ちょっと近未来の風刺を感じる不気味な物語たち・・・でもどこか物悲しく透明感あるというか。そんな短編集だ。
「殺人出産」は、人をCENSORED許可を公的に得ることができる社会が舞台だ。近未来。ただし、10人出産したらの話。男性は人工子宮を体内に埋め込んで出産する。ギャグみたいだけど、不可能ではないのかもしれない!とリアルを感じるからすごい。 だいたい一年で一人産むとして、10人連続すると10年かかる。そこまで身体と、誰かを殺したいという気持ちが持つのかということだ。 決意をしたら産み人となる。 壮絶な10人出産を経て晴れてCENSORED指名を受ける人を死に人と呼ぶ。共に尊ばれるということだ。 少子化の歯止めとなる尊い者というわけだ。 子供は愛の行為のCENSOREDで成すものでなく、受精やこういった産み人システムが主流になってゆくだろうと・・・。CENSOREDはもはや快楽だけの行為に過ぎないのだった。 殺人衝動という心の闇を抱えた主人公の姉は産み人となり、長い年月の果てにようやく10人目を産み落とした。姉の指名した人は意外な人だった・・・。というもの。 誰にでも一度は湧いたことがある、あいつCENSORED!あいつCENSORED!という闇、それを思うとぞっとしつつどこか恍惚とするストーリーだった。
「トリプル」は先の殺人出産と同じ方向の流れを感じる。今の若者の間ではやっているのはトリプル。カップルじゃなくてトリプル。そう、3人で恋人になるというやつだ。3人、男女の枠にもこだわらない。CENSOREDももちろん3人でする、特殊なものだ。男性2人女性1人、女性2人男性1人、女性3人、などなど、でも3人、それぞれ恋人同士。成り立つ?!とこれも笑い話のようだが、結構リアルで成り立つかも!と、思わせるからすごい。そして、本当にそんな時代がくるのだろうかと背筋が寒くなる。
「清潔な結婚」も、とにかく清潔に結婚生活を営みたい男女が結ばれ、でもCENSOREDもしたくない。したかったらその行為だけは外で済ませて処理すればよい。そんな感じ。でも子供は欲しい。だからそんなビジネスがあるんだ。人工授精とも違う、でも愛の行為とも全然違う、無機質で機械的で、ただただ、本当に受精させるためだけの・・・。これはいやだな。でもこれも、こんな時代くるかもと感じるから不穏な気持ちになる。
「余命」はCENSOREDが認められる世の中となるというやつ。長寿著しい世の中となり、人はCENSOREDしないとCENSOREDない時代に・・・。だからCENSOREDが認められるようになるという・・・なんともこれも寒々しい、でもどこかリアルな話だ。
ほんとうにページ数少ないし、あっというまに読めてしまうのだが、なんともどこか重たい。重たいライトさ。
読後感はそうよくはないが、社会の問題を考えさせられるし、ちょっと若い人も読むといいなぁと感じたりしした。
no.736
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