今年の江戸川乱歩章受賞作。 でもなんだか評にあったように、なんとなく今までのイメージとちょっとちがって・・・なんというか引き込まれ方がすごかった。
こんな猟奇的な作品・・・と衝撃的なのに、途中のどんでん返しが中盤という早さで出てきて、もうそこから急転直下という感じ。読み始めには予想もつかない展開、でもよく思い起こせば伏線だらけで、きちんと最後つじつまがあって納得できる。
すごいなぁと思った。この発想。
殺人一家の17歳の少女。彼女も殺人衝動を抱えている。遺伝だから。家族全員狩りをするのだから。
でもある日、兄が惨殺される。家の中で。そのくせそのあと遺体は血のあとごと消えてしまっていた。どこに隠された?どうやって? そのあと母が姿を消す。忽然と。どこ?まさか・・・。 父が殺した?兄の死にも母の失踪にも動揺しなかった父。
自分も殺されると思って少女は家出するのだ。父に渡された新聞を持って。 調べてゆくうち、少女はフラッシュバックのように過去を思い出してゆく。 恐ろしすぎて封印していた過去・・・。 そして頭のよい彼女は真相を探り当ててしまうのだ。
父とポーカーしたときの QJKJQの意味。そこには父の深い思いがあったのだ。
最後も決して読後感がいいわけではなく、不穏でこの先どうなるのか、国家の恐ろしさもそのままで、・・・それでも父の愛・・・それを感じて切なくなった。
きっと少女もその愛を感じたからこそ、ほんとうの名前と生い立ちを捨てて、その父が与えてくれた人生で行こうと思ったのだ。 ・・・本当の父ではない見守ってくれた育ててくれた父。凶悪な猟奇殺人鬼の血をひく時分にはその狂気がないことにいち早く気づき、見守ってきた男。
・・・ちょっと私はこの衝撃度の中に一本通っている筋みたいなものに惹かれて、この作品好きである。
no.777
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