ある女が妻子ある男性と不倫をしている・・・でも彼女は本気だ。そして男は妻とはもう破綻していると言う。だからきっと本当に自分が運命の相手なんだと思う。その男の名前は真守・・・。
一方、ある妻が夫に浮気されている。気づいてはいるが気づいてないふりをして、職場では歳若い男性の部下に信頼され、姑ともぎくしゃくしながらも何とか嫁としてうまくやっている。 浮気なのだからどうせ夫は気が弱くて別れられないだけで、結局こちらに戻ってくると信じているのだ。妻の名前は桃子。夫の名前は真守・・・。
この二つの目線から書かれた文が交互に出てくる。 やがてその浮気相手の女が妊娠してしたので、そちらと生きると真守に告げられる桃子・・・。 そうなっても受け入れず、姑にも職場にも言わず何事も無かったかのように振舞う百子。
そういった流れで読み進めているうちは、少なくとも私は、桃子のある種不器用な生き様?気質?に、同情し、真守の裏切りや姑の鈍さに苛立ち、その浮気相手の女が憎たらしいとしか思えなかったのだが・・・。
ラスト近くなってくるととんでもないある意味、どんでん返しがあって、ちょっと混乱しつつ、真相がわかってくる。 どのみち桃子が気の毒だと痛々しく感じるのは一緒なんだけど、より悲壮感が増し、残酷な事実が存在したことを知る。
桃子の壊れてゆく様子がなんとも不気味で、でもそうならざるを得なかったつらさもわかってしまうからだ。
真守、さいてーだな、と最初から結局どんな事実を突きつけられてもその気持ちだけは変わらないのだが、それすら何となく弱い男の長年悩み苦しんだ末の苦渋の決断という部分も感じられてくる。
どん底まで落ちてしまった桃子なんだけど、でもラスト、何となく少し未来へ踏み出す光みたいなものを感じさせる終わり方なのが救い。
ありがとう。その言葉をかみしめるラスト。 真守だけでなく、桃子もまた弱い人間だった。そしてずっとつらかった。おそらく2人して、隠しながらも、ずっと。
そこから抜けだして、どうか桃子、特に桃子だ、幸せに向かってしっかり現実を見つめて生きて、と願った。
重たいけど、深い物語でもある。
no.716
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