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all EV143”幸せってなんだっけ” 作業ツリー - 清水魁斗 - 2009/04/30(Thu) 01:30:39 [No.6749]
発表ログ - 星月典子 - 2009/05/15(Fri) 23:41:41 [No.6787]
飛び込みで絵を描いてみた - 星月典子 - 2009/05/15(Fri) 09:03:38 [No.6785]
発表時間に関して - 清水魁斗 - 2009/05/15(Fri) 08:16:08 [No.6784]
締め切りについて - 鈴藤 瑞樹 - 2009/05/04(Mon) 18:21:45 [No.6755]
平凡な幸せ国民の一日を描く - 清水魁斗 - 2009/04/30(Thu) 01:35:52 [No.6750]
清水さんの一日(未完成) - 士具馬 鶏鶴 - 2009/05/12(Tue) 22:14:35 [No.6780]
清水が編集中の文章(随時更新? - 清水魁斗 - 2009/05/10(Sun) 17:48:53 [No.6775]
絵を描きます。 - 花陵 - 2009/05/10(Sun) 10:00:14 [No.6772]
下絵描けました。 - 花陵 - 2009/05/10(Sun) 16:30:41 [No.6773]
一応、完成。 - 花陵 - 2009/05/11(Mon) 23:19:58 [No.6779]
平凡な一日(作りかけ) - 鈴藤 瑞樹 - 2009/05/09(Sat) 22:35:47 [No.6771]
平凡な一日(続き) - 鈴藤 瑞樹 - 2009/05/10(Sun) 17:24:29 [No.6774]
食事の内容 - 清水魁斗 - 2009/05/08(Fri) 21:01:24 [No.6766]
バンドの設定募集 - 清水魁斗 - 2009/05/03(Sun) 00:58:51 [No.6753]
バンドメンバー設定 - 鈴藤 瑞樹 - 2009/05/04(Mon) 14:59:22 [No.6754]
名前の案 - 清水魁斗 - 2009/05/05(Tue) 22:57:14 [No.6757]
アネッテの名前変更 - 清水魁斗 - 2009/05/10(Sun) 20:56:41 [No.6776]
設定的部分 - 清水魁斗 - 2009/05/01(Fri) 20:39:24 [No.6751]


平凡な一日(作りかけ) (No.6750 への返信) - 鈴藤 瑞樹

読書にも飽きがきて、そろそろカウンターで二度寝をばと思った矢先に響く、からん、というドアベルの乾いた音色。
入り口に目を向けると、そこにいたのは数少ない収入源=客である九音・詩歌藩王だった。
「や、おはよう」
「おはよーございます。なんにします?」
「うん、いつものをひとつ」
「はい、少々お待ちください」
慣れた手つきでコーヒーの用意を始める。
開店以来まったく固定客がつかないこの喫茶店において、詩歌は数少ない来店回数二桁をマークしている古ツワモノの一人だった。
当然、頼まれるメニューも把握している。
喫茶店店主として一度はやってみたいこと第二位「マスター、いつもの! でメニュー取り」を地でやれるのは嬉しいが、これだけ貧乏なのは考えものだよな、と清水は常々思っていた。
「はい、お待たせいたしました」
「ありがとう」
さきほどまでは空虚なばかりだった店内が、優雅な香りに包まれる。
時計が刻む規則正しいリズムの中にやってきた、コーヒーカップとスプーンの音色。
さきほどまでとは雰囲気がまるで違う。
客が一人いるだけで、まるで別の空間だった。
この空気感が好きで始めた喫茶店。カップを洗う手にも自然と熱が入った。

「しかしまぁ、なんだね。相変わらずのようだ」
そんな楽しげな静寂を破ったのは詩歌だった。なにか、言いづらそうな顔をしている。
「貧乏なのはたしかに相変わらずですが、そんなに困ってないですよ?」
「いや、そっちではなくて」
迷ったように一拍置いて、覚悟を決めて口にした。
「男がメード服というのは、やはりどうかと思うんだが」
清水魁斗、180p 61sは男だったが、バトルメードアイドレスの着用者だった。

つまり、喫茶がらん堂はメード喫茶なのだ!(色を変えて目立つように)

「いいじゃないですか。女性客が増えるかも」
詩歌は客のいない店内をちらりと見てから視線を戻した。
「なんというか、控え目に言って見目麗しくないと思うんだけど」
「大丈夫、私は気にしませんから」
嘘臭い笑顔で清水はそう言ってのけた。
実際、清水は似合っているならなに着ようと個人の自由だろうと考える人物だった。
まさに帝國的自由の行使というやつだ。
おかげで客足は順調に遠のいているが、気にしたら負けだ。
どうしたもんかなぁ、と思いながら詩歌はコーヒーを飲み干した。
そして、カウンターで当然のように突っ伏して寝はじめる清水。ご丁寧に枕まで用意する周到さはさすがと言っていいだろう。

「客を放っておいていきなり寝るのもどうかと思うんだけど」
「レポートが終わらなくて寝てないんです」
いや、リアルの話をされても、と詩歌は思ったが、なんだか途方もなく無駄な気がしたので口にするのはやめておいた。
「お代は適当に置いといてください。ではおやすみなさいー」
と言ってからわずか0.3秒後には夢の世界へと旅立っていた。
まさに神速。野比家の一人息子なみの早ワザだった。

さすがに起こさにゃまずいだろうと詩歌は思ったが、やめておいた。
理由は清水の顔を見てしまったことにある。
枕に顔をうずめて眠る清水は、今までにないほどしあわせそうだったのだ。

/*/

「いやー、我ながらよく寝たよく寝た」
ぐい、と背伸びをしながらそうひとりごちる。
時刻はすでに●●時。すでに午後だ。
藩王(客)をほったらかしにして二度寝ぶっこいていた清水は調理の真っ最中だった。
文化揚げという、生活ゲームでも取り上げられたメニューだ。
作り方は簡単で、食パンの耳を切り落として、パンを衣にして油で揚げるのみのお手軽メニュー。
「さて、行きますか」
調理が終わったらすぐに厚手のコートを羽織り、外出の準備を始める。
目指すは王都の西、雑穀地帯にある神殿だ。


/*/

「はーい、たんとお食べー」
快晴の空の下、清水は子供に囲まれていた。
神官に勉強を教わっている子供たちだった。
清水は暇を見て(というか常に暇なので)神殿へやって来ては子供たちにお菓子を配っていた。

貧乏だったが、いや貧乏だからこそ出来ることを精一杯こなす。
それが清水魁斗という男だった。

「おにいちゃん、このおかしへんだよ?」
「うん?なにがだい?」
笑顔で応える清水。
基本的に子供は好きなのだった。
「なかになんにもはいってないよ?」
そう、文化揚げはいかにも中になにか入ってそうな雰囲気をただよわせつつも、実はなにも入っていないというサg、もといビックリドッキリ料理なのだった。
だが子供にそんなことがわかるわけもない。
中身がないことを知った子供たちは不満そうだった。
「バカ、それは『お菓子は甘くて美味しいもの』と思い込んでいたお前たちが愚かなのだ。世の中はそう甘くない。甘そうだと思ったら辛かったり、すっぱかったり、いろいろあるんだ。いいか、生きていくってことはこういうことなんだ。今日あったことをよく覚えておきなさい。そうするば貧乏なんてへっちゃらで生きていける」

貧乏だったが、いや貧乏だからこそ子供たちに世の中の無常を精一杯伝える。
それが清水魁斗という男だった。

ちなみに、子供たちが呆然と立ち尽くす中、清水の説法は神官たちが止めに入るまで続いた。

/*/

神殿をあとにした清水は、巨大な石像の前にいた。


[No.6771] 2009/05/09(Sat) 22:35:47

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