間際に淳平に「君も早くここを出ないと危ない」と耳打ちする。
その青柳がその直後バイクで事故死。・・・これは偶然なのか?
そして徐々に明らかになる真相。何がどうなっているのか?ただ、蒲生は生前、七生にこう言っていたという。 「このホテルの客は、みな嘘をついている」と。
ちょっと物悲しいラスト、でもちょっと希望を感じるような。なにしろ淳平が立ち直っていくようなまだ危ういけど力強さがいい。
ミステリーとして、というより、なんだろう、人間が成長していく感じが、ハワイの空気感と一体になって独特の魅力をかもしだしている感じ。ハワイ行きたくなるもん・・・。それもオアフじゃなくてハワイ島。ホテル・ピーベリーは実在しないだろうけど、ほんとにこんなホテルあったら3ヶ月みっちり滞在したいなぁ。 あ、ピーベリーっていうのは、ハワイのコナ・コーヒーよりはるかに高級な希少価値のおいしいコーヒー豆の名前。
オススメ。やっぱり近藤史恵さんは・・・カタイ!
ところで!作中で和美が言うんだけど、世界には13の気候区があるそうで(熱帯、温帯、寒帯、乾燥帯、亜熱帯、亜寒帯、砂漠気候、ツンドラ気候・・・みたいなやつ)ハワイ島にはその13のうち11も気候区が存在するようだ。要するにちょっと移動するとまったく違う気候になっちゃうわけだ。四国より狭い島なのに。氷雪気候とサバナ気候という雨が少ない分類になる気候がないだけで。すごい〜知らなかったあ!
no.622
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