EV143”幸せってなんだっけ” 作業ツリー - 清水魁斗 - 2009/04/30(Thu) 01:30:39 [No.6749] |
└ 発表ログ - 星月典子 - 2009/05/15(Fri) 23:41:41 [No.6787] |
└ 飛び込みで絵を描いてみた - 星月典子 - 2009/05/15(Fri) 09:03:38 [No.6785] |
└ 発表時間に関して - 清水魁斗 - 2009/05/15(Fri) 08:16:08 [No.6784] |
└ 締め切りについて - 鈴藤 瑞樹 - 2009/05/04(Mon) 18:21:45 [No.6755] |
└ 平凡な幸せ国民の一日を描く - 清水魁斗 - 2009/04/30(Thu) 01:35:52 [No.6750] |
└ 清水さんの一日(未完成) - 士具馬 鶏鶴 - 2009/05/12(Tue) 22:14:35 [No.6780] |
└ 清水が編集中の文章(随時更新? - 清水魁斗 - 2009/05/10(Sun) 17:48:53 [No.6775] |
└ 絵を描きます。 - 花陵 - 2009/05/10(Sun) 10:00:14 [No.6772] |
└ 下絵描けました。 - 花陵 - 2009/05/10(Sun) 16:30:41 [No.6773] |
└ 一応、完成。 - 花陵 - 2009/05/11(Mon) 23:19:58 [No.6779] |
└ 平凡な一日(作りかけ) - 鈴藤 瑞樹 - 2009/05/09(Sat) 22:35:47 [No.6771] |
└ 平凡な一日(続き) - 鈴藤 瑞樹 - 2009/05/10(Sun) 17:24:29 [No.6774] |
└ 食事の内容 - 清水魁斗 - 2009/05/08(Fri) 21:01:24 [No.6766] |
└ バンドの設定募集 - 清水魁斗 - 2009/05/03(Sun) 00:58:51 [No.6753] |
└ バンドメンバー設定 - 鈴藤 瑞樹 - 2009/05/04(Mon) 14:59:22 [No.6754] |
└ 名前の案 - 清水魁斗 - 2009/05/05(Tue) 22:57:14 [No.6757] |
└ アネッテの名前変更 - 清水魁斗 - 2009/05/10(Sun) 20:56:41 [No.6776] |
└ 設定的部分 - 清水魁斗 - 2009/05/01(Fri) 20:39:24 [No.6751] |
疲れた……清水さんあとよろしくデス…… /*/ 神殿をあとにした清水は、巨大な石像の前にいた。 かつて詩歌藩国のイグドラシルより取得された「動き出す石像」 緑オーマとの戦いで使用されたそれは、今では「もう動かない石像」として国内に設置されていた。 ぱん、と柏手を打ち、目をつむって拝み始める。 「もっとお客さんが来て儲かりますように……あ、でも人が多すぎるとうるさいから適度にお願いします」 後半は言う必要なかったが、思ったことがつい口から出てしまったのだった。 良くも悪くも嘘のつけない男である。 ちなみにお供え物のたぐいはない。 どうせ置いといても腐るか、その前に雪で埋まるかのどちらかだ。 だったら食べるやつに渡したほうがいいじゃないかと清水は思っていた。 実際、子供たちに配った文化揚げの他には、交番と病院で働く犬士にケーキを差し入れていた。 ふと視線を感じて、石像を見上げる。 石造りの顔は微笑んでいたが、どこか寂しそうに見えた。 周辺を見渡す。 人通りは少ない。郊外に置いたのだから、当然といえば当然だった。 「……ま、たまに様子見に来るから、そう悲しそうな顔しなさんなって」 ぺしぺしと像の巨大な足を叩く。 なんとなく、返事が聞こえたような気がした。 笑う清水。 今度来る時には、掃除でもしてやろうか。 「さって、夕飯前にまた店開けなきゃ」 まぁ客は来ないけど、と言って帰り支度を始める。 稼ぎ時の昼間に店を閉めてるから客が来ないんじゃ、と突っ込んでくれる親切な人間は、残念ながらいなかった。 /*/ 「ねぇマスター、お昼もお店開けようよ。きっとそのほうが儲かるよ?」 「だぁーめ。昼間はほかにやることがあるの」 カウンター席でミルクを飲む少女に、清水はにべもなくそう言った。 少女、アネッテ・ノルベリは第七世界人ではない、いわゆる設定国民というやつだった。 そして清水にとっては、客というよりは知り合いと呼べる人物だった。 それは彼女がただミルクを飲みにきたわけではなく―――― 「アーネ、そろそろ練習はじめるよ」 「あ、はーい」 視線を向けると、店の奥には5人の男女。 いずれも楽器を手に少女を待っている。 「ちょっと行ってきますね。マスター」 「あぁ、がんばってね」 演奏が始まる。 舞曲のダブル・ジグ。 少女の得意な曲だ。 かろやかにステップを刻むアネッテ。 清水は手を止めて、踊りと曲に目と耳をかたむけた。 演奏しているのはアマチュアのアイリッシュバンドだ。 詩歌藩国では、国名の通りもともと音楽文化の下地はあったが、音楽院の設立にともなって基幹産業として音楽全般を後押しすることが政府の方針として発表されている。 その波に乗ってバンドを結成する若者たちが後をたたない。 彼らもそんな若者たちのうちの一組だった。 楽器はなんとかなっても練習場所にまで金が回らない、そんな彼らに練習場所として、店の奥の一角を貸しているというわけだ。 どうせ客はほとんど来ないし、来ても嫌な顔をされることはない。 音楽が嫌いなやつはこの国では小数派だし、一生懸命な若者を見ていやな気分になるやつは、もっと少ないだろう。 だんだんと曲のテンポが上がって来た。そろそろ曲も終盤だ。 清水は6人分のカップを取り出し、コーヒーを用意し始めた。 まぁ、お代は出世払いとしておこう。 彼らが音楽院へ入学して、音楽家として有名になったら「あの6人はワシが育てたのじゃ」とか言って遊ぶことにしよう。 そのためならコーヒー代くらい、安い買い物なように思えた。 /*/ バンド練習を終えた6人組が帰って店を閉めた後、清水が向かったのは政庁だった。 バトルメードとしての職務、すなわち貴族、華族、王族の世話という仕事をまっとうするためだ。 喫茶店を経営している清水は自然と、夜間勤務が多くなった。 そして、それはそのまま激務が多いことを意味していた。 『藩国の運営は夜に行われる』という格言の通り、政庁は夜にこそ賑わうからだ。 今日、清水は国内最大の激務と対峙しようとしていた。 数多のメードたちがやぶれ、挫折し、屈服していった仕事に挑もうとしていた。 すなわち、華族 星月典子の世話係である。 「ああぁぁあ、もうやーだー! アイドレスやめるぅぅぅう!!」 政庁の中でも二番目に高い位置にある執務室で、星月典子はわめいていた。 ヤケになって撒き散らしたのか、大量の書類がちらばっていた。 「ハイハイ、あと5ターンがんばりましょうねー」 ちらかった書類を拾いながら、清水が適当に返事を返す。 詩歌藩国が誇るキャリアウーマン、星月典子。 ニューワールドにおける有名人のひとりであり、護民官としても名の通った人物である。 もしかして詩歌藩王より有名&働いてんじゃないかともっぱらの噂な彼女だが、ひとつだけ問題があった。 「あと5ターンて何ヶ月ですかー。なんにちなんじかんなんぷんなんびょー」 「ハイハイ、何分でしょうねー」 あまりに作業量が多過ぎて、疲れがたまっていくると困ったちゃんになることがしばしばあるのだった。 彼女のやる気をそこなわないよう適度に相手をできるのは藩王を除いて数名しかおらず、清水はそのうちのひとりなのだった。 余談だが、もっとも楽な仕事は詩歌藩王の世話係だった。 部屋の掃除から紅茶の用意までなんでも自分でこなす雑用系&庶民派藩王であるため、世話する必要がまったくないのだ。 「ううう、眠いよーお腹すいたよー」 「ハイハイ、ガムでも噛んでてくださいねー」 書類を片付け終えた清水は椅子に座り、持ってきた文庫本に目を落とす。 体力勝負のこの仕事、無駄な行動は即、死を意味するのだ。 「そうだ! そろそろもみじ(愛犬)の散歩の時間! というわけでちょっと行ってきm」 「ハイハイ、それは2時間前に行きましたよねー」 逃がす気はまったくなかった。 容赦ない清水に泣きそうになる星月。 書類仕事再開。 が、しばらくすると集中力が切れてくる。 「うー、駒地さん呼んで来てーぎゅーするからー」 「メッセ上がってないから、もう寝てんじゃないですかね」 「えぇー! やだーぎゅーして充電しないと仕事できないー!」 じたばたと机の上で暴れ始める。 最近、幼児退行が進んできたなと清水は冷静に観察し、体力が尽きて暴れ終わるのを待つ。 1分ほどで動きが止まった。 「もういいです……せめてドーナツ買ってきてください……」 「こんな夜中にやってる店なんてありませんよ」 コンビニじゃないんですから、と言われて星月はついに動かなくなった。 「うう……ひどい……」 さめざめと肩を震わせる姿を見て、清水はため息まじりに皿を取り出した。 星月の机にのせる。 皿に盛り付けられていたものは手作りのドーナツだった。 「ま、どうせこうなるだろうと思って作って来ましたけどね」 「わー! 食べてもいいんですか!?」 「もちろん。ただし、食べたらちゃんと仕事してくださいね」 「はーい!」 元気よく返事をしてからもぐもぐ、とドーナツをぱくつき始める。 その様子を見ながら、清水は時計を確認する。 あと1時間ほどで交代が来る、それまでは持つだろう。 しかし、清水は知らなかった。 外はブリザードで外出が困難になり、交代で来るはずのメードが来れなくなってしまったことを。 その後、結局は星月の仕事が終わる明け方まで付き合うはめになるのだった。 [No.6774] 2009/05/10(Sun) 17:24:29 |
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