とても久々に桐野さん作品読んだ気がする。そして、強い女に巡り合った気がする。私はそこが好きだった。桐野作品。 ほんとの意味で強い女が出てくるのが。
帯にあった。 「三人一緒なら、この残酷な世界を、なんとか生きていけそうな気がした」 ピンとせずいたが、読み進めていくうちにその意味が染みてきた。染みて染みてたまらなくなった。
舞子は国籍がない。母が届け出なかった。そのまま世界を身を潜めて逃げるように転々と母と生きてきた。 友達を作ることは許されず、母は整形手術を繰り返し、もとの顔がわからないくらい別人になった。 たまに訪れるタナカからお金をもらって貧乏のどん底で生きてきた。 舞子は17歳、ミラノのスラム街の穴ぐらみたいなところに住んでいる。 外の世界を知らなかった舞子は、ある日シュンと名乗る日本人の男性に声をかけられる。ミラノで漫画喫茶を開くから来てと。 漫画?外の世界のことは何も知らなかった舞子が漫画から日本や恋やふつうの家庭の様子などを学び、初めて母に反抗をする。 家出して、シュンにも拒まれ、出会ったカメラマンのヤマザキからパソコンやスマホを盗んでさまよっていたら出会ったエリスとアナ。 おなじように複雑で不幸な境遇でふるさとを捨て、ミラノで生きてきた彼女たちと、一緒に暮らし行動するようになる。 そう・・・この三人でさえいれば生きてゆけると、そう感じたのだ。 でも運命はさらに過酷。 ヤマザキのせいで母もミラノにいられなくなり、しかも・・・。 シュンが恐るべき真相を語る。 父は希代の詐欺師で人殺しの犯罪者。母はその愛人だったのだと。死刑になった父のあとは母が膨大なお金を隠し持っているという噂で、それで母を身を隠し逃げ回っていたのだと。シュンはそして、本妻の息子、つまり舞子の異母兄弟だと・・・。
パニックな舞子、そしてエリスが死体で発見される・・・。 ショックを受けたアナは祖国に帰るためにスペインでパスポートを取るとミラノを離れる決意・・・舞子はシュンと母探しをするためミラノに残る決意をしていたのだが・・・。
アナを見送る背中に、声のみで母がささやく。 「振り返らないで、どこかで見張っているやつがいるかもしれないから。私は愛人ではない。カモフラージュで雇われた。20年逃げきれたら2億円もらえる。あと一年なの。お前のほんとの父親はタナカよ。とりあえず、友達の船に一緒に乗って逃げなさい。」
もう最後までノンストップジェットコースター小説。後半の速さったらない。 まさかこんな結末だとは思わなかった。 そして・・・舞子も過去を捨て生きることになったのだ。 もう日本を忘れかけて・・・。
桐野作品の女は、修羅場をくぐりぬけて獣のように強く咆哮する存在となるのだ。いつも。負けちゃいない。そこが憧れる。そこがたまらなく好きなのだ。
no.756
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