*Book review

■ 桐野夏生
「夜また夜の深い夜(幻冬舎)」 評価:★★★★★
Date:2015.12.27
とても久々に桐野さん作品読んだ気がする。そして、強い女に巡り合った気がする。私はそこが好きだった。桐野作品。
ほんとの意味で強い女が出てくるのが。

帯にあった。
「三人一緒なら、この残酷な世界を、なんとか生きていけそうな気がした」
ピンとせずいたが、読み進めていくうちにその意味が染みてきた。染みて染みてたまらなくなった。

舞子は国籍がない。母が届け出なかった。そのまま世界を身を潜めて逃げるように転々と母と生きてきた。
友達を作ることは許されず、母は整形手術を繰り返し、もとの顔がわからないくらい別人になった。
たまに訪れるタナカからお金をもらって貧乏のどん底で生きてきた。
舞子は17歳、ミラノのスラム街の穴ぐらみたいなところに住んでいる。
外の世界を知らなかった舞子は、ある日シュンと名乗る日本人の男性に声をかけられる。ミラノで漫画喫茶を開くから来てと。
漫画?外の世界のことは何も知らなかった舞子が漫画から日本や恋やふつうの家庭の様子などを学び、初めて母に反抗をする。
家出して、シュンにも拒まれ、出会ったカメラマンのヤマザキからパソコンやスマホを盗んでさまよっていたら出会ったエリスとアナ。
おなじように複雑で不幸な境遇でふるさとを捨て、ミラノで生きてきた彼女たちと、一緒に暮らし行動するようになる。
そう・・・この三人でさえいれば生きてゆけると、そう感じたのだ。
でも運命はさらに過酷。
ヤマザキのせいで母もミラノにいられなくなり、しかも・・・。
シュンが恐るべき真相を語る。
父は希代の詐欺師で人殺しの犯罪者。母はその愛人だったのだと。死刑になった父のあとは母が膨大なお金を隠し持っているという噂で、それで母を身を隠し逃げ回っていたのだと。シュンはそして、本妻の息子、つまり舞子の異母兄弟だと・・・。

パニックな舞子、そしてエリスが死体で発見される・・・。
ショックを受けたアナは祖国に帰るためにスペインでパスポートを取るとミラノを離れる決意・・・舞子はシュンと母探しをするためミラノに残る決意をしていたのだが・・・。

アナを見送る背中に、声のみで母がささやく。
「振り返らないで、どこかで見張っているやつがいるかもしれないから。私は愛人ではない。カモフラージュで雇われた。20年逃げきれたら2億円もらえる。あと一年なの。お前のほんとの父親はタナカよ。とりあえず、友達の船に一緒に乗って逃げなさい。」

もう最後までノンストップジェットコースター小説。後半の速さったらない。
まさかこんな結末だとは思わなかった。
そして・・・舞子も過去を捨て生きることになったのだ。
もう日本を忘れかけて・・・。

桐野作品の女は、修羅場をくぐりぬけて獣のように強く咆哮する存在となるのだ。いつも。負けちゃいない。そこが憧れる。そこがたまらなく好きなのだ。

no.756
 

■ 秋吉理香子
「聖母(双葉社)」 評価:☆★★★★
Date:2015.12.21
母は強い。愛する子のためならば本当にどんなことをもできるのだ。守るためならば。どんなことも。

それをあらためてかみしめて、ああ、守るためならできるかも、なんて思ったりもする。私には娘でなく息子だけど、きっとおなじだよね・・・。
それとも保奈美は、不妊治療で授かるまで人よりつらい思いが強かったから、とりわけなんだろうか・・・。

一応ミステリーなのだ。
ある幼児連続殺人事件、男児のみしかも死んだあとに局部が切り取られている。
ところが、犯人は早いうちに読者には明かされている。
高校生の田中真琴。美少年・・・・と思って読んでいる。
そこが読者だましなのだけど。
そう、ネタバレでいえば、真琴は本当は美少女。あることばきっかけで男のような言葉を使って、短髪で、細身なので、女子にキャーキャー言われちゃうタイプの。でも女子。

でも。
そこではなかった、読者だまし。もう一段落とされて驚くという設定。

そこは読んでびっくりしてほしい。
そここそが、テーマである母の愛につながるどんでん返し。

まぁ・・・ミステリーで考えると、ちょっと浅いというか、・・・あまり響かなかったけど、秋吉さんの文章は引き込まれるから、それでも夢中であっという間に読めてしまった。

no.755
 

■ 伊坂幸太郎
「陽気なギャングは三つ数えろ(祥伝社)」 評価:★★★★★
Date:2015.12.10
実に9年ぶりに出た陽気なギャングシリーズの第三弾目。
いやぁ、健在。
4人ともそれなりに年は取ったものの、全然衰えも妥協も変わり映えもなし。
キャラはそれぞれ相変わらず。

そしてナンセンスに余分に強盗だけで済まず巻き込まれてゆくさまも健在で相変わらず。
大好き!
9年前にもこの仲間に入りたいなぁなどど思ったものだが、やはりそう思えるからすごい。そしてどんなピンチでもありえない方法や作戦や偶然や運命でうまく見事に大団円になるさまもお見事。

今回はいやなゴシップ記者に強盗だとばれてつきまとわれて命の危険にまでさらされつつ、でも全員(その記者以外)無傷。そのうえ亀も生きていた(笑)。

これ、どんな彼らが老人になるか楽しみなのでそこまで書いていただきたいなぁ。

こまごま書かないが、おすすめ。前作読まずともはいれる。読んだほうが絶対面白いけど。

いいなぁ・・・。もっと読んでいたかった。

no.754
 

■ 窪美澄
「さよなら、ニルヴァーナ」 評価:★★★★★
Date:2015.11.06
引き込まれ度はここ最近でトップかも、てなぐらい惹かれた。もう仕事してても早く読みたいって思ったし、時間できたら読めるってうれしく思えるような。久々。

でも重たい。
実際あった事件をモチーフにしてるからかな・・・。
神戸であったあの14歳の少年が小学生も首をちょん切って学校の門に・・・ってあの凄惨極まりない事件。
あの少年Aももう大人だ。最近では本を出したとかで物議を醸している。

これは物語なので、少し変えてはある。
少年Aが殺したのは少年ではなく少女だし、首を掲げたのは学校の門ではなく、教会の門だ。
でも。あまりにリアルであまりにシュール。そうだ、被害者にもだが、加害者にもあれからふつうの日々は訪れないのだ永遠に。

命は重い。そして少年Aの心の闇は深く、それをとりまく大人どもにも色んな思惑もあるし、願いもある。

この物語では、少年は途中でCENSOREDしまったことを後悔するし、罪の大きさや人の愛にも気づくのだけど、実際はどうだったのかな・・・そうだといい。そうであっても救われるものではないけど。

心に深い孤独と闇を抱えた女性二人が、少年Aに恋するのだ。
一人は作家をめざし、でも心折れて傷ついている中年女性。
一人はまだ年若く、美しい女性。
被害者の母も家族ごと喪失感で苦しみながらも、彼に会ってみたいと思う。

どうしてこんな清潔感あふれるきれいな少年が、あんな事件を起こしたの・・・・。
実際、実在の犯人の少年も名前を変えて、こうして逃げながら見守られながら生きているのかもしれない。写真もほんとに当時のものも今現在のものも検索すれば見れるのだから。

でも作者は・・・やはりハッピーエンドにはしなかった、もちろん。
関わった女性3人・・・一人は作家としてデビューできたが幸せな感じがしない。
美少女だった一人は彼と関わったがために事故で亡くなった。
その美少女と仲良くなり、亡くした娘と重ねていた被害者の母も…ラストの描写だと・・・壊れてしまったようにも見える。
肝心の少年Aの行方は知れない。そこで終わるのだ。

私も惹かれたのだきっと。少年Aに。小説の中の彼か、実在する彼か、自分でもわからないけれど・・・。

だから読後感は決してよくないが、★は5つつけずにはいられなかった。

no.753
 

■ 辻村深月
「ハケンアニメ!(マガジンハウス)」 評価:★★★★★
Date:2015.10.14
ハケン…覇権とかく。アニメ業界では、そのクールで一番の売り上げを出したトップのアニメを指す。覇権をとることは、そのアニメに携わる者たちの目標であったり夢であったりするのだ。

私もソフトオタクであるから、非常にアニメ界に興味はあって、その裏舞台がこんなにリアルに描写されてることにまず感動し、勉強になった。
安い給料で、寝る時間もなく、こだわりの多い人が多い業界ゆえに揉めに揉めたりして、あるいはおもちゃ業界との提携で、コラボによる方向修正を依頼されたりして、監督は悩んだりもする。

ヨスガというアニメでかつて一世を風靡した王子千晴(小柄な美少年風。いわゆるイケメン、でもわがままでなかなか手を焼く)のマネージャの香屋子は長身のモデル体型の美女だ。しかし本人にその自覚はなく、とにかく王子のファンで、王子に今度手がけるリデルライトで覇権を取らせたいおもっている。そんな矢先に王子が失踪。
香屋子がいよいよもうお手上げだと泣きそうになったときに王子はひょっこり戻ってきて、絵コンテもシナリオも完成していた・・・。

王子のリデルライトと覇権争いになる対抗馬だったのが、斎藤瞳のサバクだ。行城に助けられ、あるいは振り回されながらも、斎藤はどんなアクシデントをもなんとか切り抜けサバクを会議での示唆を無視して自分の思い描くラストを貫くのだ。

和菜は田舎の小さな会社に所属する神原画師である。その腕が斎藤の目に留まり、サバクの原画を手掛けることになる。また、リデルライトも掛け持ちで。
しかし、サバクの舞台が和菜の住む町であったことから、聖地巡礼で観光客を呼び込もうという市役所の若い男(地元の長老たちは当初は大反対で彼は一人で頑張っていた)と、二人で地元の祭りとサバクのコラボに画策奔走し、成功させるのだった。
宗森というその公務員ともいい感じ・・・。

さあ。
覇権はどちらのアニメに?
いや、これ、ネタバレで言ってしまえば、実質の覇権は、双方とれなかった。
しかし、これらの経験が3人を大きく成長させ、またアニメ界をも新しくしようとしてゆくのだ。
みんなそれぞれの道を新たに進み始めるのだ。

そこで終わる。
とても読後感が良い。実写ドラマは見てないけど。面白かったろうになと思ってしまう。

おすすめ本である。

no.752
 

■ 貫井徳郎
「我が心の底の光(双葉社)」 評価:☆★★★★
Date:2015.10.08
一言でいえば・・・
救いのない悲しすぎる話。
せつなすぎて読後感はさわやかではない。

でもこの哀愁は貫井さんぽくて、そこはやはりいい。

主人公の思春期と青春?時代が時系列で章になっているが、
その暗さは幼少期にある。

父は不動産に手をだし、成功してはぶりの良い時に母とでき婚をした。
そして、主人公が生まれた。
やがて不動産転落し、父は酒と愛人におぼれ家族を捨てる。
母もネグレクトになりホストに狂う日々。
餓死寸前を保護された主人公はそのとき5歳。
心のよりどころだった猫のトラスケは先に死に、よりそう姿で発見されたのだ。
発見したのは父。そして母をなぐりCENSOREDしまった。
叔父に引き取られたものの厄介者扱い。
いとこの慎一とは雲泥の差の人生。
でも慎一はいいやつだった。
そして、幼馴染の玲菜も、優しかった。

中学時代に万引きやハッキングをする。
荒んでゆく。
やがて・・・。
成人して・・・。
不動産会社の営業マンから金をだましとり。
小料理屋の美人おかみに男を使っておとしいれ破滅させ。
そして・・・。やくざにまで挑む。なぜ?

それはすべて暗い復讐。
不動産会社営業マンはかつて父に土地ころがしを伝授した男。
美人おかみは父の愛人だった女。
やくざは・・・。元ホストで母を狂わせた男。

なにもかもがトラスケの敵うちだった。
トラスケこそ、自分の心の闇の中に差す光だった。それなのに。。。

そう、復讐することでしか自分の生きる目的を見いだせなかった男の物語。
行き着く果ては破滅。あろうことか、味方だった玲菜も慎一も巻き込んで。

読んでいて
何度も思った。よく見て!詐欺するとき組むことになった日野は、ほんとにお前を心配して友達だと思っていたじゃないか。あれはほんとだった。
玲菜はお前に惚れていたじゃないか。いつだって離れず堂々としてお前と向かい合ってくれていたのに。

すべてあきらめて生きているってこんな恐ろしいことなんだ。
愛を知らずに死んでゆく。トラスケのみに愛を想いながら。
なんて悲しい物語。

no.751
 

■ 荻原浩
「冷蔵庫を抱きしめて(新潮社)」 評価:★★★★★
Date:2015.10.05
短編集。
どれもなんとなくダメな主人公というか・・・。そこがどこかせつなく、だけどどこか滑稽なのはなぜか(笑)

「ヒットアンドウェイ」はDVに悩む女性がひそかにボクシングジムに通って、ある日反撃に出るんだけど、ちょっと爽快だったな。

「冷蔵庫を抱きしめて」は新妻がなれない新婚生活のストレスで若いころ患った摂食障害になっちゃう話なんだけど、旦那さまはちゃんとわかって受け止めてくれていいラスト。がんばれ。そう思った。

「アナザーフェイズ」はドッペルゲンガーを扱った、べたといえばべたなんだけどちょっとぞっとするテイスト。

「マスク」は視線恐怖症の男がマスクをすることによって人格が変わってゆくさまが面白い。そしてこの男がイケメンなのも味噌かな。イケメンの自覚がない。ただただ人が見てくることが不快で苦しい。そして最終的に着ぐるみの仕事に・・・。そこではじめて顔を出したい衝動にかられる皮肉。

「顔も見たくないのに」はダメンズの彼氏に見切りをつけたあと、ダメンズ彼氏がお笑い芸人としてテレビに頻出するようになり、やがて一発芸人として捨てられたあとまた自分のもとに戻ってくる話。結局このバカ男には私しかいないのよねっていう。これも愛。

「カメレオンの地色」つきあう彼氏に合わせて姿形、ファッションすべて変わる女が、中学時代の初めての彼氏こそほんとだったと突然気づき、懸命にネット検索するところで終わる。カメレオンはもとは何色だったんだろうと思いながら。

「それは言わない約束でしょう」は一人暮らしを機に、心の言葉が出てしまうようになって、仕事に支障が出てしまった男が、最後さとりを開く話。結構好きだった。言いたいこと言っても憎まれない、逆に正直に聞こえていいと思う人だっているのだからね。

「エンドロールは最後まで」は、37歳になり、結婚をあきらめた女性が映画の趣味が同じで話しかけてきた男性とつきあい始める話・・・だが、嘘をついていた??でもだまされてもいいかなと思う。ほんとにアフリカに行くというなら一緒に行ってやろうじゃないの。エンドロールを最後まで見ないとほんとのラストはわからない場合もあるんだから。

ライトに読める、どれもそれぞれちょっとした味わいがいい。
軽く秋の夜長の読書なら最適な一冊。

no.750
 

■ 吉川トリコ
「名古屋16話(ポプラ社)」 評価:★★★★★
Date:2015.10.01
名古屋市には全部で16の区がある。
私は元天白区住民である。
そしてとても名古屋が好きだった。
そんなわけで手に取った。正解ビンゴ大当たり!

各区を舞台にしたショートショートだ。
いくつかリンクしているが、それぞれ独立して読める。
それ自体はショートショートだし、軽い。ちょっとほろ苦いテイストが多いけど、そこがツボではなく・・・。

もう、名古屋を経験した人にはたまらない。店の名前や道路の名前、方言、いろいろな場所の名前。すべてわかるじゃないか!そうそう、名古屋弁だよ!
そして、名古屋に住んではいても、もとは三重県の人も出てくる。やんやん言葉。
超がつく懐かしさと暖かさと・・・。

これは感動とかなんとかのレベルではなく、もうひたすら名古屋を好き過ぎて読んでて気持ちが弾んでしまった。

巻末後半は岐阜、三重、福井、滋賀、長野、犬山、蒲郡、、、もちろん同じくらいわかるし懐かしいし知ってる!!

ああ・・・読めてうれしい。読めてよかった。
図書館借りしたけど、買ってしまおうかな…永久保存版として。それくらい名古屋好きなのだ、私は。(笑)

no.749
 

■ 朱野帰子
「真壁家の相続(双葉社)」 評価:★★★★★
Date:2015.09.23
凛太郎おじいさんが急死した。
真壁家が集まった。
相続の話になった。揉めた。
仲の良かった一族が、私利私欲の本音を見せて醜く争う・・・。
法学部のりんはショックを受ける。
そもそも植田という居候が他人のくせにやたら口出しをしてきて引っ掻き回すのだ。
植田が隠し子なのではという疑惑も、不穏に拍車をかける・・・。

それだけ箇条書きすると陳腐な感じだけど、これがなかなか人間ドラマで、相続に関して勉強にもなるし、相続破棄と相続排除の違いなど、知らなかったことばかり。

植田の秘密も、親族のそれぞれの隠していた悩みや闇もどんどん出てきて、それはシュールで切ないく、リアルな分、読んでいて胸が痛むのだが、りんの母容子の飄飄としているようで実は肝が据わっているところとか、りんの純粋なところとか、なんとなく救われるのはそこなのかな・・・と読み進めていくうち・・・。
植田にもそれぞれいやなやつに思えた親族たちにも愛着がわくから不思議。
そう、真壁家に親密感がわいちゃって、なんかうまくおさまらないのかなと応援しちゃうような。
りんの父は失踪したまんま。でも容子は連絡とってたんだそうで、そんな秘密?もどんどん明るみに出てきて、りんは心でなく、頭も使ってうまくおさめてゆくのだけど・・・。

一番のしたたかものは実は容子さんだったわけだけど(;´・ω・)
それも最後にのけぞるのだけど。

そこも不快でなく、痛快。面白い。
そう、だからある意味大団円。
植田も一歩進んだようだし、こんな実際はうまくいかないのだろうけど、
でもこういう家族があってもいいじゃないか、あるのではないかと思わされる。

とにかく、とにかく。
勉強になる。そのこともあって、一度読んでみるといいという一冊だった。
そして一気に読ませる作品で、引き込まれ度半端ない。ということで星は多め。

no.748
 

■ 寺地はるな
「ビオレタ(ポプラ社)」 評価:★★★★★
Date:2015.09.15
ビオレタ。スペイン語ですみれの意味。
菫さんが父から受け継いで、そこでかわいい雑貨屋さんを営んでいる。でも・・・菫さんはここは棺桶屋なのだという。小さい木箱にかわいい装飾、イラストを施した、これは棺桶なのだと。背が高くすらりとやせ形で無表情気味で、ちょっととっつきにくくて・・・怖い感じもする菫さん。

26歳の妙は、慎一と結婚式を控えていたがある日突然呼び出されて破棄された。理由がよくわからず、ショックで雨の中、びしょ濡れで泣いていたところを菫さんに拾われて、そのままビオレタに勤めることに。

色々な客が来た。思い出を棺桶に詰めた人もいて埋葬したかと思えば。不実をして傷心のまま、妻を事故死で失った男性の、妻への贖罪をも埋葬した。
妙は元、菫の夫だった千歳と恋愛をする。
菫と千歳の息子のはたちの蓮太郎とも何となく仲良くなれた気がする。
そして・・・自分のコンプレックスを見つめ、千歳との恋も温めてゆく。

菫さんの埋葬できずにいる思い出も・・・
妙のおかげで少しずつ浄化されていっている気がする・・・。

暖かい小説だ。少し切なさもある。
菫さんや千歳さん、蓮太郎の、ふつうにはそうそういないような、でもどこかにいてくれるような優しい人柄と世界が、とても好きだ。
妙のつらさはとっても自分に近くて、だから・・・なおさら同調して、

私も菫さんのそばで働きたい。頑張りたい。…千歳さんのような人にわかってもらいたい。そう願ってしまう。

私は思いがけずこの本、好きだった。
さらーっとしてるのに、残る。そんな感じ。

no.747
 

200/200件 [ ページ : << 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 ... 20 >> ]

- HOME - 新規投稿 - お知らせ(3/8) - 記事検索 - 携帯用URL - フィード - ヘルプ - メール - 環境設定 -

Rocket Board Type-X (Free) Rocket BBS